この画像を大きなサイズで見る木々が地球を守るヒーローであることは誰もが知っている。木々は大気中の二酸化炭素を吸収し、私たちが呼吸する酸素を放出し、気候変動の抑制に貢献している。
だがそれだけではなかった。 オーストラリアで行われた最新の研究により、木の表面にある樹皮に住む数兆もの微生物が、さらには水素までも吸収・除去して空気を浄化していることが判明した
これまで単なる皮だと思われていた場所が、実は世界規模で大気を洗浄する巨大な装置として機能していたのだ。
樹皮に住む微生物が温室効果ガスを分解
これまで、樹皮は木を保護するだけの役割で、気候を調節するような生物学的な機能はほとんどないと考えられてきた。しかし、その認識はここ数年で劇的に変わりつつある。
2024年の研究では、樹皮に生息する微生物が大気中のメタンを吸収していることが報告された。
2026年に発表された今回の研究は、前回の知見をさらに深掘りし、微生物たちがメタンだけでなく、水素や一酸化炭素といったガス(気体)までも吸収・除去していることを突き止めた。
樹皮に住み着いた微生物たちが、地球規模の空気清浄機として機能していることが明らかになったのだ。
この画像を大きなサイズで見る驚くべき数の微生物が樹皮に潜んでいた
オーストラリア、サザンクロス大学とモナシュ大学の共同研究チームは、5年間にわたってオーストラリアに自生する8種類の一般的な樹木を調査した。
調査対象には、湿地に生えるフトモモ科の常緑樹、メラレウカ(Melaleuca)や、高地のユーカリなどが含まれている。
これらの木々を調べた結果、樹皮が微生物で溢れかえっていることが分かった。
研究チームの推計によると、わずか1平方mの樹皮には最大で6兆個の微生物細胞が存在しているという。
驚異的な密集度で、微生物たちは樹皮を埋め尽くしているのだ。
この画像を大きなサイズで見る微生物がメタンや水素を分解する遺伝子を発見
今回の研究が画期的なのは、メタゲノム解析という最新技術を使い、微生物がメタンや水素、一酸化炭素などのガスを分解する証拠を遺伝子レベルで掴んだ点だ。
この解析により、微生物たちがガスを分解するための専用の遺伝子を、いわば仕事の道具として持っていることが裏付けられた。
2024年の研究は現象の発見が主だったが、今回は微生物が実際にどのような道具を使って空気を浄化しているのか、その具体的な仕組みまでが明らかになった。
この画像を大きなサイズで見る水素を分解することで地球温暖化を15%抑える
微生物が空気中から水素を吸収・除去している事実は、気候変動対策において極めて重要だ。
水素はそれ自体が温室効果ガスではないが、大気中にある天然の分子で、メタンなどの汚染物質を分解する「ヒドロキシラジカル」を減らしてしまう性質がある。
水素はこの分子と非常に反応しやすいため、大気中に水素が残っていると、ヒドロキシラジカルが水素の処理に奪われ、メタンの分解が後回しにされてしまう。
だが、樹皮の微生物が水素を優先的に消費することで、ヒドロキシラジカルが温存され、メタンの分解がスムーズに進むようになる。
研究チームの計算によれば、人間が排出したメタンによる温暖化への影響を最大15%も相殺できるという。
ちなみに、水素を消費した微生物は副産物として水を出す。水蒸気も温室効果ガスの一種ではあるが、樹皮の微生物が排出する量は自然界の循環に比べれば極めて微量だ。
それよりも、温暖化を間接的に悪化させる水素を素早く取り除き、大気の自浄作用を守るメリットの方が、地球全体の気候にとっては圧倒的に大きいのである。
この画像を大きなサイズで見る樹皮圏という新たな視点
今回の研究は、樹皮圏(バーコスフィア:Barkosphere)と呼ばれる、樹木の樹皮に生息する微生物生態系の重要性を明確にしたものだ。
研究チームは、今後どの樹種が最も活発にメタンや水素、一酸化炭素を分解しているのかを解明したいと考えている。
この知見は、将来の再植林や森林保全の戦略を立てる上で欠かせないものになるだろう。
木を植えることは、二酸化炭素を吸収してもらうだけでなく、微生物による空気浄化の場を広げることにもつながるからだ。
この研究成果は『Science』誌(2026年1月8日付)に掲載された。
【追記】(2026/01/13)
水素に関する表現を「分解」から「吸収・除去」へ修正しました。あわせて、大気中のヒドロキシラジカルによるメタン分解の仕組みを補足しました。
References: Science / Theconversation
















『水素を分解』というのはなんか違和感があるなぁ。
「水素分子(ガス)を吸収/除去」の方が妥当な気が。
吸収・除去した水素がどこへ行くのかが気になるね
温暖化に寄与しにくい形へ処理されるんだろうか?
面白い研究だと思うのですが「水素を分解する」ってのが引っかかって頭に入りません。 化合物なら分解はわかるのですけど、水素は何かと化合させて例えば酸素と化合させれば水、炭素と化合させれば炭化水素みたいな感じで、水素をどう分解するのかがわからなくて…… で、原文を読むと remove を除去ではなく分解と訳している感じ? この remove については詳しくは読み取れなかったので、水素をメタン( CH4 )でない何かの化合物にしているのかもしれないなと。 メタンの温室効果は CO2 の 25 倍らしく、水蒸気だと CO2 の 3 倍くらいなので、水素を酸化させる→水(水蒸気)ならメタンよりはましなのかなみたいな想像はできました。 興味深い用語が散らばってるけどよくわかりませんでした……
アマゾン大森林が焼けたのを境に急に暑くなった気がするから体感的にも納得できる研究結果
地球って産業革命くらいから妙に暑いよな
随分と長生きしてますねwバンパイアかなんかですか?
昔は過ごしやすかったよね
黒死病は怖かったけど
水素を食べてなにを出すのかな?
水ならいいけど水蒸気だって温室効果があるからね
こういう吸収源があってもなお温暖化してるんだから大変
緑化は大事ってことですね
そう言えば木を伐ってメガソーラを設置するのが環境保護になると主張する人たちがいるなあ
これは夏とか電柱もブロック塀も凄いことになってるよ!
やっぱり研究って大事だね
神社とか、林の中が妙に涼しい理由は、これか?記事がなんか、微妙な感じはする。