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巨大な遠心分離機でロケットを宇宙に放り投げる。次世代型ロケット打ち上げ技術にNASAが参入

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(著) (編集)

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image credit:SpinLaunch
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 ロケットの打ち上げといえば、発射台から真っ直ぐに飛ばすのが常識だった。だが、これからは猛スピードで回転させて、その遠心力で放り投げる方法が主流になるかもしれない。

 そんな驚異のぶちあげロケット打ち上げ技術「スピンローンチ(SpinLaunch)」の開発試験にNASAが参入したそうだ。

ロケットを宇宙へ放り投げる

 社名でもある「スピンローンチ(SpinLaunch)」のアイデアはぶっ飛んでいる。ロケットを装着したアームをビュンビュン回転させて、宇宙めがけて放り投げるのだ。

 その外観は車のターボチャージャーにも似ている。初期試験では環境に優しく、低コストであることが証明されており、従来の方法に代わる新しいロケット打ち上げ法として有望であるという。

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 ただし、どんなロケットにでも使えるわけではない。

 さすがに宇宙飛行士が乗ったロケットでは無理そうだ。なにしろカーボン製アームの回転で先端にかかる荷重は1万Gに達するのだ。トップスピードに乗った途端、ロケットは音速の6倍(約8000キロ/時)の速度で射出される。

 同社によれば、スピンローンチ・システムに適しているのは、重量200キロまでの小型ロケットであるという。ここに遠心力に耐えられるよう強化された人工衛星を搭載して宇宙に放り投げるのだ。

 なお同システムは、これまでロケットの1段目が担っていた最初の打ち上げを担う装置で、人工衛星を地球軌道にまで押し上げる最後の仕上げは、2段目のロケットによって行われる。

SpinLaunch

費用対効果は大きい

 スピンローンチ・システムの効果は大きい。1段目ロケットが省略されるので、打ち上げに必要な燃料は7割カット、設備も簡略化できる。

 結果、地球軌道に貨物を運ぶ燃料は4分の1、費用は10分の1に低下する。

 NASAもまたこの画期的なシステムに関心を示している。つい最近、スピンローンチ社と提携し、同社システムでNASAの物資を宇宙に運べるよう開発を進めている。

 今年後半にも、世界初の商業用宇宙港「スペースポート・アメリカ」で打ち上げ試験を行う予定であるという。

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image credit:SpinLaunch

2025年、軌道への最初の打ち上げ予定

 なお、この打ち上げ試験は、音速の6倍ではなく、時速1600キロ(マッハ1.3)での準軌道打ち上げ試験となる。これまでの試験も準軌道打ち上げだったとのこと。

 ロケットには各種測定機器が搭載され、打ち上げ結果はNASAとスピンローンチ社によって解析される。

 その情報はすべて公開されるとのこと。また軌道への最初の打ち上げは、2025年が見込まれているそうだ。

 「スピンローンチ社は、弊社ならではの準軌道飛行と高速試験サービスを提供しています。最近NASAと交わした打ち上げ契約は、弊社の焦点が技術開発から商業利用へと移ったことを示す重要な転換点です」と、同社CEOジョナサン・ヤニー氏は語る。

 最初は宇宙をより身近なものにするためのただのアイデアだった。それが今や技術的に成熟し、ロケットの打ち上げを様変わりさせようとしている。今後、提携先はまだまだ増える見込みであるそうで、発表するのが楽しみであるとのことだ。

References:SpinLaunch / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 54件

コメントを書く

  1. あれ?
    これ、軍事転用したらレールガンと同じ機能のもの作れるじゃん。
    多分レールガンより遥かに運用コストが安めに・・・
    対地ミサイルはこれに変わっちゃうんじゃない?

    • -4
    1. ※2
      施設が巨大で移動できないうえ、射出方向も限られ、電力等の大規模な施設も必要というデメリットがでかすぎる。
      必要なら移動発射機に乗せて転地運用ができる現用のミサイルの代替にはならないよ。

      • +3
      1. ※19
        原子力艦に内蔵させれば大きさと方向と電力はどうにかなるかもしれない。
        しないと思うけど

        • 評価
        1. ※26
          小型化ができるならそもそもこの設備もこの大きさになってないだろ
          そういう意味だと思うぞ
          とはいえ性能抑えるなら小型化もできるし、小銃と同じくらいの威力で人間が携行できるものというものも既に実在はしている
          しかし「威力は小銃と同じ」だが「小銃の数倍重いので、「かろうじて人間が持ち上げられる」だけ」というので全てが察せるだろう?

