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翼竜が巨大化した理由が判明。地上をうまく歩くための進化だった。

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(著) (編集)

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地上生活に適応するため足が進化した翼竜、バラエノグナトゥスこの画像を大きなサイズで見る
image credit:Rudolf Hima
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 恐竜と同時期に現れ、白亜紀末に絶滅した翼竜は、爬虫類の一軍だが、巨大なことで知られている。なぜそれほど大きくなったのか?

 新たな研究によると、足の進化に秘密があったそうだ。脊椎動物として地球史上初めて空を飛んだ生物にしては、あまりにも意外な発見だ。

 プテラノドンに代表される翼竜には、翼を広げれば10mにも達する巨大な仲間がいた。それにゆえに注目されるのは、その大きな翼や飛行能力ばかりだ。

 だが英国レスター大学の古生物学者チームは、その手足の進化に注目した。

 そこから明らかになったのは、その巨大化の鍵となったのが、地上を上手に歩く能力だったという意外な事実だ。

初期の翼竜は木登りが得意だった

 レスター大学の研究チームは、世界中から集められた翼竜の手足を分析し、その進化の過程の解明を試みた。

 古生物学者たちが驚いたのは、その多様さが今日存在する鳥にも匹敵することだった。ただし翼竜は翼竜様類に属する爬虫類の一群である。

 このことは、翼竜が空を飛んでばかりいたわけではなく、木の上や地上まで、陸上にあるさまざまな環境に適応していたことを示している。

 中生代(2億5200万年~6600万年前)を生きた翼竜の進化は、地球で初めて空を飛んだ脊椎動物として、ひときわ目を引く事例となっている。

 だがその手足から判明したのは、初期の翼竜は木登りが得意だったということだ。研究チームのロバート・スミス氏はこう説明する。

 「初期の翼竜は、木登りに特化しており、今日の木を登るトカゲやキツツキなどの鳥類のような手足の極端な変形が見られます」

 初期の翼竜は、指の付け根の骨が短いのに対して、指先の骨ほど長く、最後は大きく曲がった爪で終わっている。この形状はしっかりと握るのに便利で、木登りにぴったりだ。

 こうした初期の翼竜は、おそらく主に木の上で生活していた。指先で体重を支えねばならないので、体は小さく軽かった。

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スカフォグナトゥスのような長い尾を持つ翼竜は、手足に大きく湾曲した爪があり、木登りに適していた。鋭い歯を備え、昆虫やその他の小動物を捕食していたと考えられている image credit:Rudolf Hima

中期ジュラ紀以降、地上での暮らしに対応するため手足が変化

 だが中期ジュラ紀(1億7410万~1億6350万年前)になると転機が訪れる。翼竜の手足が、地上で暮らす動物たちのそれとよく似た形に変化したのだ。

 後期のより進化した翼竜は、指の付け根の骨が長く、指先の骨ほど短い。また爪もそれほど曲がっていない。これは木登りよりも、歩くのに都合がいい形だ。

 さらに翼の膜にも変化があった。研究チームのデビッド・アンウィン博士は、こう説明する。

初期の翼竜は後脚が翼膜でつながっており、これが歩行の邪魔になっていました

ですが、後期のより進化した翼竜になると、この膜が正中線に沿って分かれており、後脚を独立して動かせるようになりました

これが手と足の変化と相まって、翼竜の地上での移動能力を大幅アップさせたのです(デビッド・アンウィン博士)

 こうして地上を歩きやすくなったことで、エサを獲得する戦略の幅が広がった。また樹上から自由になったことで、体の大きさの制約からも自由になった。

 翼開長が10mもあるような巨大な翼竜が登場できたのはそのおかげだと考えられる。

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翼竜の進化の樹形図。翼竜の手足が木登りに適応した形から、陸上での移動に適した形に変化していることがわかる。また、木登りに依存していた初期の長い尾を持つ翼竜は、体のサイズが小さかったのに対し、後期の短い尾を持つ翼竜は陸上での歩行に適応するため体が大きく成長できるようになった image credit:Rudolf Hima

