
だが、晩年にようやく救助され、保護区に移り住むことになった。そこでこの馬はで最高の親友に出会うこととなる。
わずか1年間だけだったが、馬生の最後に充実した時を過ごして、天国へと旅立っていった。
その短い間に強い絆を育んだ親友の馬は、仲間の死に5年ほど激しく落ち込んでいたが、最近ようやく立ち直ることができたようだ。
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Lonely horse makes a friend in her final year
17年間、暗い納屋に閉じ込められ孤独に暮らしてきた馬
2017年7月、アメリカ・ニューヨーク州バイロンで、虐待や飼育放棄された家畜を救済し、保護する非営利団体の保護区『Mockingbird Farm Sanctuary』が、メスの馬“ギジェット”(当時29歳 メス)を救済した。ギジェットは、イギリス原産で、赤茶毛と栗毛の毛並みを特徴の大きな馬、サフォークパンチ種で、持久力に優れ、頑丈なため、農場での労働や荷馬として使用されることが多い。
ギジェットが、どのような経緯で高齢の所有者のもとに飼われることになったのかは不明だが、12歳の時に連れてこられ、以降暗い納屋の中で17年間、ずっと孤独に暮らしてきたという。
保護区に救出され、心を通わせる親友と出会う
保護区の創設者ジョネルさんは、ギジェットが長い間、他の馬や人間とさえ顔を合わせていないことを知り、心を痛めた。ギジェットの高齢の所有者は、オーツ麦を給餌シュートから餌箱に流しこんで餌を与えていただけで、ギジェットと触れ合いを持っていなかったようだ。
何年も孤独に耐えて生きてきた後、ついにギジェットは保護区へと救出された。
保護区への引っ越しの当日、ギジェットはトラックから降りて農場に足を踏み入れた瞬間、目を輝かせた。
ギジェットは、広々とした敷地内を走り回った。その姿は、とても美しかった。
そして、孤独だったギジェットに念願の友達ができた。ミニチュアホースのペギー(メス)だ。
大きさの違う2頭だったが、すぐに意気投合し、親友の絆を育むのに時間はかからなかった。
保護区に移り住んで以来、ギジェットは愛に囲まれ、最高の親友を得て、とても幸せな晩年を過ごした。
虹の橋のたもとへ旅立ったギジェット
馬の平均寿命は25歳〜30歳と言われている。ギジェットは保護区に来た時にはすでに高齢だった。保護区へきて1年も経たない2018年の春、30歳の誕生日を保護区のみんなに祝ってもらったギジェットは、最後の1年で得た最高の思い出をもって、天国へと旅立っていった。
だが、ギジェットの死は、ペギーに大きなショックを与えた。親友の死を認識したペギーは、鳴き声をあげ、深い悲しみに暮れた。
ペギーは、ギジェットが住んでいた納屋の前から離れようとしない。
ギジェットが着けていたホルターに頭をくっつけ、「はやく出てきて一緒に遊ぼうよ」というかのように、ずっとそこで待ち続ける姿は、スタッフの心を痛めた。
ペギーの落ち込みは激しかった。
やがて、ギジェットの死はペギーの心身に影響を与え、体は炎症を起こし、突然歩けなくなるまでに弱ってしまった。また、蹄葉(ていよう)炎に苦しむようになった。
ペギーになんとかギジェットの死を乗り越えて、元気を取り戻してもらいたいと思った保護区は、新たに保護したロバのペアをペギーに紹介したが、うまくいかなかった。
ギジェットの死から5年後ついに立ち直ったペギー
ギジェットの死が原因で、ひどいうつ病に陥ってしまったペギーを、ジョネルさんはとても心配していた。しかし、ついにペギーは立ち直ることができた。ギジェットの死の数年後、保護区が受け入れた別のミニチュアホース“バーボン”(オス)と意気投合し、友情を育むようになったのだ。
Grieving horse finally makes a new friend
バーボンも、過去はギジェット同様、他の仲間と一緒に過ごしたことがなく孤独だったそうだ。
もしかしたら、ペギーはバーボンにギジェットと似た何かを感じたのかもしれない。
今、ペギーはまだ蹄葉炎を患っているが、バーボンのおかげで、健康状態は今後良くなっていく可能性があるという。
ジョネルさんは、「もしペギーに言葉を伝えることができるとしたら」と前置きし、このように語った。
とにかく、ペギーが悲しみを乗り越えてここまで回復できたことをよくやったね、って言ってあげたい。きっとギジェットも、虹の橋のたもとでいつかペギーに会えるのを、楽しみに待っていることだろう。
そして、私たちに「悲しい時には思いっきり悲しんでもいいんだ。辛い時には自分の心に正直になっていいんだ」って教えてくれたことを、感謝したいです。
ペギー、あなたはひとりぼっちじゃないよ。(ジョネルさん)
References:Horse All Alone For 17 Years Makes a Friend in Her Final Year/ written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1.
