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ネコハラは中世から。猫の足跡や尿がついた写本が発見される

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(著) (編集)

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 この世に様々なハラスメントはあるが、最近話題となっているのが猫によるハラスメント、通称ネコハラだ。猫が邪魔をする、いたずらをする、といった被害が相次いで報じられているが、なんなら飼い主がそれを愛で、自慢しているふしすらあるのがネコハラの恐ろしいところだ。

 しかもそれは現代に始まったことではない。

 パソコンで仕事をしていると、猫に邪魔された経験のある飼い主は多いだろう。中世の人たちも同様の被害にあっていたようで、15世紀の写本に、猫の足跡やおしっこのしみがしっかりと残されていたのだ。

中世の写本に猫の足跡!

 サラエボ大学の中世史教授、 エミル・オー・フィリポビッチ氏は、クロアチアのドゥブロヴニク国立公文書館を訪れた際、中世にも#ネコハラが行われていることを知り驚いた。

 15世紀の写本に、キッチリと猫の足跡が残されていたのだ。この発見は、中世の人々と猫の関係性の一面を示す興味深いものだ。

 インクに肉球を突っ込んだ猫が、一生懸命写本をする飼い主の元に行き、本の上からペタペタと歩いたことは容易に想像できる。

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猫の足跡が残された中世の写本 / image credit:@EmirOFilipovic

猫におしっこをひっかけられた写本も

 猫の足跡くらいなら、まだましかもしれない。

 1420年頃、オランダ、デーヴェンテルの写字生が、作業中の自分の写本が前夜にひっかけられた猫のおしっこのしみのせいで台無しになってしまったことに気づいた。

 彼は残りのページを空白にせざるをえなくなり、猫の絵を描いて次のように悪態をついた。

これは書き損じではない。ある夜、猫がこの写本の上でおしっこをしたのだ。デーヴェンテルで夜中にこの本の上で小便をしたにくたらしい猫よ、ほかの猫共々呪われるといい。

猫が入り込めるような場所に本を開いたまま置いておかないように気をつけることだ

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自分の写本に猫のおしっこをひっかけられ怒り心頭の写字生 / image credit:c Cologne, Historisches Archiv, G.B. quarto, 249, fol. 68r

写本を汚す恐れがあるのに中世の猫が図書館に出入りできた理由

 美しい写本を汚される心配があるというのに、どうして猫が中世の図書館に出入りできたのだろう?

 9世紀のアイルランドの修道士が自分の飼い猫「パングル・バン」について書いた詩にその答えがある。

私と飼い猫のパングル・バンは同じような仕事をしている。パングル・バンは嬉々としてネズミを追いかけ、私は嬉々として一晩中言葉を追いかけている

 そう、猫はネズミを獲るために図書館にいたのだ。

ネズミの被害を防ぐため猫は必要な存在だった

 中世の写本はネズミにとって大好物のごちそうだった。古代ローマの哲学者ボエティウスの『哲学の慰め』の11世紀の写本を見ればそれがよくわかる。

 ネズミによって写本はほとんど食いつくされ、あらゆるページにその歯の跡が残っている。

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ネズミにかじられたボエティウスの写本 / image credit:c Corpus Christi College Cambridge、MS 214、fol. 122r

 ネズミは本を食いつくすだけでなく、12世紀の筆記者ヒルデベルトが描いているように、仕事中に人の気を散らし、困らせることがあった。

 このイラストには、ネズミがヒルデベルトのテーブルによじ登り、チーズをかじろうとしている場面が描かれていて、ヒルデベルトがネズミに石を投げつけようとしている。

 彼もまたチーズを狙うネズミを呪う言葉を残している。

“Pessime mus, sepius me provocas ad iram; ut te deus perdat”「汚らしいネズミよ、そんなに私を怒らせるのなら、神におまえを滅ぼしてもらおう」

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ネズミに邪魔されるヒルデベルト / image credit:c Prague, Capitular Library, codex A 21/1, fol. 153r

 つまり、中世では少なくとも2匹の猫が写本に由々しき痕跡を残した責任がある一方で、猫のネズミ獲りの能力が大量の写本がネズミの腹におさまるのを防いだ可能性がある。

 そのおかげで多くの筆記者が昼食も食べずに写本の仕事に集中できたとも考えられる。#ネコハラと言われようとも、なんだかんだで人間は猫を必要としているのだ。

 中世も現代も猫と人間の関係はさほど変わらないのだ。

References:Paws, Pee and Mice: Cats among Medieval Manuscripts | medievalfragments / Medieval Cats Behaving Badly: Kitties That Left Paw Prints … and Peed … on 15th Century Manuscripts | Open Culture / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 14件

コメントを書く

  1. 猫の絵を描いて、ってあるけど、ぱっと見猫に見えない。昔の猫は変な形なんだなあ。絵が下手なのか、そういう種類の猫なのか。

    • +4
  2. 例の、紙の上に立ってドヤ顔で振り返る猫をみょーんと持ちあげる所作を、この写本の主も繰り返してたんだろうねえ

    ワイの字書にも、今は亡き猫のおしっこが染み込んでるよ…

    • +11
  3. 世界中で似た様な逸話が有るの中々凄い事だと思うよ
    猫ちゃん矢っ張り平和の使者なんだわ

    • +9
  4. ボクのところは明け方に耳元で大声出してくることが多いよ(´・ω・`)かわいい

    • +1
  5. 飼い猫と一緒に毎日仕事できるなんて羨ましい

    • +1
  6. 最初の写本は猫のものだぞ、偶然ではなくちゃんと蔵書印として捺してある

    • +1
  7. 羊皮紙って皮なんだから洗えばいいじゃん
    とか一瞬思っちゃったけど
    没食子インクって乾ききってないと耐水性じゃなかったわ

    • 評価
    1. >>8
      羊皮紙に文字を書き込む行為は、
      皮膚に入れ墨を入れるのと同じ。傷をつけてインクを擦りこむ。容易には落ちない。

      • +4
  8. ネコの通り道に置いてたらマーキングの可能性があるけど
    そうじゃなかったら、ご飯くれないとか構ってくれないという
    怒りのおしっこの可能性が

    • +1
  9. 昔の素焼きかなんかに足跡が押されてるのもあったね

    • +2
  10. ここ10年程で近所の野良猫が減って、ネズミが出るようになってしまった。
    野良猫を減らした奴らは猫の代わりにネズミもどうにかしてほしいよね。

    • +1
    1. >>12
      そういう文句を言う人間が猫の糞尿の始末とかその他の
      面倒もみないからでは?面倒なことは猫に任せて、後は
      知らないでは野良猫を減らすという流れになるのは当然
      だと思うけどね。

      • -2
  11. ブレンダンとケルズの秘密という美しいアニメーション映画に、パングル・バンがパンガ・ボンとして登場していますね
    単純な幾何学図形を組み合わせただけの造形なのに、えらい可愛い猫なのよ

    • 評価

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