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水星の内部に厚さ16kmものダイヤモンド層が隠れている可能性

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(著) (編集)

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 太陽系の中で最も太陽に近く、最も小さい惑星「水星」は月の約1.4倍ほどの直径しかない。だがその中身には、巨大な秘密があるかもしれない。

 NASAの水星探査機「メッセンジャー」の収集データをもとに、高圧・高温の実験やシミュレーションを行ったところ、水星内部に、厚さ16kmの固体ダイヤモンドの層が隠れている可能性があるというのだ

 水星のコア(核)が結晶化するにつれ、マントルとの境界にダイヤが浮かび上がり、ダイヤモンドの層が形成されたと考えられるという。

太陽に一番近い小さな惑星「水星」の秘密

 太陽系の一番内側にある惑星「水星」は、ほかの太陽系惑星にはない特徴がある。

 その表面は非常に暗く、中心のコア(核)は驚くほど高密度である一方、火山活動はかなり早い段階で終わったらしい。

 またその表面には、「グラファイト(石墨)」という炭素鉱物による斑点がある。こうした斑点は、水星の初期時代には炭素たっぷりのマグマの海があったことが予測される。

 グラファイトの斑点と暗い地表は、このマグマの海が地表に浮かび上がってできたもので、これと同じプロセスが、水星の地下にある炭素に富んだマントルの形成にもつながった。

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メッセンジャーが撮影したカラーベースマップに基づく水星の姿/ image credit:NASA

水星の炭素は何になった?

 グラファイトが剥がれて厚さが原子1個分しかない単一層となったものを「グラフェン」というが、実はこれまで、水星の炭素はグラフェンになっているだろうと想定されていた。

 だが、今回の研究によるなら実はグラフェンではなく、ダイヤモンドになっているかもしれないという。

 中国とベルギーの研究チームは、NASAの水星探査機「メッセンジャー」のデータを分析することで、この結論にたどり着いている。

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水星を調査するメッセンジャーのイメージ。同機は2015年に水星に落下して、そのミッションを終えた/Image credit: NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington

水星内部にダイヤモンドの分厚い層がある理由

 メッセンジャーは2015年に水星に突入して、そのミッションを終えた。

 だが、そうして集められたデータをもとに水星の質量分布を再評価した数年前の研究では、そのマントルが想像以上に分厚いことが明らかになっていた。

 研究に参加したルーベン・カトリック大学(ベルギー)のオリヴィエ・ナムール准教授は、この発見を耳にして、「ならば水星の炭素のタイプにも大きな影響があるはずと直感した」と語っている。

 そこで彼らは、水星内部の高圧と高温を物理的に再現してみることにした。

 初期の水星のマントルにあったと考えられる物質の代わりに「合成ケイ酸塩」を用い、これに7ギガパスカル超の高圧と2177度の高温を加えるのだ。

 これと併せてコンピュータモデリングも行い、当時の水星の内部の状況を探ってみたところ、2つのプロセスによって水星にダイヤモンドが形成されただろうことが明らかになった。

 その1つは、「マグマの海の結晶化」だ。だが、これだけではコアとマントルの境界に薄いダイヤモンド層が形成されるだけで終わったかもしれない。

 そこで重要になるのがもう1つのプロセス、「金属コアの結晶化」だ。

 ナムール准教授によると、約45億年前に水星が誕生した当時、その金属コアは完全に液体で、それが時間をかけて段々と結晶になっていった。

 そのプロセスがどのようなものか確かなことは不明だが、ナムール准教授は炭素は少なかっただろうと考えている。

 とはいえ、多少の炭素もあったため、コアの結晶化が進むにつれてまだ液体のままの部分にそれが濃縮されていった。

 そしてある時点でそれ以上炭素が溶け込めなくなると、高圧と高温によってついにダイヤモンドが形成される。

 ダイヤモンドは密度の高い鉱物だが金属ほどではない。そのためダイヤモンドは金属コアとマントルの境界にまで浮かび上がる。

 こうして厚さ1kmのダイヤモンド層が形成され、その後もさらに成長し続けたのだ。

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水星の初期にダイヤモンドの薄い層が堆積した可能性がある(a)ダイヤモンドは冷却されたコアから結晶化し、時間の経過とともにコアとマントルの境界まで上昇した可能性が高い(b) / image credit:Xu et al., Nature Communications, 2024