          • +1
        2. ※26
          構造的に回転半径と回転速度が到達速度に直結してるのだから、小型化して回転半径が下がればそれだけ速度が落ちる。
          あの速度を出すためのはあの回転半径が必要だからあの大きさになってるんだよ。

          • 評価
  2. これが有人に使えなさそうなのはなんとなくわかるけど、
    それならいわゆる「マスドライバー」ってどうなんだろ?
    ガンダムとかでは人が乗ったロケットをマスドライバーで打ち上げるシーンはあるけど…
    科学班たのむー

    • +1
    1. ※3
      形式が何であれ加速に時間をかければ負荷は抑えられるので

      マスドライバーは巨大なものを作って長い距離をそこそこの加速度で加速すれば大丈夫
      これもスピンアップに長い時間をかければできなくはないのかな
      ただ直径が小さいから回転→直線発射の瞬間の角度変化で大きな力が働いてしんどいかもしれない
      マスドライバーとの合いの子でCERNくらい巨大な円形のリニア線でぐるぐる回して打ち出したらそれも解消するかな?
      同じ場所を何度も通れる分直線でつくるよりは小さく済むな

      • +1
    2. ※3
      マスドライバーは線形加速器とも呼ばれる。加速による慣性力が運動方向だけ(車が加速するときシートに押し付けられるような感じ)になる。
      記事にあるのは円形加速器で、回転運動で仕事をするモーターと同じ仕組み。加速中の慣性力に遠心力が加わる。遠心力を小さくするためには半径を大きくする必要がある。
      有人機を加速するには、どちらも慣性力を抑えるために装置を巨大にしなければならない。

      • +1
      1. ※27
        補足するとマスドライバーも直線だと凄い面積を必要とするため、長大な円を描いてから上空に打ち上げるプランのものが存在する
        (映像媒体だと3DCG+実写版のガンダム作品であるGセイバーの劇中に出てきたものがわかりやすい)
        円の部分で加速中はちょっと横のGがかかり、最終段階で真っ直ぐになる
        とはいえいくら緩やかにカーブ描いて緩和しても横Gがかかるんじゃ結局直線で徐々に加速するからGに耐えられるっていう当初の本質を否定してるんであんまり有望視されてないっぽい

        • +1
  3. マクロスのゲームで見た慣性カタパルトみたいなもんか
    見た目はルパン三世で見たポップコーンロケットだけど

    • +2
  4. 重いぃ~コンダラぁ~  試練の道を~~♪

    • -2
  5. >先端にかかる荷重は1万G
    物を打ち上げるにしても今までよりはるかに強度を求められそうだね

    • +10
    1. ※7
      とんでもないGに耐える機体が作れないにしても水や燃料を固体状にして打ち上げるとか食料品やその他消耗品の打ち上げとか用途は広いと思う。
      あと翻訳で分離機って出るのかもしれないけど、加速器って方が適切では…?

      • +6
  6. メチャクチャ好き、ロマンがある
    だけど壮大に事故るヴィジョンも
    何とかモノにして宇宙開発のネック、費用軽減を

    • +2
  7. そのうち高さ一キロのパチ○コから真上に射出するスタートアップ企業も出てきそうな勢いだな

    • 評価
  8. ロケットの重量200kgじゃ、衛星はどれぐらい?

    • 評価
    1. ※10
      水と同じ密度ならドラム缶(アレは 200L 入る)くらいの大きさ。
      鉄並みに密度が高いなら 25L 相当だから灯油のポリタンクくらいの体積で、平均密度がマグネシウムくらいなら 111L 相当くらいだから機内持ち込みできる荷物サイズ( 40cm x 25cm x 55cm )の二個分くらい。

      しかし…… ※24 読んで草生えたw

      ※2
      主なところは ※19 が書いてくれてるけどレールガンより連射性能も相当落ちると思います。

      • 評価
      1. ※41
        200kgまでの超小型ロケットしか投げられないから
        それに積める衛星って何gだよって話じゃないのかね

        • 評価
        1. ※43
          指摘ありがとうございます。一段目を省略した二段目以降のロケット全体で 200kg だから燃料も込みですね。確かに衛星どんだけよって私も聞きたくなりますw

          • 評価
  9. 装置全体の耐久性とか精度次第では、確かにユニークなアイデアだが…
    なんだろう、どうにも胡散臭く見える

    • +2
  10. >地球軌道に貨物を運ぶ燃料は4分の1、費用は10分の1に低下する。

    燃料だけじゃ比較にならん
    ロケットや衛星の強化費用を合算出せずに費用の計算してる

    逆に費用が高くなったりして

    • 評価
  11. 科学技術の結晶がぶん投げはなかなか趣深い

    • +9
  12. 「妄想科学シリーズ ワンダバスタイル」そんな作品が在ったな。

    • 評価
    1. >>20
      計算が凄いめんどくさいし酒呑んでるけど
      5000万室伏ぐらいじゃないかな

      • +3
    2. ※20
      つまり、2000万パワーズって感じだな!

