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3万年前のオーストラリアに存在した巨大なサンダーバード、その完全な頭蓋骨の化石が発見される

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(著) (編集)

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 およそ3万年前まで、オーストラリアには「ゲニオルニス」という飛べない巨鳥が生息していた。

 身の丈2m、体重230kgもの巨体で「サンダーバード(雷鳥)」とも呼ばれるこの鳥が発見されたのは、1800年代後半のこと。だが保存状態のいい化石がなかったことから、ゲニオルニスのくわしい姿は謎に包まれてきた。

 このほど南オーストラリア州北東部の塩湖から、完全な頭骨など、新たなゲニオルニスの化石が発見され、巨鳥の姿や生態が徐々に明らかになってきた。

 最新の研究から明らかになった古代の雷鳥の姿とはどのようなものだったのだろうか? 意外にも現代のカモの親戚であるという。

3万年前に絶滅した巨大な飛べない鳥「ゲニオルニス」

 ゲニオルニス(Genyornis newtoni)は「ドロモルニス科」の鳥で、今から3万年前に絶滅したと考えられている。背丈は2mに達し、体重は230kgもあった巨鳥で、空を飛ぶことはできなかった。

 フリンダース大学の研究チームの解説によると、ゲニオルニスは飛べない鳥としては珍しく大きな頭蓋骨を持っていた。

 頭蓋が短く、アゴが大きい。とりわけ上アゴが特徴的で、この点がほかのドロモルニス科の鳥とは異なっている。下アゴだって大きく頑丈で立派だ。

 ちなみにゲニオルニスという名称も、こうしたアゴの特徴にちなんでおり、ギリシャ語で「アゴの鳥」を意味する。

 上アゴは長く、幅よりも少し高さがあり、先端はガチョウのように丸みのあるヘラ状で、口蓋は囲まれている。

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発掘されたほぼ完ぺきな頭蓋骨の化石 / image credit:Phoebe McInerney

 クチバシの中央は高く隆起しており、目のすぐ前にはカスクという球根状の構造がある。カスクの機能は不明だが、性的なディスプレイ用だった可能性があるという。

 頭蓋骨の関節が柔軟だったおかげで、ゲニオルニスはオウムのように口を大きく開けることができた。

 またアゴの筋肉の配置から、想像以上に咬む力が強かっただろうことがわかるという。頭蓋の後ろには力強い筋肉があり、頭を後方に強く引っ張ることもできた。

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ゲニオルニスを正確に再現するために使用された貴重な化石の一部。 / image credit:Jacob C. Blokland

サケビドリ科の親戚であることが判明

 ドロモルニス科の化石は少なくとも5500万年前までさかのぼるが、その起源はもっと古い。

 ゲニオルニス自体は比較的最近の鳥だが、この科の長い歴史と化石不足が相まって、その進化を紐解く作業を難解なものにしている。

 ドロモルニス科は「キジカモ類」に分類され、化石の調査からは「キジ目」(ニワトリやウズラなど)や「カモ目」(アヒルやガンなど)の仲間と同じ特徴があることがわかっている。だがより近いのは、カモ目のほうだ。

 ドロモルニス科とキジ目の頭蓋骨に共通するいくつかの特徴は、ドロモルニス科・キジ目・カモ目の最後の共通祖先にも見られる。

 一方、カモ目と共通する頭蓋骨の特徴は、カモ目の進化の初期に形成された可能性が高い。

 特筆すべきは、頭蓋と下アゴの側面にあるアゴの筋肉と骨の構造が、現在南米に生息する「サケビドリ科」の仲間ととほぼ同じであることだ。

 サケビドリ科は、現生のカモ目ではもっとも最初に分岐した仲間だ。今回の研究で明らかになったことは、ドロモルニス科がサケビドリ科などの初期のカモ目と密接な関係にあるだろうことを示しているという。

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ゲニオルニスをはじめとするドロモルニス科(Dromonithids)は、現代のサケビドリ科(screamers)と密接な関係にあるようだ/ image credit:Phoebe McInerney /

