この画像を大きなサイズで見る日本のみんなは知らないかもしれないが2026年4月、セントヘレナ島に暮らす、推定194歳のゾウガメ「ジョナサン」の死亡説がネットを騒がせた。
幸いにも死亡説はデマであることが判明しており、ジョナサンは今も生きている。ああよかった。
今回、アメリカの研究チームは、ジョナサンの遺伝子情報を解析し、長寿の秘密を探った。
頬の粘膜から採取した細胞を調べた結果、ミトコンドリアの働きに関わる遺伝子が、5歳の若い個体と同じくらい若い状態に保たれていることがわかった。
江戸、明治、大正、昭和、平成、令和を生き延びたジョナサンにはまだまだ長生きして欲しいので、これはうれしいニュースだ。
この研究成果は『Science Advances』誌(2026年10月7日付)に掲載された。
獣医になりすました人物が嘘のジョナサン死亡説を流す
2026年4月1日、SNS上で推定年齢194歳のオスのゾウガメ「ジョナサン」が死んだというニュースがネット上で拡散され、世界に衝撃が走った。
だがこれは、以前ジョナサンを診ていた専属の獣医を名乗る人物が、暗号資産を集める目的で流した悪質な虚偽の情報だった。
多くの人々が深く悲しみ、嘘と分かってほっとした一連の騒動は、ジョナサンが世界中から愛されていることを証明した。
ジョナサンは1800年代後半から南大西洋の孤島であるセントヘレナ島に暮らしており、現在確認されている中で世界最高齢の陸上動物とされている。
この画像を大きなサイズで見る頬の粘膜から全遺伝子情報とエピゲノムを解読
ジョナサンは、世界最大級のリクガメであるアルダブラゾウガメの亜種にあたるセーシェルゾウガメだ。
ゾウガメの寿命は通常100年から150年と考えられているが、ジョナサンは一般的な寿命をはるかに超えて生きている。
長寿研究を行うアメリカの非営利団体カレル(Kallel)の神経腫瘍医であり研究責任者のスティーブン・クラーク氏率いる研究チームは、死亡説が流れる前から、ジョナサンの長生きの秘密を調べるため遺伝子の調査を進めていた。
研究チームは、ジョナサンの健康を考えて採血は行わず、頬の粘膜を綿棒でこすり取る手法を行った。
これにより、ジョナサンが持つすべての遺伝情報のセットであるゲノムと、遺伝子の働きをオン・オフする仕組みであるエピゲノムの解読に成功した。
ジョナサンの遺伝子には違いがあった
エピゲノム(エピジェネティクス)は、DNAの配列を変えずに遺伝子の働きを制御する仕組みを持ち、加齢とともに状態が変化する。
研究チームは、年齢によるエピゲノムの変化を確認するため、194歳のジョナサンのエピゲノムを5歳の若いアルダブラゾウガメと比較した。
189年という大きな年齢差で動物のエピゲノムを比較した研究は今回が初めての試みだ。
解析の結果、細胞のエネルギーを作り出す小器官であるミトコンドリアの働きに関わる一部の遺伝子で、ジョナサンの状態は5歳の個体と同じくらい若々しい状態に保たれていることが判明した。
同時に比較した91歳のデータでは、ジョナサンよりも同じ遺伝子の老化がはるかに進んでいたという。
また、研究チームがジョナサンのゲノムを他のゾウガメと比べたところ、傷ついたDNAを修復する遺伝子や、細胞分裂のたびに短くなる染色体の末端「テロメア」を維持する仕組み、異常なたんぱく質を取り除く仕組み、がんに関わる遺伝子などにも違いが見つかった。
研究チームは、ミトコンドリアが効率よくエネルギーを作り続けることで、DNAの傷を直す働きも保たれ、ジョナサンの長寿につながっていると考えている。
ジョナサンの長寿の秘密が人間の寿命を延ばせる鍵に
クラーク氏は、遺伝子解析の発見を人間の寿命を延ばす研究に応用できると考えている。
研究チームは次の段階として、エピゲノムに働きかけて人間のミトコンドリアを若く保つ薬を探す計画を立てている。
現在、ジョナサンは目は見えない状態だが、聴力はしっかりと保たれている。
研究チームは、感染症や自然の危険から安全な状態で保護されれば、ジョナサンはさらに長く生き続けるとみている。
ジョナサンには200歳目指してがんばってほしいものだ。
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