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わずか3分で脳が整う。自然の中にいるだけでストレスが消える仕組みを神経科学が解明

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(著)

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Image by unsplash Casey Horner
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 自然の中で過ごすと脳がリセットされる仕組みを、カナダのマギル大学などの研究チームが解明した。

 fMRIなどを用いた脳画像解析データから、自然に触れるとわずか3分で不安を司る扁桃体の活動が抑制され、脳が休息モードへ切り替わることが判明した。

 デジタル疲れで散漫になった注意力は自然の力によって取り戻すことができるのだ。

 この査読済みの研究成果は『Neuroscience & Biobehavioral Reviews』誌(2026年2月10日付)に掲載された。

100件以上の研究から脳が自然に触れた時の反応を分析

 自然の中で過ごす時間は、単なる気晴らし以上の生理的な変化を脳にもたらす。

 カナダのマギル大学とチリのアドルフォ・イバニェス大学の研究チームは、神経科学や心理学の分野から、人間が「自然の刺激」と「都会の刺激」に触れた際の脳の反応を比較した100件以上の研究データを精査した。

 この大規模調査では、被験者が公園を歩いたり、反対に騒がしい市街地を歩いたりした際の脳活動の変化を網羅している。

 fMRI(磁気共鳴画像法)で脳の血流の変化を追い、脳波計でリラックス状態を調べるといった多くの手法により、脳がそれぞれの環境をどう処理しているのかを突き止めた。

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Image by Istock Elif Bayraktar

わずか3分間で脳の活動に変化、回復効果を確認

 解析の結果、自然環境に身を置くと、脳内の活動が「回復」と「リラックス」へと明確に切り替わることが証明された。

 この変化は驚くほど速く、わずか3分間自然の中にいるだけで、脳の活動に目に見える変化が現れ始める。

 滞在時間が長くなるほど、その効果はより強く、長く持続する。

 これは、数十年にわたる研究データを多角的に分析して突き止められた、科学的根拠のある脳のリセット現象である。

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Image by unsplash 

自然に触れると脳が回復する理由

 脳が自然に反応する過程には、連鎖的なパターンが存在する。

 感覚への刺激が和らぐと、体は戦うか逃げるかモードと呼ばれる興奮状態から脱し、心拍数が下がって呼吸が深くなる。

 このとき脳内では、不安や恐怖などの感情を司る扁桃体の活動が低下している。

 扁桃体は周囲の脅威を検知するセンターの役割を果たしており、都市部の喧騒や絶え間ない通知にさらされる現代人の脳では過剰に働きやすい。

 しかし、自然の中に身を置くとこの部分が沈静化し、脳全体がリラックスした状態に整えられる。

 また、自分自身の欠点や不安を何度も思い返してしまう反芻(はんすう)に関わる脳のネットワークも静まり、心の乱れが落ち着いていくという。

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Image by unsplash

脳は自然界の複雑な幾何学模様を好む

 なぜ脳は自然をこれほどまでに受け入れるのか。その鍵は、植物の葉の脈や波の形など、自然界に多く存在するフラクタルと呼ばれる複雑な幾何学模様にある。

 フラクタルは図形の一部を拡大しても全体と同じ形が現れる構造で、人間の脳は進化の過程で、この模様を最小限の労力で処理できるように適応してきた。

 視覚情報が密集した都市環境やスマートフォンの画面は、脳に高い処理負荷を強いる。

 これに対して、処理しやすいフラクタルに満ちた自然環境は、脳のタスク主導の注意力を休ませてくれる。

 無理に集中しようとしなくても、環境によって自然に注意が導かれる回復的注意モードに切り替わることが、最新の解析データからも裏付けられた。

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Image by Istock Zakir Umarov

自然に触れるの定義とは

 では、具体的にどのような行動が自然に触れることになるのだろうか。

 研究を率いたマール・エスタレラス博士によれば、自然との接触には手軽なものから本格的なものまで幅広い段階が含まれるという。

 最も効果が高いのは、森林や滝などへ出向いて全身で自然を感じる没入型の体験だ。

 こうした現実の自然環境に身を置いた場合、わずか3分間という短時間であっても、脳の活動には測定可能な変化が現れ始める。

 緑の多い公園を散歩したり、自然豊かな場所の水辺に座ったりするといった、直接的な体験も、脳のリセット効果を高めるという。

 さらに、外に出向かず、自宅で観葉植物を育てたり、自然の映像や画像を見たりといった日常の小さな工夫であっても、脳をリラックスさせる助けにはなるという。

 より自然とのかかわりが深く、滞在時間が長いほど、脳のリセット効果は確実で強力なものになるが、それがかなわない場合は、日常の小さな工夫でも効果は得られるのだ。 

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Image by unsplash

都市設計や医療現場にも広がる自然とのつながり

 今回の研究成果は、スマートフォンなどのスクリーンタイムの増加に悩む現代社会において、重要な意味を持つ。

 自然による脳のリセットは、デジタルデトックスだけでは得られない、能動的な回復効果をもたらすからだ。

 この発見は、街の中に公園を増やすといった計画や、医師が薬を出す代わりに「自然の中を歩くこと」を患者にすすめる治療の動きを後押ししている。

 また、自然とのつながりを強く感じる人ほど、環境を守る行動をとる傾向があることも分かった。

 自分自身を大切にすることと、自然を大切にすることは密接に関わっており、その両立が社会全体の幸せにもつながるのである。

References: Nature Exposure Triggers Brain Reset / Sciencedirect

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この記事へのコメント 27件

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  1. 介護施設で昼食後にTVスクリーン一杯に自然界の情景が写し出されているね❗担当者は知っているか知らんけど😃

