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サメの驚異の再生能力が明らかに。深刻なヒレの傷が約1年でほぼ修復

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(著) (編集)

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 アメリカ、フロリダ州の海でヒレを大きく損傷していたサメが、1年でその大部分を再生させていたことが明らかになった。

 「クロトガリザメ(Carcharhinus falciformis)」という外洋性のサメの背ビレに着けた移動追跡用のタグが、何者かによって引きちぎられ、ヒレの一部がなくなってしまったことが確認されたのが2022年のこと。

 それは命にかかわりかねないひどい傷だったが、1年後には9割近くまで再生していることがわかったのだ。

 その驚異的再生能力は、サメがこれまで何度も大量絶滅を生き延びてこれた秘密の1つかもしれないという。

何者かによって背ビレを切り取られたサメ

 米マイアミ大学の研究チームが、メジロザメ属の「クロトガリザメ」の背びれに移動追跡用の衛星タグを取り付けたのは2022年6月のことだ。

 ところが、その数週間後、地元のダイバーが背びれに大怪我を負ったサメを目撃して、研究チームに一報を入れた。どうやら何者か(人間の可能性が高いという)が背びれごとタグを切除したようだった。

 研究チームのチェルシー・ブラック氏が彼から送られてきた写真を見ると、タグが取り付けられていたはずの場所は、まるでジョーズの大顎のように開いていた。

 傷は広範囲におよび、命にかかわるようなひどいものだった。だがタグがなければ追跡もできないので、ブラック氏はもうこのサメとは再会できないと思ったという。

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背びれをタグごと切り裂かれたクロトガリザメ / image credit:y Josh Schellenberg and John Moore

1年後に傷が修復されていることが判明

 ところがだ、その1年後サメは同じ海に戻ってきたのだ。そして肝心の背びれはというと、多少不格好だが、きちんと傷がふさがっていた。

 「衝撃的でした!」「泳ぎに悪影響が出たり、ひどい感染症を引き起こしかねない傷でしたから」と、ブラック氏はLive Scienceに語る。

 2022年と23年に撮影された背びれのビフォア・アフター写真からは、最初の時点でサメは背びれの20.8%を失っていたが、その後もとの形状の87%まで回復したことが確認されている。

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段が2022年(左側と右側)、下段がほぼ1年後となる2023年(左側と右側)に撮影されたもの/Image credit: Photos by Josh Schellenberg and John Moore

 『Journal of Marine Sciences』(2023年12年14日付)に寄せられたその報告によれば、クロトガリザメの背びれの修復が観察されたのは今回が初のこと。なにしろサメ全体でも2件目というとても貴重な記録なのだそう。

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背びれに大怪我を負ったクロトガリザメ(2022年7月撮影)/Image credit: Josh Schellenberg
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多少不恰好だが傷が修復しているのがわかる(2023年6月撮影)/Image credit: Josh Schellenberg

誰が一体何のためにサメのタグを切り取ったのか?

 クロトガリザメは、世界中の熱帯の海で暮らしている。流線型をした体の表面がスベスベに見えることからから、英名を「シルキーシャーク」という。

 体長は2.5mほどで、もっとも数が多い外洋性サメではあるが、乱獲のせいで国際自然保護連合「IUCN」のレッドリストでは「危急種」に指定されている。

 今回のクロトガリザメの傷は、ちょうど追跡タグの輪郭をなぞるような形であったため、人間が鋭利な刃物などで意図的に切り取ったのだと考えられている。

 その人物がなぜわざわざ追跡タグを切除したのかは定かではない。だがサメを助けようとしたわけではなさそうだ。

 ブラック氏の推測によるなら、このサメを捕らえた漁師がタグを売ろうとしたか、あるいは研究を邪魔するつもりだったと考えられるそう。

 世界にはサメを厄介者とみなす人たちもいる。そうした人たちにとって、サメの研究が進み、保全が強化されるのは都合が悪いのだ。

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2023年の再会時には口に釣り針のようなものがあった/Image credit: John Moore

