この画像を大きなサイズで見る森のキノコはあなたの立ちションに気づき、地下を通して仲間と噂話をしているかもしれない。
キノコの本体は地下に張り巡らされた「菌糸体」という巨大ネットワークで、互いにコミュニケーションをとっているからだ。
東北大学の深澤遊准教授らの研究グループは、野外のキノコに電極を設置し、尿などの刺激が電気的情報の波としてネットワーク全体へ伝播する様子を世界で初めて捉えた。
この研究成果は『Scientific Reports』(2026年3月6日付)に掲載された。
参考文献:
- 外生菌根菌の菌糸ネットワークによる情報伝達を確認 ―森のキノコはあなたの立ちションに気づき、ウワサしている!?
- Pee changes how some mushrooms ‘talk’
キノコの本体は地下に広がる巨大な菌糸ネットワーク
私たちが「キノコ」と呼んでいる傘や柄など地上に出ている部分は、胞子を飛ばして仲間を増やすための生殖器官にすぎない。
キノコの本体は土の上に見えている部分ではなく、実は地下に網目状に張り巡らされた菌糸体という巨大なネットワークだ。
菌糸体は、人間の髪の毛よりもはるかに細い菌糸という糸状の細胞が無数に集まってできており、場合によっては数十km以上にわたって地中に広がることもある。
菌根菌(きんこんきん)はこうした菌糸ネットワークを持つ菌類の一種で、植物の根の外側に菌糸を張り巡らせて共生する。
土の中から水や栄養を集めて植物に届け、かわりに植物が光合成でつくった糖をもらう、持ちつ持たれつの関係を樹木と結んでいる。
森の地下では、菌根菌の菌糸ネットワークが木々の根をつなぎ、森林全体の生態系を支えているのだ。
菌糸ネットワークが菌類同士の情報伝達に使われているのではないかという考えは、以前から研究者の間で注目されてきた。しかし野外の自然環境でそれを科学的に実証したデータはほとんど存在しなかった。
この画像を大きなサイズで見る東北大学が野外で世界初の電気信号による情報伝達を検出
この謎に挑んだのが、東北大学大学院農学研究科の深澤遊准教授の研究グループだ。
研究グループは宮城県北西部に位置する加美町の森へ向かい、3日間にわたる野外実験を行った。
実験の対象に選んだのはワカフサタケ属(Hebeloma)という菌根菌のキノコだ。
ワカフサタケ属は樹木の根の外側に菌糸を張り巡らせて共生する外生菌根菌の一種で、アンモニアを好む性質を持つ。
動物の死骸や排泄物の周辺など、アンモニア濃度の高い場所にキノコを生やすことが多いため、アンモニア菌とも呼ばれている。
研究グループはこのワカフサタケ属のキノコ37本に電極を取り付け、電気信号を記録できる状態にした。
次に一部のキノコの根元に水道水を少量まき、別の機会には尿をまいた。
なぜ尿なのかというと、尿に含まれる尿素が分解されるとアンモニアになり、アンモニアを好むワカフサタケ属のキノコを刺激できると考えたからだ。
なお論文には「尿は著者のひとりから採取した」と明記されている。
3日間にわたって刺激を与えながら電気信号を測定し続けた結果、キノコ同士が電気信号を使って情報をやり取りしている様子を、世界で初めて野外で検出することに成功した。
この画像を大きなサイズで見る水や尿の刺激でキノコの電気信号はどう変わったのか
実験で得られた結果は興味深いものだった。
1本のキノコの根元に水を与えると、離れた場所にある他のキノコも含めた37本全体の電気的な通信が活性化された。
ところが全てのキノコの根元に一斉に水を与えると、逆に通信量が減少したのだ。
なぜこのような違いが生まれるのか。
深澤准教授はこう説明している。
「全てのキノコに水を与えた場合、ネットワーク全体がすでに何が起きているかを把握しているため、情報をわざわざ共有する必要がなくなる。それが通信量の減少につながったのかもしれない」
研究グループはこの現象を次のように例えている。
土砂降りの雨の中で「今日は雨だね」と声をかけるようなもので、周囲の全員がすでに雨に濡れているなら、あえてそれを伝える意味はない。
しかし自分だけが水をかけられたなら、それは周囲に知らせる価値のある情報になる。菌糸ネットワークは、情報の必要性を判断しながら通信量を柔軟に調整していると考えられる。
この画像を大きなサイズで見るキノコは情報を仕分けて噂話を共有していた
では、タイトルにある「立ちション」はどうなのか。尿を与えた実験では、菌糸ネットワークに目立った通信の活性化は見られなかった。
