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北極リスを研究することで宇宙飛行士が冬眠できるようになるかもしれない

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(著) (編集)

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 今、NASAの科学チームは北極に生息するリス「ホッキョクジリス」を研究している。宇宙とはまったく関係なさそうなリスを、彼らはなぜ研究するのだろう?

 その答えは、リスが「冬眠」するからだ。人間が寝たきりになれば、骨や筋肉が衰えてしまうが、冬眠するリスにはそれを防ぐ秘密が隠されているはずだ。

 お隣の惑星である火星でさえ、地球からの片道は250日もかかる。その間、狭い宇宙船に閉じ込められるのでは、宇宙飛行士の健康に悪いし、食料や空気などの資源も無駄だ。

 もしもその間ずっと眠っていられるのなら、そうした問題は一気に解決するかもしれない。だが本来冬眠などしない人間は、本当に安全に眠り続けることなどできるのだろうか?

冬眠と睡眠の違い

 NASAが研究している「ホッキョクジリス」は、1年のうち9ヶ月を眠って過ごすことで知られている。なんと冬眠する彼らの体温は、マイナスにまで下がるという。

 冬眠はただの眠りではない。それどころか私たちが夜におこなう睡眠とはまったく違うものだ。

 夜の睡眠は休んでいるようで、じつは脳が活性化しており、とても活動的だ。

 ところが冬眠では、脳の活動が大きく低下する。体温も下がり、ホッキョクジリスのように氷点下を下回ることすらある。細胞分裂は止まり、心拍も1分間に2回程度まで下がる。

 それなのに、冬眠から目を覚ました動物たちは、特に体を壊すこともなく、眠る前と同じように元気になる。

 これが人間ならそうはいかない。たとえば昏睡や寝たきりがずっと続けば、体を使わないせいで筋肉や骨が弱くなり、内臓も衰える。

 微小重力下にいる宇宙飛行士と同じように、さまざまな後遺症に悩まされることになるのだ。

 もしも北極のリスが安全に冬眠できる秘密がわかれば、長期的な宇宙ミッションで宇宙飛行士を安全に冬眠させられるかもしれない。

 20年以上動物の冬眠の謎を追い求めてきたアラスカ大学フェアバンクス校のケリー・ドリュー教授がNASAから助成金を受けたのは、それが理由だ。

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冬眠中のリスを抱く研究者 / image credit: Todd Paris/University of Alaska

 「この研究は、医学的に導かれた冬眠の極限状態、閉所性発熱、電離放射線など、長期的な宇宙ミッションで懸念される諸々から宇宙飛行士を守れる可能性があります。無重力のせいで衰えてしまう筋肉や骨を守るうえでも有効かもしれません」と、NASAはプレスリリースで述べている。

宇宙ミッションで冬眠するメリット

 冬眠のいいところは、リソースをグッと節約できることだ。

 今、もしも人間が火星に行くなら、到着までの数ヶ月の間、宇宙飛行士は小さな船内にじっと座って、食べ物・水・空気を消費し続けねばならない。

 また微小重力下で活動が制限されることから、体もだんだんと衰えてしまう。

 もしもホッキョクジリスのようなまったく副作用のない安全な冬眠が実現するのなら、そうした長期的な宇宙ミッションで起きる問題は一気に解決される。

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冬眠中のリスを抱く研究者 / image credit: Todd Paris/University of Alaska

 また冬眠は、宇宙ミッションで役立つだけでなく、心臓発作や脳卒中など危険な状態にある患者を守ることもできるかもしれない。

 「つまり、脳卒中や心臓発作を起こした人が病院で治療を受けるまでの間、医療行為として冬眠させるのです。それによって代謝が遅くなるので、治療効果を大幅に改善できるかもしれません」と、NASAは説明している。

References:Could NASA’s Studies on Hibernating Squirrels Help Astronauts? | NASA / NASA astronauts could hibernate in deep space thanks to squirrels | Space / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 28件

コメントを書く

  1. 冬眠が安全って前提で話が進んでるのが気に成った
    結構リスクあるんじゃなかったっけ?
    可能な動物でも冬眠に失敗する事あるって聞いた気がしたけど違ったっけ
    冬眠は割と命懸けってイメージだったぞ

    • +6
    1. >>1
      宇宙探査とかで人間を人工冬眠させても、コスト的に起きてるのとそう変わらないんじゃないかっていう研究結果も出てるらしいね。
      SFのように冷凍して代謝から何から皆止めて年取らないような状態ならいざ知らず、単に動物の冬眠レベルなら昏睡と変わらんようなもので、そう言うので長時間過ごした挙句、起きた後のリハビリとか考えるとむしろ高コストじゃないかという話もあるとか。

      • -1
      1. >>10
        だから記事の通りに「安全な冬眠」についてをリスの研究を通して模索しているのでしょ?