    • +11
  2. 「ランダム」「アナログ」「グラデーション」がキーワードかと

    結局人間も生物の一種なのだから、幾何学的・機械的な人工物に囲まれた環境とはどこかでギャップを抱える事になるのだろうね

    • +11
  3. 大昔の人類は大自然の中で、現人類より穏やかな精神で暮らしていたのかな。
    不便で穏やかだけど短い人生と、便利でストレスフルで長い人生と、どっちがヒトらしい生き方なんだろう?
    でも、たった3分で効果があるなんて、自然は偉大だな……

    • +16
  4. 広陵とした北極圏や砂漠地帯で育った人でも緑豊かな自然環境は癒しになるんだろうか。もしそうならこれはアフリカの森にいた頃培った本能なのかな。

    • +9
  5. ひねくれたこと言うけど、虫が怖くて森に入るのがストレスの場合はどうなるんだろ
    カナダの研究だから針葉樹林や公園でやったんだろうし、アジアの森でも検証してほしい

    • +11
  6. ガチ自然の中にいたときは死が近い恐怖しか感じなかったので
    安全に管理された自然じゃない自然がいいな

    • +18
  7. 絵に描いた餅

    自然がある場所に行くためには3時間かかる人もいる
    少なくとも30分以上の距離がある人が大半だろう
    3分間のためにその時間は使えない

    • -23
    1. 頑張って時間作ってデトックスしてきなよ
      余裕無いのか分からないけど、タイトル反射で記事読めてないでしょ?
      それに記事には観葉植物でも多少は効くと書いてあるよ

      • +15
      1. 余裕無いのか分からないけどとか嫌味なことを書く人は
        本人が余裕無いことに気づかないとダメだな

        • -5
    2. 週末の日帰り旅行でいいだろ

      • +5
  8. みのもんたが思いっきりテレビで同じ事
    言ってたけど本当の情報もあったんだな

    • +5
  9. 自然の場所ってーと
    ライオンとかトラがわんさかなサバンナでもストレスが軽減されるのだろーか?

    • +2
  10. とは言っても花粉症が辛くてな….

    • +12
  11. 人里から少し入った所くらいなら平気だけど、ある程度深いところ踏み入るとイノシシとかが怖くて逆に緊張しちゃう…

    • +10
  12. これからはサウナより森林浴の時代だね

    • +5
  13. 私は割と自然が多い所に住んでいるんだけど、何となく疲れてきたなって感じたら、少し窓を開けて山並みや空飛ぶ鳥たちや風に流れる雲を眺めたり、しんしんと降り積もる雪を見たりする。夜は部屋を暗くして月光を浴びたりもする。それだけでも、ザワザワしていた脳みそや心が落ち着くように思う。随分と暖かくなってきた。もうじき桜の季節だから、自然の中に行ってみようと思う。

    • +11
  14. 日本だと熊が出るかも知れないからストレスしかないぞ

    • 評価
  15. 心が健康だったら、その通りだと思う

    でも「うつにお勧め」と読むたびに期待して試して、悪化する繰り返しだった
    もちろん効く人も、いると思うけど

    • 評価
  16. 田舎の民なのだが、自然に触れると恐怖を感じるぞ…

    主に熊。

    • +4
  17. 安全に自然を感じられる環境がリラックスできるかどうかの肝だよね。
    特にわたし含め田舎育ちは自然に対して畏敬の念がある人もいるしね。

    • +3
  18. 最近の戸建て住宅って庭先や駐車場管理の為にコンクリで固めてしまう所が多くなって
    更に身近な緑が少なくなって寂しい
    これからの季節だと沈丁花や夏の梔子や秋の金木犀の香が漂う街中歩くのも素敵だよね

    • +6
    1. うちの方も郊外なのに、一軒家の跡地に二軒建って怖いよ
      小ぶりの一軒家なんだよ?
      庭どころか窓開けたら隣の家に余裕で触れるような密集具合

      • 評価
  19. ごちゃ混ぜにしてる人がいるけど、自然の中で脳がリラックスするのは一つの事実であって
    獣が出るとか迷いそうで怖いとかはそれはまた別の反応として考えた方がいいと思う

    個人的には日陰ができる木一本からでも何かをもらっているような気がするよ
    少し気分が良くなる

    • +7
  20. 新宿御苑とか明治神宮、代々木公園など近所にあるので、よく散歩してるよ。これくらいでも充分リラックスできていると感じるよ。

    • +2
  21. 整いました!👐

    • 評価
  22. そこらの雑草見るだけでも違うもんな
    オフィスとかは疲れるよ

    • +4
  23. メノウが良いね
    アゲートを買えばいい
    あれは素晴らしい

    • 評価

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