この画像を大きなサイズで見る1844年、アイスランド沖で最後のオオウミガラスのつがいがハンターに狙われ命を落とした。彼らの身体は標本や剝製にされ、鳥類の収集家や博物館を転々とすることに。
2017年、研究者たちはベルギーでつがいの片割れ、オスの標本を確認した。だがその連れ合いであったメスの行方は杳(よう)として知れなかった。
そして2025年9月、アメリカのオハイオ州にある博物館の片隅で、ひっそりと眠っていたメスの標本が発見された。
博物館の誰もが、この標本が貴重なオオウミガラスの最後の一羽だったことに気がつかなかったという。
この研究結果は、2025年9月19日付の学術誌『Zoological Journal of the Linnean Society』で報告された。
ハンターに殺されたオオウミガラスの「最後のつがい」
ウミスズメ科に分類される「オオウミガラス(Pinguinus impennis)」は、北大西洋から北極圏近くの岩礁地帯に広く生息していた海鳥の一種である。
オオウミガラスは、8世紀ごろから食用として、あるいは羽毛や脂肪を採取するために人間に乱獲され、その個体数が激減していった。
この画像を大きなサイズで見る19世紀半ばには絶滅の危機に瀕し、最後の2羽のつがいが残されるのみとなった。だが、彼らの種としての終焉は唐突なものだった。
記録によれば、1844年6月にアイスランド南西沖の小島エルディ島を訪れた3人のアイスランド人ハンターが、卵を1つ抱えたつがいを発見。
飛べない鳥であるオオウミガラスは、ハンターたちから逃げることもできなかった。彼らは親鳥を難なく捕らえて絞殺し、卵を踏み潰したという。
死骸はレイキャビクの薬屋に売却されたあと皮を剥がれ、デンマークへ送られたとされている。
取り出された内臓は、ウイスキーの瓶に詰められてクジラの脂で封印され、標本として同じくデンマークに送られた。
この内臓の標本は、コペンハーゲンにある自然史博物館に収蔵され、今日まで保管されてきた。
だが、皮の方は剥製にされ、博物館や収集家の手を転々とするうちに、行方がわからなくなってしまったのだ。
下はデンマークのコペンハーゲン自然史博物館に収蔵されている4体の標本のうちの1体と、最後のつがいの内臓標本。
この画像を大きなサイズで見るバラバラになってしまった標本の行方
判明している数少ない記録によると、1845年にはコペンハーゲンの商人が、つがいの剥製標本を売却したという。
そのうち1体は、1847年にベルギー王立自然科学研究所が購入したとされている。もう1体はアメリカに送られ、ロサンゼルスの自然史博物館に収蔵されていると考えられてきた。
しかし確証はなく、特定する手段もなかったため、これらの標本は今まで顧みられることなく放置されて来た。
オオウミガラスの剥製標本は、現在世界に78体前後残っているという。この中のどれかが、「最後のつがい」であることは確かだったのだが…。
2017年、バンガー大学とコペンハーゲン大学の博士課程に在籍していたジェシカ・トーマスさんは、この最後のつがいの運命に興味をそそられた。
彼女は1万5,000年前のオオウミガラスの骨から、ミトコンドリアDNAを採取。人間による乱獲が始まる前は、彼らは個体数も多く、遺伝的にも多様な種であったことを示す証拠を発見していた。
私はすっかりこの鳥に夢中になりました。本当に魅力的な鳥で、素晴らしい物語を持っていたんです
彼女はコペンハーゲン自然博物館を訪れると、170年ぶりにウイズキーに浸けられていた臓器標本の瓶を開けた。
下の画像は特定に使われた内臓の部位。Aは食道で、向かって左がオス、右がメスのもの。Bは心臓で、上がメス、下がオスのもの。ジェシカさんが蓋を開たとき、「ウイスキーの良い香りがした」そうだ。
この画像を大きなサイズで見るDNAの照合で「最後のつがい」の剥製と臓器の同定に成功
彼女はDNAの比較に着手し、同博物館にあるオスの臓器と、ベルギーの王立自然科学研究所に所蔵されていた剥製標本が同じ個体のものであることを特定した。
しかし、これまで最後のつがいのメスのものだと思われていたロサンゼルスの標本も、他の博物館の標本も、コペンハーゲンのメスの臓器とは一致しなかった。
彼女はこの成果を発表した後、研究をまとめた論文で博士号を取得したが、さらにメスの行方を探す研究を続け、歴史的な記録や文献を丹念に調査した。
その結果、アメリカのオハイオ州にあるシンシナティ自然史科学博物館が所蔵している剥製標本が、このメスのものではないかと推測。
同博物館と協力して慎重に調査を進めた結果、この剥製と臓器のDNAが一致することを確認。「最後のメス」の剥製の行方がとうとう判明した瞬間だった。
なお、同博物館の学芸員ヘザー・ファリントン氏によると、スタッフの誰も、この標本が最後のメスのものだとは思ってもいなかったのだという。
この画像を大きなサイズで見る実は元祖「ペンギン」はこの鳥だった!
