この画像を大きなサイズで見るアメリカの科学者たちは、月面に多種多様な地球上の生物サンプルを保管する施設「バイオリポジトリ」を建設するべきだと提案している。
現在、地球上のさまざまな動植物が絶滅の危機にある。そこで天然の冷凍庫である月に、そうした絶滅危惧種の細胞を保存し、絶滅に備えようというのだ。いわゆる現代版ノアの箱舟のようなものだ。
そうしたサンプルは、そのDNAを利用して絶滅危惧種の遺伝的多様性を高めることができるし、絶滅という最悪のケースであっても、クローンを作成して復活させることも可能だ。
さらに将来的には地球以外の惑星をテラフォーミングする際に使えるかもしれないという。
現代版のノアの方舟
旧約聖書で語られるノアの方舟の物語では、ノアが巨大な船にさまざまな動物たちを乗せ、神が引き起こす洪水から彼らを守った。これと同じことを、現代の技術で行おうというのだ。
似たようなことなら実際に行われている。
例えば、北極圏のスヴァールバル諸島に設置された種子バンク「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」は、病気や干ばつによって大切な作物が絶滅してしまった場合に備えて、種子を冷凍保存している。
この画像を大きなサイズで見る地球上にもはや安全に保管できる場所はない
これと同じような施設を月に作ろうというのが、スミソニアン国立動物園・保全生物学研究所のメアリー・ヘイゲドーン博士らのアイデアだ。
じつは月で生物多様性を保存しようというアイデアは、過去にも、アリゾナ大学の研究者らにより提唱されたことがある。
わざわざそんなところに保管施設を作ろうと提案されるのも、地球には絶対安心な保存場所などもはやないと思われるからだ。
例えば、北の果てにあるはずスヴァールバル世界種子貯蔵庫は、温暖化の影響で危うく洪水による被害を受けるところだった。
ヘイゲドーン博士は、「人がいなければ、種子バンクは洪水の被害を受けたかもしれません」と説明する。
彼女はさらに戦争のリスクも指摘する。実際、2022年にはウクライナの種子バンクが破壊された。
だが、月ならばそうした人災や天災とは無縁でいられる。だからこそ、月は生物多様性を守るうえで理想的な場所だと考えられるのだ。
この画像を大きなサイズで見る月に生命サンプルを保管する理由
月は天然の冷凍庫だ。極地近くにあるクレーター内部なら、1年中太陽の光が当たることはない。
だから人間が管理したり、電力を供給したりすることなく、マイナス196度という超低温の冷凍庫を用意することができる。
そしてこうした環境で、クローン作成に不可欠な生きた細胞を保管する技術ならばすでにある。
例えば、ヘイゲドーン博士らはすでに、細胞が活動を停止するほどの低温で、ホシハゼという魚の細胞を生きたまま保存することに成功している。
ちなみにホシハゼは絶滅が危惧されているわけはないが、生態系において重要な役割を果たしている。
今回のバイオリポジトリ(生物サンプル保管施設)では、絶滅の危機に瀕した生き物だけでなく、ホシハゼのような生態系において重要な役割を担う種も優先的に保存していこうと提案している。
こうして保存された細胞は、絶滅種を復活させるだけでなく、今生きてはいるが数が減ってしまった種の遺伝的多様性を高めるためにも使える。
将来的には地球以外の惑星を人間が暮らしやすいようテラフォーミングするためにも便利かもしれない。
この画像を大きなサイズで見る今いる生物を保護することも大切だが、もしもの時の備えも必要
ヘイゲドーン博士は、いずれバイオリポジトリは実現するだろうと信じているが、近い将来という意味ではない。
私たちはこれを可能にする方法を知っており、実際にそれが可能で、実行するつもりでもいます。ただし最終的に実現するには数十年かかるかもしれません
一方、こうした万が一に備えて種を保存しようというアイデアに対しては、そんなことにお金や労力を費やすよりも、今生きている生物たちを守ることに力を注ぐべきだという意見もある。
これに対し、ヘイゲドーン博士は、できるだけ生き物たちを守るには、どちらのやり方も必要だと考えている。
プランAがうまくいかなかった場合に備えて、プランBが必要となる。いわばバックアップをとるようなものなのだという。
バイオリポジトリ計画の重要な次のステップは、月の環境に耐えられるサンプル用の梱包を開発し、それを月に運ぶ物流面の課題をクリアすることであるそう。
いずれ月面で資源採掘が始まれば、地球と月との往来は今よりずっと増えるはずなので、それを利用できるだろうとのことだ。
またヘイゲドーン博士らは、こうした大胆なアイデアが刺激となって、地球の生物多様性を守るための取り組みが活発になればと願っている。
この研究は『BioScience』(2024年7月31日付)で発表された。
References:Scientists propose lunar biorepository as ‘backup’ for life on Earth | Biodiversity | The Guardian / With biodiversity under threat, scientists suggest the need for a new biorepository—on the moon / written by hiroching / edited by / parumo
















人類会議…
地球でも保存施設の数を増やしたりすれば
リスク分散はできそうだけど、
月に造る方がコスパがいいんだろうか?
