この画像を大きなサイズで見る日本観測史上最大となるマグニチュード9.0を記録した2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、北海道から九州にかけての広い範囲で揺れを観測した。
米シカゴ大学を中心とする研究チームが新たな分析を行った結果、この時に生じた地震波が、地球の内部深くまで到達して跳ね返り、日本列島のほぼ全域を東へ最大5〜6mm動かしていたことが確認された。
地震波が地球深部で跳ね返りプレート境界のずれを引き起こした例が観測されたのは、史上初めてだ。
この研究成果は『Science』誌(2026年6月18日付)に掲載された。
参考文献:
- Powerful seismic waves from Japan's 2011 earthquake struck Earth's core and bounced back up, moving the island eastward
- A Giant Seismic Wave Bounced Off Earth's Core And May Have Shifted Japan : ScienceAlert
東北地方太平洋沖地震の地震波は地球深部へ到達
東北地方太平洋沖地震は、東北地方を中心に巨大な津波と原子力発電所の事故により、日本の災害史上最悪規模の東日本大震災を引き起こした。
津波の観測範囲は日本だけでなく、ハワイ諸島やインドネシア、アメリカ合衆国西海岸にも及んだ。その威力は絶大で、南極氷河も崩壊したほどだ。
地震が持つ地震波は、地球深部まで到達するほどのエネルギーを持っていた。
地震波とは、地震が発生した際に岩盤の破壊によって生じ、地中や地表を波のように伝わっていく振動のことだ。
地震波には主に、速いスピード(秒速約7km)で伝わるP波と、それより遅いが揺れが強いS波がある。
S波の一部は、地表から約2,900km下にあるマントルと外核の境界まで到達した。
通常、S波はこれほどの深さに達する前にエネルギーを失って消えてしまうが、マグニチュード9.0という最大規模の地震だったため、外核との境界まで到達し、さらに、跳ね返って地表へ戻るエネルギーを持っていた。
この画像を大きなサイズで見る日本列島ほぼ全域が東へ動いていたことが判明
外核との境界で跳ね返り、再び地表へ向かって戻ってきた地震波(S波)はScS波と呼ぶ。往復距離は約5,800km、所要時間は約15分だった。
アメリカ、イリノイ州シカゴ大学を中心とする研究チームは、日本全国のGNSS観測点(地面の動きをミリ単位で記録する装置)のデータを1秒ごとに解析した。
その結果、ScS波が日本列島に戻ってきたタイミングと一致して、北海道から九州まで日本列島のほぼ全域が、東向きに最大5〜6mm移動していたことが確認された。
余震や海底地すべりは局所的な現象であり、特定の地域でのみ観測されるため、すべての観測点がほぼ同時に同じ方向へ動いたのは、ScS波によるものだ。
この画像を大きなサイズで見る跳ね返った地震波が複数のプレート境界を同時に動かした
ScS波が日本列島の地表に戻ってきたとき、地震の激しい揺れですでにダメージを受けていた2つのプレート境界でずれが生じた。
太平洋プレートと北米プレートの境界、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界が、ほぼ同時に動いたのだ。
プレートとは地球の表面を覆う巨大な岩盤で、日本列島は複数のプレートが重なり合う場所に位置している。
このずれは急激な破壊を伴わずゆっくり進行したため強い揺れとしては感知されなかったが、放出されたエネルギーはマグニチュード7.5相当、南北約3,000kmにわたる観測史上最大規模の事象として記録された。
研究チームは、大きな地震(本震)が起きた後も、地球深部から戻ってきた地震波が数十分以内にプレート境界を動かし、追加の地震を引き起こしている可能性があると指摘している。
まとめ
この研究でわかったこと
- 東日本大震災の地震波が地球深部の外核との境界で跳ね返り、日本列島ほぼ全域を東へ最大5〜6mm動かしていたことが初めて確認された
- 地球深部の外核から跳ね返ってきた地震波(ScS波)は東北の震源域だけでなく、南海トラフが想定されるプレート境界も含む複数のプレート境界を同時に動かした
- 大きな地震(本震)の後、外核から戻ってきた地震波が数十分以内にプレート境界を動かし、追加の地震を引き起こしている可能性がある
References: DOI: 10.1126/science.aec4190















