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琉球王国の美術品がアメリカの民家の屋根裏で発見され沖縄に返還される

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(著) (編集)

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 太平洋戦争末期に行方不明になった琉球王国の美術品の数々が、アメリカで発見され、FBI(アメリカ連邦捜査局)を通じて沖縄県に引き渡された。戻ってきた「沖縄の宝」に玉城県知事が喜びの言葉を述べている。

 今月14日に返還された美術品は計22点。琉球王国の国王を描いた色鮮やかな「御後絵(おごえ)」のほか、18~19世紀の手描きの地図や陶磁器などで、貴重かつ重要な文化財になりそうだ。

 担当のFBI特別捜査官によると、発見場所はマサチューセッツ州の民家の屋根裏で、祖父の遺品整理で見つけた家族が、当局に連絡したことで明らかになった。

22 Artifacts Looted During WWII Returned to Japan: FBI

遺品から盗難品を発見しFBIに通報した家族

 アメリカで見つかって返還された琉球王国時代の美術品。その経緯を知るFBIボストン支局のジェフリー・J・ケリー特別捜査官によると、きっかけはある遺族からの通報だった。

 彼らはマサチューセッツ州在住の一家で、屋根裏で亡くなった祖父の遺品を整理している時に特別な品物を見つけた。

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彼らは遺品整理の時に、きわめて価値があるアジアの美術コレクションに出くわしました。それは絵巻物や陶器の一部、古代の地図などでした。

見るからに古くて貴重そう、と思った彼らが自力で調べて、FBIの盗難美術品ファイルに巻物があることをつきとめたんです。それは20年前に登録されたリストの中にありました

 そこで盗難品と確信した家族はFBIに通報した。今年1月のことだった。

一般市民も検索できるFBIの盗難美術品ファイル

 FBIの盗難美術品ファイル(National Stolen Art File:NSAF)は、FBI美術品犯罪プログラムの一環で、アメリカおよび海外の盗まれた美術品や骨とう品のデータベースを把握・管理するシステムだ。

 このファイルは、一般市民や法執行機関も検索可能で、その品物の特定に利用できるだけでなく、FBIへの情報提供もできる。

 2023年4月からはNSAFの無料アプリもリリースされていて、盗難美術品の一覧の閲覧・共有のほかに情報提供も可能だという。

琉球国王の肖像画2点を含む貴重な文化財計22点

 連絡を受けたFBIは、一家のもとに美術品犯罪捜査の専門チームを派遣した。美術品犯罪調整官であるケリー氏もその一人だった。

 到着したチームは、遺品から18世紀から19世紀にかけて描かれたとみられる肖像画を含む絵巻6点、手描きの地図、数々の陶器や磁器、金属工芸品など、合計22点の美術品を回収。

 その後、絵巻などは状態確認のため、一時スミソニアン国立アジア美術館に運ばれた。

 そこで「御後絵(おごえ)」と呼ばれる琉球国王の肖像画、十三代尚敬王(しょうけいおう)と十八代尚育王(しょういくおう)の2点が確認されたが、残りの絵巻の中にも分割した状態の御後絵が含まれている可能性があるという。

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 チームの捜査では、第二次世界大戦末期の沖縄で持ち去られたと裏付ける遺物や手紙も発見されたため、あらためて沖縄の歴史の大部分を占める貴重な文化財だという結論に至った。

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 なお発見した一家についてケリー氏は、亡き祖父は退役軍人で、第二次世界大戦に参加した経歴はあるが、太平洋地域に配属されたことはなかったと述べ、重要なお宝の発見を知らせた家族を賞賛している。

 またケリー氏は、国立アジア美術館で専門家と一緒に絵巻物を確認した際、鮮やかな赤、金、青で描かれた王族の肖像画に感激したそうだ。

目の前で巻物が広がるのは最も興奮する瞬間です。長らく人目に触れることがなかった歴史を目の当たりにするんですから

80年ぶりに戻ってきた「沖縄の宝」

 そして14日、これら美術品がついに沖縄県へと引き渡され、玉城知事が「沖縄の宝」が戻ってきたと喜びの言葉を述べた。

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 80年ぶりに沖縄県立美術館に戻った品々は現地でも話題に。ただ御後絵などの一般公開は今のところ未定で、まずは修復箇所などの調査を行うという。

 また御後絵は死後に描かれるものだが、損傷が進んていることもあり、実際にいつ描かれたものかはまだはっきりわかっていないそうだ。

 今回の件について、ケリー特別捜査官はこう語る。

文化的なアイデンティティは美術と歴史に集約されます。そこから文化ができあがるんです。文化財の管理者である我々は、それらが本来の国に戻るようできる限り努力します。この仕事は本当に重要です

 沖縄の過去の遺物の中には、いまなお行方不明なものが数多くあり、FBI は引き続き情報提供を呼びかけている。それらは NSAFの中に記録されている。

 沖縄の美術や歴史を紐解く上で重要なヒントになりそうなお宝の数々。とりわけ琉球王国の国王を描いた絵は、研究者らにとって当時の王国をさぐる有力な手掛かりになりそうだ。

追記:(2024/03/26)本文を一部訂正しました。

References: goodnewsnetwork / ancient-origins / nhk / fbi / youtube

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この記事へのコメント 29件

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  1. 単純に戦時のどさくさに米兵が略奪したものを当人が手に入れたのか、略奪した犯人なのかは分からないけど、それを遺族が返還したって話なだけなのに美談のように話すのはどうなんだろう。

