
それから20年経った今、5000個を超える太陽系外惑星が見つかったことが、NASAから正式に発表となった。
NASA太陽系外惑星アーカイブによって新たに発見されたのは、60個の系外惑星だ。さらにほかの天文台でも5個発見されており、これで人類が知る太陽系の外にある惑星は合計5005個になった。
こんなにたくさん発見されたということは、その中に生命を宿す惑星が含まれているのではないかと期待してしまう。
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スーパーアースとミニ・ネプチューン
これらの惑星の多くは、地球より大きく海王星より小さい、『スーパーアース』と『ミニ・ネプチューン』で、岩石と揮発性物質が豊富な惑星だ。スーパーアースとは、太陽系外惑星のうち地球の数倍程度の質量を持ち、かつ主成分が岩石や金属などの固体成分と推定された惑星のこと。
ミニ・ネプチューンとは、スーパーアースから海王星程度以下の質量を持つ惑星で、水素とヘリウムのからなる厚い大気を持ち、氷や岩石による厚い層を持つか、あるいは深い海を持っていると推測されているものだ。
NASA太陽系外惑星アーカイブの研究者ジェシー・クリスチャンセン氏はプレスリリースでこう語っている。
いくつか木星サイズの惑星も見つかっており、木星の4倍の質量を持つ系外惑星『スーパー・ジュピター』すら1つ発見されましたNASAは太陽系外惑星発見5000突破を記念して、動画を作成した。
5,000 Exoplanets: Listen to the Sounds of Discovery (NASA Data Sonification)
生命を宿す惑星はあるか?
今回発見された太陽系外惑星の中で、ひときわ好奇心をそそるのが、「K2-384」という恒星に属する5つの系外惑星だ。主星は薄暗く、惑星は岩石質で、生命発見の最有力候補とされる「TRAPPIST-1」と比較されることになる。
以前からK2-384には2個の惑星があることが知られていた。そのうちの1つ、「K2-384 b」は地球よりわずかに大きい程度だが、現時点で生命が存在できるとは考えられていない。
image credit:K2-384 b / NASA
一方、その兄弟である「K2-384 f」は地球の2倍ほど。その大きさと主星との距離のおかげで、兄弟惑星の前を通過したときに大気の構成を観察できるのではと期待されている。
image credit:K2-384 f / NASA
太陽系外惑星の見つけ方
1992年に太陽系外惑星が2個発見されて以来、いくつもの検出方法が考案され、その発見を加速させていった。というのも、それ以前に行われていた恒星の微かなふらつきを検出するやり方「アストロメトリ法」では、ほとんど成果が上がらなかったからだ。
1980年代までに、公転する惑星によって引き起こされる恒星のふらつきは、光のスペクトルによっても探されるようになった。
「ドップラー法」はアストロメトリ法の改良版のようなもので、恒星の空間的な位置ではなく、光を解析して、その変化から恒星のふらつきを知るのだ。
1988年、この方法によって「ケフェウス座ガンマ星A b」が発見されたが、これは後に撤回されている。
この方法ではっきりと存在が確認された最初の系外惑星は、1995年の「ペガスス座51番星b」だ。太陽に似た恒星を公転する系外惑星として、初めて発見されたものでもある。

ペガスス座51番星b image credit:NASA
1999年には「HD 209458」という星が注目された。木星大の系外惑星が1個あることで知られている星だ。だがこのときはスペクトルを解析するのではなく、恒星と地球の間を惑星が通過したときの、星の光のかげりを検出するべく試みられた。
この実験は成功し、「トランジット法」と呼ばれるこの方法は、2000年代後半から2010年代にかけて一気に開花。その後、数千もの惑星発見につながった。
ほかにも、星を虫眼鏡がわりにしてその背後にある惑星を検出したり、星が惑星に反射した光を探したりと、いろいろな方法がある。
だが、これまでに発見された系外惑星の76.8%はトランジット法によるものだ(2番目はドップラー分光法で18.3%)。NASAのケプラー宇宙望遠鏡やTESS(トランジット系外惑星探索衛星)は、この方法で数多くの系外惑星を発見してきた。