オオウミガラスは学名を「ピンギヌス・インペニス(Pinguinus impennis)」といい、チドリ目ウミスズメ科に属する大型の水鳥である。全長約80cm、体重約5kgにも達したという。
主に北大西洋から北極周辺の海域に生息しており、更新世の化石からは、かつて地中海にもいたことがわかっている。
この画像を大きなサイズで見るカラスと名は付くもののカラス科の鳥とは全く関係がない。白と黒のツートンカラーで、一見するとペンギンのようにも見えるが、クチバシや羽のつき方などを見ると違いがわかると思う。
実は学名に「ピンギヌス」とあるように、「ペンギン」という言葉は、もともとはこのオオウミガラスを指すものだった。
その語源にはいくつか説があって、有力なもののうちひとつは、ラテン語で「太った」を意味する「pinguis」から来ているとするもの。
もうひとつは、ウェールズ語やブルトン語で「白い頭」を意味する「ペングィン(Pen-gwyn)」からきたというものだ。
頭部にある白い斑点から、あるいは「ホワイトヘッド島」に生息していたからなど、こちらの由来にもいくつか議論があるようだ。
後世になって、南半球でこの鳥に似た鳥類が発見されると、人々は彼らを「南極ペンギン」と呼ぶようになった。
そしてオオウミガラスが絶滅した今、「ペンギン」と言うと、単に南半球に住むペンギンのことだけを指すようになったのだ。
絶滅の原因は人間による組織的な狩猟
オオウミガラスは、最盛期には数百万羽が生息していたと考えられているが、食料や羽毛をとるために人間によって狩り尽くされ、あっという間に激減した。
なだらかな海岸線の、人間が上陸しやすい島に集団繁殖する習性と、飛べない大きな身体は、人間にとって「狩りやすさ」に直結したのだ。
生息数が少なくなると、今度は貴重な標本として富裕層のコレクションの対象となり、さらに数を減らすことになる。
今回消息のわかった最後のつがいも、コレクターへの販売を目的に捕獲されたと記録にある。
絶滅が判明した後は、こういった標本はさらにその価値を高め、オークションでは高額で取引されるようになったという。
下の写真は、ドイツ・フランクフルトのゼンケンベルク博物館に収蔵されているオオウミガラスの標本。卵はレプリカであり、このような形でコレクションされていたのだろう。
この画像を大きなサイズで見るオオウミガラスの最後のつがいの行方は、これでようやく2体とも判明した。だがそれでこの鳥たちが生きて戻ってくるわけではない。
我々にできるのは、彼らの記録を未来へと正しく手渡し、この教訓を今を生きる種の具体的な保全へとつなげる責任をしっかり負うことではないだろうか。
追記(2025/10/20) 風を封印と訂正して再送します。
References: The Mystery of What Happened to the Last Female Great Auk Is Finally Solved / Academic.oup.com














なるほど。北半球にペンギンみたいな生き物がいない理由は絶滅してたからなのか。
これも収斂進化の一種という考え方でいいんだよな?
まず全DNA解析を
標本全てから可能な限り
いま復活できなくても、この先のために
人カスって言葉が頭に思い浮かんだ
氷カス
南極にしかペンギンがいないけど、北極付近には代わりのペンギンがいたんだね。
悲しくてやりきれない
いずれ、科学の進歩で復活させることもできるだろう。
こういう標本はその日のために最高の状態で保存していてもらいたい。
誤字報告
>クジラの脂で風をされ
封 ではないかと
>卵を踏み潰した
えっ なんで?
面白半分だろ
個体数を減らすことで
希少価値を高めるためだよ
美味しかったのか?
個体数が多い時は肉と羽毛目的。
レアになってからは博物館やコレクター貴族が高額で買い取るので、それ目的の乱獲。
人を恐れない性質(これは南極のペンギンも同じ)も絶滅に拍車をかけた。
いとも容易く行われる蛮行…って思ったけど19世紀ならこんなもんか…
ほんとに野蛮で利己的だな人間は
滅ぶべき存在は人
野蛮で利己的なのはホモサピエンスだけなのかもしれない
他の人類はすべてホモサピエンスに殺されたからね
他の人類はすべて殺された可能性も否定できないが、断定するのも難しいかもしれない。ホモサピが維持できる集団の大きさや繁殖力の高さによって、生存競争に負け、徐々に数を減らし結果として絶滅に追いやられた可能性もあるよ
シャチみたい
本来なら大量に生きており、探すのが大変な状態なら笑える話だったが
もう絶滅しておりその理由が人の手によるものとは悲しくて笑えん
これからもこのような絶滅はあるのだろうな。ふざけるなよ
北アメリカ大陸のリョコウバトも狩猟で絶命してるね。
今のハンターと大違いだな。密猟者と変わらん。
ハンターに打たれて・・・・誤
ハンターに撃たれて・・・・正
銃創で傷付けると価値が下がるがら棒で打ったのではないかな。
同属の亜種でさえ絶滅させたホモサピエンスだ。組織的に、利己的に、面白半分でこれからも無数に絶滅させ続けるんだろうな。
それを抑制する強い力がない限り。
オオウミガラスやリョコウバト、ステラーカイギュウ等の絶滅話は読むたびに涙を禁じ得ない。
人間とはなんと愚かで罪深いものか。
二ホンアシカも入れたって。
ドードーもだな
永久に地獄で苦しめばいいのに
絶滅系は所業がどいつもこいつも糞すぎる
殆どがコーカソイド様の所業だ
つ ニホンオオカミ、ニホンカワウソ
悲しい
ただただ悲しい
脂が多いから面白半分に火を付けられてた鳥かな
漫画で読んだことあるけど酷すぎて忘れられない
そんなことが…クソみたいだ
人間は良いところもたくさんあるが根元は蛮族みたいだ
ステラーカイギュウを思い出した
あれも白人が遊びで最後の個体を
けもフレやってる身からしたら、現実みたいなんが突きつけられて、なんかキツイ
卵潰すなよ