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アイスランドには自転車のささやき屋が存在する。盗難自転車を回収し犯人を警察に知らせない

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(著) (編集)

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 盗みは犯罪だ。もしも自転車を盗んだ犯人を見つけたら、警察に知らせる人が大半だろう。だが果たしてそれで問題は解決するのか?そう考える人々がアイスランドに存在する。

 アイスランドでは、自転車泥棒を警察に突き出さない「ささやき屋」がいる。

 彼は盗まれた自転車を発見し、泥棒の更生を助ける個人の自警団だ。警察に知らせない代わりに二度と同じ過ちを犯さないように説得する。

 盗まれた自転車は持ち主に返す。この活動は実を結びはじめ、事実首都での自転車窃盗の数は減少しているという。

盗まれた自転車を持ち主に返す”ささやき屋”

 アイスランドの首都で人口約14万人のレイキャビクは、世界的に有名なサイクリング都市ではないが、自転車での移動が増加傾向にある。

 同市では新しいサイクリング・ロード・システムを通じて、2025年までに自転車移動の割合を、全移動の10%まで高めることを目指している。

 しかし近年のこうした取り組みが、自転車泥棒の増加につながったようだ。

 2019年以降、自転車の盗難が増加しているのを目にしたビャルトマール・レオソンさん(44歳)は、自警団として立ち上がった。

 バスの運転手であり自称「自転車オタク」でもあるレオソンさんは、一度盗まれた自転車が永遠に消えてしまうことを受け入れるのではなく、自転車を追跡して正当な持ち主に返す活動を始めた。

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pixabay

警察に突き出すのではなく話し合い更生を助ける活動

 当初は、自転車泥棒に対する怒りが原動力だったという。だが今では窃盗犯たちの気持ちもわかると話すレオソンさん。

 自転車を盗む現場を発見しても、警察に突き出すようなことはしない。犯人の更生を助けるようになり「ささやき屋」として知られるようになった。

 他にも「自転車警官」、「自転車司祭」、「自転車ジーザス」など様々なニックネームで呼ばれるほど有名になった。

最初は自分の自転車を盗まれてとても腹が立ちました。

でも、あるときホームレスのシェルター(避難所)に自分の自転車があるのを見て考え始めたんです。怒りに身を任せ彼らを攻めたところで何も変わらないと。

だから警察に突き出すようなことをせず、彼ら(自転車泥棒)と平静を装って話をすることにしたのです。

 以降、レオソンさんはシェルターの住人と親しくなり、一緒に盗難自転車を探すのを手伝ってくれる人も出てきたという。

今では多くの人の協力でネットワークが完成、更生も順調

 活動を始めてから4年、レオソンさんの活躍により、数百台の自転車が引き揚げられたそうだ。

 サイクリストの間でも、自転車泥棒の間でも評判になったレオソンさんのもとには、行方不明の自転車や工具、さらには車までが集まってくる。

 なかには、頼まれもしないのに自転車泥棒が自転車を引き渡してしまうこともあり、レオソンさんの活動を手伝うようになった元自転車泥棒もいるという。

 現在、自転車を紛失した人はレオソンさんのFacebookアカウント「Hjoladot ofl. tapad fundid eda stolid」(自転車グッズなどの紛失、発見、盗難)に連絡し、レオソンさんが自転車の行方を突き止めるためにシェアするという仕組みになっている。

私だけではありません。誰かが茂みに隠れて放置されていた自転車を見つけて写真を撮ってシェアすると、「自分の自転車だ」というコメントがあったり。だから、投稿にはみんな気を配っていますよ。

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pixabay

自転車の盗難は徐々に減少

 警察の統計によると、過去3年間、市内での自転車盗難は着実に減少しているようだ。

 2021年には569件だったのが、翌年には508件、2023年の最初の11か月では404件にまで減少したという。

 レオソンさんの自警団としての活躍ぶりはレイキャビク警察の耳にももちろん入っている。署長はこのように述べている。

レオソンさんは盗まれた自転車を発見し、回収して持ち主に返すという素晴らしい仕事をしています。

警察でも自転車の盗難届はすべて調査しています。

 今では、人々の自転車が盗まれると、警察がレオソンさんのFacebookページに誘導する。もし拾得料が発生した場合は、シェルターで生活している人々に渡されるそうだ。

