この画像を大きなサイズで見る2011年6月9日。アメリカのノースカロライナ州ガストニア市で、奇妙な銀行強盗事件が発生した。被害金額はなんとたったの1ドル。
男は窓口の係員に「私は銀行強盗です、1ドルだけ渡してください」と書いたメモを渡したのだ。
犯人の目的は、金銭を奪い取ることではなかった。男には、どうしても刑務所に行きたい理由があったのだ。
健康を害した結果、職場を解雇された男性
今回犯行に及んだジェームズ・ヴェローン(事件当時59歳)は健康状態の悪化を理由に、17年間務めたコカ・コーラの配達員の仕事を解雇された。その際、退職金も支払われなかったという。
その後はトラック運転手やコンビニの店員などの仕事を転々としたが、健康状態を理由にどちらも解雇されてしまった。
椎間板ヘルニア2か所による激痛を抱え、左足を引きずって必死に歩くヴェローンを雇用してくれる会社はなかったのだ。
この画像を大きなサイズで見る彼の身体をさいなむ苦痛はこれだけではなかった。気がつくと彼の胸にはしこりが現れ、動くたびに信じられないほどの痛みが走るようになった。
彼は次第に、自分が「がん」なのではないかと恐れるようになった。だが解雇されて以来健康保険に加入していないヴェローンにとって、アメリカの医療費は高すぎた。
やがてコツコツ貯めてきた蓄えも底をつき、公的扶助を申請したが断られた。いつしか彼は、生きていくためにフードスタンプ(※)を頼るようになっていた。
※フードスタンプとは「補助的栄養支援プログラム(SNAP)」のことで、一定以下の収入の世帯に、デビットカード形式で食料の購入に使える補助金が支給される。州によって割合は異なるが、アメリカの全人口の1割程度が利用していると言われている
刑務所で治療を受けるために銀行強盗を思いつく
絶望したヴェローンは、最後の可能性にかけることにした。刑務所に入れば、無料で医療処置が受けられる。住むところも食事も困らない。
年金の支給が開始される62歳までの3年間、刑務所で治療を受けながら過ごすには、銀行強盗を実行するしかなかったのだ。
この画像を大きなサイズで見る痛みは耐えられる範囲を超えていました。私は全てにおいて、壁にぶつかってしまったように感じていたのです。
これはお金のためではなく、治療を受けるためでした。私の精神は健全ですが、身体のほうはそうではないんです。
私はこれまで、法を犯したことはありませんでした。私は論理的な人間で、これが私の論理だったんですよ
ヴェローンは決行当日を前に、手持ちの家具を売り、最後の家賃を払った。当日の朝は穏やかな気持ちで目を覚まし、シャワーを浴びた。
そしてタクシーを呼んでガストニアの市街地に向かい、ニューホープ・ロードを下って最初に目についたカナダロイヤル銀行に入って行った。
そして彼は窓口の係員に、1枚のメモを渡した。そこにはこう書かれていた。
これは銀行強盗です。どうか1ドルだけ私に渡してください
係員が通報すると、ヴェローンは静かに椅子に座って、警察の到着を待っていたそうだ。
この画像を大きなサイズで見る刑務所で検査と治療を受けることができた
ヴェローンは社会保障の受給資格ができる62歳まで、3年間の収監を望んでいたが、結局1年後に検察と取引をし、軽犯罪にあたる窃盗罪で有罪を認めた後、釈放されることになった。
だが彼の望み通り、その間にヴェローンは必要な医療を無料で受けることができたのである。心配していた胸のしこりも、がんではないことが判明した。
刑務所の医師はヴェローンの治療に取り組みながらも、これは小手先の駆け引きだと、彼を非難していたという。
駆け引きというならその通りでしょう。でもそれは必要に迫られてのことです。私は治療を受ける必要があり、裁判所と駆け引きをしたわけです
よく知られているようにアメリカの医療費は非常に高額であり、日本のような国民皆保険制度は存在しない。
そのため病気やケガで治療をすると、その費用の支払いができずに人生が詰むというパターンも珍しくない。
ヴェローンは出所後のインタビューで、次のように語っていたそうだ。
自分の決断について、後悔している点もあります。しかし自分の意見を主張する価値はあったと信じています。
そう、それだけの価値はありました。他に進むべき道はありませんでした。命の危険があったのです
実は1ドル銀行強盗を実行したのは、ヴェローンだけではない。2023年3月に発生したユタ州のサンタクローチェの事件も、やはり被害額は1ドルで、同機は「刑務所に戻りたかった」からだった。
