
image by:Jack Madden/Cornell University
地球外生命体の捜索は今も続けられているが、宇宙はあまりにも広大すぎる。せめて対象の惑星に生命が存在できるのかどうかを知ることができる何かしらのヒントが欲しいところだ。新しい研究では、その新しいヒントを提案している。
それは「気候デコーダー」と呼ばれる。太陽系外惑星の表面の色と星明かりの反射から、その惑星に生命が宿ることができるかどうかを判断するのである。
光に含まれる”コード”を解析し、大気の状態を推測
気候モデル、化学モデル、さらには恒星や地球外惑星の観測結果といったものからコーネル大学(アメリカ)の研究チームが考案したのは、はるか彼方にある惑星の気候を推測する方法だ。もう少し具体的に言うと、地球で観測された光やスペクトルに含まれる”コード”を解析し、そこから太陽系外惑星の大気の状態を推測する。
惑星科学者のジャック・マッデン氏によると、惑星の表面で反射される光は、全体的な気候と大いに関係があるのだという。

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惑星の光の反射比率で表面温度を推測
鍵となるのは、惑星の「アルベド」――つまり天体の外側から差し込んできた入射光に対する反射光の比率だ。マッデン氏はそれを黒と白のTシャツに例えている。黒いTシャツを着ていれば、光が吸収され、体は温まる。その反対に、白いTシャツを着ていれば、光は反射されて涼しさが保たれる。
同じことが惑星にも言える。惑星の気候やそこに生命が存在できるかどうかは、その表面、大気の状態、恒星の光によって左右される。
Tシャツの色から体の暖まり具合を推測できるように、惑星の色からその表面の温度を推測することができるというわけだ。

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次世代望遠鏡による新しい宇宙観測の時代に期待
この気候デコーダーは、きっと近い将来大いに活躍してくれるはずだ。2021年に打ち上げが予定されているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や、それと連携して稼働する巨大マゼラン望遠鏡といった次世代望遠鏡なら、太陽系外惑星が放つスペクトルをこれまでよりずっと詳細に観察することができるからだ。
従来のモデルは地球や太陽に関する知識に基づくものだったが、気候デコーダーを利用した新しいアプローチならば、もっと適切な形でさまざまな種類の惑星や恒星を分析することができる。
特に待ち遠しいのは、現時点で生命が存在する可能性がもっとも高いと評価されている地球外惑星の観測だろう。
またアルベドを利用するアプローチは、潜在的に居住可能な岩石惑星をモデル化するためにも欠かせないそうだ。
この研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』に掲載された。
How surfaces shape the climate of habitable exoplanets | Monthly Notices of the Royal Astronomical Society | Oxford AcademicReferences:Astronomers develop ‘decoder’ to gauge exoplanet climate | Cornell Chronicle/ written by hiroching / edited by parumo
https://academic.oup.com/mnras/article/495/1/1/5733176
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コメント
1. 匿名処理班
その前に、超光速航行宇宙船の開発を
2. 匿名処理班
因みに地球のアルベドは0.39(1が最大値)
大気やら雲やらあるやん、と思ったほど地球は明るくない。
金星くらい分厚い大気になって1に近くなる。
シンセサイザー黎明期の立役者の一人であるヴァンゲリスが自身のアルバムに「Albedo0.39」を名付けておりますね。
3. 匿名処理班
「紫の惑星を探せ」ってやつだね。
4. 匿名処理班
理論上、地球から何千何万光年って離れた所からなら今でも地球を歩く恐竜を観測できるからね
5. 匿名処理班
宇宙を知るほど今までの常識がひっくり返されるだろうし
、いつか光の中を渡ってくるウイルスとか発見されたりしてな
6. 匿名処理班
高等単細胞生物でもいたと判ればメチャクチャ興奮すると思う。
7. じょん・すみす
今はもういない木星探査機”ガリレオ”が地球に近づいた時に、地球を
観測したんだそうだ。
その時のデータには、自然界からは決して発せられない様な
物質のスペクトルが観測できたそうな、過剰な酸素とか
色々と。
そう言うのが、地球外生命体の観測に使えるのかもしれん。