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3000年前の「願いの井戸」が発見される。中には様々なお宝が入っていた

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(著) (編集)

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 ドイツ、バイエルン州の町で発掘を行っていたところ、古代の井戸が70あまりも見つかった。中でももっとも最近に見つかった井戸から、お宝が出てきたのだ。

 すべての古代文明にとって、水は人間の暮らしを支え、農業の成功を維持するための重要な資源だ。だから、自然の水源は神聖化され、儀式の対象となった。

 その地域にある泉は、石で補強されて井戸となり、まわりに人々が集うコミュニティになっていった。

 願い事を唱えるとかなうと言われる「願いの井戸」は、有史以前からヨーロッパの民間伝承につきものだ。

 願いの井戸の魔法の仕組みは、人々が銅や銀などの金属を入れることで機能した。水に殺菌効果が得られるのだ。

青銅器時代の遺物がたくさん出てきた願いの井戸

 ドイツ、バイエルン州フュルシュテンフェルトブルック地区のゲルメリンクでは、2021年から発掘調査が行われている。

 ここは、9000年前に最初に人が住み始めたことがわかっていて、4000年以上農業が営まれていたことを示す証拠がある。

 現在までに、おもに青銅器時代と中世初期にかけての70を越える井戸と、1万3500点の遺物が見つかっている。

 しかし、今回新たに発見された井戸ほど、貴重なお宝が出てきたことはこれまでなかった。

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ゲルメリンク遺跡で発掘された願いの井戸 / image credit:Marcus Guckenbiehl/ Bavarian State Office for the Preservation of Monuments

 新たな配送センターの建設中に、考古学チームは、内部が木ででてきている深さ5メートルの井戸を発見、発掘した。

 井戸の底がまったく損なわれずに残っていることがわかり、そこには、およそ3000年前に投げ込まれたと思われる青銅器時代の儀式用遺物の山が眠っていたのだ。

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井戸の底から出てきた中世の陶器の一部 / image credit:Marcus Guckenbiehl/ Bavarian State Office for the Preservation of Monuments

豊作を願い井戸へ宝物を貢ぐ

 バイエルンの研究者が井戸の底の堆積層を調査したところ、装飾が美しい鉢、カップ、ポット類が70あまりも出てきた。

 これらは、青銅器時代中期に副葬品として墓に納められたものと同じようなタイプのものだ。

 これら容器はひとつひとつ細心の注意を払って井戸に納められたようで、完全に無傷なものが多かった。

 さらに、衣類につけるブロンズのピン、金属のコイルのようなもの、金属が巻かれた動物の歯のペンダントなども出てきた。

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ゲルマリンクで建設工事中に見つかった井戸 / image credit:Marcus Guckenbiehl/ Bavarian State Office for the Preservation of Monuments

 バイエルン州遺跡保存局のマティアス・プファイルは、今日でも人々は願いがかなうことを祈って井戸や噴水にコインを投げ入れる習慣があると話す。

 3000年前の人たちが、井戸の中に貴重品を捧げた理由ははっきり特定できないが、豊作を願うための捧げ物だったのではないかと専門家は言う。

 井戸の堆積物を分析したところ、およそ3000年前に井戸に遺物が捧げられたとき、地下水が大幅に減少していたことが明らかになった。

 長い干ばつと不作のせいで、周辺の人々が水を求めて多くの高価な遺物や陶器を供物として捧げ始めたと推測される。

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井戸から回収された、ブロンズの衣類用ピン、金属製のコイル、金属がまかれた動物の歯 / image credit:Marcus Guckenbiehl/ Bavarian State Office for the Preservation of Monuments

願いの井戸に金属を投げ入れることで殺菌効果

 ゲルマン人やケルト人は、泉や井戸を神聖な場所と考えていた。そのため、精神的な守護者として、神や女神をかたどった木製の像を水辺に建てることがよくあった。

 ゲルマン民族は、打ち負かした敵の甲冑や武器を、捧げ物として沼地や水源に投げ込んだ。これは、歴史家たちの多くが、こうした習慣が魔術をもつ願いの井戸に関する儀式の源であると考える理由だ。

 井戸にコインを投げ込むことは”幸運”だという迷信があるが、その人の願いがかなうかどうかは、コインがどのように落ちるかによるという。

 一般に、投げたコインが表を上にして着地すれば、井戸の神聖な守護者が願いをかなえてくれるが、裏だとかなわないらしい。

 しかし、ここで主張されている迷信くさい説はさておいて、古代の人たちは知らず知らずのうちに、銅と銀の両方による殺生物特性、つまり殺菌効果を利用していたのではないかと専門家は考えている。

 伝統的にコイン鋳造に使われるこのふたつの金属は、十分な量があれば、不純物の多い水を殺菌する作用があり、飲み水として安全に使えるようになるため、より”幸運”になるといえるかもしれない。

References:Magical-Mechanics Discovered In 3,000-Year-Old Wishing Well / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 23件

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  1. 沼みたいに生贄のミイラとかは出てこないよな?

