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ラットは撫でられると人の手に懐く。愛情ホルモン「オキシトシン」が絆をつくる仕組みを解明

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(著) (編集)

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 人間の手で撫でられたり、くすぐられたラットは、本当に心地よさを感じていることが判明したそうだ。

 最初は戸惑っていたラットも、繰り返し触られることで、だんだんと人間の手に慣れて、次第に脳内で愛情ホルモン「オキシトシン」が分泌されるようになる。

 この岡山大学で行われた研究は、人間と動物との種を超えた絆や、アニマルセラピーの効果などに関係する脳内メカニズムを理解する重要な手がかりとなる。

この研究は『Current Biology』(2025年6月23日付)に掲載された。

動物は人間との触れ合いを本当に楽しんでいるのか?

 動物が好きな人なら、犬や猫とのじゃれあいは至福の瞬間だろう。お腹をさすられてうっとりする彼らの気持ちよさそうな顔を見れば、その日の疲れなんていっぺんに吹き飛んでしまう。

 では動物たちも、本当に人間との触れ合いを楽しんでくれているのだろうか?

 今回、岡山大学の研究チームが、「ハンドリング」と呼ばれる、人の手による、撫でたりくすぐったりする行動に対するラットの反応を調べたのは、そんな疑問に答えるためだ。

 同大学の林姫花特任助教は、「私たちが動物に感じる絆が本物なのか、それともただの幻想にすぎないのか知りたいと思っていました」と語っている。

飼い主の手の上のネズミ Photo by:iStockこの画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock

くすぐり続けると、どんどん喜びの声を出し懐くように

 若いラットは仲間とじゃれあい、喜びの鳴き声をあげることで知られている。

 その声は50 kHzの超音波で人間の耳には聞こえないものだが、彼らが心地よさを感じているときの声だと考えられている。

 そこで林氏らは、ラットのじゃれあいを真似したハンドリングを考案し、これを10日間繰り返し行いつつ、ラットの鳴き声を測定することにした。

 すると初日はほとんど声を上げなかったラットたちが、5日目になるとだんだんと超音波の鳴き声を上げるようになったのである。

 鳴き声は10日目まで増え続け、しかもラットは自ら人間の手に近づき、懐くような様子すら見せてくれた。

 これは、何度もくすぐられるうちにラットがそれに慣れて、少しずつ心地よさを感じるようになっていたことを示している。

 また実験期間後の行動にも変化が見られ、ラットはそれまで人間にくすぐってもらった部屋に長く滞在するようになったという。

 これもまた、ラットがくすぐりに心地よさを感じていたことを示すものだ。

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この浮世絵風絵は、オキシトシンが関与する視床下部の神経回路が、ラットとの遊びを通じて社会的な絆を促進するしくみを描いたものである。日本の伝統的な風景はオキシトシンのネットワークを象徴し、手の動きは人間とラットのふれあいを示している。
帆船は快感の信号が広がる様子を表し、赤い球体は神経経路を通って移動するオキシトシン分子を示している。橋にいる楽しげなラットたちは、ポジティブな触れ合いによってオキシトシン線維が発達する様子を表現している。「快」の文字は、感情と神経のつながりを強調し、赤い山に隠された「戯」の字が遊びの要素をさりげなく示している。 / Image credit:Professor Hirotaka Sakamoto of Okoyama University

脳内の愛情ホルモン「オキシトシン受容体」に変化

 この研究では、この時ラットの脳内で起きていることも突き止められている。

 明らかになったのは、人間に繰り返しくすぐられることで、ラットの「視床下部腹内側核腹外側部(VMHvl)」において、愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」の受容体が活性化することだ。

 ラットが自分を撫でてくれる人間の手に懐くのは、どうやらこの神経メカニズムが背後にあるようだ。

 その証拠にオキシトシン受容体の機能を停止させると、ラットが人間の手に示した愛着行動はあまり見られなくなった。

 また解剖学的な解析によって、くすぐりによる愛情ホルモンの増加は、「視索上核(SON)」という視床下部の一部位によって調節されている可能性が示されている。

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視床下部のオキシトシン系がラットとヒトの手の間の愛着形成を促進する / Image credit:岡山大学

