人間の主観的な体験は、心臓が止まった瞬間に即終わりになるわけではないのかもしれない。
ここ10年の間、科学者は死が脳をどのように克服するかについての洞察を得るために、臨死体験(NDEs)を調査している。
臨死体験をした人の中には、医学の専門家が臨床的に死んでいるか、意識がないと診断しても、自分の回りで何が起こっていたかを正確に報告できる人もいる。
臨死体験の背後にある正確なメカニズムは不明のままだが、これまでの研究によると、呼吸と心拍が停止した後の2〜20秒間、意識が保たれているという。自分が死んだ状態であることを自覚できるということになる。
心臓が止まった瞬間、心の中では何が起きているのか?
心拍を打つ電気インパルスがストップする心停止に陥ったときが、死亡時刻だとされている。その結果、心臓は活動するのをやめ呼吸も止まる。心臓が停止するこの瞬間こそが、その人が死んだことを明確に示すものだと、医療専門家は考えている。だが、こうしたプロセスの中で、心の中ではなにが起こっているのだろう?
死は、すぐに私たちの主観的な体験(意識)もシャットアウトしてしまうのか、それともゆっくり徐々に終わりになっていくものなのだろうか?
この数十年、研究者たちは臨死体験を研究し、死がどのように脳に終焉をもたらすのかを研究してきた。
そしてわかったことは、驚くべきことだった。
photo by iStock
死ぬ直前、脳内で異常な電気活動
死ぬ直前、脳の中に大量の電気サージが流れ込むというのだ。2013年に行われた研究では、ネズミの脳内の電気信号を調べたところ、ネズミは死の直前に超警戒モードに入っていることがわかった。
血流の減少によって引き起こされる臨死体験と、脳内での異常な電気活動とが連結したと考える研究者もいる。
臨死体験でよく言われる白い光のトンネルは、この異様な神経活動から出てきたものかもしれない。
photo by Pixabay
臨死体験の直後、周りで起きていることがわかっている
ニューヨーク大学ランゴン校の救急救命・蘇生研究部門のサム・パーニア博士らは、脳がどのように死ぬのかをはっきりさせようと研究してきた。これまで、パーニア博士は動物実験で、死の前後の瞬間を調べ、さらに臨死体験の調査もしてきた。
臨死体験者は、自分が部屋を浮遊していたり、医師や看護師たちが自分の体のまわりで医療行為をしているのがはっきりわかると話すことが多いのです。
また、医師たちの会話もすべてちゃんと聞こえていて、なにが進行しているのかもわかっていますが、医師たちにはそれはまったく知られていません
心停止後、2秒から20秒は意識が残っている可能性
しかし、物理的に死んでいる人が、どのようにして、まわりで起こっていることを認識できるのだろう?呼吸や心拍が止まった後も、2秒から20秒は意識は残っていると、パーニア博士は言う。これは、酸素がなくても大脳皮質が持ちこたえられると考えられている時間だ。
大脳皮質は思考や意思決定を行う場所で、五感から集めた情報を読み解く役割も担っている。
この2〜20秒の間に、咽頭反射、瞳孔反射など、脳幹反射のすべてが失われる。
大脳皮質からの脳波は、まもなく検知されなくなるが、それでも私たちの思考器官が完全に停止するのに、数時間かかることもあるという。
心臓が止まったらたいていは、CPR(心肺蘇生法)がほどこされ、脳の通常の働きに必要な酸素のおよそ15%を供給することができる。
CPRによって、なんとか心臓が再稼働すれば、徐々に脳の機能も回復し始める。CPRを行う時間が長いほど、脳細胞の死はまだ続いていても、その速度がわずかに遅くなる。
photo by iStock
臨死体験者を調べることで蘇生技術の向上につながる
また、パーニア博士らは、心停止を起こしたが生き返った、多くのヨーロッパ人とアメリカ人を臨死体験者を調査した。人間の愛の体験の質的な性質を研究しているようなもので、私たちは死を迎えるという体験の特徴を明確に理解しようとしているのです。この目的のひとつは、心停止のときに、死と再生の両プロセスを経て、脳がどのように反応、作用しているのかを観察することだ。
これは、私たちが皆、死ぬときに体験する普遍的なものを反映していると理解しているからです
脳が再生するのに、具体的にどれくらいの酸素が必要なのか? 再生後、脳はどのような影響を受けるのか?
