この画像を大きなサイズで見る南極大陸をおおう氷の中には、かつて地球で起きたさまざまな出来事の記録が残されている。ヨーロッパ人による新大陸発見の結果として犠牲になった、5600万人もの先住民たちの死もその1つだ。
イギリスの研究チームは、南極の氷床を掘削して、そこに閉じ込められている”過去の空気”を分析し、過去80万年間の地球の歴史をたどってみた。
すると地球の大気に含まれる二酸化炭素の減少という形で、アメリカ大陸先住民たちの大量死の痕跡が残されていることが判明したのだ。
南極の氷に閉じ込められた空気から過去を紐解く
地球で一番寒い場所に積もった雪は、圧縮されて氷になる。雪には微細な粒子や化学物質が含まれているので、それらも一緒に氷の層に閉じ込められる。
こうした”過去の空気”は、地球の気候の歴史を知りたい研究者にとっては貴重な手がかりだ。
人類が温度計などで気温を測り始めたのはせいぜい19世紀頃のことだ。だから、地球の温度を直接測ったデータはどんなに古くてもその時代のものしかない。
そこで氷に閉じ込められた過去の空気の出番となる。
たとえば、どこかの時点で大規模な噴火が起きたとすれば、グリーンランドと南極の氷床に含まれる硫酸塩を比べることで、それが南北どちらの半球で発生し、どれくらいの規模であったかを推測できる。
また過去の空気は、人類の産業の発展も教えてくれる。
氷に閉じ込められた銅や鉛などの金属の痕跡は、ギリシャ、ローマ、インカといった古代文明で採鉱や製錬が行われていた証拠になるし、1960年代以降に鉛入りのガソリンが使われていたことも裏付ける。
この画像を大きなサイズで見る植民地化が先住民に与えた影響
だが今回、英国南極地域観測所のエイミー・キング氏らが研究テーマにしているのは、また違う形での人類の影響だ。つまり植民地化が先住民に与えた影響である。
私たちが呼吸したり、何らかの活動をしたりすれば、言わずと知れた二酸化炭素が排出される。一方、海や森などはそれを吸収する。
だから地球の大気に二酸化炭素がどのくらい含まれているのかは、それが排出される量と吸収される量のバランスで決まる。ところが、人間はしばしばそのバランスを崩すことがある。
キング氏らは、氷床コアの気泡に閉じ込められた過去の空気を調べることで、そうした大気中の二酸化炭素を調べてみたのだ。
この画像を大きなサイズで見る5600万人の死の痕跡
そして明らかになったのが、ヨーロッパ人の入植が先住民に与えた致命的な影響だ。
15世紀、ヨーロッパ人がアメリカ大陸にやってくると、先住民たちの間でははしかや天然痘といったこれまで遭遇したことがない病気(ゆえに免疫がない)が蔓延した。
さらに戦争や虐殺も行われた結果、ヨーロッパ人の上陸からほんの150年のうちに、じつに5600万人の先住民が死んだと推定されている。
この画像を大きなサイズで見るこうした人類の急激な人口減少の痕跡が、南極の氷にも二酸化炭素の変化として残されていたのだ。
疫病によって先住民の人口が大幅に減少したことで、それまで農地だった土地が使われなくなり、森ができた。
その結果、より多くの二酸化炭素が吸収され、地球の大気の二酸化炭素が減少した。その痕跡が南極の氷に残されていたのだ。
この画像を大きなサイズで見る現在の人間が大気に与える影響力
だが、キング氏による説明によるなら、かつては地球の大気を変化させるほど強力だった疫病の影響も、現在ではそれほど単純ではない。
つい最近も新型コロナの世界的な流行によって数百万人の死者が出たが、その痕跡が氷に残されることはないだろう。
その理由の1つは、たとえ数百万人の犠牲者であっても、今日の地球の人口に比べれば、比較的小さな割合でしかない。
さらに今日産業などによって常に排出される二酸化炭素は、16世紀や17世紀に比べてはるかに多いからだという。
コロナ禍では、世界中の人たちが多かれ少なかれライフスタイルの変更を余儀なくされたが、それでも最大の排出源のほとんどは止まらなかったのだ。
キング氏は、今回の結果は、人間の行動がいかに重要であるかを示すものだと語る。
「当時の人間の変化が、この大気にはっきりした影響をもたらしました。そんな前の時代でさえ、人間にいかに影響力があったかを示しています」
この研究は『Nature Communications』(2024年3月5日付)に掲載された。
References:Gas trapped in Antarctic ice recorded the death of 56 million people – Big Think / written by hiroching / edited by / parumo
















嘘くさい、そんなにはっきり出るものなの?
戦争とかは?
