メインコンテンツにスキップ

Googleでカラパイアを「お気に入りサイト登録」

1億年前の琥珀に閉じ込められていた甲虫は新種だった。未知の触角をもつホタルの近縁種

記事の本文にスキップ

0件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Image credit:YANG Dinghua
Advertisement

  ミャンマーで発見された約1億年前の琥珀の中から、これまでに見たことのない複雑な触角と、お尻の発光器官を併せ持つホタルの近縁種の化石が発見された。

 イギリスと中国の研究チームが発表した白亜紀の新種の甲虫は、複雑な触角でフェロモンを嗅ぎ分け、光で捕食者を威嚇していた可能性が高いという。

 恐竜と同じ時代を生きた昆虫がすでに高度なコミュニケーション能力を持っていたことを示す驚きの発見だ。

 この研究成果は『Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences』誌(2026年7月29日付)に掲載された。

参考文献:

1億年前の琥珀に閉じ込められていた未知の甲虫

 ミャンマー北部カチン州で採れた約1億年前の琥珀の中に、保存状態のきわめて良い甲虫の化石が閉じ込められていた。

 琥珀は木から流れ出た樹脂が固まってできたもので、閉じ込められた甲虫は当時の姿をそのまま保っている。

 イギリスのブリストル大学と中国科学院南京地質古生物研究所の研究チームが分析したところ、体の長さは約11.2mm、性別はオスで、カブトムシやホタルなどが属する甲虫類の仲間であることが判明した。

 さらに詳しく調べると、ホタルやその近縁種を含む一群に属する新属新種であることがわかった。

 研究チームはこの古代の甲虫を、イカロラムス・ペリシ(Icaroramus perisi)と名付けたが、どの科に入れるべきかについては確実な判断がまだできず、暫定的な扱いにとどめている。

 化石には、無傷のまま残されたお尻の発光器官と、科学者がこれまでどの甲虫でも見たことのない複雑な構造の触角の両方が保存されていた。

前代未聞の複雑な構造の触覚

 研究チームを最も驚かせたのは、この昆虫が持つ異常なまでに発達した触角だった。

 触角は短い節がいくつもつながってできており、枝分かれしていれば表面積が広がり、においを捉える感覚器をより多く並べられる。

 イカロラムス・ペリシの触角は12の節から成り立っている。

 そして第4節から第11節までの各節には、形の異なる2対(合計4本)の枝が生えていたのだ。

 根元に近い2本の枝の対は細長く粗い毛が生えており、中間付近の2本の枝の対は短くて細かい毛だけで覆われている。

 1つの触角の節に、形が異なる2対の枝を持つ触角は、これまでに発見されたすべての甲虫の中で前例がない。

 研究者たちは、触角の成長プログラムが部分的に再活性化し、余分な枝が生み出されたのではないかと推測している。

この画像を大きなサイズで見る
琥珀に閉じ込められていた新属新種の甲虫、イカロラムス・ペリシ(Icaroramus perisi)とその複雑な触角(C)Image credit:NIGPAS

フェロモン感知と捕食者への警告を使い分ける

 これほどまでに複雑な触角は、いったい何のために使われていたのだろうか。

 空気中のフェロモンを感知して配偶者を見つける昆虫は、においを捉えやすくするためによく発達した分岐した触角を持つことが多い。

 反対に、光の信号を使って求愛する種は、触角が単純になる傾向がある。フェロモンとは、同じ種類の仲間に向けて出すにおいの信号である。

 イカロラムス・ペリシも同様に、配偶者探しにおいてフェロモンの手がかりに大きく依存していたと考えられる。

 さらに、形の異なる2種類の枝の対が、それぞれ異なる化学物質を嗅ぎ分ける役割を担っていた可能性があるという。

 ただし化石では感覚器の一つ一つまで確認できないため、役割分担については仮説にとどまる。

 一方で、イカロラムス・ペリシは匂いを嗅ぎ分ける派手な触角と、光を放つ発光器官の両方を持っていた。

 現代のホタルには見られない組み合わせである。

 このことから研究チームは、この甲虫が放つ光は求愛のためではなく、自分を食べようとする捕食者に警告する信号として使われていた可能性が高いと結論付けている。

学名は太陽に近づきすぎた男の名が由来

 約1億年前の時点で、ホタルの近縁種はすでに、においと光という二つの伝達手段を持っていた。

 昆虫の複雑なやりとりが、想像よりはるかに早く始まっていたことになる。

 それでも、2対4本の枝の触角は現代に一つも残っていない。

 研究チームは、この形が生き残るうえで不利だったか、後の環境の変化によって失われたかのどちらかだと考えている。

 属名のイカロラムスは、ギリシャ神話に登場するイカロスと、枝を意味するラムス(ramus)を組み合わせたものだ。

 イカロスは蝋で固めた翼で空を飛び、太陽に近づきすぎて翼を失い、海へ落ちた。

 行き過ぎた進化の末に受け継がれることなく終わった触角に、研究チームはその名を重ねている。

 種小名のペリシは、古い昆虫の化石を研究するデビッド・ペリス博士に贈られたものだ。

 1億年前の白亜紀の森で、この甲虫は腹を光らせ、複雑な構造の触角を広げてメスのにおいを探していたのだ。

References: DOI 10.1098/rspb.2026.0295 / English.cas.cn

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

絶滅・絶滅危惧種生物

絶滅・絶滅危惧種生物についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

昆虫・爬虫類・寄生虫

昆虫・爬虫類・寄生虫についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。