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アメリカの需要の最大40%を満たすリチウム資源がガス田の排水に含まれていることが判明

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(著) (編集)

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 アメリカ、ペンシルベニア州のガス田から流れ出る廃水に、大量のリチウムが含まれていることが判明したそうだ。

 『Scientific Reports』(2024年4月16日付)に掲載された研究によると、マーセラス・シェールガス田で行われる水圧破砕による廃水には、米国の需要の40%をまかなえるだけのリチウムが含まれているという。

 国立エネルギー技術研究所のジャスティン・マッキー氏は、「そこにこれほどのリチウムが含まれているとは、まるで知りませんでした」と述べている。

世界的に需要が増大するリチウム

 リチウムとは銀色をしたとても軽い金属で、数ある金属の中でも一番軽い。

 現代ではバッテリーには不可欠の素材となっており、電気自動車・スマートフォン・ノートパソコンなど、ありとあらゆるモバイル機器に使用されている。

 だがその生産地は限られており、世界で供給されているリチウムの90%は、オーストラリア・チリ・中国で生産されたものだ。

 アメリカの場合、国内で操業されているリチウム鉱山はネバダ州にある1カ所のみ。資源が豊富な国ではあるが、リチウムについては大量の輸入に頼っている。

 同国エネルギー省は、グリーンエネルギー移行計画におけるリチウムの重要性を考慮し、2030年までに国内で使用されるリチウムをすべて国産化する計画を掲げている。

 これを受けて、ネバダ州・カリフォルニア州・ノースカロライナ州などでは、新たなリチウム鉱山の開設が予定される。

 だがリチウムを採掘すれば、二酸化炭素が大気に放出されたり、有害な化学物質が土壌に流出したりと、環境には大きな負荷がかかるため、こうした動きを歓迎しない意見もある。

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photo by iStock

ガス田の排水から発見された大量のリチウム

 今回の研究では、ペンシルバニア州のガス田という意外なところからリチウムが見つかっている。

 マーセラス・シェールガス田では、天然ガスを生産するために「水圧破砕法(フラッキング)」が行われている。

 地下に超高圧で水を流し込み、岩石に亀裂を作ることでガスを採取するのだが、大量の水の使用・地下水の汚染・地震の発生など、環境への影響が大きなやり方でもある。

 今回リチウムが発見されたのは、このときの廃水からだ。これを検査したところ、そこに大量のリチウムが含まれていたのである。

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リチウムが発見された場所は広範囲にわたる / image credit:Scientific Reports (2024)

 水圧破砕法による排水は、普通は廃棄物として扱われる。

石油・ガスからの廃水は、深刻化が著しい問題です。現時点で、廃水は最低限の処理を施され、再び注入されます(マッキー氏)

 そんな廃水から貴重な資源が見つかったのだから驚きだ。実験では、この廃水から最大90%のリチウムを抽出できることがすでに確認されているそうだ。

 研究チームは今後のステップとして、排水からリチウム抽出を効率的に行う試験的な施設を建設するとともに、それが環境に与える影響を調べることを挙げている。

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 マーセラス・シェールガス田 / image credit:iStock

References:Making batteries takes lots of lithium: Almost half of it could come from Pennsylvania wastewater / Estimates of lithium mass yields from produced water sourced from the Devonian-aged Marcellus Shale | Scientific Reports / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 17件

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  1. 人間に都合のいい成分が見つかっただけで
    環境全体で見ればめっちゃ有害な排水やん…。
    開発の暴走の行きつく先は酸の海、蟲の巨大化、
    腐海、マスクなしでは吸えない空気…。

    • -5
    1. >>1
      地球上にゴミなんてないんだよ
      まだ人間が活用できてないだけ

      • +2
  2. 日本原子力研究開発機構(JAEA)は2月7日、「イオン伝導体」を分離膜として用い、分離過程で電気などの外部エネルギーを消費せず逆に電気を発生しながら、核融合炉燃料製造やリチウムイオン電池などの原料となるリチウムを分離する革新的ともいえる元素分離技術を開発し、海水から回収することに成功したと発表した。

    • +4
    1. >>3
      そういう技術は見つかってもコストとかの問題で実用化に至らない事の方が多いからあんまり期待しすぎてもね

      • +1
      1. >>5
        今すぐは無理でもリチウムの採掘コストが上がったときに損益分岐点を超える可能性もあるし、技術がさらに向上するかもしれないから期待は捨てられないっス

        日本ならマンガン団塊とかね。

        • +5
      2. >>5
        基本的にそのまま採用されることは少ないし、だいたいの場合で発展形が実用化される
        そして実証実験やらを経て、一般向けに実用化されには長い時間が必要だし、
        その頃には「新しい技術」の大枠が発表されて、その前の話は忘れ去られている…ことが大半

        また、発想としては優秀だけど実用化に至らない理由には即物的、金銭的な理由も多く
        「代替技術だから旧来のモノがあればそっちの方が安価だよね」
        こんな感じになるので塩漬けされ、その間に新技術が…なんてのも往々にしてあるw

        • +2
    2. >>3
      実用化が難しいそうだけど、これが革新的な技術として広く採用されるようになればいいな
      日本に豊かさをもたらすような発明がもっと必要だよ!!

      • +2
      1. >>9
        スゴイ発明で難局を乗り切ろうってのは、
        超兵器で一発逆転を狙ってたナチスや旧日本みたいな夢物語だよ

        スゴイ発明は地道な基礎研究からしか生まれない
        普段から科学や教育にしっかり資金投下していく以外に豊かさへの道はない
        (基礎研究への予算をどんどん削ってる今後の日本は……)

        • 評価
        1. >>15
          アメリカはヨーロッパの戦争とナチスの迫害で軍需産業と物資の供給、ユダヤ人や他の欧州の優秀な人材流出を利用して第二次世界大戦を発展して利益を得たんだか? 

          • +1
  3. まぁどんな結果が出ようとこの資源に手を出さないなんて結論には先ずならんだろうな

    • +2
  4. 今資源を得るために永久に地下を汚染させてるよね

    • 評価
  5. 今後はリチウム不要の、全個体電池になります

    トヨタが正式に発表してます

    全個体電池はEV界のゲームチェンジャーといわれています

    • -2
    1. >>13
      中国に資源が豊富なのは確かだけど、利益優先で採掘しているので自国の環境汚染を厭う国々が群がっているという面もある
      他所で賄われるのは中国にとって面白くないだろうけど、ある意味では救われつつあると言えるかも?

      • +2
  6. 自国に資源もあるし軍事力もある、そりゃアメリカ強いわ

    • +1

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