    アメリカのアンティーク商人のお宝発見系のテレビなんか定期的に出てくるけど、軍刀や装備品、美術品等々相当数の略奪品が米国にあるんだろうな。

    • +1
    1. >>1
      もう関係ない世代なんだから美談でいいんじゃないの
      蒸し返したってなんにもならんでしょ

      • +26
      1. >>13
        沖縄戦後に米兵が持ち帰った文化的に貴重な物って本当にたくさんあって、この一族は返してくれたけど中には返却拒否して悪態つく人も少なくないんだよ
        沖縄ではその交渉現場をTVで特集したりしてて、結局当てつけのようにどこかに売却したり、中にはゴミに出して捨てた!と言い放つ酷い人もいる
        十年以上もかけて交渉してようやく孫の代で帰ってきた吊り鐘があるんだけど、政府が粘り強く交渉してる間もこの家族はその鐘を玄関先の地面に置いて足先でこづいたり鳴らしたりしてた。本人達にとっては愛着の表現だったかも知れないけどね
        返還セレモニーでは親族の方が満足気に美談のように話してたけど政府が長年説得してたの知ってたよね?ってあまりいい感情は持てなかった
        だから略奪品=美談にするなって感情持つ人が一定数いるんだよ

        とはいえ自分達から動いて元の地へ返却してくれたこの方達は紛うことなき善人だし間違いなく称賛される行為だと思う

        • +23
  2. あいつら日本刀も奪い取ったのはいいが、扱い方わからず
    くず鉄へ変わった例あるし、ホント運が良かったな

    • +9
  3. 沖縄から略奪を行った米国人は悪いが
    それらを返還する良い米国人もいる事を賞賛したい

    • +36
  4. よく家族はFBIに通報したな

    正直な人間やで

    俺なら黙ってもらっておくわ

    • +10
  5. そうかそうか。つまり君のおじいさんはそういうやつなんだな
    ってなるから盗品の返還には勇気がいるね

    • +12
  6. 貴重な刀も結構向こうに持ってかれちゃってて、たまに返還でニュースになってるよね。貴重な美術品かつ文化財が戻って来て良かったね。

    • +7
  7. 沖縄県民です!
    古代の地図って、これ西表島やんけ
    チャータァー船でしか行けない奥地のウダラの辺りまでしっかり書いてあるね

    • +13
  8. 別に黙ってゴミとして捨ててもよかったのにちゃんと調べて返還したのは称賛すべきだろ
    というか黙って捨てた例も世間に出ないだけで多いんだろうな

    • +20
  9. > 文化的なアイデンティティは美術と歴史に集約されます。

    本当に、これなのよ。
    だから古文書とか、捨てないで。本当に。お願いだから。

    あと、そういう盗難品のデータベースがあるとは。
    そういうとこはさすがやなあ。

    • +37
    1. >>15
      マジでこれ大事。

      でも、日本の公立図書館の二割は民間運営でその一部では管理できないという理由で古文書とかの廃棄が始まっているのよ…

      • +14
      1. >>18
        どこだかの自治体で、戦没記録を廃棄したって話もあったよね。
        教育の敗北だよ…
        日本史上の一大事件に関わる資料なのに。
        そういう実務記録が歴史を知る上で本当に大事なのに。

        • +3
  10. 新聞で発見まで読んだけど、返還は知らなくて良かった!
    この手の絵は残ってなくて、写真はあるけど白黒。
    調査と想像で復元した識者が、「実物とほぼ色が同じだった」と安堵していたのがすごいと思った。
    遺族のみなさん、ありがとう。

    • +6
  11. 尊敬するわ
    自分に関係ないとはいえ、家に盗品があるなんて怖くて言えない
    捨てる人のほうが多そう

    • +9
    1. >>19
      もし自分が同じ立場だったらと考えると、間違いなく戦争中の祖父?が盗んできた物で、オープンにするのが恥ずかしいし面倒くさいしで見なかったことにしてこそっと捨ててしまうかもしれない
      まぁアメリカ人にはヒーロー願望がある人が多いそうなので、そういうとこでも我々と対応が違ったりするのかもしれない

      • +2
  12. 沖縄で戦後、美術品を収めてた蔵を開いたら空っぽだったって話を聞いて胸を痛めたことがある。帰ってきて良かったなあ…

    • +10
  13. 首里城焼失で琉球王国の品々随分失ったから
    戻ってくるのは喜ばしいね

    • +14
  14. 琉球は全て破壊され焼き尽くされたと思っていた。お帰りなさい国王。

    • +2
  15. 戦中だと、「モニュメンツメン」と呼ばれた略奪美術品捜索専門の部隊が英米などの連合軍側にありましたっけ。
    ナチスの略奪美術品を捜索し、奪還したチームです。

    • +1
  16. 今度は城ごと燃やさないように注意しないとな

    • +2
    1. >>33
      沖縄県民だけど、真っ先にそれを思いました
      これから未来へ残す責任が重くて大変だろうけど、研究と保管をがんばってほしい

      • +2
  17. 戦争っていうのは人間の精神を大きく変えてしまうからね。
    『敵国のもの、文化なんてどうでもいい』となってしまうのはどこの国の人間でも一緒だよ。
    日本人も戦時中、同じことをした人も居ただろう。
    自力でデータベースから探し出し、返還してくれたこのご家族には敬意を示したい。
    こういったニュースが様々な場所で取り上げられ、返還された国の人達にとってはどれほど嬉しい事か、広まると良いな。

    • +4
  18. 結果論だが戦時下での持ち去りも「保管」という意味では有効な場合もあるということ。百年前の木造建築が今なお現役で住める大陸と沖縄では気候風土の安定が違いすぎる。

    • +1
  19. アメリカじゃ刀は武器じゃなくて美術品扱いだから、持ち手が洋式じゃなければ安くても1万ドル、高いと10万ドル以上で売れるそうだしな。
    国内で保管するには登録証とか手入れとか面倒なのに、うちの長船は国内で売っても50万くらいにしかならなかったのにな。

    • +2

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