    • +1
  2. 水関係に投げ銭したくなるのは日本と同じなんだな。

    • +2
    1. ※3 植物園の温室の池に硬貨がけっこう入ってるの、ホント不思議だよね。

      • +1
      1. >>9
        デパートや商業施設の中の池にも小銭がたくさん入っていた。
        清掃の人のチップになるんだろうか

        • +1
        1. >>16
          日本国内では、拾得物として警察に届ける必要がある、また往々にして届け出時の名義(誰が届けたか)は事業主になるので一定期間後に正式に取得者にものになった場合でも事業主の雑収入となるんじゃないかな。

          君の住んでる国では、清掃者の個人的なチップになるのか、日本国内ではそれをやると窃盗もしくは業務上横領または遺失物等横領罪となるのでやってはいけない。

          日本国内では、
          窃盗罪を犯した者は、刑法235条により、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。
          業務上横領罪を犯した者は、法定刑は10年以下の懲役である。
          遺失物等横領罪を犯した者は、法定刑は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料である。

          初犯であれ、窃盗や横領は逮捕案件であり前科が必ず付く事を考えれば、泉の貨幣をちょろまかすにはリスクが大きく人生に影響を及ぼしかねない。
          日本国内ではしないほうが良いでしょう。

          • -1
    2. ※3
      個人的には「トレヴィの泉」のマネをしているのだと思ってます。 Wikipedia によると『後ろ向きにコインを泉へ投げ入れると願いが叶うという言い伝えがあり、投げるコインの枚数によって願いが異なるとされる。コイン1枚だと再びローマに来ることができ、2枚では大切な人と永遠に一緒にいることができ、3枚になると恋人や夫・妻と別れることができると言われる。』とのこと。
      昔から有名な観光地だから、昔のハリウッド映画などで日本でも泉や池を見て同じことをしたくなったんじゃないかなと。

      ※6
      ※8
      昔は緑青は猛毒だといわれていましたが、そうでもなくて中毒になるほどは溶け出さなかったんじゃないかなと思います。銀も銀イオンに強力な殺菌作用があって、銀の容器に入れた水が腐らない→聖水の言い伝えのもとになったという説を読んだことがあります。

      • +5
  3. 昔の人がその殺菌効果にどうして気がついたのか考えるとすげえなって

    • +1
    1. ※4
      多分だけど殺菌効果のない井戸の周りの人が死に絶え
      ある井戸の周辺だけが栄えたので
      金属を入れることが正しいとされたんだろう

      • 評価
  4. 銅からのサビで逆に毒とか出ない?平気なのかな緑青とか

    • +4
  5. 洗い流すということで水には清いイメージがあるし鏡のように映るし、洞窟や池はあの世や異世界に繋がっていると考えられたので、井戸は神秘的な場所と思えるんだろう
    現代でも井戸に落ちたら異世界や過去の世界に繋がっていたって創作はよくある
    神様に願うというなら対価としてお金や高価なものを入れ、怒りを鎮めるというならもっと尊いものをと生贄を捧げるわけだ
    日本で井戸から死者が這い上がってくる創作が多いのは、実際に死体が投げ捨てられることが多かったとかなのかな?

    • +1
    1. >>11
      うなわけあるかい
      井戸は近所の人達が毎朝水汲みしてる場所だぞ

      • +5
  6. 「水を殺菌する作用」って非常に重要なものだよね。
    現代日本に住んでいると実感する機会が少ないが、蛇口から出た水をそのまま飲んで健康被害がないというのは、現代においても例外的なことだし、ほんの1世紀前くらいまでは日本も含めて「不衛生な水による健康被害」は世界のどこでもあったことだろう。
    知っていたのか無意識なのかはわからないが、衛生的な水を確保できるのならば、その地域が他より栄えることは間違いあるまい。

    • +4
  7. 3000年前を音声再生だとみちとしまえと読んだんだ

    • 評価
  8. 緑青に毒性がという俗説については、厚生省(当時)が、国立衛生試験所の戸部満寿夫を主任とする研究班を1981年(昭和56年)に設置し、緑青の主成分である塩基性炭酸銅についての研究を3年に亘って行った。1984年(昭和59年)8月6日に出された研究報告では、ラットに対する経口投与による半数致死量 (LD50) は1250 – 1495mg/kg、慢性毒性試験では2000ppmを投与した集団で体重増加の抑制や血液中の脂質の減少が見られたのみで、「緑青の主成分である塩基性炭酸銅の毒性は、さほど強いものとは考えられない。」としている。

    つまり、急性で強力な毒性は見られないという事です。

    • 評価
  9. 水受け皿とかに十円玉入れとくとやっぱ違うよ
    カビや苔が出ないしボウフラが湧かないのが偉い

    • +2
  10. 愛知県で大正時代の肥溜めを発掘調査したと
    本で見ました。虫が沢山だそうです、、

    • 評価
    1. >>20
      なぜ、井戸の記事で肥溜めを話題にするんだ???

      • 評価

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