
すでに電流で透明度を調節するスマート窓ならすでにある。だがイカ式液体窓は、ただ室内に入る光を調節するだけでなく、その波長や強さといったところまで細かくコントロールできる。
このイカした特徴を利用すれば、太陽光で室内を明るく照らしながら、熱だけ遮断するなんてことができる。その省エネ効果は大きく、建物の冷暖房や照明のエネルギーを半分にできてしまうそうだ。
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擬態の名手、イカの皮膚に着想を得た「液体窓」
カナダ、トロント大学の研究チームが開発した「液体窓」は、イカのようにパッと色が変化させる生物をヒントに作られたものだ。液体窓といっても、本当に液体なわけではない。透明なプラスチックシートを重ねた構造になっており、そのスキマに液体を流せるようになっているのだ。

太陽光を細かく調節することで室内の明るさや温度を変化
部屋に入ってくる光を調節するには、液体に色素や粒子などを混ぜて、いらない光をカットしてやればいい。通す光の種類を変えたシートを何枚も重ねておけば、それらを組み合わせることで、室内に入ってくる光の強さや波長などを細かく調節することができる。
だから部屋を外の光で明るく照らしながら、熱だけ遮断するなんてこともできる。

光熱費が50%削減できる可能性
コンピューターモデルで液体窓の省エネ効果を調べてみたところ、近赤外線(つまり目に見えない光だ)の透過率を調節する層が1つあるだけで、冷暖房や照明のエネルギーを年に約25%省エネできることがわかったという。さらに可視光を調節する層もくわえれば、省エネ率は50%にもなる。
トロント大学のラファエル・カイ氏は、「建物は室内の冷暖房や照明のためにたくさんのエネルギーを使っています。建物に入る太陽エネルギーの量・種類・方向を戦略的に調節できれば、光熱費を大幅に削減できるのです」と、プレスリリースで述べている。
この研究は『PNAS』(2023年1月30日付)に掲載された。
References:Liquid windows’ inspired by squid skin could help buildings save energy / Squid skin-inspired liquid windows help buildings save on energy costs / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
元よりガラスは液体だったはずだが
2. 匿名処理班
これ何で昔から誰も商品化してないんだろう?
トイレとかで透明から見えなくなる変わるガラスがあるのだから売ってそうなのに。
3.
4. 匿名処理班
どんな見た目(色)なのかな?玉虫色みたいなのだとちょっとイヤだなw
透明でなくて何らかの色はつくんだよね
5. 匿名処理班
ヒュー!イカしてるじゃねーか!
6. 匿名処理班
まあ中東の王族が肝いりで作るスマートシティの窓とかに使われるかもしれない
7. 匿名処理班
>>5
冷やかしてはイカんぞ。
8. 匿名処理班
787の窓とは違うのか
9. 匿名処理班
イカと言ったら足が速い(腐りやすい)ので有名だけど、このイカ窓の機能維持コストはどれくらいなんだろうね。
10. 匿名処理班
これがスプラトゥーン3ですか
11. 匿名処理班
イメージとしては窓にミラージュコロイド機能搭載したような感じかな?
12. 匿名処理班
>>2
窓に電気配線通すのが面倒だからじゃないかな。
スライド式の窓には電線繋ぎにくいし。
透明トイレは故障して丸見えのまま変わらなくなってしまったので、信頼性を考えると窓ガラスに機能を追加しすぎるのも問題あるのかも。
交換するのも大変だろうし。
13. 匿名処理班
>>1
その説はもう否定されつつあるよ
14. 匿名処理班
こういう記事を見て毎回思うのは全然実用化されないのが悲しい。
今まで沢山の素晴らしい実験結果記事を見てきたけど実用化されたものが全然ないよね。
いつになったら実用化されるのか、、、
15. 匿名処理班
こういうの凄く良いと思うんだが、恐らく問題はコストと耐久性なんだろうな