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ペルーの山岳地帯で「雲の戦士」チャチャポヤス族の興味深い遺物が多数発見される

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(著)

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出土したチャチャポヤス族の石像頭部 / Image credit:INAAK
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 南米ペルーの雲霧に包まれた山奥で、「雲の戦士」として知られるチャチャポヤス族の儀式用遺物と、200を超える建造物が発見された。出土した遺物の一部は、今から約1,000年前のものと推定されている。

 断崖に築かれた都市や崖の墓で知られる彼らは、標高3,000m近い過酷な高地に独自の文明を築いていたが、その実態は長らく謎に包まれてきた。

 しかし今回、宗教的な儀式の場とみられる複合遺構や、象徴的な石製の頭部像などが出土し、チャチャポヤス族の信仰体系や他文明とのつながりを解き明かす手がかりとして注目されている。

山岳地帯に広がるチャチャポヤス族の儀式空間

 ペルー北部、アマソナス州ラ・ハルカ地区に位置する「オジャペ遺跡」で、チャチャポヤス族による大規模な建築群と儀式用の石製頭部像が発見された。

 この地域は雲霧林に覆われており、長年にわたって人の手が届かない状態が続いていたが、ペルーのアマソナス・トリビオ・ロドリゲス・デ・メンドーサ国立大学と、クエラップ考古人類学研究所の共同プロジェクトによって実施された。

 同大学はチャチャポヤス文化の中心地であるアマソナス州に本拠を置き、地域文化と環境の研究を進めている。

 現地ではライダー(LiDAR)技術とドローンを使った航空測量が行われ、その結果、急斜面に沿って広がる200以上の建造物が確認された。

 建物の多くは円形で、壁面には帯状の装飾やジグザグ模様が施されていた。これらは生活用ではなく、宗教的な目的で設計された儀式空間であったと考えられている。

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iDAR調査の結果、ペルーの雲霧林にこれまで隠されていたチャチャポヤスの構造が明らかになった/ Image credit:INAAK

守護の象徴か?石の頭部像クラバ・ヘッド

 今回の発見の中でも、とりわけ注目を集めたのが、2つの石製頭部像「クラバ・ヘッド」である。

 これらは防御壁の周囲に意図的に設置されており、装飾品ではなく、宗教的な意味合いを持つ儀式用の遺物だった可能性が高い。

 顔の表現は抽象的で、見る者に威厳と神秘性を感じさせる造形となっている。

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石製頭部像 クラバ・ヘッド/ Image credit:INAAK

 ただし、このクラバ・ヘッドがチャチャポヤスの人々、すなわち「雲の戦士たち」を直接表現したものではないとされている。

 何を象徴しているのかは不明だが、神聖な存在や霊的な守護者、あるいは儀式に用いられた特別な道具だったと推測されている。

 さらに注目されるのは、クラバ・ヘッドの意匠に、紀元前900年から紀元前200年ごろにアンデス高地で栄えたチャビン文化との共通点が見られることである。

 チャビン文化は、神格化された動物や幾何学的模様を取り入れた芸術で知られており、チャチャポヤス地域との時代的な隔たりを超えた文化的つながりがあるのかもしれないという点に研究者たちは注目している。

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「雲の戦士」として記録された謎多きチャチャポヤス族

 チャチャポヤス族は、西暦200年から1500年ごろにかけて、現在のペルー北部アマソナス地方の高地で栄えた先住民族である。

 標高2,500mから3,000mにおよぶ山岳地帯に適応し、石造建築による都市や埋葬施設を築いた。

 とりわけ有名なのが、山の尾根に築かれた巨大な要塞都市クエラップである。

 また、崖の中腹に棺を納める独特な埋葬法、いわゆる崖の墓もチャチャポヤス族の文化的特徴とされている。

 彼らが「雲の戦士たち」と呼ばれるようになったのは、スペイン人による記録に由来する。

 雲と霧に包まれた高地に住み、白い肌と長身、勇敢な戦いぶりを持つ民族として記されており、その印象深い姿がこの異名の由来となった。

 しかし16世紀にインカ帝国の支配を受け、その後のスペイン植民地化によって文化の多くが失われてしまった。

 残された歴史的情報は限られており、考古学的調査によってようやくその実像が明らかになりつつある。

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建造物の建築装飾の細部/ Image credit:INAAK

チャチャポヤス族の文明は広域に広がっていた可能性

 今回のオジャペ遺跡の発見によって、チャチャポヤス族の文明が要塞都市クエラップのみにとどまらず、広域にわたって展開していたことが明らかになった。

 特に儀式に特化した建築群の存在は、彼らが高度な宗教観と社会構造を持っていた証拠といえる。

 調査を進める研究チームは、今後さらに多くの建造物や遺物が発見される可能性があると考えており、チャチャポヤス族の精神文化や他文明との交流についても新たな知見が得られることを期待している。

 霧に包まれた高地で長らく眠っていたチャチャポヤスの痕跡は、最先端の技術によって現代にその姿を現し始めている。

 かつて「雲の戦士」と呼ばれた人々の文明は、霧の奥から少しずつその輪郭を見せ始めている。

 私たちはいま、その静かな目覚めに立ち会っているのかもしれない。

References: Heritagedaily / Facebook

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この記事へのコメント 19件

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  1. ナショジオの番組でアルバート・リンさんが調査してたな。片足が義足なのにジャングル断崖なんのそのなのがすごい。
    しかしあの番組はアテレコされてないから英語能力ゼロな私は字幕とにらめっこになる。

    • +11
  2. 中二心をくすぐるネーミングだな『雲の戦士』!

    • +7
  3. 知っています。乙女の祈りと涙があたると怒りの形相になって人を裁くのですね
    (移動は光の玉となって高速で移動して裁きが終わると虹のように分散して消えてしまうのです)

    • -4
  4. >見る者に威厳と神秘性を感じさせる造形となっている

    ……そ、そうだね!(なんかゆるくて可愛いなんて思ってない)

    • +26
  5. おそらく日本人にとって一番馴染みのあるチャチャポヤ文化は、インディージョーンズシリーズ第1作目の「レイダース/失われたアーク」冒頭の黄金像と罠だらけの遺跡だろう

    • +9
  6. 法隆寺の落書きと同じく防壁づくりに携わったプロの石工ではない労働者が余った石で適当に彫ったという感じがする。こんなふうに歯を剥き出して怒る現場監督がいたんだよ。

    • -4
  7. 小学校の時に同級生だった林君に似ている

    • 評価
  8. 画像見て、アエイオウ(NHKでやってた砂アニメ)を思い出した。

    • +1
  9. チャチャポヤス族の霊「俺が子供の頃に作ったやつが見つかっちゃった!」

    • +3
  10. 歯がむき出しで被り物してるから神様かな
    おでこが出ているのもサークレット?みたいだね
    (民俗学あるある:用途が分からない場合全部儀式用・神像)

    • 評価

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