人と動物の触れ合いに絆が生まれる

 この研究を主導した岡山大学の林助教は、「人間と動物が、言葉も文化も違うにもかかわらず、なぜ心を通わせられるのか。私たちは長年それを不思議に思ってきました」と語る。

 今回の発見により、人間とラットのように異なる種のあいだでも、心地よい触れ合いを通じて、愛情ホルモン回路が活性化し、絆が生まれる神経的なしくみがあることが証明された。

 これは、動物とのふれあいによるセラピーや、社会的なつながりの構築に困難を感じている人への支援方法にもつながる可能性がある。

References: DOI / Eurekalert / Prtimes

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この記事へのコメント 28件

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  1. 5chで捕まえたドブネズミ飼ってみたという人のスレを思い出した
    懐くと人間に構ってアピールしたり芸を覚えたりで普通にペットになっていた

    • +24
      1. ネズミに限らずどの生き物にだって病原菌はいる

        • +36
    1. うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい

      • -5
    2. ドブネズミを清潔な環境下でペットとして飼いならしたファンシーラットってのもあるからね
      ネズミは意外と賢いから好意的な人をちゃんと見分けられるんだろう

      そういえば特別な訓練を受けて育てられた地雷探知ネズミなんてのもいたな

      • +8
  2. 撫でられてキャッキャするのを見るだけで人間はオキシトシンどばどばですよ

    • +56
  3. 本筋と関係ないけど浮世絵(風)についてる解説が妙に笑える
    どこでこんなの必要なんだ?

    • +34
    1. 生成AIで出したものなんか?って思えてしまうほど、どこか噛み合ってない感覚があるんだよね

      • +22
    2. 江戸時代で人気ペットだったことくらいかね
      犬猫は当時高価だった肉必須だしどうしても金持ちしか飼えない

      • +7
      1. 江戸時代で人気ペットだったのは錦鼠@マウスの方。流石に金属の檻必須なラットは無理

        でもマウスの飼育は金魚並みに人気で品種改良のノウハウ本まで市販されていた。

        • +6
  4. ラット可愛いよね
    フワフワだし
    私はリス尻尾を剃られたの

    • +37
  5. オキシトシン入りのチュールあったらいろんな動物がなつきそう

    • +6
  6. なんだ、ワイと同じじゃん、、、
    誰も撫でてくれないけどな、、、

    • +25
  7. なでなでされてこちょこちょされてうれしいねえ

    • +18
  8. 何回か飼っていたので、喜んで撫でられに来たら、遊びに誘ってくれてるのとか、こちらの声の認識区別ができることとか知ってたのですが、それが科学的にも判明してるとわかって、また飼ったことのない方に知られる機会になって嬉しいです。
    また家族に迎えたいなぁ

    • +18
  9. 飼ってたラットは顔の横を爪でカキカキすると
    あ〜そこそこ…
    って感じでフニャフニャになってたなぁ

    • +25
  10. 言葉は違うけど祖先は一緒だからな。コミュニケーション方法も同じなのかな
    絆とか感情を作ってるのがただの化学物質っていうのは味気ない感じはする

    • +13
  11. うちの猫は私の手に懐いてくれているはずなのに
    ちょっとしたことで今も平気で爪立てるよ…ひどいよ

    • +11
  12. ラットはとてもよくなつく
    最初噛みついてきた子も時間をかけて仲良くなったらベタなれになった

    • +10
  13. 唐突な磯部磯兵衛に何事かと思ったwww
    解説読んだら全然関係無かった(´∀`;)

    • +8
  14. イグノーベル賞の人たちが目をつけそう。
    「モフみは愛!」ってコトで、21世紀の残り3クォーターを押し切ってしまいたい。

    あ、魚類や昆虫、両爬の子らもカワイイんやで!

    • +4
  15. 実験終わっても撫でてあげて欲しいな、、

    • +6
  16. 解剖学的な解析
    ナデナデされてヘヴンしてから脳パカされたネズミがおるんか

    • 評価

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