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ホールの「色」で音の聞こえ方が変わる。空間の色が音の知覚に与える影響が明らかに

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(著)

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Image by Istock zhudifeng
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 コンサートホールで聴く音楽の印象は、耳だけでなく目からの視覚情報によっても変化する。

 ドイツのベルリン工科大学が行った最新のバーチャルリアリティ(VR)実験によると、ホールの色が聞き手の音の捉え方を左右することがわかった。

 明るい色の空間では音が温かく感じられる一方で、青や緑などの冷たい色では音も冷たく聞こえるという。

 この結果は、人間の視覚と聴覚が互いに影響し合っていることを示している。

 この査読済みの研究成果は『The Journal of the Acoustical Society of America』誌(2026年2月24日付)に掲載された。

五感を刺激する音楽体験の謎

 ライブミュージックは耳で楽しむものだが、実際には聴覚以外の感覚も刺激されている。

 照明や視覚効果がコンサートの体験を高めることは知られていたが、それらが音そのものの印象にまで影響を与えるのかは、これまで科学的にはっきりしていなかった。

 そこでベルリン工科大学のシュテファン・ヴァインツィール教授らの研究チームは、ホールの色が聞き手の音の捉え方にどのような影響を与えるのかを詳しく調べることにした。

 室内音響(部屋の形や材質による音の響き)の知覚は多次元的であり、聞き手はホールを単に「響きが良いか」「音が大きいか」だけで判断しているのではないという。

 音が温かく聞こえたり、逆に明るく、あるいは金属的に聞こえたりといった「音の質感」の違いをどう感じ取っているのか、その実態を調査した。

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Image by Istock Onradio

VR空間で12種類の色のホールを再現し聞こえ方をチェック

 研究チームは、ホールの色が音の知覚に与える影響をテストするための実験を行った。

 本来であれば、壁の色や椅子の布地を実際に変えた複数のホールを用意するのが理想だが、現実的には困難である。そこで活用されたのがVR技術だ。

 参加者はVRヘッドセットを装着し、赤、緑、青の3色を基調としたバーチャルなコンサートホールを体験した。

 それぞれの色は色相や明るさ(明度)、鮮やかさ(彩度)が細かく調整され、合計12種類の異なる色彩環境が用意された。

 体験をよりリアルにするため、ヘッドフォンには、聞き手が頭を動かす動作に合わせて音の方向や響きがリアルタイムで変化する「バイノーラル技術」が使用された。

 参加者は、バイオリンとクラリネットによるテンポや時代の異なる4つの演奏を聴き、それぞれの「好み」「音の強さ」「響き」「音の表情」を評価した。

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VRで作り出された様々な色のコンサートホール。Image credit: Drouzas et al.

視覚的な色が音の質感を左右する

 実験のデータを分析した結果、コンサートホールの視覚的なデザインと、聞き手が感じる音の表情の間には明確な相関関係があることが突き止められた。

 特に音楽の質感にまつわる要素は、視覚的な色から最も大きな影響を受けていた。

 赤やオレンジといった明るい暖色系の空間は、聞き手に「温かい音」を感じさせる効果を持っていた。

 対照的に、水色や緑のような寒色系の空間は、実際に流れている音までもがより冷たく感じられる傾向が確認された。

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Image by Istock Nagaiets

音楽経験が豊富なほど音と色の関係は顕著に表れる

 一方で、音の大きさそのものの感じ方に変化は見られなかった。

 また、参加者は明るいホールよりも「暗いホール」での演奏をより好む傾向にあることも判明した。

 こうした視覚による音への影響は、参加者自身の音楽経験が豊富であるほど、より顕著に現れることも示されている。

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Image by Istock Nagaiets

音響設計における視覚デザインの重要性

 今回の研究結果から、ヴァインツィール教授は今後のコンサートホール設計において視覚要素が不可欠であると指摘している。

 ホールの音響を良くするためには膨大な費用と労力が投じられるが、視覚的な外観が音の印象に与える貢献は見過ごされがちだからだ。

 教授は、建築家や音響技師に対し、ステージや客席の照明、さらには床や椅子の布地にいたるまで、空間のあらゆる要素を考慮すべきだと促している。

 ホールの見た目をどうデザインするかが、最終的に観客が聴く「音」そのものを形作ることになるからだ。

References: Eurekalert / Pubs.aip.org

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この記事へのコメント 18件

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  1. 嗅覚や触覚の影響なんかもきっとあるだろうね

    • +11
    1. 使われてる塗料の匂いって事?
      ありそうだなそれ!

      • +6
    2. 隣の人がナイショでおならして、聴いてる曲の印象に臭い匂いが刷り込まれたりとか。

      • -2
  2. 視覚が他の感覚を演出すると言う意味では「器が料理を引き立てる」ような感じかな

    • +19
  3. GLAYのWinter, againのMVが青いんだよとにかく
    それが底冷えする寒さって感じですごくいい

    • +7
  4. 昨日見た動画
    印象的な写真に軽く説明がついてるやつ
    動画内で流れてる音楽もすごく印象的で、音楽だけも聞きにいったんだけど、写真を見ながら聞くのとでは曲のイメージが全然違った

    動画は、レンズが見た、悲劇と人間の記録 ってやつ
    お暇な方いたらどうぞ

    • +5
  5. 普段クラシックばかりの会場でロックコンサートだと「なんかちがうんだよね」という感覚は以前からあった。

    • +3
  6. ベートベン「運命」が鳴り響く時、脳内は真っ赤に彩られる。

    • +1
  7. ひょっとして、昔レコードやCDで、「音だけ」で聞いていた作品を、
    同じ音源でもDVDや動画サイトで「画像付き」で聞くと、かなり印象が変わるのだろうか?

    • 評価
    1. それはもはや、色うんぬんのレベルではなくて、
      「ただの歌より、アニメOPのほうが爆発的にヒットしやすい」みたいな、“物語”や“映像の感動”が乗ってきてしまうと思う。

      「ソノシートが赤か青かで曲の印象も左右される」くらいが、この実験に近い程度の影響力じゃないだろうか?

      • +2
      1. なるほど、そういわれればそうですね。
        余談ですが昔、某アイドルのレコードを買っていたのですが、
        たまに色付きのレコードの時があったのを思い出しました。
        まあ回転するレコード見ながら聞いたりはしないので影響があったかは分からないのですが、
        条件を整えてきっちり聞き比べれば、この記事の内容と比較できるかもしれませんね。

        • +1
    2. 昔部屋で流していたクラシックは日常だけど、YouTube動画とかでコンサートの様子を見ながら聞くと高級感が増す気がする
      それにロックのMVとかは楽しくなるのが多いよ

      • 評価
  8. 古き縁より刷り込まれているイメージかも知れない。
    確かに、クラシックのコンサートは木目調で真紅のビロードの椅子がしっくりくるし、これが真っ白な壁や椅子だったらやっぱ聞こえかたは違うかも。

    • 評価
  9. 黒っぽい背景のイメージ画像もあるけど
    色がないとどうなるんだろう
    ピアノは黒いけど、色を塗ると変わるのかな?

    • 評価
  10. 入り口から全てまっ黒な パリ/オランピア劇場とか。。傾斜深いから3階席前でも舞台芯にのし掛かって見ている(見られている)感w。演者には強烈なプレッシャ+やりがい。とにかく黒かった。

    • +1
    1. なるほど重い感じになるのか
      納得
      しかし演者にプレッシャーとか罰ゲームのようなw

      • +1

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