さらに2024年3月にはウェストバージニア州サマーズビルで、30歳のホームレスの男性がヴェローンそっくりのやり方で1ドル銀行強盗を働いて拘留されている。
今後もこのような事件を起こす人々はなくならないだろう。福祉や社会保障のあり方について、アメリカではさらなる議論が必要なのではないだろうか。
References: Heartbreaking reason why man robbed bank for $1 so he could be sent to prison
















社会保障を軽視することが犯罪の増加に繋がり、犯罪の増加が警察や裁判所や刑務所などの負担増となって重くのしかかり、ますます社会保障を増やせなくなり…とアメリカはもうどうしようもない負のスパイラルに陥ってる
まあ日本もどんどん社会保障を削ってそういう方向に突き進んでるけど
それに加えて違法滞在者への社会保障を充実させようとしてるとか質が悪すぎる
アメリカン・ドリーム
アメリカン・ナイトメア
やりきれないね。
アメリカ合衆国に限らず、日本でも食い詰めて刑務所にと同じようなことをしたり、復讐のように凶行に走ったりということがあったりで、いわゆるセーフティーネットが十分に働いていないようですね。自分が強い状態の時には不要ですから弱いほうが悪いということは言えるかもしれませんが、弱い状態になったときに同じことがいえるかどうかと考えると、ある程度強い状態の時には弱い立場の人たちを何らかの形で助けられる状態でありたいと思いましたわ。
まぁ、この辺を強くしていくと社会主義的な方向になりますが個人を尊重してバランスを取っていくこともできるハズで折り合いのつくところが見つかると良いなと。ハリーポッターシリーズの最初が書かれたのもJKローリングが生活保護を受けていたころだと読みましたので、助走をつけて羽ばたいて他の人を助けられるようになったわけで本記事のジェームズ・ヴェローンもうまくいってほしい
誰が責められるんだろう
人間はより状況を改善する意思がある
それに従っただけに思える
何故米国程の国家で、社会保障が機能していないのか。
「自由の国」だから。自由という権利を得る代わりに、義務と自己責任が必要になる国だから
日本のような自由に対する義務や自己責任の在り方が緩い国民ではあまり実感できないと思う
アメリカには日本の基本的人権である生存権がないよな。
だから国家は見殺しにするんだよ。
それが自由と言う牢獄。
ただこの記事のように不自由な牢獄を選べる自由もある。
病院の先生に聴診器当ててもらうだけで
レクサスLFA買えちゃうからな。
アメリカの事だからその内犯罪者の治療は辞めそう
自分も健康を害しているから他人事ではない
医療にかかりやすい日本に生まれたことを感謝しつつも将来はわからないから不安だよ
治療目当てで刑務所に入りたいのなら、せめて本物の犯罪らしい演技をしてほしい
私が担当医ならそう思う
この人は自尊心は捨てられなかったんだろうな
治療を受けたい為の行為であったので、銃殺の可能性は低く、刑期は短い方が良いのでは?
根が優しい人で、少しでも窓口の人に怖い思いをさせたくなかったんじゃないかな……
強盗は服役のための手段であって目的ではないから、せめて人として本物の犯罪者らしく振る舞いたくなかったのでは
軽い罪なら刑務所に行けないし
誰も傷つけたくなかったのだろう。
日本も生活困窮者、生活保護・年金生活してる人向けに各現金受給を減らす代わりに食料・給食の配給制度作った方が良いと思うわ。
特別制度として農協なんかと協力して、市場価格無視すれば相当安く食料のみは提供できる。社会保障費圧縮出来れば文句も無い。
「野菜を腐らせずに適宜管理し献立を考えて自炊ができる人間」は生活困窮しねえんだわ
生活保護・年金受給者の大半は高齢者だぞ
冷蔵庫の干からびた野菜と肉だった汁を福祉関係者が片付ける仕事が増えるだけだ
日本でも今年の7月に高齢者がコンビニ強盗した後に自分で通報して逮捕された事件が起きたからね…
以前から刑務所入るために犯罪する高齢者が増えているという話がある
アメリカナンバーワーン
海外では特に軽めの犯罪で刑務所入っている方が
24時間護衛付きで治療も受けられる健康的な生活を送れるからね
重い犯罪になると同等の受刑者と同居する超ハードな生活が待ってる
尻穴と給料と内臓と命が幾らあっても足らない
他人を傷つけて金品を奪うような選択をしないで良かった
映画化決定!「荒野の1ドル強盗」
治療費払わなくて済むなら賢い行動だと言える
これが自由を勘違いしてる国アメリカの現実