どこにその境界線が引かれているのかを知ることで、蘇生技術がさらに向上し、もっと多くの命を救うことができるかもしれない。
同時に、死という文脈の中の、私たち人間の心と意識についても研究しています。References:After death, you’re aware that you’ve died, say scientists / written by konohazuku / edited by / parumo
意識は臨床的な死と共に、たちまち消滅するのか、それとも死後も一定期間続いているものなのか、それが脳の中でリアルタイムに起こっていることと、どう関係しているのかを理解するためなのです(パーニア博士)
あわせて読みたい
死の直前の走馬灯は実在する可能性。脳波で確認
臨死体験は幻覚ではない。大まじめな研究結果が報告される
ヘミングウェイも経験。臨死体験は誰にでも起こりうる、その記憶は鮮明によみがえる(米研究)
27分間の死。心停止から6回の蘇生を経て生き返った女性、意識が戻った直後に奇妙なメモ書き「あれは本当」
人間は脳内でミステリアスな幻覚物質が分泌されている。一体何のために?臨死体験と関係があるのか?(米研究)
コメント
1. 匿名処理班
「臨死体験をした人」大きな矛盾、死んでないから体験を話せるんでしょw
2. 匿名処理班
悲惨な事故や事件に巻き込まれたりして亡くなった人について、「自分に何が起こったかわからないまま亡くなったと思います」「それがせめてもの救いです」みたいなコメントをドキュメンタリーやフィクションでよく見るけど、生きてる人間がそうであってほしいと思うほどそうでもないかもしれないんだな…
3. 匿名処理班
>>1
えーと、
> 心拍を打つ電気インパルスがストップする心停止に陥ったときが、死亡時刻だとされている。その結果、心臓は活動するのをやめ呼吸も止まる。心臓が停止するこの瞬間こそが、その人が死んだことを明確に示すものだと、医療専門家は考えている。
という前提のある話でね。心停止=死だから、死んで生き返ったという事になる。
4. 匿名処理班
※1
臨死とはまだ死んでいないギリギリ瀬戸際のラインのことだがね
5. 匿名処理班
※1
矛盾なのかな?
「臨死」であって、「死」じゃないからね。
英語だと「near-death experiences」。
死後の世界ってわけじゃないでしょ。
6. 匿名処理班
血圧がなくなって視覚や聴覚や触覚がインプットされなくなっても内部で「なにこれ!やば!もう外とは連絡できないの?!」って意識は残るのかな
どんどん閉じ込められて後戻りできない感じって怖いなぁ
そう考えると…物理的に蒸発してしまうタイプの死もありかも
7. 匿名処理班
脳内現象
脳の最後のあがき
8. 匿名処理班
思うだけどさ臨死体験中って
あの世に人格データ・ダウンロード
してるんじゃないかって思うんだけど
量子データ変換化して待機中状態
全部ファイル化したら転送とか・・・
9. 匿名処理班
脳や脳細胞が物理的に破壊されていないなら心臓が止まっても血液に残った酸素で1分ぐらいは機能を継続してそうではあるよね。
問題はその時苦しみがあるかどうかだけど、心停止によって脳への血流が停止することを考えると絞め技で落ちる感覚が近いのでは。つまり苦しむことはなさそう。
老衰による死は苦痛がないかもしれないというのは宗教なき時代の救いになる気がするね。
10. 匿名処理班
これはマジだよ。
臨死体験した人だけじゃなくて、今まさに虐待されたりトラウマ受けてる最中の人は、『魂が抜け出て天井から虐待されてる自分を眺めている』常態…すなわち幽体離脱とこれまで言われて来た体験をすることがあるのね。
急性の酷い解離常態でこうなるんだけど、これ今じゃ意図的に起こすことが出来るようになったのよ。
うろ覚えだけど、2012年だったかにイタリアのローザンヌ大学かスイスのジュネーブ大学だかの神経科学者の研究チームが、脳の一部に電気刺激を与えたらこの”幽体離脱”を意図的に起こすことが出来るのを発見した。
わかってることは、とくに幼児期に酷いトラウマになるような体験をした人の方がこの常態になりやすいということみたいよ。
(死にゆく際には誰しもに起こるらしい)
11. 匿名処理班
※1
臨死ってのは心停止や呼吸が一旦停止した後に蘇生したことを言うのであって何も矛盾してませんよ?
ていうか意味を勘違いしている人を初めて見たかもしれない
12. 匿名処理班
夢は外部情報の影響を受ける
肌に氷をつけると雪山で遭難してる夢を見たり
タイヤのパンクの音で爆発事故に巻き込まれた夢を見る
ようは寝ていて意識がなくても脳は情報を得ていて話している内容から自分の状態を想像して幽体離脱みたい夢を作りだす
13. 匿名処理班
>>12
もちろん、それは理解してるし
寝てる時に手足が攣ったら瞬時のその痙攣モーションから「階段で滑った」「高いところから転げ落ちた」から受身を取った、っていう時系列の改竄と脳的に納得のいくストーリーを作ってくれるんだけど
死にかけて必死の走馬灯を出力するのにどれくらいのエネルギーが必要なのかってことよね
最後までパニクって本気の走馬灯回すのか、ある程度のところで諦めて多幸感や安心感で締めてくれるのか…
やっぱ自分に自信がないとひとりで向き合うの怖いなぁ。脳が蒸発するような最期でいいよもう。
14. 匿名処理班
心肺停止後も脳はまだ生きているのは解るけど、交通事故で即○の人とかもそうなの?