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 サイクリングは街で増加傾向にあるが、自転車の盗難は、公共交通機関の代わりに自転車を使うことを躊躇させ、サイクリング化の流れを完全に止めてしまう可能性があるとレオソンさんは言う。

車から自転車に乗り換えたのに、自転車が盗まれて、警察が何もしてくれないとなると、また車に戻ってしまう人もいるんです。

 レオソンさんは、自転車の盗難をする人は主に中毒によって引き起こされると推測している。

 酒や薬物などさまざまな中毒に苦しむシェルター暮らしの人々が、窃盗という犯罪をおかさずになんとかして回復への道を見つけることができるよう、レオソンさんは日々、ささやき屋として手助けをしている。

References:Iceland’s ‘bike whisperer’: the vigilante who finds stolen bicycles – and helps thieves change/ written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 15件

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  1. 私刑に加担するかと思ってたら全くもって真っ当だった

    • +11
  2. 私人逮捕ならぬ私人裁判官。
    被害者の被った不利益を勝手に無かった事に
    するのはどうなんだろう。仕方なく使った
    タクシー代とか犯人から回収したいだろ。

    • +1
  3. 良くないことだ

    犯罪の証拠の隠匿及びほう助に該当する

    回収して持ち主に返せば罪が消えるわけではない

    • +4
    1. >>6
      もう警察が協力しちゃってるんだ
      犯罪の根本原因を無くし、阻止する事が法の存在意義とするならばこの人の活動は司法よりもその目的に寄与してさえいる

      法の存在意義は飛び出た杭を叩き折る事であり、その結果むしろ犯罪が減らなくとも問題ないというならこの人とアイスランド警察の行動が大きな過ちである事になるが

      • +5
  4. 警察が認めてるのだし、いいんじゃない?
    勧善懲悪も大事だけど、犯罪を抑止できるならその方がいいと思う。

    • +6
  5. >あるときホームレスのシェルター(避難所)に自分の自転車があるのを見て考え始めた
    >酒や薬物などさまざまな中毒に苦しむシェルター暮らしの人々が、窃盗という犯罪を

    日本だと、高級ロードバイクの転売目的か、
    コンビニ前の傘立てみたいなノリで
    鍵の付いてない駐輪自転車を借りパク→目的地で乗り捨て
    という悪ガキパターンが多いイメージあるが、
    アイスランドだと傾向が異なるんだろうか。

    • +5
  6. 自転車返さなくていいから犯人も同じだけの実害と不快さを被って欲しい

    • 評価
  7. ロンドン市警は、予算不足の為に軽犯罪は捜査しないという記事が過去にあったような。

    つまり、前提として犯人を警察に通報しても警察は捜査しないので逮捕も起訴もされないからってのがあるんじゃないかな

    • +3
  8. 日本で私人逮捕流行ったけど、あれ警察にしてもただの迷惑だなんだわ。
    やってることはとりあえず捕まえたのであと全部よろしくとか警察ににいらん仕事増やしてるだけだし。

    特にYouTubeの連中、やってはいけないはずの捜査までしてんのよ。
    なのに法律的には〜とか偉そうに語ってんだけどよう言えるな。絶対法律知らんだろ。
    ってくらいレベル低いんよ。私人逮捕とかやってる連中。

    それに比べたらまだマシだと思うぜ。実際を目の当たりにしたわけじゃないけど
    本当に説得だけで自発的な行動促してるならね。

    • 評価
  9. まぁ被害者の元に盗まれた物が戻ってる前提において犯人が更生するってんなら
    わざわざ刑事罰を科してどうこうする意味は無いよな、警察の捜査力は他の事件に向けられるし
    裁判だぶち込む先だの税金も浮くし

    • +2
  10. 実際の行動は何もせずネットの記事の断片的な情報だけで断罪する人よりは全然いいよね

    • 評価
  11. その国に合った方法が実を結んだのは良い事だよ
    しかし他国が取り入れて上手く行くとは限らない

    • +2

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