この画像を大きなサイズで見るアフリカの最高峰、キリマンジャロの稜線。一歩足を踏み入れると、そこにはまるで地球とは思えない光景が広がっている。
高山帯に差しかかると、パイナップルとサボテンを掛け合わせたような独特な形状をした植物が目に飛び込んでくる。
この植物の名は「デンドロセネキオ・キリマンジャリ(Dendrosenecio kilimanjari)」。キリマンジャロの過酷な環境の中で、100万年近く前からこの地に根を張っていると考えられている。
なぜこの植物だけが、キリマンジャロの極限環境で進化し、他には存在しないのか。その謎に迫る。
キリマンジャロに生える不思議な植物
アフリカ、タンザニアにそびえるキリマンジャロ山。その標高約2,800〜4,000m帯には、まるでSF映画に出てくる異星の植物のような、不思議な植物が自生している。
「デンドロセネキオ・キリマンジャリ(Dendrosenecio kilimanjari)」は英語で「ジャイアント・グラウンドセル」といい、キク科に属する高山性の開花植物だ。
この画像を大きなサイズで見る一見すると樹木のようだが、実際は草本に分類される。
実はこの植物の一番近い親戚とされるのは、日本でもおなじみの「シネラリア(サイネリア)」と呼ばれるあの花だ。
どこが親戚なんや!と思うかもしれないが、れっきとしたキク亜科の仲間同士なのである。
この画像を大きなサイズで見る乾季・寒暖差・風に耐える構造と機能を備えた植物
デンドロセネキオ・キリマンジャリが分布している標高の高い地域は、降水量が限られる代わりに生育に必要な最小限の水分が得られる環境でもある。
キリマンジャロ山は、ふもとが暑く湿った気候である一方、標高が上がるにつれて気温が大きく下がり、山頂ではマイナス29℃に達することもある。
標高によって気候がまったく異なり、同じ日でも場所によっては強い日差しが照りつける一方で、雪や雨、冷たい風に見舞われることがある。
この山は独特の気象パターンを持ち、まるで一つの山の中にいくつもの季節が共存しているかのようだ。
この過酷な環境に対応するため、デンドロセネキオ・キリマンジャリは驚くべき適応を遂げてきた。
水分を保持する太い茎と、表面に毛が生えた葉によって水分の蒸発を防ぐ仕組みを持つ。
葉と茎の両方が水を蓄えることができるため、乾季(12月〜3月、6月〜10月)でも生き延びることができる。
寒さへの耐性も高く、枯れた葉が自然に垂れて茎を覆い、断熱材のように機能する。
また体内には「不凍液」のような成分を分泌しており、森林限界を超えた高地でも成長が可能だ。
その結果誕生したのが、まるで巨大なパイナップルとサボテンを合わせたような、不思議な姿を持つ植物なのだ。
この画像を大きなサイズで見る年に数cmしか成長しない。風で種を運ぶ賢い戦略
この植物の成長速度は非常に遅く、1年に2.5〜5cm程度しか伸びない。
多くは人間と同程度の背丈だが、中には6〜9mの高さまで成長するものもある。
これは、高くなるほど多くの太陽光を受けられるという環境に適応した結果とされている。
この遅い成長スピードのため、寿命も長い。
受粉は昆虫によって行われ、黄色い花が咲いた後に綿毛のような種子ができ、風に乗って運ばれていく。この仕組みによって、過酷な土地でも少しずつ分布を広げてきた。
米国科学アカデミー紀要『PNAS』に掲載された、植物学者たちによる遺伝子研究によれば、この種は100万年以内にキリマンジャロにたどり着き、そこから標高の高い地域へと移動しながら進化したと考えられている。
年齢の測り方
この植物は見た目こそ樹木に近いが、実際には木ではない。そのため幹に年輪は存在せず、普通の樹木のように年輪で年齢を測ることができない。
そこで植物学者たちは別の方法を考えた。
デンドロセネキオは、枯れた葉を落とさずに幹にまとわりつけたままにする習性がある。
その葉が1年にどれほど積み重なるかを調べることで、年齢を推定できるのだ。
調査の結果、キリマンジャロに立つ最も背の高いデンドロセネキオは、少なくとも100年以上、中には250年生きているものもあると推定されている。
この画像を大きなサイズで見るキリマンジャロにいくつかのハイキングコースが設定されているが、デンドロセネキオが見たければ「ノーザンサーキット」「レモショルート」「マチャメルート」を選ぶのがおすすめだそうだ。
デンドロセネキオを見かけても、鳥や小さな生き物たちの隠れ家となっている外套部分に触れないよう、注意してほしいとのことだ。
References: Kilimanjaro's giant groundsels: The strange plants that thrive on Africa's tallest mountain
















見た目は面白いけど、食べられない植物のためにきりまんじゃろに行く気にはならんな
変わったソテツかと
同じくw
ソテツでないなら他の裸子植物かしら?と思えばキク科(被子植物)という😂
これがキクの仲間…さすがに菊人形は作れませんな
枝が折れへんの凄いな
デンドロって名前からデンドロビウムの仲間かと思ったら科から違ったわ
同じことを思ったw
学名って面白いな。
デンドロ ビウム:樹木 + 生じる
デンドロ セネキオ:樹木 + 老人
カメノテに似てる
一番地面に近いところから試料をとって放射年代測定をしたらどうかと思って調べてみたけど、植物に適用できる千年未満の測定方法はないみたい、残念!
異世界に行かなくても異世界みたいな風景があるのね
キリマンジャロのハイキングコース・・・金さえあれば
見た目からの命名でなく本物のキク科なのすごい
なんか動きそうだと思ったらドラえもんの魔界大冒険に出てくる木に少し似てるんだ
まるでノーマンズスカイ
年輪を確かめるためには切りまんじゃろ
キク科ってのに驚き、その大きさにも驚く。
人間と写ってる写真見て「は!?」って声に出たよ。
日本でのシネラリアは、Florist’s Cineraria であり、ペリカルリス属 Pericallis なんです
本来のシネラリア属 Cineraria は、別にあるという
どれも キオン連 サワギク連 Senecioneae なので問題ありませんがw
ややこしいですが、よくあることなので覚えておくとよいでしょう
(これを理解するまで、混乱しまくりましたよ)
小笠原諸島に生えているワダンノキやガラパゴス諸島に生息するスカレシアもキク科の草本を祖先に持つ樹木です。被子植物の祖先の裸子植物には草が存在せず、被子植物も最初は樹木だけで後に草が現れたので、本記事の件は一種の先祖返りでしょう。