水辺で暮らす草食性の鳥だったことを示す特徴

 ゲニオルニスの頭蓋骨からは、この鳥のライフスタイルを推測するヒントも得られている。

 それが示唆しているのは、この巨鳥がおそらく、新芽や新鮮な果実など、繊維の少ない柔らかい植物を好んで食べていただろうことだ。

 一方、囲われた口蓋・目から離れた鼻孔・アゴの動きから隔離された耳といった新たに判明した特徴は、頭を水に突っ込むのに都合がいい。

 これらは水中での食事中、水が入るのを防いだり、音が聞きにくくならないようにするための適応だ。

 つまりゲニオルニスは水辺の周辺で生きていたということだ。それを裏付けるように、ゲニオルニスの足は、つま先が広く短く、爪はひづめのような形をしていた。これなら水辺から水辺までの開けた場所を移動しやすい。

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化石から頭蓋骨を復元。大きな頭蓋と特徴的なクチバシが明らかになった / image credit:Jacob C. Blokland

 大昔の南オーストラリア州北部に存在した大きな淡水域は、今日ではほとんどが乾燥した塩湖になっている。そうした池や湖がだんだんと縮小するにつれて、ゲニオルニスが食べていた植物もまた変化していった。

 研究チームによれば、こうした環境の変化がゲニオルニスだけでなく、ドロモルニス科の仲間を衰退させた大きな要因の1つであるそうだ。

 この研究は『Historical Biology』(2024年6月3日付)に掲載された。

References:New fossils show what Australia’s giant prehistoric ‘thunder birds’ looked like – and offer clues about how they died out / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 20件

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  1. 水辺の鳥って凶悪な性格なのが多いイメージなので、現代に生き残った小さめなのでさえすごく怖いから 2m という時点でヒグマとかホッキョクグマ並みに恐ろしい。

    • +3
  2. 今でも生きていたらダチョウのようにゲニオルニスにも乗れ
    レース開催されてたかもしれないな

    • +3
  3. サンダーバードは伝説の巨大なワシのことでしょ
    雷鳥の英名はロックターミガン
    鉄道の名前に使われたからサンダーバードが雷鳥だと思ってる人多いね

    • -1
  4. ただの石にしか見えねー
    発見した人はよく化石だと気づいたな

    • +6
  5. ちょっとペストマスクぽいね(´・ω・`)

    • +2
  6. こういう鳥ってそれこそナウシカのクイとカイみたいな使い方できないもんだろうか?

    • 評価
  7. 「げにおるにす」ってひらがなで書くと日本の古語みたい

    • +2
  8. まだ詳細が明かされてない感じがするから、続報に期待します。

    • +1
  9. 「目から離れた鼻孔」
    これ疑問で、どう見てもむしろ大抵の鳥よりずっと鼻孔が目の近くにある。
    更に、「目から離れた鼻孔……といった新たに判明した特徴は、頭を水に突っ込むのに都合がいい。これらは水中での食事中、水が入るのを防いだり、(中略)するための適応だ。」
    は、鼻孔が大抵の鳥より目の近く、すなわちより後方にあることから、鼻孔を水面上に出したままで嘴を水に入れられる深さが増していることを指しているように思える
    (目から鼻孔が離れているなら、鼻孔がより嘴の先端に近いことになり、鼻孔がすぐに水中に入ってしまう)。
    リンク先を見るに、この部分の原文は「nostrils far back by the eyes」だが、これは「目の近くまで後退した鼻孔」ということではないだろうか。

    • +1
  10. 絶滅種の復元でDNAを丸ごと解析なんて無理なんだから解析できてるDNAを近縁種に組み込んで特徴的な変化を足してくだけでもそれらしい物が出来そーなんだけど、倫理が止めているのか

    • 評価
  11. やきとり何本分かとか真っ先に思う癖を治したい

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  12. 柔らかい植物が好きで水辺に居たってことは水草とか食べてたんかな

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  13. サンダーバードって北アメリカとかその辺の伝承の巨鳥でしょ?
    オーストラリアのこの鳥がそういう呼びかたされてるとか初めて聞くが

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