>>1
リンク先の元論文、全文掲載されてるから是非読むといいよ
>>1
戦争の影響も 200 年とか 300 年経てばコアで計測できる範囲にはいるかもだから見えるかもね。ちょっと最近過ぎるでしょ。放射性物質を含んだホコリとかが含まれたりしてると核兵器開発とかも調べられるかもだし。
今回は二酸化炭素が減った理由でどちらの半球由来とかでそのころにあったことを推定という感じじゃないかな。もしかすると他の要因であるかもだけどその辺は研究者になって調べるといいと思います
>>12
まじめな話、氷床コアの年代を同定する方法の一つとして、核実験時の放射性降下物が使われている。
大規模な火山噴火での降灰なんかも、氷床コアでははっきりとした筋が出来るんだとかいう話だし。
150年で5600万人、これからの日本もそのぐらいになるが戦争や環境変化による影響とは言い切れないよね。
絶対もハッキリも無いよ。こういうのはいくつもいくつも気の遠くなるようなサンプルを調べて結果を出すんだよ。
研究てのはほんとに地道な地道な調査から導き出されるものなんだよねえ
よくぞ調べたって感心してしまうよ。
え?破局噴火とか大規模な自然災害じゃなくて、人間由来の理由で5600万人も亡くなったの?やばすぎるでしょ…
意味がわからない
なぜ南極の氷の二酸化炭素の変化が、アメリカ大陸先住民だけなんだ?
>>8
他にその年代にあったイベント(歴史的出来事)で、該当する候補が存在しないからです
気泡という名の あなたをたずねて~♪
当時は産業革命前で人工的な二酸化炭素の排出が少ないからそれ(原住民の死亡)以外に理由がないってことですかね。火山の噴火とか動物の絶滅などの影響もありそうではあるが
>>10
火山の噴火は、全ての山がどの時期にどれだけ活動したかをすべて把握されているわけではないのであり得ますね
2022年のフンガ・トンガ噴火のように一時的に大規模爆発する火山や
現状噴火が続く西ノ島などでも、噴火が小康状態になれば浸食で無くなっていく可能性もあるから
ただネックとしては、一世紀以上の長期にわたり影響を与えるような大規模噴火の継続は考えられないけど
>>13
デカントラップみたいな800万年の間に2000mの溶岩台地を作るようなのは何回かにわかれていたようですけど、一回あたりはどれくらい持続したのでしょうね。10分くらい調べてみたけどわからず・・・
気候変動で溶ける前に調べないとダメだな。そこの氷が融ける事態になったら人類は絶滅してるかもだけど。
北米でも、アメリカでは黄色人種の先住民の歴史的地位の広がりを抑えるような発言は良く出てくる
アメリカの東海岸の先住民の中にはヨーロッパから来ていたコーカソイド系と思われる人達がいたとか、そんな少数の話は拡大されて語られるのに、アメリカの先住民が古代の日本を渡ってきたような話は即座に一部の研究を取り上げて否定されたり、・・・でもそれって逆に言えば、ごく一部の東海岸以外の多くの地域はアジア人とのつながりが濃い事にもなりえるのに、アメリカの先住民は鷲鼻が多いからアジアの黄色人種とは似てないとか適当な否定的意見は好まれたり(実際は日本には鷲鼻はけっこういるし、中央アジアにもけっこういる)、アメリカ合衆国を築いたのは、白人と黒人だとか言いたい放題
カナダは最近では特に先住民とアジア人とのつながりに対しても政治的には否定的ではないのにアメリカはその事実を拡大することに何かしら躊躇する論調もあるので、ぜひこういう研究を盛り上げていってもっと事実に沿った歴史を明らかにしてほしい
今回の研究で森林が二酸化炭素を吸収してくれる効果があるとわかっただけでも価値があると思う
>>15
森林の二酸化炭素吸収は数十年も前から散々言われてますよ
吸収量の試算は結構上下したりするけどw
>>16
森林は二酸化炭素を吸収する効果が薄く、むしろ森林がある事で二酸化炭素排出を促進するとかいう学説を唱える研究者もいましたから、それを否定する証明の一助となったのは成果だと思います
>>18
樹木が二酸化炭素を吸収する事と森林が二酸化炭素を排出する事は矛盾しないよ
森林に存在する生態系が二酸化炭素を排出する以上、森林が存在する事によって樹木が吸収できる以上の二酸化炭素が排出される事もありうるのだから
>>15
個人的には植林や緑地化こそが二酸化炭素増加対策の大本命だと思います。
150年間で5700万人というのはさすがに桁違いだが。
たとえば北海道の石狩地方で1810年に3067人いた石狩アイヌも1865年には439人になるなど。わずか55年で1/7になるという驚異的な人口減少を記録している。
他民族の侵入とはそれだけ破壊的な作用をもたらすのだなと思うね。