2. 匿名処理班
友の死で心も体も苦しむのならダチョウくらい馬鹿な方が生きていけるんじゃないかと思ってしまう
3. 匿名処理班
今年50歳
若い頃のような体力がなくなってきたので
持ち物を処分して
老い支度&終活はじめました
死ぬ前に身軽になっておきたい
4. 匿名処理班
最後に素敵な思い出をつくれてよかった。動物の心の中を人間が完全に理解するのは不可能だけど、純粋でやわらかい部分は確実にあると思います。
5. 匿名処理班
劣悪な環境にいた、親友同士の山羊のシドと牛のレムを助けてくれた人達だ。
現実は厳しいが、また動物が救われてうれしい。
6. 匿名処理班
雑に飼われていたように書かれているがすごい長生きだな
7. 匿名処理班
ヨーロッパでは
草食動物の単独飼育は禁止らしいね
理由は「草食動物は集団で生きるので
ひとりだと寂しくなってしまうから」だそうです
8. 匿名処理班
触れ合いもせずただエサをあげるだけを17年間も続けた老人は何がしたかったんだ?
9. 匿名処理班
2匹とも悲惨なまま終わらずに良かった。
10. 匿名処理班
こんな記事で洒落をいうのもなんだけど、
不思議なくらい馬が合っちゃう相手ってのが人も動物もあるもんなんだね
孤独が長い人生の中で、ギジェットがそんな相手に一度でも出会えたことが本当によかったと思う
11. 匿名処理班
泣くわこんなん
12.
13. 匿名処理班
>>8
恐らく、知り合いから押し付けられ処分も世話もめんどくさかった という所でしょうね
14. 匿名処理班
孤独だった17年を遥かにこえた
満ち足りた1年だったのだと思う
残された親友の喪失感と痛みが新しい親友との絆のなかで癒されて楽しく穏やかな時間をすごせますように
15. 匿名処理班
走り出す動画、本当に綺麗だったな
ギジェットさんの辛い記憶もきっとペギーとの出会いでいくらか和らいだことだろう
16. 匿名処理班
人間で言えば17年間ずっと独房に閉じ込められてた様なもんだろ?
ウマは物言わんからその心理はわからないけど、人間なら発狂しててもおかしくない虐待。
どうしてそんな扱いをしたんだろう?
17. 匿名処理班
飼い主は一体何がしたかったんだ
18. 匿名処理班
犬とかでもこういう飼い方してる人たまにいるよな
餌と水をちゃんとやって死なないようにはしてるけどそれだけ
家の裏の誰も通らない場所などに繋がれてただ生きてるだけの動物は、何の刺激もない毎日を繰り返して死んだ目をしてる
飼い主が高齢とか事情がある場合もあると思うけど、ああいう飼い方は虐待にあたるというという認識がもっと広まってほしい
この馬は最後の短い時間でも楽しい思いが出来て少しは救われたと思う
19. 匿名処理班
>>16
動物の1日や1年って5日とか言われたりして、人間とは体感や重みも違うから、考えるだけで余計苦しいです。それでも閉じ込めた人間も恨んでないだろうな。身近なペットにとって1日は人間の何倍も生きてるから大切に生きていきたいですね。最後の1年は本当に素晴らしい日を過ごしていたと思いたい。
20. 匿名処理班
『ギジェットの日々』 (´;ω;`)ウッ…
21. 匿名処理班
馬は大きいし
犬猫みたいにごく普通の一般人にとって
馴染み深い動物ではないし
専用の飼育施設が必要だし費用もかかる
牧場経営者や乗馬クラブ等の専門家じゃないと
飼うの無理だろうな
22. 匿名処理班
17年間、本当に閉じ込められていただけだったら、いきなりそんな風に走れないと思うんだ。
その部分は誤解か脚色があると思うよ。
けどまあ、親友に出会えたのはよかったね。
23. 匿名処理班
馬のことよく知らないけど綺麗な顔してるし老齢には見えない。。。
安らかに眠ってくれ…。
24. 匿名処理班
>>8
日本でも外に繋ぎっぱなしの犬はわりといる気がする。散歩もされず。
25. 匿名処理班
幽閉から開放されたとき
駆け回るだけの脚力が残っていて
本当に良かった
その後の出会いの連鎖も
BGMはqueenの
You’re My Best Friendで
26. 匿名処理班
>>2
泣きながら笑っちゃったよ ありがとう
27.