理由として研究グループが挙げているのは実験期間の短さだ。
尿に含まれる尿素が土壌中の細菌によって分解されアンモニアになるまでには、気温が20度以下の環境では約5日かかる。
今回の実験は3日間しか行われておらず、しかも実験時の気温はかなり低かった。
つまり実験中にアンモニアが十分に生成されなかった可能性が高く、キノコが尿の存在に気づくまでには至らなかったと考えられる。
言い換えれば、森の中で立ちションをしてもキノコのネットワークがそれを察知して噂話を始めるまでには、少なくとも5日間のタイムラグがある可能性がある。
その場を立ち去ってしまえば、キノコたちが噂し始めるころにはもうあなたはいない。
深澤准教授は「キノコがなぜそのようなコミュニケーションをとるのか、考えると本当に興味深い」とコメントしている。
今回の研究は野外における菌類の情報伝達を初めて科学的に示したものであり、森林における菌類の生態学的な役割の解明や森林管理への応用につながることが期待されている。
尿が菌糸ネットワークに与える影響を完全に理解するためには、より長期間にわたる研究が必要だと研究グループは述べている。
References: Tohoku.ac.jp / Are Gossiping Mushrooms Sharing Your Public Urination Secrets? / Nature
















じゃあ露出部分が息子スティックみたいな形してるのってきのこにとっては本当に息子スティックだからだったってこと…?
実際に出てくるのは胞子だから
息子スティックというより娘息子スティックかも
似た形になるのは収束進化ってやつなのさ
>胞子を飛ばして仲間を増やすための生殖器官
ってモロだよなw
気温が問題なら季節はいつだ? と思って元の文を見たけどわかりませんでした。 実験中のキノコに電極を刺してるのってなかなか面白い写真です。 この伝わる範囲がどれくらい遠くまで伝わるのかとかその伝送速度も今後の研究に期待ですね
図を見ると違う種類のキノコ同士でもやり取りするんだな
というか赤い点同士はほぼやり取りしてないように見える
それに遠いキノコ同士の方がむしろ連絡が密のようだ
地下でどういうふうにつながってるんだろう
🍄「ぷっ!小っさ」
尿を提供してくれた人間の健康状態(薬品摂取状況とか)はどうだったんだろう?
鹿、熊、タヌキ等、他の動物の尿でも試して欲しいwktk
某ディズニー映画で、死者の記憶を集めている樹木が登場したが、キノコは森の菌糸のネットワークで、何らかの歴史的記憶を保持しているかも知れない訳ですね。
森の土の3〜4割は菌糸で占められていて樹木同士の情報伝達を仲介しているという研究もあるので、少なくとも菌糸のネットワークは存在しているようです
記憶に関しては研究を見たことが無いのでわかりません
不滅のフシみたいだ
全員ちゃんと連絡網通ってるかな。菌糸間で情報の格差とかあったらおもしろかわいそう。
キノコの(地上部の)寿命は短いから、尿が分解されるまで保たなかったのかも
次のシーズンはアンモニアを使ってリベンジかな
なぜ尿にした?
アンモニアそのものでよかったのでは?
自然環境で得られるのにより近い条件は、
精製済みのアンモニアより、動物の排泄物だからでは?
マジレスで悪いがまずそんなものに言語理解能力なんてないので単なる喜怒哀楽程度の感情が共有されるのがやっと
「あ、こいつ糖尿だ…」も分かるのかな?w
使い方次第では、微生物や菌類を使った疾病診断に応用の道が開けるかも
菌糸センサー 「あんたガンですよ」
立ちション男 「ガーン!」
・・ なんて日が来るかもね。
この前、森に張り巡らされた菌糸ネットワークを利用して細菌が森の中を物理的に移動してるという記事を読んだので納得です。
アリに寄生してその体内で成長しながらゾンビ化させて操り、最後は仲間のアリも同じ苗床にして生息域を拡大するタイワンアリタケという恐るべき寄生キノコが有名だよ
>ゾンビ化
アリの脳(中枢神経)と同じような回路を菌糸で構築して乗っ取るって説もあるんだよな。 実際、寄生されたアリの行動は同じ(葉の裏の葉脈に噛みついて死ぬ)なので、そうさせる何からの意思があるとしか思えない。
胞子を大量に放出して
空気中の水分にくっつき、自由に雨を降らせている
みたいな話は聞いた
貼り紙
「立ちション菌糸!」
立ちション菌糸
なんつて