メインコンテンツにスキップ

Googleでカラパイアを「お気に入りサイト登録」

2000年前のカルタゴの硬貨が時を超えて旅し、イギリスのバス運賃として使用されていた

記事の本文にスキップ

26件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Image credit:Leeds City Council
Advertisement

 2000年前の古代カルタゴの硬貨が、イギリスのリーズでバスの運賃として使用されていたことが、リーズ博物館・美術館の調査によって明らかになった。

 この硬貨は、1950年代にバス会社の主任出納係だった男性が、売上金の中から現地の通貨として使用できず廃棄される予定のものを、孫のピーター・エドワーズさんへ譲ったものだ。

 ピーターさんが70年間保管した後に寄贈したこの青銅貨は、現在は同センターに収蔵されている。

参考文献:

バスの売上金から発見された2000年前のカルタゴ硬貨

1950年代、イギリス、ウエスト・ヨークシャー州にあるリーズ市で、日常の支払いに紛れ込んでいた古代の遺物が発見された。

 当時、リーズ市交通局の主任出納係を務めていたジェームズ・エドワーズさんは、バスや路面電車の運転手が回収した大量の硬貨を精査する業務を担当していた。

 ジェームズさんは日々の仕分け作業の中で、イギリスの法定通貨ではない硬貨を見つけ出し、銀行へ預けられない不適格なものとして取り除いていた。

 通常であればこれらは廃棄処分されるが、ジェームズさんは珍しい文様が刻まれた古い硬貨を、当時まだ子供だった孫のピーター・エドワーズさんへ記念品として譲り渡した。

この画像を大きなサイズで見る

ピーターさんの調査で判明した「地中海の覇者」の遺産

 ピーターさんは祖父から譲り受けた硬貨を、小さな木箱に入れて70年以上大切に保管し続けた。

 その後、ピーターさん自身がこの硬貨に刻まれた奇妙な碑文について熱心に調査を行った結果、これが紀元前1世紀に作られた古代カルタゴの青銅製の硬貨であることを突き止めた。

 カルタゴとは、現在のレバノン周辺を拠点に高度な造船技術と航海術で地中海を支配し、アルファベットの原型となる「フェニキア文字」を作った海上交易民族、フェニキア人が北アフリカに建設した強大な都市国家だ。

 彼らは現在のチュニジアを拠点に地中海最大の貿易拠点として繁栄し、ローマ帝国と世界の覇権をかけて3度にわたる「ポエニ戦争」を繰り広げた。名将ハンニバルを生んだ国としても知られている。

 ピーターさんが発見した硬貨の片面には、守護神メルカルトの顔が描かれていた。

 メルカルトは「都市の王」を意味する航海の神で、ギリシャ神話における最強の英雄ヘラクレスと同一視されている。

 硬貨には、ヘラクレスが最初の難行で退治した「ネメアーの獅子」の皮を兜のように被った姿が刻まれている。

 当時のカルタゴ人は、他国の商人との取引をスムーズにするため、あえてギリシャ風のデザインを硬貨に採用していたのだ。

この画像を大きなサイズで見る
ネメアーの獅子と戦うヘラクレス (ピーテル・パウル・ルーベンス絵)public domain / Wikimedia

戦場からイギリスへ渡った古代硬貨の旅と寄贈

 この硬貨がなぜ2000年の時を経てイギリスのバス運賃に使われたのか、その正確な経路は今も判明していない。

 ピーターさんは、第二次世界大戦に従軍した兵士たちが、派遣先の北アフリカや地中海沿岸から記念に持ち帰った硬貨が、戦後の混乱の中で市中に流通してしまったのではないかと推測している。