ダイヤモンドの層は水星の火山活動が短かった理由につながるかも

 このことは、水星と太陽系にあるほかの岩石惑星(金星・地球・火星)との誕生プロセスの違いを浮き彫りにするものだ。

 太陽のすぐそばにある水星は、おそらく炭素が豊富な塵の雲から誕生したと考えられる。だからほかの惑星に比べて酸素が少ない一方、炭素はたくさんあった。

 これがダイヤモンド層の形成につながったと考えられるという。

 またダイヤの層は、水星の火山活動が数億年しか続かなかった理由も告げているかもしれない。

 火山活動の短さが意味するのは、水星がほかの惑星よりずっと速く冷えたということだ。それは部分的には水星が小さいことと関係している。しかも水星は、3億年前までどんどん縮んでいたという。

 だがナムール准教授によるなら、ダイヤモンド層の形成もまた冷却をうながしたと考えられるという。

 この仮説を検証するため、ナムール准教授は物理学者とチームを組んで、マントルとコアの境界にあるダイヤモンド層の熱効果を調べようとしている。

 その手がかりは、日本のJAXAと欧州のESAが共同で行う水星探査計画「ベピコロンボ」によって、2026年にももたらされるかもしれない。

 この研究は『Nature Communications』(2024年6月14日付)に掲載された。

References:Mercury has a layer of diamond 10 miles thick, NASA spacecraft finds | Space / A Fortune of Hidden Diamonds Could Be Concealed Inside Mercury : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 24件

コメントを書く

    1. >>1
      さてはお前、国際ダイヤモンド輸出国機構のピョートル大帝だな?

      • +4
    1. >>2
      ダイヤモンドだよ~(もう中学生っぽく)

      • 評価
  1. 地球も滅亡していいなら純金めっちゃ取り出せるよね。

    • +2
  2. 海王星や天王星や系外の巨大氷惑星ではダイヤモンドの雨が降っているらしいし、地球では稀少なダイヤも宇宙的尺度で見るとその辺の小石なのだろうな。まあ水星にしても海王星天王星にしても採掘など出来ないから資源としての価値はその辺の小石にも劣るけれど。

    • +3
  3. 二昔前なら「持ち帰れば!!」なんだけどなー
    内惑星(地球より内側軌道を周回)に送り込むのは難しいのと
    合成ダイヤが4ctクラス(カット後で)で出回り始めてるから

    仮にブルーとかピンクなら一部の好事家が買うかも(まあ最初の一回だけはね)
    5kgくらいの原石持ち帰って「マーキュリーダイヤ」X6限定で売れば採算とれるかも?

    • +1
  4. 金属よりは回収単価低いだろうが所詮炭素だぞ?

    • +3
  5. 人類全カップルが婚約指輪として贈り合ってもだだ余る量

    • +1
  6. 水星は太陽に一番近いのに早く冷えたんだね~。

    なんか不思議。

    • +1
  7. やっぱりダイヤを燃やして蒸気機関車を走らせないと!
    あ、酸素がないかw

    • 評価
  8. 銀英伝の歴史で氷の宇宙船があったけど、金剛石の外殻に内部金属を内殻及び素材とした宇宙船とかSF的に妄想したわ

    • 評価
  9. 地球でも実は沢山産出量あってもっと安く買える筈なんだよね。
    某社が値崩れしないように調整してるからね。

    • +2
  10. インクルージョン入りで、星一塊で一つの魂なら…。「ソラリス」+「宝石の国」

    • 評価
  11. 工業用より安く採掘出来るかどうかだな。

    • +1
  12. まあ、あったとしても採掘は無理だし、大量に採掘できたらできたでダイヤモンドの価値が下がるね。

    • 評価

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