サメの再生能力の秘密を解き明かすカギに

 サメの背びれの再生はこれまでほとんど観察されたことがないため、そのプロセスについて詳しいことはわかっていない。

 今回の確認された再生した背びれは、ほとんどが「瘢痕組織」(傷が治るときにできる新しい組織)だと考えられているが、解剖されたわけでもないので確かなことは不明だ。

 捕食動物であるサメの暮らしから想像できるように、捕食時の行動や仲間とのケンカなどによってよく怪我をする。

 今回観察されたような超回復力は、だからこそ進化してきたのだろうと考えられる。

 ブラック氏の推測によると、驚異的な治癒力の背後には、例えば怪我をしたとき即座に抗炎症反応が起きるといったメカニズムがあるのではないかという。

 「サメが何億年も進化を続け、何度も大量絶滅を生き延びてきたのには理由があるのです」と、ブラック氏。

 2023年2月にもホホジロザメの驚異の再生能力が明らかとなった。サメが何度も大量絶滅を生き延びてきた理由の一つは、サメの超回復力にあるのかもしれない。

References:Resilience in the Depths: First Example of Fin Regeneration in a Silky Shark (Carcharhinus falciformis) following Traumatic Injury / Shark regrows fin after it was cut by humans | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo

本記事は、海外の記事を参考にし、日本の読者向けに独自の考察を加えて再構成しています。

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この記事へのコメント 12件

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  1. タグの意味を知らない人間には釣り針もタグも同じ
    人間のせいで魚体を傷つけているモノに変わりないので
    良かれと思って取ってあげた可能性。タグをちぎった時に
    出た血に他の魚が群がって更に食いちぎられたかな。

  2. なるほど…ヒレ全取りの捨てられサメが叩かれているけれども、背ビレ半分だけいただいてリリースならなら滅ぼさずに召し上がれるということか(残虐さにはあまりかわりない発言)

  3. >サメは背びれの20.8%を失っていたが、その後もとの形状の87%まで回復した

    つまり
    怪我で背びれの大きさが元の79.2%になる
     ↓
    その後7.8%分回復して元の87%になる
    ということだよね。
    こういうのは視点を統一した方が分かりやすいと思う。

  4. 研究用だから触らんとこって前提で考えられるのは、そういう情報に触れたことがある人間だけなのかもしらんね
    んでもしかしたら、そういう情報をちゃんと獲得できる人間って、獲得できているワイが思うほど、多くはないのかも知れない
    背びれの再生能力が確認できたのは驚きだが、それとは別の方向が気になってしまうニュースだなと感じた
    すまんなぁサメよ。ワイらのせいで2度も痛い思いさせて

    1. >>5
      せやなあ

      情報を獲得できるっていうか、そういう研究の意義が正確に理解できている人、って、実は世界の半分に満たないんじゃあないかって気はするわね。

      ただ、そこは学の有無ってより、人間性?礼儀?の問題にもつながる気がしていて
      研究用のタグってわからなくても、それが人工物だってことはわかるだろうから「このサメ使って何かやってる奴がおんねんな」って獲るのをやめる人もおるやろし、「知ったことか」な人もおるやろし。そこは、情報獲得の可否とは離れた問題かも知れんよね

      タグだけ切り取ったこの件について言うなら、やったのはタグの意味を知ってる、それなりに学のある人間なんちゃうか、とは思うのよ。知らんけど。

      なおワイ、
      サメを殺さずにフカヒレの養殖ができるのでは?
      って考えた模様。
      …今の時代、これも怒られそうや。。。

    1. >>6
      サメに倣ってちょっと頭皮に傷入れてみてはどうか?

      私は提案するがやむを得ないと思ってるのでサメの真似はしないw

  5. サメさんは歯もホイホイ生え変わる上に
    ヒレも再生するなんてズルい!

    1. >>11
      サメの歯は脆いし、直ぐ抜けたりするからう羨ましくないでしょ💧

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