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ピンク色に輝く系外天体グリーゼ504 bの大気に塩の雲を発見

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ピンク・プラネットとして知られるグリーゼ504 b Image Credit: NASA/Goddard Space Flight Center/S. Wiessinger
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 地球から約57光年彼方にある太陽によく似た恒星を公転する「グリーゼ504 b」は、ピンク色に輝くことから「ピンク・プラネット」と呼ばれている。

 グリーゼ504 bは、2013年に日本のすばる望遠鏡が世界で初めてその姿をとらえたが、光が弱すぎて地上の望遠鏡からでは大気の分析ができなかった。

 ところが、米ノースウェスタン大学が主導する研究チームがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使って、大気成分を解析することに成功した。

 その結果、十数年前から理論として提唱されていた塩の雲の存在を、史上初めて直接とらえることに成功した。

 この研究成果は『Astronomical Journal』誌(2025年6月18日付)に掲載された。

参考文献:

グリーゼ504 bはなぜピンク色なのか?

 グリーゼ504 b(GJ 504 b)は、地球から約57光年離れた太陽とよく似たG型主系列星、おとめ座59番星を公転する天体だ。

 木星の数倍から数十倍という質量を持ち、惑星なのか褐色矮星なのかもわかっていない。 

 ピンク・プラネットと呼ばれるのは今もピンク色に輝いて見えるからで、誕生時に灼熱の熱を帯びたグリーゼ504 bは今も形成時の余熱を放ち続けている。

 大気中の雲が少なく光が深い層まで通り抜けるため、NASAが暗い桜の花びらのような色と表現するくすんだマゼンタ色に見える。 

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GJ 504 b – NASA Science

すばる望遠鏡が2013年に世界で初めて直接撮像

 グリーゼ504 bは、日本の国立天文台などの研究チームが、ハワイ・マウナケアにあるすばる望遠鏡で、世界で初めて検出することに成功した天体で、2013年8月に発表された。

 表面温度が約290℃と、これまで知られている同種の系外天体が1,000℃前後であるのに対してかなり低い。

 この天体の光は地上の大型望遠鏡には弱すぎたため、大気成分を読み解くためのスペクトルをとらえることができなかった。

 スペクトルとは光を波長ごとに分解したグラフで、どの色がどれだけ含まれるかを読み取ることで大気の成分がわかる。

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すばる望遠鏡で撮像検出したGJ 504 bの赤外線カラー合成画像 左画像の右上の白い点。右画像はノイズを取り除いきわかりやすくさせたもの Image credit:国立天文台

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で大気成分の解析に成功

 地球から約150万km離れた宇宙空間に浮かぶジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、地球の大気の影響を受けずに天体の光を直接受け取ることができる。

 ノースウェスタン大学のアニーシュ・バブラジ博士が率いる研究チームは、JWSTでグリーゼ504 bの微弱な光をとらえた。

 主星の強烈な光を高度なデータ処理で取り除くことで、大気成分を読み解くためのスペクトルをわずか約2時間で取得することに成功した。

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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のイメージ図 Image credit:NASA

グリーゼ504 bの大気に塩の雲が存在

 スペクトルの解析で、グリーゼ504 bの大気には水蒸気、メタン、二酸化炭素、アンモニアなど豊富な化学物質が含まれていることが明らかになった。

 また、大気中の成分が雲を作っていることも明らかとなった。

 研究チームは塩、アンモニア、珪酸塩の3種類でコンピューターシミュレーションを行ったところ、塩の雲を使ったモデルが実際の観測データとぴたりと一致した。

 グリーゼ504のような他の天体より低温の天体の大気に塩の雲が存在するという考えは15年以上前から理論として提唱されてきたが、直接観測で裏付けられたのは今回が初めてだった。

惑星か褐色矮星か グリーゼ504 bの謎はまだ解けていない

 グリーゼ504 bは惑星なのか?褐色矮星なのか?

 今回の観測で、グリーゼ504 bの大気には、水素やヘリウムより重い元素、天文学では「金属」と総称されるものが異常に多く含まれている可能性が高まった。だがそれだけではこの天体の正体はわからない。

 天体の分類は質量が目安にされる。

 木星の質量の13倍以下なら惑星、13倍を超えると褐色矮星に分類されることが多い。

 また、褐色矮星は自力で輝き続けることができない。

 グリーゼ504 bの質量は観測のたびに推定値が変わり、木星の1倍から17倍という大きな幅があるため、13倍という基準をまたいでしまい、惑星とも褐色矮星とも断定できない状況が続いている。

 また、グリーゼ504 bがどのようにして生まれたのかもわかっていない。

 この天体は主星から地球と太陽の距離の約44倍も離れた場所を公転している。

 岩石や氷が衝突を繰り返して天体が生まれる一般的なメカニズムでは、これほど主星から離れた場所での形成は説明できない。

 グリーゼ504 bがどのようにして生まれたのか、何者なのかは未だ謎に包まれている。

 それでも、ピンク色の天体、グリーゼ504 bの大気成分や塩の雲の存在が確認できたことは、素晴らしい進歩だ。

 この新たな観測手法によりこれまでの宇宙の仮説が次々と覆る可能性もあるかもしれない。

まとめ

この研究でわかったこと

  • グリーゼ504 bの大気に塩の雲が存在することが、史上初めて直接観測で確認された
  • 水蒸気・メタン・二酸化炭素・アンモニアなど豊富な化学物質が大気に含まれていることがわかった
  • 大気に水素やヘリウムより重い元素(天文学では「金属」と呼ぶ)が異常に多く含まれている可能性が高まった

まだわかっていないこと

  • グリーゼ504 bが惑星なのか褐色矮星なのか、まだ断定できていない
  • 主星からとても遠い場所を公転しており、どのようにして生まれたのかが説明できていない
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