この画像を大きなサイズで見る映画『ターミネーター』では、鋼鉄の肉体を持つ人型ロボットが人間に抵抗する未来が描かれていた。そんなフィクションのような世界が、いよいよ現実に近づいている。
韓国の研究チームが、自重の約4000倍を持ち上げることができる「人工筋肉」を開発したのだ。
この筋肉は人間のように柔らかく、必要に応じて硬くなる性質を持つ。力強さとしなやかさを併せ持つこの筋肉が、ロボットの未来を変えようとしている。
この研究成果は『Advanced Functional Materials』(2025年9月7日付)に発表された。
人工筋肉の限界を超えた新素材
従来の人工筋肉は、柔らかくても力が弱い、または強いが硬すぎるという問題を抱えていた。
韓国、蔚山科学技術大学校のチョン・フンウィ教授率いる研究チームは、この「柔軟性と強度の両立」という長年の課題を克服する新素材を開発した。
二重構造が生み出す“しなやかな力”
研究チームが開発した人工筋肉は、「高性能磁気複合アクチュエータ(high-performance magnetic composite actuator)」と呼ばれる新しいタイプの素材でできている。
ゴムのように柔らかいが、必要なときには鉄のように硬くなる仕組みだ。
内部にはネオジム磁石の粒子が混じっており、磁力を使って外から筋肉の硬さをコントロールできる。
さらに、筋肉の内部では分子同士が二重につながっている。ひとつは強く固く結びつく“骨格”のような結合で、もうひとつは切れたりくっついたりできる“筋”のような結合だ。
この二重構造(デュアルクロスリンク構造」)のおかげで、重いものを支えるときは硬く、動くときは柔らかくなるという、人間の筋肉に近い動きが再現されている。
この画像を大きなサイズで見る(i)動作のイメージ図、(ii)磁場を加えてバーをつかむ様子、(iii)部分的な加熱で筋肉が収縮し、115gの重りを持ち上げたときの状態(収縮率39%)。(d) 両腕を使った動作実験。アクチュエータをあらかじめ220%まで伸ばし、77gの重りを持った状態で光加熱を行うと、52%の収縮が起こり、腕を引き寄せて重りを持ち上げる動きが再現された。 / Image credit:Hoon Eui Jeong et al., Advanced Functional Materials , Wiley-VCH GmbH
わずか1gで5kgを支えるパワー
この人工筋肉の重さはわずか1.13g。それで5kgの荷重を支えることができる。自重の約4400倍に相当する力だ。
さらに、収縮率(どれだけ伸び縮みするか)は86.4%に達し、人間の筋肉(約40%)の2倍以上となった。
また、「仕事密度(キロジュール:1立方メートルあたりのエネルギー量)」は1150kJ/m³で、人間の筋肉の約30倍にもなる。
ヒューマノイドロボットへの応用
この人工筋肉が実用化されれば、ヒューマノイドロボットの動きは劇的に変わるだろう。硬いモーターや油圧装置を使わず、人間のように柔らかく、しかし強力に動けるロボットが実現する可能性がある。
さらに、力を補助するウェアラブルスーツや医療用の義手・義足など、幅広い分野での応用も期待されている。
研究チームは、一軸引張試験という、素材を一方向に引っ張り、破断するまでの伸びと力を測定する試験方法でこの人工筋肉の強度を測定した。
その結果、この人工筋肉は長期間の使用にも耐え、繰り返し動かしても安定した性能を維持できることが確認された。
チョン教授は「この複合素材は、柔軟さと強度の両方を持ち合わせ、ソフトロボットや人と機械を直感的につなぐ新しい技術の扉を開く」と語っている。
この画像を大きなサイズで見るSFの世界が現実に?スカイネットの予兆
映画『ターミネーター』シリーズでは、未来の人工知能「スカイネット」が人類を脅威と見なし、自ら兵器を作り出す姿が描かれていた。
しかし続編の『ターミネーター2』では、同じターミネーターが人間の守護者として再登場する。
破壊と保護、この二面性こそが技術の持つ本質なのかもしれない。
もしAIがこの人工筋肉を手に入れれば、知能とパワーの両方を備えた存在が生まれる。
人間を支え、危険な作業や災害救助で活躍するかもしれない。だが一方で、制御を失えばスカイネットのように人類に牙をむく可能性もある。
鋼鉄の筋肉と電子の頭脳を持つヒューマノイドが歩き出すとき、その未来を希望にするのか、脅威に変えるのか。
その答えを決めるのはAIではない。技術を生み出し、使う人間自身の手に委ねられているのだ。
References: Onlinelibrary.wiley.com / Humanoid robots could lift 4,000 times their own weight thanks to breakthrough 'artificial muscle' / Soft to steel: Tiny robot muscle lifts 4,000 times its weight, defying limits
















いやまじか
工学的な人工筋肉はそろそろ実用と見てたけど分子工学的に構成するとは予想の遥か上
飛ばしのスポンサー募集要素が大きいけど、このカタログスペックに近い形で実用化されるのなら機械生命体が範疇に入ってくる