NASA
太陽系の外には膨大な数の惑星が存在
太陽系の外に無数の惑星が存在するだろうことはわかっているが、それがどのくらいあるのかは不明だ。大気の詳細・水の有無・生命存在の可能性といったこともほとんどわからない。これまで発見された系外惑星のうち、主星との距離や大きさから生命が存在できるだろうと考えられるものは、21個だけ。ただし、地球の常識に照らしての話だ。また、条件は悪いが、やはり生命が存在できる可能性がある惑星はほかにもある。
生命体が存在する可能性があると言われている21個の惑星

image credit:Planetary Habitability Lab at University of Puerto Rico Arecibo
これらの惑星は、暑すぎも寒すぎもせず、おそらく大きすぎもしないため、生命捜索の最有力ターゲットである。これまで、こうした惑星を調査することは難しかった。しかし最近打ち上げられたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ならば、恒星の前を通過する系外惑星を観察できると期待されている。
大気の存在を明らかにし、その特徴を分析するなど、ハッブル宇宙望遠鏡では無理だったことができるようになるのだ。
先述したTRAPPIST-1を公転する7個の惑星は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡にとって最優先の観察ターゲットである。
ames Webb Space Telescope will study Trappist-1's potentially habitable planets
まだまだ未発見の惑星がいっぱい
なお、これまでの発見は、驚くべき統計データをもたらしている。「5000個の系外惑星のうち、4900個が地球から数千光年以内にあります」とクリスチャンセン氏は語る。
銀河の中心まで3万光年あることを考えてみてください。これまで見つかった系外惑星がごく狭い範囲に集中していることを考えると、この銀河には未発見の惑星がまだまだたくさんあるのでしょう。1000億から2000億個と推定されるのですから、とんでもないことですいつの日か、5005という数字が大したものに思えなくなる日も来るだろう。だが、今日のところは、祝杯を上げよう。
NASA confirms 5,000 Planets – and Counting
References:Cosmic Milestone: NASA Confirms 5,000 Exoplanets / Exoplanet Count Tops 5,000 | www.caltech.edu / written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
科学者さんは微生物とかバッタみたいな昆虫的なものが居たとしても狂喜乱舞なんだろうけど、一般の人が期待してるのは地球外知的生命体なんだよね。
多分、それは…居ない方の確率がメチャ高い。
2. 匿名処理班
銀河の歴史が、また5000ページ
3. 匿名処理班
根拠も知識も何もないけど、わかってるだけでこれだけの数、何億光年も先にも無数にあるだろう惑星を思うと地球だけに知的生命体がいるってのは考え難いよなあ
4. 匿名処理班
系外惑星のバーゲンセールや〜
5. 匿名処理班
※1
ですよね。
「地球外生命体」は、それこそ宇宙に無数ある惑星に、おびただしく存在するでしょうけれど、そのほとんどは単細胞生命レベルであるはず。
多細胞生物が発生したということ自体が奇跡に近い。
それが知的生命体まで進化するとなると、さらに奇跡。
とはいえ、宇宙は広大。銀河も無数。
宇宙のどこかに知的生命体が存在することも確実でしょう。
しかし彼らとコンタクトを取れるかとなると...
宇宙は広大すぎるがゆえに、人類はこの先も孤独を強いられることでしょう。
だからこそ、人類にとってたったひとつしかないこの奇跡の星地球を、大切にしていかなければなりません。
6. 匿名処理班
何千光年何億光年っていう広大な宇宙で無数の惑星があるのなら、宇宙人だって地球を見つけるのは困難なんじゃないのかな?
