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脳外科手術の始まり。新石器時代のヨーロッパ人は穿頭術で頭蓋に穴をあけたまま歩き回っていた

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(著) (編集)

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 新石器時代の人類は、ひどい頭痛や怪我、精神疾患に陥ると、当時の医者がある治療を施した。それが「穿頭術(トレパネーション)」で、これが人類における脳外科手術の始まりだ。

 世界中の遺跡に残る頭蓋骨から、そうした患者を治療する医者が遥か昔にすでに存在していたことが知られており、当時の穿頭術はかなり荒っぽく、頭皮を切開し、生きた患者の頭蓋骨に直接穴をあけるというものだった。

 イタリアの研究チームがフランスで発見された、当時の穿頭術が行われた頭蓋骨を調査したところ、 穴の直径が最大10cmも開いているものもあり、それでも患者は、その状態で普通に歩き回ったり、その後もけっこう生き延びたという驚きの事実が明らかになったという。

穿頭術(トレパーネーション)とは

 頭痛や精神疾患、怪我を治療するため、生きた患者の頭蓋骨に直接穴を開けて行う治療法で、太古の昔から行われているある種の脳外科手術である。

 脳内の悪いものを外へ出すのが目的だというが、根拠のほどは定かではない。開けた穴はふさがずに頭皮を縫合するだけで処置を完了する。現代では多くの国で違法とされている。

新石器時代のヨーロッパ人の穿頭術を調査

 イタリア、フェラーラ大学、神経科学科のエマヌエラ ・グアルディ・ルッソ氏ら研究チームは、フランス・パリの人類博物館に所蔵されている8000~4000年前の新石器時代の159の頭蓋骨のうち穿頭術を施されたと思われる穴のあいた41個を分析した。

 デジタル側径器を使って開口部の大きさを測ると、平均的な数値は2.95~5.43cmであることがわかった。

 中には10cmを超える穴が開けられた例もあり、頭蓋がこれほど大きく壊されたにもかかわらず大半に治癒の痕跡が見られた。

 つまり、穿頭手術を受けた患者は実際に術後もしばらく生きていたということだ。

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photo by iStock

新石器時代の外科医は経験豊富でスキルが高かった

術後に脳浮腫、感染症、出血、ショックなどの危険性がかなり高かったはずなのに、生存率が高かったということは、穿頭術を行った初期の外科医が経験豊富でスキルが高かったということを明確に示している

 ルッソ氏は論文にこう書いている。

 例えば、患者の頭に穴を開ける前に手術道具である石器が消毒されていた可能性があり、さらには患者がこの試練を乗り越えられるよう、鎮痛作用や抗菌作用のある自然の植物が使われたらしい。

先史時代に穿頭術が活発に行われていた理由

 先史時代に穿頭術がこれほど一般的に行われていたその理由はわからないが、こうした処置は怪我や病気による頭蓋内圧を減少させるために行われたのではないかと考える学者もいる。

 稀なケースではあるが、穿頭術は今日でも実際に行われている。

 19世紀の伝説的な神経学者ポール・ブローカは、脳内に住む悪魔が発作を引き起こしているため、頭蓋に穴を開けてその悪魔を解き放つという信念と関連してこうした手術法が生まれたのではないかと推測している。

 新石器時代の外科医がどういう理由で穿頭術を始めたのかはともかく、こうした処置は人類が外科手術の腕をあげるための興味深い実験的ステップともいえる。

 本研究は『World Neurosurgery』誌(2024年7月8日付)に掲載されている。

References:Neolithic Europeans Walked Around With 5.5-Centimeter Holes In Their Skulls | IFLScience / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 14件

コメントを書く

  1. 殴打や投石とかで頭蓋骨に穴が開いて陥没したあと破片を取り除いて皮を縫ったとかそういうこともきっとあったろうに手術だって断定できるんだな
    やっぱり穴を見るとわざわざ開けた感じになってるんだろうか

    • +5
  2. 成功した頭蓋骨だけを見つけて成功率が高いと思っている気がする

    失敗したら頭蓋骨割れて死ぬだろうし、それを後世に見つけても殺されたように見えるし

    • -2
    1. >>3
      ちょっと違う

      成功した事例は無い

      必ず感染症で死ぬ

      • 評価
  3. 寝てる間に
    かいわれ大根植えられそう

    • 評価
    1. >>5
      記事内に
      「患者がこの試練を乗り越えられるよう、
      鎮痛作用や抗菌作用のある自然の植物が使われたらしい」

      • +3
  4. コレがテーマのヤベー漫画が「ホムンクルス」

    • -1
  5. 現代人より頭部を強打して脳出血することの多い人たちだったとかかなぁ

    • 評価
  6. ロボトミー手術が確立する以前から棒を特定の角度で刺したり
    欧州では試行錯誤の脳外科手術の伝統があるんだよな
    まともま服用薬もない時代はダメもとでやってみる価値はあったのだろう

    • 評価
  7. この時代の人たちは脳みそを何だと思ってたんだろうね
    鼻水を作るための臓器だって思われてた時代もあるらしいが

    • 評価
  8. 何十年も前、頭の片方が凹んだおばあさんが虚ろな目で車椅子に乗せられ押されていたのが記憶に残っている
    あれで生きてるんだとびっくりした
    皮膚は被せられ頭髪も生えていたので穴が空いたままではなかったが

    • 評価
  9. 治療が主目的ではなく、宗教的なものだって説もある

    頭蓋に閉じこめられた魂を穴を開けることで解放するという儀式が、
    この世に閉じこめられた魂が「天の穴」を通ってあの世へ解放されるという観念と
    並行していたという説

    • 評価

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