      • 評価
  13. これは期待できる。
    とにかく化学ロケット以上の何かがなければ、地球の生命自体が終わる…

    • -1
  14. >音速の6倍
    空気との摩擦で静電気が起きて、搭載されてる電子機器がオシャカになっちゃうって事はないよね?w

    • 評価
    1. ※23
      それで壊れるようなら通常のロケットでも打ち上げ不可能でしょう

      • +1
      1. ※32
        通常のロケットは徐々に加速して、大気の薄い上空で最高速度まで達するんでしょ?
        初速が音速の6倍だよ、想像力働かせてね。

        • 評価
        1. コスト削減は大変いいことなんだけど。
          これで投入数増えたら増えたでデブリ問題が悪化するかもなんだよな。

          ※48
          化学反応の大砲じゃないんだからいきなりトップスピードなるわけじゃないだろ。
          なんで回転するって機構があるのか想像力働かせてね。

          • +1
  15. 日本には世界の室伏がいるから世界一の地位は安泰やな

    • 評価
  16. 投石器だしね城攻めには使えるんじゃないの

    • +2
  17. 予算があるなら回転速度上がっちゃうけれど横向きにして地中化かなぁ
    射出体を保護して射出誘導路をリニア化すれば射出時にある程度方向も調整できるし

    • 評価
  18. でかい投石紐やね。
    原点回帰って感じですき。

    • +2
    1. ※35
      まさにそう思った。現代技術の粋を集めた巨大なスリングみたいな。
      遠心力(と言うと物理屋に怒られそうだが)で物を宇宙に輸送するって地味に初めての試みだよね。

      • +1
  19. ローンチシークエンスでこのスピードの投角のタイミング調整出来るのがすげえわ。科学は進化したんだな。

    • +1
  20. おいおい兵器向きとか言ってる奴はスタイリッシュな投石機作って城でも攻める気か!?
    お前らどんだけ新しい技術や革新的なアイデアに鈍いんだ

    • +1
  21. 熱流体系の研究者としてはこれ実用化無理だと思う
    このカシオミニを賭けてもイイ

    • 評価
  22. > 巨大な遠心分離機でロケットを宇宙に放り投げる。

    ハンマー投げ機。
    強いて言えばピッチングマシンであって、
    少なくとも遠心”分離” 機ではないよな。

    • 評価
  23. 前からそれが主流になると思っていたけどまだなっていなかったんだ

    • 評価
  24. 想像した感覚だけの話だけど、1万Gがかかる回転でバランスをとっていたロケットの反対側の重りになってるものは発射の直後どうなるというかどうするんだろうか? 200Kgぐらいでは問題にならんのかな?
    それと動画でのロケットの向きに違和感がある。

    • 評価
  25. 例えば水だけでも送れたら使い道あるね。

    • 評価
  26. ある程度の物を打ち上げることが可能としても精密機械がそれに耐えうるのか不安。
    当然人間とか生命を打ち上げることも不可能だろうし。
    一回建設してしまったら一方方向しか投射できないから兵器としても使いずらい。
    ちょっとでもメンテ怠ったらえらい事故起こしそうだしフレームゆがんだりしたら二度と使えなさそう。

    • 評価
  27. 将来的に月面で採掘した岩石を地球に送るとかできそう

    • 評価
  28. 精密機器の打ち上げには不適かもしれないけど、水、燃料、構造材(鉄骨とかコンクリとか核廃棄物)、医薬品、衣服の打ち上げにはいいかもしれないな。
    大体はコスト優先だし。

    食料は微妙かもしれない。
    醤油とかは加圧しても大丈夫だと思うけど、野菜や肉は加圧したら潰れちゃうだろう。
    干物は行けそうだな。スルメとかワカメとか。あとは精米かな?炊飯前は固いし。宇宙に炊飯器送らなきゃな。
    だいぶ宇宙ステーションの衣食住のQOLが上がるんじゃなかろうか
    回転軸近くにかかる負荷が気になるフライホイール式の電力貯蔵装置なんかは根元がネックになったみたいだし。

    • 評価

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