7. 匿名処理班
生命体が存在する可能性のある惑星は、いくつか見つかっているけど、そこまで行こうとしないのは時間がかかるからなのかな。
それとも技術的な問題かな。
早く何か飛ばしてほしい。
8. 匿名処理班
>>5
「単細胞生物」は“単純”ではなく恐ろしく複雑に構築された分子“機械”といえますね。
その設計図が例の二重螺旋構造の“ロープ”に収められていて必要な時に必要な部分だけが絶妙なタイミングで解かれ“転写”されます。で「運び屋キネシン君あっちらへこれ運んでってね〜」ってなる
“プログラマー”がいる証拠かな
「神」と言うと胡散臭いけど
「デザイナー」「設計者」として認めると畏敬の念を禁じ得ません。
自然界は数学的にも美しく造られているのに“人間界”はなぜこんなにゴタゴタしてるのか,本当の理由を「聖書」から正確な“情報”を得て始めて分かりました。
9. 匿名処理班
授業:系外惑星と地球外生命体の可能性
ttps://www.youtube.com/watch?v=LkyIr5fcnpI
10. 匿名処理班
場所によっては地球みたいな星がいくつかあって、惑星間交流が盛んなところもあるかもしれない。
地球だけが完全に孤立していて、奇跡どころかスーパーハードモードなのかもな。
11. 匿名処理班
我々知的生命体は宇宙の歴史からすると若い、若すぎる。
星の寿命が1兆年、全ての星が死滅するまでに100兆年かかると言われるこの宇宙で、早すぎる世界の観測者となってしまった?
夜はちゃんと寝ましょう。
12. 匿名処理班
単細胞でも生命が存在したら奇跡的なこと。適当に材料を投げたら戦闘機が完成するという例えがあるように、生命発生だけでもわかってないことが多すぎるのね。
13. 匿名処理班
地球と同じ太陽系内惑星にも生物が居ないってのに、系外惑星に生物なんているもんかよう
(藁
14. 匿名処理班
系外「衛星」と、その形成過程と思われる円盤も見つかってるから、生命発生の舞台はさらに多いのだろう。
15. 匿名処理班
宇宙には1000億の銀河があり、それそれの銀河の中に平均で1000億の恒星があると言われている
5000個の惑星なんて氷山の一角にすらならないんやろな
16. 匿名処理班
※5 ※8 ※12
生命発生の条件が厳しい事を、よくそういう表現(他にも「バラバラの歯車をプール一杯に入れて適当に掻き混ぜたら時計が出来た〜」等)を使ったりするんだけど、その例えが合っているかどうかすら分かってないけどね
いきなり複雑高度なDNAが生まれて生命の基礎になったような生命起源説が一般的に流布されているけど、そもそもそれが間違いである可能性が高い
最初に単純なタンパク質だけの生命系が生まれ、そこから徐々にRNAが生まれてDNAに進化していった説もここ最近になって議論されてきている
それに「代わりの生化学」で検索すれば分かるんだけど、水や酸素を利用する生物ではなく
メタンやアンモニアやフッ素などが主体の生物が生まれる可能性だってある
地球の生物しか知らないからといって、今の段階で可能性を絞ってしまうのは視野狭窄に陥りやすいので良くないと思うよ
17. 匿名処理班
星の質量ってどうやって計測するんだろう?
18. 匿名処理班
光速の壁問題もクリアしないと何も出来ん
太陽系内の惑星や小惑星からバクテリアレベルの生命の痕跡を見つけるのが精々だろな
19. 匿名処理班
地球人類は孤独だ。
だから、地球上の「高等な知能を持つ」とされる生物とどうにかコミュニケーションがとれないか方法を模索したり、宇宙の彼方に知的生命体の存在を追い求めたりする。
一説によると、現在の現生人類の状態は進化の袋小路なのだとか。
しかし、他者が存在する世界には必ず軋轢が生じるもの。
自分たちが孤独な存在であることは、自身にとってもむしろ幸いであるのかも知れないよ?
20. 匿名処理班
もし地球外生命がいても未だに同属で戦争ばかりしてる人類の姿なんて恥ずかしくて見せられんでしょ
あー空からガンダム降ってこねえかな
21. 匿名処理班
※20
空から降ってくるのはマクロスな