飛行能力と歩行能力で独自のニッチに進出

 スミス氏は、翼竜の進化を完全に理解するには、空を飛ぶ力だけでなく、彼らの移動方法をすべて検討する必要があると説明する。

翼竜が飛べたことは彼らの物語の一部に過ぎません

彼らが樹上や地上でどのように生活していたか探れば、古代の生態系で彼らが果たしていた役割も理解できるようになるでしょう(ロバート・スミス氏)

 翼竜が地上に降り立ったとき、そこにはすでに恐竜をはじめとするさまざまな動物がいた。

 翼竜は空を飛ぶ力と歩く力の両方が必要になる領域を選ぶことで、そうしたライバルたちとの競争を巧みに避けたのである。

 何百もの細かい針のような歯で餌を濾過して食べるという摂食戦略も、そのために編み出されたものだ。

これは現代のフラミンゴにも似た食べ方だが、翼竜のそれはこのピンク色の鳥より1億2000万年も古いのだ。

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 バラエノグナトゥスのような短い尾を持つ翼竜は地上生活に適応していた。500本もの針のような歯があり、浅瀬で小さな食物を濾し取って食べていたと考えられている。これは現代のフラミンゴの食べ方と同じだ。 image credit:Rudolf Hima

 この研究は 『Current Biology』(2024年10月4日付)に掲載された。

References: Pterosaurs needed feet on the ground to becom | EurekAlert!

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この記事へのコメント 24件

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  1. うまい進化だね。
    しかし、外見がちょっと怖い……

    • +8
    1. これでめちゃめちゃ早く歩いてたりして・・・

      • +9
  2. ケツァルコアトルスのような超大型種は
    結局、飛べたんだろうか?
    飛べた説、大人になったら飛ばない説と
    在る様だが飛んで欲しいなぁ、、、
    あの巨体が飛ぶ姿を見てみたい。

    • +13
  3. いつかモモンガが地上に降りたらクソデカモモンガが爆誕するんだろうか

    • +6
  4. 歩くのが得意ってことは高いところまで歩いて行って滑空してたのかな

    • +4
  5. 「歩行ができる」と「大型化」は別な気がする
    初期の人類から現生人類のように、樹上トカゲの大型化の流れが別にあり
    遅れて歩行に有利な皮膜の分離がまた別に起きたのでは?

    • +7
    1. > 樹上トカゲの大型化の流れが別にあり
      > 遅れて歩行に有利な皮膜の分離がまた別に起きたのでは?

      これはもう「植生の変化」とか「環境がどう変わったか」だとかまで調べていかないとわからない
      そもそもで飛行生物の大型化は生体上不利なので、不利を覆さねばならない何かが起こったと考えるのは妥当だが
      現状では「大型化の流れが別にあり」という部分に関しては説明ができないと思う

      でも、研究テーマとしては面白いのであなたが学者になったらいい研究をしてくれそうw

      • -2
      1. 大型化は進化の流れだと思う
        生物プロトタイプが出そろった前カンブリア紀より今の生物は大きいし、初期哺乳類は鼠くらいで象や鯨にまで、人類は先に書いたか
        (いま最大の生物は菌類や植物を除けばイカ、クラゲ、クジラかな、いずれも先祖より大きい)
        生物物全体として自重を支えるフレームが変われば大きくなっていくし、同グループ内でも同種でも大きいほうが繁栄する要素は強い
        さて飛行生物だが同じだろう
        アホウドリは大型化して飛行距離を伸ばしテリトリーと餌の量を増やした(飛行しないで大型化ならダチョウやヒクイドリ、カーカーポというのも)
        まあ敵や気温などの環境で小さくなることはある
        道具を使う人が大型哺乳類を滅ぼしたり、気温が上がれば小さく(下がれば大きく)島嶼なら小さく
        しかしこれらは全体の流れを変えるほどではなかったと考えているのだが
        なお進化に興味はあるが、最大の関心は人間、そういう仕事なので

        • +7
        1. 大型化には何らかの理由がある。環境要因や多種との関係性

          鳥類に限定すれば大型鳥類は走り回るサイズでは多いが、飛ぶような鳥類は小型であることが多いし、種類も多い
          飛べるサイズだとアホウドリクラスが最大だが、その程度しかいない
          一般的な飛行可能な鳥はもっと小さいサイズがメイン
          過去に7m程度の大型鳥類はいたが絶滅して現存していない