15. 匿名処理班
>>10
状態な
16. 匿名処理班
脳死を迎えつつある脳のシナプスが激しく活動しているというのは、マイクロチューブルが量子もつれの原理で宇宙に意識を移行させつつあるから。
無理に古い物理学に臨死体験の話をあわせるより、ロジャー・ペンローズとスチュアート・ハメロフの量子脳理論で解釈したほうがはるかに現実の体験をうまく表現できる。
その方向で研究したほうが物理学も飛躍できるし、なにしろ宇宙観が大きく拡大して面白い。
17. 匿名処理班
この理論で行くともし今後、死からある程度生還できる手法が開発されたら
現代の数字の0(復帰できる死)と何もないnull(本当の死)
みたいな価値観になっていく可能性があるのかな
技術そのものよりそうなった時の人間の倫理や意識の変容が気になる
18. 匿名処理班
※14
脳が無事ならワンチャンあるかもしれない
とはいえ、即死するほど肉体が損壊したり出血してるなら、穏やかな心停止よりも脳死するまでの猶予は短くなるだろうね
19. 匿名処理班
>呼吸と心拍が停止した後の2〜20秒間、意識が保たれているという。
ありえない
脳死の後、1ケ月以内に呼吸と心拍が停止するのに真逆な事を言ってる
20.
21.
22. 匿名処理班
研究する前からなんとなくそうなんじゃないかなって思ってたことだよね
今後あの世なんかないと証明されてくると悲しむやつたくさん出てくるんだろう
まあ人間はあるはずも無いものや世界を夢見て想像する癖があるからな
23. 匿名処理班
知りたいのは「死んだ直後に戻ってきた人」の話じゃなくて「そのまま逝っちゃった人」の話なんだが、それはまだ宗教の分野か。
フィクションで自分が死んだことに気付いていない幽霊が出てくることがあるけど、この研究によればそういう人はいないってことだし、事故で瞬間的にシんじゃったらまた別のケースになるのか? 興味が尽きないなあ。
24. 匿名処理班
※10
解離性障害でいう解離と幽体離脱とを一緒にしてないか?全く違うものだぞ?
25. 匿名処理班
※1
はよ成仏してくれ
26. 匿名処理班
帰って来たヨッパライ
27. 匿名処理班
>呼吸と心拍が停止した後の2〜20秒間、意識が保たれているという。
これが事実だと、脳死での臓器移植ができなくなる大問題が起こる
この記事を拡散するのは非常に安易すぎる
俺なら絶対に脳死での臓器移植はしないね
お前らも絶対にやめとけ
28. 匿名処理班
※25
👻祝ってやるぅ〜〜
29. 匿名処理班
単に血圧低下で意識消失するのとの違いはどこにあるんだろうか。気を失うことあるけど、残念ながら臨死体験をしたことがない。
30. 匿名処理班
※8
だとしたら脳がどんな状態でも生きてれば人格を保てることになっちゃうんで、そういった魂が宿る系の話はやっぱありえないと思う。
31. 匿名処理班
※27
国にもよるだろうけど日本臓器移植ネットワークの場合、脳死は一度判定して6時間後にも判定するので大丈夫。
32. 匿名処理班
※27
いや、別に脳死患者からの臓器移植にはなんの支障もないけど?
