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赤い悪魔の異名を持つ巨大イカは、体色を変化させ人間の言葉に似た方法で会話する

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(著) (編集)

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 「赤い悪魔(レッドデビル)」の異名を持つ、大型の獰猛な捕食者イカ「アメリカオオアカイカ」の驚くべき能力が明らかとなった。

 共食いする傾向があるにもかかわらず、高い社会性があり、千匹以上の群れで狩りを行っている。

 その際、人間が単語を並べて文章を作り、自分の意思を他人に伝えるのと同じように、体の色のパターンを変えることで構文を作り、仲間と高度なコミュニケーションを交わしているのだそうだ。

深海の赤い悪魔「アメリカオオアカイカ」

 「アメリカオオアカイカ(Dosidicus gigas)」は、太平洋東部の深海に生息する大型イカだ。

 頭足類(イカやタコなどのグループ)でもとりわけ獰猛な生き物で、釣り上げると体の色を激しく変化させて暴れることから「赤い悪魔」とも呼ばれる。

 外套長1.75mは、体重50kgにまで成長し、獲物を見つけると、漏斗から水を噴射して時速24キロで突進する。これは世界記録レベルの水泳選手の3倍という猛スピードだ。

 こうして一気に獲物に迫ったら、2本の長い触腕をしならせる。そこにはカミソリのような歯が並ぶ200個もの吸盤がついており、これでガッチリ捕獲。グッと引き寄せ、オウムのようなクチバシで食らいつく。

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アメリカオオアカイカの触腕には、鋭い歯が並んだ無数の吸盤がついている/Credit: A Miserez et al., Advanced Materials, 2009

共食いするにもかかわらず大きな群れで狩りをする

 獲物は小魚や甲殻類だが、共食いすることでも知られている。

 2010年、チリ沖でアメリカオオアカイカの胃の調査が行われたことがあるのだが、これが想像以上に骨の折れる作業だった。

 アメリカオオアカイカを釣り上げようとすると、周囲にいる仲間がそれを食おうと群がってくるのだ。調査された2000匹のうち、半分の胃には同種のクチバシが入っていたという。

 だがそれでいて、アメリカオオアカイカには高い社会性があり、1200匹もの群れを形成することもある。群れに遭遇してしまった哀れな生き物は、よってたかって襲われることになる。

2 Metre Long Humboldt Squid Hunt In Packs | Life | BBC Earth

体の色を変化させてメッセージを発信

 これまでアメリカオオアカイカの群れは、各自が勝手に獲物に襲いかかるだけで、連携プレーはないと考えられてきた。

 だがに『PNAS』に掲載された2020年研究によると、そうではないことが判明している。

 大群で獲物に襲い掛かっているというのに、仲間同士が衝突することはないし、同じ獲物を奪い合うこともないのだ。

 それが可能な理由は、アメリカオオアカイカが体の色素の変化でメッセージを発信し、攻撃のタイミングやターゲットを伝え合っているからだと考えられている。

 まるで人間が単語を並べて文にするかのように、12種類の色素パターンをさまざまな順序で並べ替える。

Decoding the secret language of Humboldt squid

 例えば、獲物を追いながら体を暗くし、攻撃の直前に明暗が半々のパターンに変われば、「攻撃開始」の合図だ。

 ほかにも体に沿って淡い縞模様を点滅させてから、体を暗くすることもある。これは獲物の種類や位置を示している可能性がある。

 だが興味深いのは、微妙な縞模様の変化で、その後に続く暗い模様のメッセージを修飾しているらしいことだ。人間の言葉で言うところの「構文」を駆使していると考えられるのだ。

 残念ながら、赤い悪魔の言葉はまだ完全にはわからない。だがいつの日かそれが解明されれば、人間は、彼らと会話を交わせるようにもなるかもしれない。

References:Cannibal squid “speech” strangely resembles human language – Big Think / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 26件

コメントを書く

  1. これが本物のボディーランゲージなんだね!

