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火星は考えられているより長く生命が住める環境だった可能性、地下水の痕跡を発見

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(著)

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Image by Istock
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 かつて火星の地表には、豊かな水が流れ、分厚い大気が空を覆っていた。これは数々の調査によって裏付けられた科学的な合意に基づくもので、生命を育むことができる「居住可能」な場所だったのだ。

 そこに悲劇が訪れた。約42億年前から37億年前、太陽から吹き荒れる太陽風が火星の大気を宇宙空間へと剥ぎ取り、川や海を消し去ってしまったのである。

 では「生命が住める環境」はどれくらい続いていたのだろう。これまで多くの科学者は、火星はかなり早い段階で死の世界になったと考えてきた。

 だが最新の研究結果によると、火星の地下には我々の想像をはるかに超える長い期間、水が脈々と存在し続けていた可能性があり、その証拠は、クレーターの内部に残された「古代の砂丘」に刻み込まれているという。

 この研究成果は『Journal of Geophysical Research – Planets』(2025年11月10日付)に発表された。

砂丘が岩石に変わるプロセスに隠された秘密

 アラブ首長国連邦にあるニューヨーク大学アブダビ校の研究チームは、火星の赤道付近にある巨大な「ゲール・クレーター」の内部に注目した。

 そこには「スティムソン層(Stimson formation)」と呼ばれる、風で運ばれた砂丘の堆積物から形成された古い地層がある。

 NASAの火星探査車「キュリオシティ」がこの場所を調査したデータは、本来なら風で形を変えるはずの砂丘が、そのままの形で硬い岩石(堆積岩)へと変化し、固定されていたことを示していた。

 乾燥しきった火星で、なぜ砂丘が石化し、岩に変わったのか?

 研究チームはこの謎を解くため、キュリオシティの膨大な観測データを解析した。その結果、この岩石化を引き起こした原因が、地表の水ではなく「地下水」であることが判明したのだ。

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地下水の影響で形成された地層“スティムソン層”を、火星探査車キュリオシティのカメラ(マストカム)で複数枚撮影してつなぎ合わせたモザイク画像 Image credit:MSL/NASA/JPL-Caltech

地球の砂漠と比較してわかった火星の地下水の働き

 この現象を理解する鍵は、火星の歴史にある。ゲール・クレーターは、約41億年前から37億年前の「ノアキス紀(Noachian Period)」に水が流れ込んでいた場所だ。

 ノアキス紀とは、火星の歴史の中で最も古く、大規模な洪水が起こるほど水が豊富だった「水の時代」のことである。

 かつて地表の水が干上がった後も、地下には水脈が残されていたようだ。

 近くの山から流れてきた地下水が砂丘の内部へと浸透し、砂粒同士を接着剤のように結びつけ、長い時間をかけて硬い岩へと変質させていったのである。

 このことは、地表が不毛の世界になったあとも、地下では「水による活動」が続いていたことを意味する。

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ノアキス紀の火星予想図 Image credit:Ittiz / commons.wikimedia CC BY-SA 3.0

 この結論を裏付けるため、研究チームはキュリオシティのデータを、アラブ首長国連邦(UAE)の砂漠にある岩石と比較した。

 UAEの砂漠でも、地下水の作用によって砂丘が岩石化した実例が確認されているからだ。

 両者を照合した結果、火星のスティムソン層は、地球の砂漠とまったく同じプロセスで形成されたことが判明した。

 さらに決定的な証拠も見つかった。岩石から「石膏」などの鉱物が検出されたのだ。

 石膏は、二水石膏(CaSO4)で構成される柔らかい硫酸塩鉱物であり、地球の砂漠でも見られるものだ。

 この鉱物は水が蒸発する過程で形成されるため、かつてそこに確実に水が存在し、砂と相互作用を起こしていたという動かぬ証拠となる。

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A:UAEの砂漠、B:火星の地表 Image credit: NYU Abu Dhabi

火星の岩の中に眠る「生命のタイムカプセル」

 この発見が意味することは、火星に生命が住める環境は考えられている以上に長かったということだ。

 地下水が存在した期間が長ければ長いほど、生命が生き延び、進化するチャンスも増えるからだ。

 そして、この岩石化した砂丘は、我々が探している生命を見つけるための宝の地図になるかもしれない。

 地球上の砂岩には、砂粒を固める役割を果たした微生物の痕跡がそのまま保存されていることがよくある。

 もし火星にかつて微生物のような生命がいたとすれば、この岩石の中に、その姿がタイムカプセルのように眠っている可能性が高い。

 次の火星探査ミッションでどこを掘るべきか?その答えはこの古代の砂丘にあるかもしれない。 

References: Nyuad.nyu.edu / Onlinelibrary.wiley.com

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この記事へのコメント 22件

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  1. そういえばカラパイアで「火星の水の痕跡」の話は何度も見たが、「海の痕跡」の話は見たことがないな
    岩塩とか見つかってないのか?
    海はあったのか、なかったとしたら生命が誕生するのか?