>>3
バックアップの基本は「コピーをなるべく物理的に離れたところにつくる」なのでコスパもともかくどれだけ残しておきたいかという人類(あるいは地球の生物の総体)の意思の強さだと思います。
当然月には月の固有のリスク(地球よりも隕石がそのまま落ちてくるとか深いところに置かないと放射線が強いとか密封が敗れると真空中にさらされてしまうとか)がありますが、セカンドインパクトみたいなのが発生した時におそらく地球上のほとんどはアウトだと思いますが、月ならばという可能性を考えているのだろうと。
いろいろ情報とかを保守メンテしている仕事をしているので、費用を脇においといて「あり」とは思います。あとは決断、そしてもし実行するならその永続性を考えた保守計画の立案と実施ですね。
人類に栄光あれ…
クラゲの標本が突然変異してメトロイドになるのか。
大気のない月だと隕石による危険性がある気がするけどね。
実際月にはかなりの数の隕石が降り注いでいるらしい。
>月ならばそうした人災や天災とは無縁でいられる
そんな訳ない
これから人災も起こるし、天災は地球よりも多い
本当に科学者なのか?
>>7
月にXXがばら撒かれた系の人災はもう起きてるしコレも月にとっては所謂人災かもだし
天災は普通にあるからちょっと意味わからないよね。
ヨルハ……
機動戦士ガンダム サンダーボルトのアナハイムかな?
地球より隕石とか太陽のバーストとか食らう率高いと思うんだがソコは大丈夫なん?
ジーンバンクとか作っても、活用する際に復活させる設備と技術者が残ってないと・・・
再生用のマニュアルも一緒に保管するか
地球外環境利用は地球周辺のごくわずかな衛星くらいだけで限界だよ。月面でもエスキモーのドームみたいなやつとか…。有人探査なんて乱用もってのほか。だってのに……
ほんとうに月貯蔵所の中身が必要になったときには、もう月なんて言ってられない状況になってるだろうね。何だったら隣町に行くのさえ大仕事なレベルか。どれほどの技術と資源で何人・いくらの銭かかるんだよ
空腹と災害でのケガ、放射線障害かなんかで朦朧とする意識で「あそこの辺に食い物のタネあるはずなんだけどな」とか思っても間に合わないな。
覇権国の支配者と、大富豪と、一部の技術者だけは何とか生き残ろうとするんだろうけど、高度技術の膨大な裾野をキープして最先端技術を使うなんて、AIロボットですらできないよ。
月か火星か知らんが、みんなひとクセある人物かと。誰が実労働をするかで揉めたり、乏しくなった物資めぐって飢えか酸欠か退屈で死ぬまでAI弁護士で訴訟合戦してそうかもね。
こんな人類のために月だの星だの汚すの正当化できないよ…
[食中毒防止 ご自星・自国での不潔な食べ物や裁量はおかないでください 宇宙人より]
月にそれだけの施設を作って維持できるようなレベルまで宇宙開発進んでたら月でも戦争してるだろ
そこまで月面開発が進んだ未来には、すでに月も戦争のリスクとは無縁ではないんじゃないかな。
なんかSFじみてきたんだが
>>17
何を今更
人類が月に行った時から、なんなら何百万年前に人類が火を手に入れた瞬間から
とっくに世界はSFですが
この話は「月だけにまとめる」ではなくて「月にもつくる」だろ?
月が安全ではないなら火星や木星の衛星…とどんどんコピーが増えていくだけよ
大気無いと宇宙線でやられね?
余計な事しない方がいいと思うけどね…
宇宙規模でリスク分散しようぜって話でしょ。
今考えられる非現実的な要素とか懸念点なんかわかってて将来的に考えていこうぜって話じゃん。
だれでも思いつくような問題点は全部無視して強行しようぜ!
…なんて言ってないと思うんですけど。
スパロボのムーンクレイドルか
人類の執念深さというか、往生際の悪さとううか…
地球の環境は改善出来ず、そのせいで絶滅しそうな植物の種子は取っておくなんて。
いざその種子を使うときがきても壊れた地球で育つのかな?
>>23
本音を推測するに、どっちかっていうと実用的な意味より、単純に「保存したい」という人類が持つ蒐集癖由来のものだろう、ボイジャーにレコードを積んだように。
もちろん、いざとなればこの「保管庫」から再生させるのも念頭に置いているだろうが、少なくとも21世紀中にそのような事態になるとは思えない。
なにより「保管庫」として使うと言うなら、月はコスパが悪すぎる。仮に核の冬が訪れたとしても、それへの対策なら北極とか深海とかでもじゅうぶん目的は果たせる。