        • +2
        1. >>17
          いや、安全かどうかじゃ無くて、冬眠してても人間位のサイズだと起きてるのとかかるコスト等がそんなに変わらないから、人工冬眠させてもあまり意味が無いんじゃないかって話になってきてる。
          完全に凍らせる冷凍睡眠は人工冬眠とはまた別の話だし。

          • 評価
  2. 日本でネズミを冬眠させるたんぱく質を作らせる遺伝子のスイッチが見つかったそうだ
    応用で恒星間飛行、重篤患者を眠らせての治療、寝たきりの筋力低下防止などができそう
    あるいは欝、アルツハイマーに…(代謝低下で無理か)
    片道の時間旅行にも、食料難には国民の半分を寝かして…どちらもSFネタだけど可能になる

    まあ、ともかく冬眠したいくらい眠いのが徹夜明けだ
    あの眠さが取れる研究もしてくれ

    • +2
    1. >>4
      『筑波大学の櫻井武教授は、マウスの脳内のQニューロンという神経細胞群を刺激することでマウスを冬眠状態にすることに成功した。冬眠状態になると代謝が低下、これを救急医療に応用すること考えているという。怪我などの際に体内活動を抑えることが出来れば身体の損傷を抑えることが出来、不慮の死を減らすことが出来るのだ。』

      • 評価
  3. 哺乳類を生かしたまま仮死状態に陥らせて復元できるかは難しい所だな
    数百年単位の宇宙旅行をするなら遺伝子と記憶を保存して現地で再構成する方法を模索した方がいいかもしれない

    • +1
    1. >>5
      哺乳類に応用できればの話ですが、クマムシを研究するのも手かもしれませんね

      • +1
    2. >>5
      その年月の間に地球では高速移動の技術が開発されてしまって先に行ったのが無駄になってしまうとかありそう

      • +4
  4. 厳しい環境で生きるならそれくらい獲得しないとだよな
    宇宙なら言わずもがな

    • +3
  5. 安全面に問題がないと仮定して、
    流石にコストはそう安くならないだろうけど
    もし普通に過ごす生活費より安く済むなら
    1年の中で厳しい真夏や真冬の時期は冬眠したい
    大幅に節約可能ならフリーター程度でも生きていけそうだし

    • +3
  6. その瞑想状態の中で精神的にいいことありそう

    • 評価
  7. 進化の過程で失われた機能は再獲得できないんでは?

    • +1
    1. >>13
      進化不可逆の法則を言っているならそれは誤解だ。
      進化の過程で冬眠の機能を失ったとしても、必要になれば別の仕組みで冬眠に近い機能を獲得することはできる。

      • +2
  8. リス
    「隠れてるから冬眠できるのであって
     宇宙だと丸見えだから食べられちゃうぞ」

    • 評価
  9. 人間の肉体は地球専用な訳で、例え冬眠させても(この方法は太陽系内限定だろう)遠すぎる系外宇宙ではあまりに脆弱すぎてハイリスクで非合理的
    どうせSFアイデアの実現を試みるなら、人間の心だけを電気信号に変換して機械ボディで宇宙に持ち出し(宇宙移動中はスイッチオフ)、その後宇宙からの帰還が成功してその時まだ地球と人間があったら最新技術で体験した記憶を取り出せばいい

    • -4
    1. >>19
      話を突然突拍子もない方向に飛ばすのは造像力豊でいいけど、記事は「冬眠の研究」についてなんです
      ついでに記事にもあるように脳卒中や心臓発作の発生時に一時的に冬眠状態にして望みを繋ぐ手段としても悪くないと思いますよ?

      • 評価
      1. >>23
        いやだから、研究主体はNASAw医学系研究機関ではなくw
        しかも >>「長期的な宇宙ミッションで懸念される諸々から宇宙飛行士を守れる可能性があります。無重力のせいで衰えてしまう筋肉や骨を守るうえでも有効かもしれません」と、NASAはプレスリリースで述べている。 以上本分より抜粋

        つまり19は冬眠の「目的」に対してその実現に一番合理的な手段は?という論理だてです。それは決して冬眠じゃないないだろ、と。突拍子もないわけでは「全くない」ですよw

        • -3
        1. >>24
          今のところなんの目処も立っていない精神の電子化より現象として観測されている冬眠反応の方が明らかに導入可能性高いし合理的だと思うけど
          お前の言ってるのは核融合発電研究するくらいなら反物質エンジン作ったほうがいいとかそういうレベルの世迷言だぞ

          • +2
          1. >>27
            太陽圏内各惑星への距離とその航行にかかる時間、圏外宇宙へのアプローチにかかる距離と時間。そしてその間に被曝する宇宙放射線量
            当然分かってますよね?w
            その間、「地球専用」の脆弱な肉体が無傷で保てると?w
            (もう一度言いますがw)太陽系内は可能でしょうがw

            • -3
          2. >>29
            どんどん話を勝手に肥大化させて、恥をさらしていくスタイルに見えて仕方がない。あと本文引用
            ——————
            > それなのに、冬眠から目を覚ました動物たちは、特に体を壊すこともなく、眠る前と同じように元気になる。
            >
            > これが人間ならそうはいかない。たとえば昏睡や寝たきりがずっと続けば、体を使わないせいで筋肉や骨が弱くなり、内臓も衰える。
            >
            > 微小重力下にいる宇宙飛行士と同じように、さまざまな後遺症に悩まされることになるのだ。
            >
            > もしも北極のリスが安全に冬眠できる秘密がわかれば、長期的な宇宙ミッションで宇宙飛行士を安全に冬眠させられるかもしれない
            ——————
            この部分の日本語が理解できれば、なぜリスの冬眠を研究をするのかが理解できると思います

            • 評価
        2. >>24
          自分の小さな考えが絶対で記事の内容と研究の意図を何一つ理解できていなくて草

          • 評価
  10. あるいはこのリスを宇宙飛行士として訓練するか

    • +6

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