
10の画像には、2000年以上前の文章だけでなく、死後の世界の様子や、冥界の神々のイラストが示されている。
この『死者の書』のパピルスは、ジョセル王の階段ピラミッド近くの墓の棺の中から見つかり、1月14日のエジプト考古学者の日に発表されたが、その画像が一般に公開されたのは初めてだ。 古代エジプト人がその亡骸と一緒に『死者の書』を埋葬することは珍しくないが、当時はこの巻物は『死者の書』とは呼ばれていなかった。
死者を死後の世界に導くのに役立つと古代エジプト人が考えた文書だとして、むしろ、現代の考古学者が『死者の書』という言葉を作り出したのだ。
エジプト観光考古学省がFacebookに投稿した、新たに公開された10の画像を見ていこう。
1. 死者のためのパピルス

image credit:Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
2022年5月にサッカラで発見された、長さ16メートルものこの巻物の中には、『死者の書』の章が含まれている。最近、修復されて、アラビア語に翻訳されたものが、カイロのエジプト博物館に展示されている。文章は、象形文字から派生した神官文字、ヒエラティックで書かれている。
2. すべて巻かれている

image credit:Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
このパピルスは、アーフメス(古代のファラオ「アフメス」とは別人)という名の男性の棺の中に、きっちりと巻かれた状態でおさめられていた。パピルスの中に、この男性の名前は260回出てくるという。この人物は、アレクサンダー大王の将軍の子孫のひとりであるファラオの王朝、紀元前300年頃のプトレマイオス朝の始めに生きていた。
3. 慎重に巻物を広げる

image credit:Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
このパピルスを破損することなく広げることができるように、研究チームは徹底的に保存作業を行った。アーフメスの墓は、紀元前2630年から2611年までエジプトを統治していた、第3王朝のジョセル王の階段ピラミッドの南にある。
このピラミッドは、アーフメスの時代よりもかなり前に建てられたが、古代エジプトでは、大昔に亡くなったファラオのピラミッド近くに自分も埋葬されたいと望むこともあったため、アフメスの墓が近くにあるのは不思議なことではない。
4. 巻物の分析

image credit:Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
広げられた巻物の写真。黒と赤のインクで書かれていて、その筆跡から、専門家によって書かれたことがうかがえる。この巻物も長いものだが、もっと長い『死者の書』も知られている。例えば、イギリスの大英博物館にある『死者の書』は長さが37メートルもある。
5. 『死者の書』の公開

image credit:Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
カイロにあるエジプト博物館で公開されている広げられたパピルス。
6.死者の書に描かれた 古代のイラスト

image credit:Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
この『死者の書』にはイラストも含まれている。この画像は、古代エジプトの冥界の神「オシリス」を描いている。エジプト神話では、オシリスの死後、その命は儀式によってよみがえったという。古代エジプト人は、自分たちの死後もそうなることを望んでいたのだろう。
7. オシリス神

image credit:Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
オシリスについての詳細を表した部分。オシリスが、アテフという王冠をかぶって王座に座っている。オシリスはこの王冠をかぶった姿で描かれることが多い。その前には、供物が置かれ、アメミットという生き物がいるように見える。
これは、死後、儀式でよみがえる価値のない人間を食ってしまうという神だ。
8. 供物とエジプトの神々を崇める夫婦

image credit:Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
この画像は、供物とエジプトの神々を崇める夫婦を描いているようだ。アーフメスとその妻と思われる(妻の名前は不明)。アーフメスについては、あまり知られていないが、自分のために『死者の書』のコピーを作らせることができる十分な財力があったようだ。
9. 供物としてささげる牛を導く

image credit:Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
『死者の書』のこのセクションには、たくさんの場面が描かれている。左端は、牛がどこかへ連れていかれる場面のように見える。おそらくは供物して捧げられるのだろう。冥界を航行する舟が描かれていることも多い。
10. 羽の重さと天秤にかける

image credit:Egyptian Ministry of Tourism and Antiquities
この画像は、オシリスの前に座る、古代エジプトに伝わる幻獣の一種「アメミット」を描いていると思われる。古代エジプトの神話では、死者の心臓は、真実、正義、秩序の神マートの羽の重さと天秤にかけられる。
故人の人生において、悪行のほうが大きければ、心臓は羽よりも重くなり、アメミットはその死者を貪り食ってしまうという。
References:See photos of stunningly preserved 52-foot-long Book of the Dead papyrus from ancient Egypt | Live Science / written by konohazuku / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
リメイクシートにして100均で売ってほしー
2. 匿名処理班
巨人族かな
3. 匿名処理班
これ声に出して読み上げたらイムホテップが復活するから気をつけた方がいい。
4. 匿名処理班
よくパピルスなんて脆い紙がこんな綺麗に残ってるよなー っていつも思う
5. 匿名処理班
>>3
なつかしのハムナプトラですな。
ブレンダン・フレイザーは、いまや別人となってしまいました...
6. 匿名処理班
3000年前の書物が出てくることも驚きだし、当時にこんなに発達した文明があるのも驚きだし
日本人なんかドングリと貝食ってウホウホしてただけだし
今の時代と変わらない知識人が居たんでしょうね
7. 匿名処理班
37mの巻物をくるくる巻いたらトイレットペーパーみたいな感じになるのかな。
そんなに分厚くなっちゃったら忍者が咥えられないよ。
8. 匿名処理班
>>1
高額な死者の書を100円ショップで買えたら
あっちの世界に逝ったエジプト人はいい時代だと
涙するぜ
9. 匿名処理班
>>4
1900年頃からの紙のほうが、昔の紙より弱いのよね。
インクの滲み止め剤が紙によく使われてたんだけど、
それが劣化すると硫酸になっちゃって、紙をボロボロにしちゃう。