    • +3
    1.  「火星 塩」とか「火星 塩水」で検索すると海はあったらしいです。 岩塩は見つかってないようだけど析出した塩類はいろいろあるもようです

      • +6
  2. だからと言って人類が火星に行ける時代なんて1000年経っても来ないんだから意味ない
    そもそも生命なんて概念自体が地球だけのローカル概念の可能性が圧倒的に高いしな

    • -30
    1. 行くだけなら今の技術でも十分可能なんよ。

      • +16
    2. 意味があるかないかを決めるのはあなたではない。
      なんでそう上から目線でドヤれるのか。

      • +8
    3. まず「人類が火星に行ける時代なんて1000年経っても来ない」「生命なんて概念自体が地球だけのローカル概念の可能性が圧倒的に高い」だなどという根拠もロクに無いし、両方合わせて露悪的で虚無主義的なコメントですね

      • +9
    4. 動物をはじめ植物から細菌に至るまで地球には生命が多すぎるもんね
      どこかにはダイヤモンドで出来た惑星があるなんて話だけど
      それでいうと生命なんて地球の特産みたいなささいなもんに過ぎないのかもな

      • -1
  3. 火星に水分はあるだろうけど人間にとって利用し易い形や量であるかは懐疑的だなあ
    偏りはあっても総量としては大きく変化しない地球と違って火星の場合、大気圏外に水分が蒸発していってる訳だし

    • 評価
  4. 何かの拍子で地球から移動したクマムシが地下に移動して乾眠しつつ進化して筋肉モリモリの二足歩行になってると思う
    怖いよね

    • +3
  5. 火星が地球の未来だとすると本当に避ける方法があるのかと考えてしまう。
    まあ、宇宙に関する話はとてつもない時間軸の話なのに何故か気になる妄想が頭に浮かぶのも事実なんだよね。
    (これはSF小説の作家も同じ様な気持ちから創作しているのに違いない)

    • +4
    1. 科学的には地球の未来は金星になると予想されている。後10億年も経てば太陽は今より10%明るくなり、地球に届く熱が増えて海は蒸発し水蒸気による温室効果で金星より熱くなると見られている。

      • +4
  6. ハビタブルゾーンから微妙に外れているけど
    局所的に生命が生存可能な場所は在るだろうね。
    地球でも地下深くの酸素も陽光も無い地下深くや
    熱水噴き出す深海にもバクテリアクラスなら
    平気で存在して硫化水素をエネルギーにして
    小さな食物連鎖が出来ていたりするしねぇ。
    生きているうちに地球外生命体に出会いたいものだなぁ。

    • +4
  7. アメリカは知ってるくせにさ。人類の始まりの一部は火星から来たんだよ?だから重要な何かが火星にあるの、それを探してるんだよ。何だろうね?宝物とかそんなチンケな物じゃないと思うんだ。今後100年、1000年の繁栄に直結するような、他国との差を決定するような物があるんだろうな。逆に滅びを防ぐ他星への脱出方法とか?

    • -7
  8. 早く火星の有人探査がしたいなぁ
    俺達が生きてる間に実現してくれんかな

    • +4
  9. (´・ω・`)正直な話、みんなもこう思ってるんだろうけど、
    「生命がいたかどうか」だけは生きてるうちにハッキリして欲しい。
    いやマジな話さ心に中に棘が残ってる状態なんだよ
    チャンと調べてさ「いるかいないか」ぐらいハッキリしてくれ。

    • +1
  10. かって火星は地球と同じ環境だったのが
    温暖化のせいで現在の姿になってしまった。

    • -6
  11. 土星の輪の部分の氷を火星に一気に持っていったら体積増えてワンチャン戻る可能性ある?
    繋ぎ止めておけるほどの重力が無いから無理?

    • 評価

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