心停止後、数秒〜数十秒は脳機能が維持されるってだけで、それ以後は完全な死に至るだけだし。
一方、脳死は脳機能が不可逆的に喪失された状態なので、そもそも意識は無い。
状態が全然違うんだよね。
33. 匿名処理班
死を待ち望むわけじゃないけれど、
生きているうちに、”たぶん”一度しか経験できないこと。
(たぶんってのは、臨死体験するようなことを経験する可能性は
ゼロじゃないにしても、とても低いだろうしね。)
なので、ちょっと楽しみにしているところがある。
しっかり経験するためにもボケたくはないなぁ、と思っています。
34. 匿名処理班
※27
めっちゃ真剣そうなのにアホな感じ出るのがすごい
35. 匿名処理班
※31
※32
脳死のついて最低の知識ぐらいは知っておこう
脳死の後、1ケ月以内に呼吸と心拍が停止する
この記事は順番が真逆な事を言ってるの
36. 匿名処理班
要するに、「脳の機能が即座に喪失するような死因(脳組織の著しい損壊等)でなければ、心停止後も脳が機能停止するまで意識は存在する」って話でしょ。
以前からのイメージと大差ない。
人間の死を医学的に確定診断するには、現状では反射等で脳の機能が喪失していることを確認する作業が必須だから、「御臨終です」の宣言をされた時には意識も喪失している。
で、脳死とはこの状態なわけ。
なにも、臓器を採られていく状態が知覚できるって話じゃない。
心臓を動かし続けても、脳への血流が途絶えて脳組織が不可逆的に損傷してしまったら、意識という機能も失われている。
37. 匿名処理班
私は小学校5年生のときに、幽体離脱した経験があります。ちょうど、今頃の暑い時期、午前中に本を読みながら、畳の上でゴロゴロしていたときです。
ふっと気付くと「わぁん、わぁん、わぁん、わぁん」という、耳障りな音が聞こえていました。その音は段々と大きくなり、なんだ?、なんだ?、なんだ?と周りを見廻しました。その直後、上を向いたまま、ピキンッと身体が動かなくなってしましました。
そして足のほうから段々と、肉体から魂が抜けていくのが見えました。上を向いて金縛りにあっているのに、意識を集中させるとその見たい場面が見えるのです。
最初は不思議な感覚でボンヤリとその様子を観察してましたが、気が付けばもう腰のところまで抜けかかってます。
さすがにアセって、「戻れ、戻れ、戻れぇ」と、強く念じました。それに呼応したように魂がゆっくりと肉体に戻り始めました。完全に肉体に魂が戻ると、天井しか見ることが出来ませんでした。徐々に、耳障りな音が去っていき身体の自由を取り戻すことが出来ました。
この件以来私は、魂が存在するということを確信しております。そこに転がっていた肉体ではなく、今考えている自分が本物の私だと。
今ではそのまま魂を肉体外まで出しとけば良かったと、多少勿体無いことをしたなと思うこともあります。ですが、魂があるということを教えてくれたこの体験は、その後の生きていく上での宝となっております。
38. 匿名処理班
>>37
入眠時障害やそれ。よくある幻覚。
39.
40. 匿名処理班
※37
戻ってきてくれてよかった
41. 匿名処理班
>>35
いや、お前の知識が間違ってるわ。
脳機能が全喪失状態で人工呼吸器がなければ生命を維持できないのが脳死なので一ヶ月後に死ぬとか意味不明。
意識の無いまま一ヶ月生きてるならそれはただの昏睡状態やろ。
そもそも順序が逆って何が逆なんだよ。
42. 匿名処理班
※35
その最新知識、どこで仕入れたんですか?是非教えていただきたい。
43. 匿名処理班
>>8
転送途中で死なないで下さい
データが消える恐れがあります。
44. 匿名処理班
走馬灯のことかな
45.
46. 匿名処理班
2 〜20秒…
自分が2秒だったら切ないな
47.
48. 匿名処理班
>>30
あり得るかもよ?
49. 匿名処理班
>>12
それでも、その幽体離脱して見たことが正確ならすごいと思う
人間が自分を客観視するのは難しいことだから
50. 匿名処理班
>>23
戻ってきた、というよりは心停止状態時の意識の話だと思う
2〜20秒は幅があるし、死を自覚できるかどうかは、その人が自分の状態をどれだけ把握できていたかにもよる気がする(例:交通事故→激痛・出血→病院→自分もう死ぬんだな…的な)
死後の、体とは無関係な意識(霊体)との混同はしないほうがいいけど、あえて言うなら津波などの突然の災害等で亡くなったり状況把握がまだできない子供の場合は、自分が死んだ自覚がないこともあると思う
51. 匿名処理班
>>10
魂と肉体は別物ですものね。
52. 匿名処理班
>>13
バイクの教習を受けた初日、ふと恐いと思った瞬間に両腕を内側に捻ってしまい、、一気に加速、大型バイク用の障害物の上をダンダンダンダンッと走り出したの。
その時、前日の晩に開いた教科書の急制動のページが1ページずつゆっくり開いてピタッと制止したんだけど、両側から教官がすごい勢いでバイクを飛ばしてくるのも見たし、あれが走馬灯なんだろうなと思う。数秒の間なのに時間の流れがゆっくりになったような処理速度だった。
53. 匿名処理班
ギロチンで処刑された人が実際に意識を失うまでの時間を計った人が居たっけ
意識がある間まばたきを続けるとかいう手法で
その時も確か10秒くらいは意識があるって結論だったから、この記事とも特に矛盾してない