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冷凍動物園。再び蘇る日のために動物たちの細胞組織を低温保存する施設

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(著) (編集)

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 世界最大の冷凍動物園として知られるサンディエゴ動物園保全研究所にいるのは、どれも死んだ動物ばかりだ。

 絶滅危惧種もそうでない種ものも含め、1975年からさまざまな生き物の組織を集めては、その細胞を培養し、マイナス196度で冷凍保存している。

 そんなことをするのは、最先端の遺伝子技術や生殖技術を駆使して、いつの日か彼らを復活させるためだ。冷凍動物園ができた頃はまだ夢物語だったことが、技術の進歩によってかなり現実的な目標になっている。

絶滅を待つばかりのキタシロサイ

 ある種が絶滅すること、地球の生命史においては無数に起きてきた事象である。だが、人間の経済活動がかつてないほど増大した現代では、その速度が加速している。絶滅を防ぐためには、生息環境の保全や、場合によっては人間の直接介入などが必要となってくる。

 たとえば、2018年3月にキタシロサイののオスとしては最後の1頭だったスーダンが死んだ。今やこの種の生き残りは、その娘と孫にあたるメス2頭のみだ。このままならキタシロサイは近い将来確実に絶滅する。

 しかしサンディエゴ冷凍動物園では、保存しているキタシロサイの皮膚組織から幹細胞を作り、そこから卵子と精子を作成しようとしている。

 うまく行けば、この種にもう1度生き延びるチャンスを与えることができるかもしれない。

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絶滅に瀕しているキタシロサイのオスとしては最後の1頭であったスーダン / image credit:MichaelDalton-Smith / WIKI commons

冷凍動物園の成り立ち

 冷凍動物園設立当初からのメンバーであるオリバー・ライダー氏によれば、その始まりは1975年に遺伝学者、故カート・ベニルシュケ博士がやってきたことだという。

 細胞を冷凍して、その機能を維持したまま再び解凍する技術は当時まだかなり新しいものだった。それでも素晴らしい可能性に目をつけ、それを実際に試みる科学者もいた。だが、そのほとんどは人間の治療を目的としたものだった。

 だがベニルシュケ博士は、人間だけでなく、さまざまな種の染色体に関心があった。そして細胞バンクを作れば、その当時には考えられなかったようなことが実現できるだろうという確信を抱いていた。

Inside a Frozen Zoo | Making Animal Babies | BBC Earth

はじめて冷凍保存されたのはホエジカ

 ライダー氏がはじめて冷凍保存した動物は、中国のホエジカ(インドキョン)だったそうだ。そのホエジカは骨折していたので、麻酔銃で捕まえて手術することになった。そのときに生検用の皮膚を入手できたのだ。

 ホエジカは中国だけでなく、インドにも生息する。両者は素人にはほとんど見分けられないほど似ている。

 だが不思議なことに、中国のホエジカには46の染色体があるのに対して、インドのものはメスが6つ、オスが7つと哺乳類で最小だ。

 当時、まだ染色体が融合してしまうことは知られていなかった。そのため、この染色体の数の違いは進化に関心を持つ研究者を大いに悩ませ、まさに”スキャンダル”だったという。

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ホエジカ photo by iStock

冷凍動物園の目標は培養したiPS細胞から精子と卵子をつくり出すこと

 冷凍動物園にキタシロサイの標本が最初にやってきたのは、1980年のこと。ある病理学者がオリバー氏に、珍しい動物の死体があるからぜひ持っていけと勧めたのだという。この標本はのちに、世界初のキタシロサイとミナミシロサイの遺伝的比較研究に使われた。

 だが現在のキタシロサイ復活プロジェクトは、長年にわたって回収されてきたキタシロサイの12の標本に基づくものだ。

 皮膚から採取した「繊維芽細胞」を培養し、そこからいわゆる「iPS細胞」をつくる。理論上、この細胞はその動物のどんな細胞にも変化する。どくどくと脈打つ心臓の細胞にもなるし、思考を巡らす神経細胞にもなる。