          そもそもで進化とは「環境選択」であって「進化の流れ」なんてものではない
          大型化したのは生息環境下において、大きくなることが優位だっただけでしかない
          だから当時の環境がわからない限りは「大型化した理由」は不明であり、大型化したという事実しか残っていない

          また、例に出ている鯨が大きいのは、海中で暮らすために脂肪量との兼ね合いになるし
          現在80種類ほどいるが、特異な大きなになる種は10種程度

          • -1
          1. 流れと書いたので混乱してるのかな?
            傾向や結果、帰結なんでもいい

            大型種が生態系の上にいるのを忘れてる
            上に行くほど個体数や種の数は少なくなる
            「数で少ないのは当たり前」なのだ

            • +6
          2. 彼が述べているのは「繁栄」
            哺乳類なら牛の仲間、鳥類なら雀の仲間(多分)など
            その時期の環境に最も合ったグループのこと
            そう言えば恐竜も…

            • +3
          3. 大型化の理由は「エネルギー効率」だよ
            翼竜の翼も小さなエネルギーで飛ぶため
            鯨の大型化も熱を逃がさないため(素材としての脂肪も同じ)
            一見別に見えても熱効率が関係してる

            • +4
    2. 歩行が可能になったというか樹上生活に縛られなくなったことが
      翼開長数mを超えるような極端な大型化も可能にしたということで、
      樹上生活をする生態でも可能な範囲での大型化を否定する研究ではないようだ。

      • 評価
  6. でもまぁ、そもそも滑空してる連中って、着陸したあとどうしてんの?ってずっと疑問だった。飛び立てるとこまで歩いてたとかしないと説明つかないところ多いんだもの。
    でかすぎて地表から飛べないってそういうことよ?

    今滑空してる連中だって地表から飛べるのに。

    • -1
    1. ソアリングっていう飛行方法があってな
      斜面まで歩いたら上昇気流を捕まえて羽ばたかずに飛び立てるのよ

      • +3
  7. 記事タイトル、「翼竜が巨大化した理由が判明。地上をうまく歩くための進化だった。」、
    これはリンクにあるリファレンスや論文で述べられていることと順序が逆であるように読めてしまう。
    記事本文中にある「また樹上から自由になったことで、体の大きさの制約からも自由になった。翼開長が10mもあるような巨大な翼竜が登場できたのはそのおかげだと考えられる。」
    がリファレンスや論文で主張されていることで、巨大化は地上活動への適応が進んだことの結果であって、記事タイトルの書き方では逆に巨大化の方が原因であるように読めてしまう。

    • +4
  8. たぶん鳥類に樹上性小型種のニッチを奪われて海や平原に適応したものが主流になったんだと思う。腐肉を占拠したり飛びながら魚を追うには体が大きいほうが便利だったんだろう。

    • +7
  9. 翼竜が自力で羽ばたく飛翔じゃなくて
    高いところから飛び降りの滑空だったら
    より高いところを目指したら体が大きくなったのかもなあんて
    滑空だと高いところ目指してえんやこら歩かなきゃいけないから体力いるじゃん?
    小さいとすぐつかれるじゃん?いっぱい食べて体力つけようぜーってやってたら
    体がでかくなったんじゃね?

    • 評価
    1. 滑空だと使うエネルギーは小さくて済む
      だから上昇気流に乗ったり、高いところから降りたりするんだけど
      この場合、翼長が長いほど効率が良いため結果、鳥などは大型化する
      それを維持するため肉食に傾く(カロリーの高さは採食時間を短くする)
      アルバトロス(阿呆鳥)が最たる例

      • +4
  10. サイズ感が不気味に感じられて、怖い
    いいデザインの生物だ

    • 評価
  11. その翼竜の生活活環境にライバルとなるような捕食者がいなければ、恐鳥のように飛ばずとも大型の獲物を捕食できるので飛ばなくも良くなるので自然と大型化もしそうですけどね

    • 評価

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