力ばかりではなく速度も気になります
応答の遅いものでは利便性が損なわれるでしょうから
門外漢の意見になりますが…
おそらく人体の構造を再現して、AIの処理速度を活かす形なら、高い瞬発力を兼ね備えたパワフルなロボが作れるのではないでしょうか。
外部の磁場が必要となると実用化設計が面倒そうねえ。
リアルターミネーターw
むしろこれを人間に移植して強力なサイボーグに…。
ものすごいぎっくり腰になりそうで怖いよ…
これだよこれ!というデバイスですね。 人間に移植したときにはある程度弱くしないと受けている人間の骨格のほうが壊れちゃう。 この人工筋肉を使って人間の外骨格(鎧のように外側につける)としてつければ、映画「アイアンマン」とかもっとゴツいものみたいな感じになるかな。 ところで人間の筋肉って自重の何倍くらいの力が出るんでしょうね。 調べても見つけられませんでした
この人工筋肉をフルに活かすために、骨をチタンに置き換えて外側はタングステンカーバイド、さらに内臓を守る形で耐衝撃性のある素材で保護。つまり、G-shockのフルメタルモデルを人型にするような感じにすれば、最強サイボーグになりそうですねぇ……!(SFファンタジー脳)
なんてこった
ATは、スコープドッグは韓国製になるのか
人工きんにくん💪「パワァーー!」
意味を全く理解していない
自重の4000倍で筋肉が切れないだけで自重の4000倍を持ち上げる人工筋肉ロボットではない
絶対にそのロボットは倒れる
何でロボット=二足歩行って部分だけ都合良くステレオ思考のままなんだよ
実際に4000倍のパワーが必要なら地面と固定するし骨組みの強度上げることによって重量増えるに決まってんだろ
ていうかそれ以前に靭性(破断荷重)と仕事(供給エネルギー)の違いも理解できてないのに記事と論文を批判できるわけないだろ
この人毎回しょーもないイチャモン付けては論破されて涙目逃走してるよね。
なんで懲りないんだろうか。
自分の考えが絶対正しいと固執して他人の反応や意見を見ないからだよ。
人工筋肉ロボットは日本が30年前につくった技術だが
特許が切れたな
産業用機械や自動車など、耐久力や重さのある環境でも
小型化に成功できるし、かなり興味あるぞ
引っ張って伸ばした状態で冷やして固めた架橋ゴムを加熱したら縮んだというだけじゃん。
電気刺激で伸びたり縮んだりするわけじゃないから人工筋肉にはならん。
攻殻機動隊で「めっちゃ力持ちのロボを作っても
土台が持たないよ」という説明をわかりやすくしてた。
IPSで魔改造された人間を作るほうが早いんじゃないか?
人間の感度4000倍はまだなのに!
>>その答えを決めるのはAIではない。技術を生み出し、使う人間自身の手に委ねられているのだ。
パルモ節が効くぜ…
どうすれば愚か者であることから遠ざかれるだろう?
やっぱり考え続ける事しかないのかな
筋肉は裏切らないけど 関節は裏切るんだぞ
ロボットが必要とするエネルギーやメンテナンスコストはあらゆる面で人間以上という現実
ロボットではなく、人間が着るタイプの「筋力強化スーツ」みたいに応用はできないのでしょうか?
もし応用可能なら、見た目もかっこよく大検剣を軽々振り回せる美少女剣士が実現できる。
「すいません、砂鉄を取ってくれませんか?」
「スプリガン」の御神苗みたい。
柔軟性と硬性の両方と、伸縮による筋力を兼ね備えた装備だものね。
ただ「4000倍」が最大値ならば、マージンと考えれば別に問題ないだろうと
常に最大値の力を出し続ける必要性がないし、そんなことをしたら当然耐久性の問題も出る
あと別に「ロボット」といっても人型である必要性はない
例えば日本はいまだにロボット分野で世界的に見てもトップを走っているけど、
そういう「ロボット」は一般人が期待するような形状でもなんでもなかったりするし、応用はいろいろ
また義手義足の小型化などにも応用できるので、技術的には夢しか詰まってない
日本も研究してたと思うけど、事実なら韓国に先を越されたか
日本の科学分野への投資の出し渋りは異常だからね・・・
まともな先進国でこんなことしてる国他にない(最近トランプ米国が似た感じになってきたけど)
重機に応用したら……と思ったけど主流の油圧制御は理論上持ち上げ重量の限界がないから(構造材の降伏はある)あんまり需要はないか。
やっぱり小型で高出力が求められる人間の補助器具やバネの代用に落ち着くのかしら。
こういう記事でSF的(フィクション寄り)なコメントするとマイナス評価がそこそこ付くね。
カラパイア民には反SF勢が一定数いるらしい。
マイナスつけたことはないけど、よくわからん作品の話はスルーしちゃうな
偏見だけども、特にロボものはトップダウン的な作りで、ロボ諸々普通じゃあり得ないものが活躍するというのが大前提で、そこから逆算的に設定が決まってるから、若干無茶というかファンタジー度が高い気がする
なんというか、SF的思索じゃなくて、ただ作品の話がしたいだけのように見える
同じSF的(フィクション寄り)なコメントでも攻殻の引用してる人のコメントは+評価多いんで、君の言ってることは的外れだね
単に-評価多い人のコメントが記事の本旨とは遠く離れた独りよがりな内容で面白くもないからでしょう
あれ?
タイトルには「人工筋肉ロボットが登場」ってなっているけど、ロボットに組み込むのはまだ先の話だよね?