    • +5
  2. 甲烏賊の会話(シグナル)はよく知られてるけど、どれだけ近縁なのかな?
    両者は会話できるのかな? 人とゴリラは手話で会話をするし、小鳥は他種の鳴き声を知っていて、それに合わせた対応をする(「蛇だ」「鷹だ」を聞き分けて逃げ方を変える)。

    いづれ人間とも会話ができるかもね。

    • +7
  3. 「アメリカオオアカイカを釣り上げようとすると、周囲にいる仲間がそれを食おうと群がってくるのだ。調査された2000匹のうち、半分の胃には同種のクチバシが入っていたという。」
    お近づきになりたくない・・・

    • +11
    1. >>6
      その箇所、最高に邪悪で気持ち悪くてかっこいい

      水族館でイカの捕食シーン見た時は
      獲物に忍び寄る時は透明だけど食べ始めると好き勝手点滅してる…と思ってたけど
      もしかしたらあの点滅も「下に逃げた魚がいるよ」とか「俺あんまお腹空いてなかったから残りはあげるわ」とか、周りのイカ達との会話パターンだったかもね

      • +10
  4. 赤い悪魔、シャー専用ガンダムかな?

    • 評価
  5. 最近読んだばかりなんで、ヘテロゲニアリンギスティコのクラーケンを思い出したなー。
    あっちのはイカというよりタコっぽい見た目だったけど。

    面白い漫画なんで読んでみてね!(ダイマ)

    • -1
  6. アーサー・C・クラークの小説でそんな話があったな

    • +2
    1. ※10
      宇宙のランデヴーかな
      ラーマ内で暮らしてるタコ型知性体が体表面の色変化でコミュニケーション取っててそこでしばらく居候することになる主人公科学者夫妻もある程度会話できるようになってたよね確か

      • +3
      1. ※13
        短編「きらめく生きもの」(または「輝くもの」)だとおもわれ
        原題 The Shining Ones
        クラークはなんでか知らんがイカ大好きで、いろんな作品にイカモチーフが出てくる

        • +2
  7. 群れで暮らして言語があるってことは、知的生命体へのハードルは
    寿命が短いことと水生生物であること(火を発見できない)ことだ
    けじゃん
    これは本当にイカが地球を支配する未来が来るかもしれない

    • +1
    1. >>12
      火山の爆発や環境汚染の進行で今ある陸も水に沈み、更に戦争などで人間が激減して、環境ホルモンや突然変異でイカの寿命が伸びたら…
      うん、ありえるな!
      ゴッキーとどちらが強いかだけど

      • +1
  8. 実は共食いにも、未だ解明されていない社会的な意味や文化があったりして…。

    釣られた仲間を喰うのは機密保持のためだったりして!

    • +9
  9. こいつら、ソフトさきいかの原料なんだよね

    • 評価
  10. このデカさのイカが1200匹の群れを成すってすごいな
    海で会ったら人間でも危なそう

    • +4
  11. イカだ!イカだ!お前はイカに成るのだ

    • 評価
  12. 種族の生き残りをかけ地球各地にやって来たイカみたいな宇宙人の言葉がわからず、世界中の国や人が自分の損害や利益ばかり心配し、世界が戦争へと進んでいく映画を思い出した

    • 評価
  13. こういうはっきりした形なら人間にも解読できそうでいいねぇ
    超音波とかだと難易度高いんだよな

    • 評価
  14. 優れた社会性と知能を持っていると説明されても
    アオリイカという名前だけで「美味しそう!」と思ってしまう

    • +3
  15. 捕食シーンが怖い。海で出会ったら食われてしまうだろう…。だけど敏捷に優雅に泳ぐのね。頭のヒラヒラは飾りじゃなかったんだ。

    • 評価
  16. すごい、映画のプレデターみたい。賢い蛮族
    共食いとは普段は実力が拮抗してて争うコストの方が高いから協力してるけど少しでも弱れば即ちご飯になってしまうのか、彼らなりの介錯なのか

    • +1

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