 冷凍動物園が目指すのは、ここから精子と卵子をつくり出すこと。

 これができれば、ミナミシロサイのメスに代理母になってもらうことで、現時点では絶望的なキタシロサイの赤ちゃんを誕生させることができる。

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ミナミシロサイの卵子。絶滅の危機に瀕したキタシロサイを救うために、冷凍動物園ではその皮膚細胞から卵子と精子をつくり、赤ちゃんを誕生させる計画が進められている(T.B. Hildebrandt et al. / Nature Communications 2018)

 サンディエゴ冷凍動物園には現在1,000種以上の動物の細胞組織が保存されているが自然界を見渡せばこれはほんの一部に過ぎない。絶滅危惧種は約26,500種以上いて、リストに載せられていない種はもっとたくさんいる。

 失われた遺伝子や絶滅寸前の種を復活させることは、神の領域だと言う人もいるかもしれない。だが人間の活動が種の絶滅を引き起こしてきた。

 種の生息地を取り返しのつかないほど変えてしまった。動物たちの行動を変えてしまった。交配させ、彼らの環境、捕食者、病気を変えてしまった。

 冷凍動物園に保存されたサンプルを使って多様性を促進することは、自然界を良い方向に変える可能性がある。

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冷凍動物園では、動物の精子や、皮膚などから培養された細胞がバイアルに入れられ、マイナス196度で冷凍保存されている(San Diego Zoo Global)

冷凍動物園のユニークなプロジェクト

 冷凍動物園は他にも、外部の機関と連携してさまざまな研究を進めている。

 たとえばブロード研究所と共同で行われる「200ママルズ・プロジェクト」では、人間とその他199種の哺乳類のDNAを比較する。あるいは「脊椎動物ゲノム・プロジェクト」では、現生の脊椎動物全6万6000種のゲノムの解析が試みられる。

 こうしたユニークな研究からは、動物集団の歴史や移住パターン、雑種であるかどうかなど、興味深い事実がたくさん明らかになるだろうとのことだ。

References:San Diego’s Frozen Zoo Offers Hope for Endangered Species Around the World | Science | Smithsonian Magazine / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 19件

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  1. 最も中なことは人類の数を大幅に減らして環境負荷を減らすこと
    それをしないと絶滅した動物を復活させても野生で生きていく場所がない

    • +4
    1. >>4
      今、実現されつつあるじゃない?
      ワクチンとマスクで酸化グラフェン接種して血栓作っている最中。

      • +1
  2. 映画とか漫画で冷凍して未来に託す系で成功したところ見たことないわ

    • 評価
  3. また、すぐそうやってマンモスを紛れ込ませるんだから…

    • +7
  4. 人間が動物を絶滅まで追い込んでるくせに
    動物の細胞を冷凍保存してまた復活させる?
    都合が良すぎる話ですね

    • -5
  5. どうせなら地球の外に保存しちゃえばどうよ

    • +1
    1. ※9
      実は地球は大きな保管庫だった・・・(パンスペルミア説)

      • +3
  6. エゴかもしれないが片っ端から保存しといて損はないと思うよ
    ジュラシックパークならぬ地球パーク、テラホーミングの初期に放り込みやすいゴキ以外の生物のカタログは多い方がいいし
    生命の再生産は移植用臓器の研究にもつながるし、ペットの腎臓移植が普通になったら長く一緒にいられるし

    後普通に失礼かも知れないがマンモスの肉食べてみたい

    • +8
  7. まあ世の中にはすんごいお金持ちもたくさんいることだし、そういう人がこういう役に立つかどうかわからないものに投資してくれるのはいいんじゃないの
    お金持ちが本気で金増やそうとしたら、より富は一極集中してしまう

    • +3
  8. そのうちなんらかの事情で管理者がいなくなって施設ごと破棄されそう

    • +1
  9. 保管場所はダンクーガノヴァの世界のアースクレイドルかな?

    • +1
  10. 愛知地球博?だっけ?その時もマンモスを現代に復活させるだあーだの言ってたけど結局どうなったよ

    • +1
  11. 人類は生物を絶滅させることもできれば、絶滅から救う事もできる。科学の発展というのは少し恐ろしい

    • 評価

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