 当時の1ペニー硬貨とこの青銅貨が似たサイズであったため、乗客が誤って運賃として支払った可能性が高い。

 現在77歳になったピーターさんは、この歴史的に重要な資料を誰もが研究できるようにとリーズ博物館・美術館へ寄贈した。

 2000年前にスペインの港で鋳造され、時を超えてイギリスのバス停に現れたカルタゴの硬貨は、現在はリーズ・ディスカバリー・センターで厳重に収蔵されている。

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 26件

コメントを書く

  1. カルタゴ生まれのコイン、大先輩だ
    どんな旅をしてきたんだろうな

    • +22
  2. 客の中にタイムトラベラーが紛れ込んでいたんだな

    • +25
    1. 明治時代に発行された一円紙幣も使えるよ 額面通りの一円としてだけど
      まあ古銭屋で売った方が価値が高い

      • +12
    2. 野口くん辺りで「ニセ札だあっ!」って騒ぐコンビニ店員(風評被害)もいるわけで

      • +5
      1. こないだ漱石でマジでやられた、最近の若いのはネットも見ないのよね・・・

        • +2
  3. 古代ローマと日本のお風呂はつながることがあるらしいから、
    古代カルタゴとイギリスがつながってもおかしくないと思う。

    • +30
  4. 北海道の礼文島の山道で
    大正時代のコインを拾いました。

    • +13
  5. ほへー…壮大過ぎるロマンだなぁ…この硬貨は2000年の間どんな人の手に渡り、どんなものを見聞きしてきたのだろう

    • +16
    1. そのうち30年くらいは誰も気づかずに1ペニーだと思われて自販機をぐるぐるまわっていたりして

      • +7
  6. 他のヨーロッパとか、国境が近いとどっかの国のだろうぐらいにゆるいのかも。パリのメトロのトークンとかもなんかよくわかんなく使ってたし

    • +4
  7. 和同開珎でバス料金を支払うような感じだから明らかに無賃乗車、ロマンや夢はあるかもしれないけど違法行為は違法行為だからね。

    • -4
  8. 日本も昭和までは寛永通宝使えたらしいし・・・

    • +7
    1.  ありがとう勉強になりました。 ネットで検索したらいくつかの情報で昭和 28 年 12 月( 70 年くらい前)まで補助通貨として使えていたとのこと。 最初は「うそだろ、ホントか~?」と思ったけど検索してみてビックリです。  イギリスの法律では当時もダメだったのかな。 ちなみに今回の記事のコインがしまわれていた期間が 70 年以上とコインの歴史の 2000 年の中では一部だけど、寛永通宝もなかなか古いですね。 もっとも古いと 390 年くらい前、最後の鋳造からだと 160 年くらい前まで発行していたみたい。 今回の記事とコメントからいろいろ勉強になりました

      • +5
  9. 流通させて使うよりメダル王の所に持って行った方が
    良い物と交換してくれるのに、、、
    おすすめは「とてもいえないもの」との交換だ。

    • +2
  10. いかにバス支払いにまぎれたか…ポケットに入れとくお守りコインなどを客も車掌も気づかぬままに受け渡しされたのか、意識しての使用に車掌が気付かなかったのか、車掌が正規のコインを受け取ったあとに交換しちゃったか、支払いとは別にジョークで追加しておいたのか、当時混在して使われていた古い(見慣れぬ)同額硬貨だと思ったか…当時の支払いと発券は手から手でしょうからどんな物語があったのか想像尽きないですね
    ギブソンのチケットマシンを使う動画など見てきましたが当時の支払いと発券の様子にちょっとわくわくしました

    • +4
  11. >ネメアーの獅子と戦うヘラクレス
    日本なら、さしずめ「熊と相撲をとる金太郎」か、と思ったら「フフw」ってなったw

    • +4
  12. 日本の自動販売機
    500円硬貨が使えなくなったのは
    韓国の硬貨が流通してしまうから。
    センサー改修してもまたやられる。

    • +3
  13. 50年前かごしまの観光地
    城山の土産物屋でお釣りを
    100円札でくれるお店がありました。

    • 評価
  14. 小さい頃に見知らぬコインを拾い、外国のお金かな〜とワクワクして大事にしてたんだけど、後になって近所のゲーセンのメダルであると知りました。
    コインってなぜか金銭価値以上のロマンを感じる不思議。

    • +4
  15. コンビニバイト時代にたまに100円札やオリンピック記念コインを受け取ったな
    大事なものを間違って出していないかと確認するんだけど、どうでも良いって人が結構いて驚いた

    • +5
    1. 何度か店長に了承もらって両替させてもらったわ、今も実家に残ってる

      • +1
  16. 硬貨もすごいけど
    おじいちゃんから貰った物を70年大切に取っておいたのもすごい
    仲の良いおじいちゃんと孫だったんだろうな

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。