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どんな血液型にも移植できる「共通臓器」の開発に成功

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(著) (編集)

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 今この瞬間も、大勢の人たちが移植用の臓器を切実な思いで待っている。そもそもドナーが限られていることに加え、人によって適合する臓器としない臓器があるために、移植用臓器はどうしても不足しがちだ。

 だが、このほどカナダの研究グループが、拒絶反応の原因になる「血液型」を変えることで、どんな患者にも移植できる肺を作ることに成功したという。つまり、あらゆる血液型の患者に適応可能なユニバーサル(共通)肺である。

 更に肺以外でも、拒絶反応のない臓器を作り出せる可能性があるという。

 臓器が提供されると、まずチェックされるのは患者と臓器のサイズが合うかどうか、そして血液が適合するかどうかである。

 せっかく提供された肺であっても、血液型が適合しないと廃棄されることもある。血液型とはすなわち、「赤血球」や「血管」の表面にある「糖分子(抗原)」の種類のことだ。

 たとえば、A型の血液に含まれる赤血球や血管はA抗原を持ち、B型ならB抗原がある。AB型は両方の抗原を持っているということだ。そしてO型にはそうした抗原がない。

 一方、同じく血液を構成する「血漿」は、そうした抗原に反応する「抗体」を持っている。A型には「抗B抗体」が含まれており、B型の血液が混ざるとこれを異物とみなして、免疫系が攻撃を開始する。

 抗原がないO型ではあるが、抗体なら抗Aも抗Bもどちらも持っている。だからO型の人は、A型の人の肺も、B型の人の肺も、どちらも受け付けない。

 ところが逆はOKだ。O型には抗原がないので、A型とB型の人にO型の人の肺を移植しても特に問題ない。

 つまりO型の人の臓器は需要がある一方で、O型の患者はO型のドナーからしか臓器をもらえない。だからO型の人は適合する臓器が見つかるまで、それだけ時間がかかることになる。

 2019年の報告によると、O型の肺移植希望患者は、待機中に死亡するリスクが20%高いのだという。

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photo by iStock

血液型を変えて不適合を解消

 こうした需給のミスマッチを解消し、移植を受けられずに死んでしまう患者を救うため、カナダ、トロント総合病院研究所とブリティッシュコロンビア大学の研究グループが考案したのが、臓器移植を阻んでいる「抗原を除去する方法」だ。

 同グループはすでに2018年に、人間の腸から抽出した酵素を利用することで、これを効率的に行うことに成功していた。

 今回『Science Translational Medicine』(2022年2月16日付)に掲載された研究では、2種の酵素(「FpGalNAc deacetylase」と「FpGalactosaminidase」)で肺を処理したところ、どんな血液型であっても免疫による攻撃を受けなかったと報告している。

 実験では、人間の肺を体外灌流装置につないで温度や栄養を維持しつつ、酵素で4時間処理。これによって、A抗原の97%が除去されることが確認された。

 さらにO型血漿で不適合臓器の移植をシミュレートしたところ、未処理の肺では「超急性拒絶反応」が現れた一方、処理済みの肺ではそのような兆候が現れないことも確認されたという。

 この結果を受けて、研究グループは、1年半以内に人間の患者で酵素処理肺の臨床試験を行う予定であるとのことだ。

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Photo by Robina Weermeijer on Unsplash

不思議な臓器の「順応」

 臨床試験では、普通の実験ではわからないことも解明されるだろうと期待されている。

 大きな謎の1つが、臓器の「順応」と呼ばれる現象だ。

 せっかく除去した抗原であるが、移植された肺の細胞が新しくなるために、おそらく抗原もまた新たに作り出される。ところが、それによって移植臓器の拒絶反応が起きるかというと、そうはならない可能性が濃厚なのだ。

 研究グループのマルセロ・サイペル博士によれば、臓器を移植してから数日間、超急性拒絶反応が起きなければ、順応して移植患者の免疫系に対する耐性を身につけたと考えられるのだという。

 この現象は腎臓移植では確認されている。たとえ不適合な腎臓であっても、移植直前に抗体を処理してしまえば、問題なく移植できる。抗体は移植後しばらくすれば元に戻るが、それでも免疫によって腎臓が破壊されるようなことはない。

 が、なぜそうなるのか詳しいメカニズムはよくわかっていない。

 サイペル博士らは、こうした点を含め、酵素処理された肺の安全性について、臨床試験で確認する予定であるという。とはいえ、この方法の仕組みから考えれば大きな問題にはならないと考えられるそうだ。

 また今回の酵素処理法は、肺だけでなく、さまざまな移植用臓器や輸血に応用できる可能性があるとのことだ。

References:Creating ‘universal’ transplant organs: New study moves us one step closer. | Live Science / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 5件

コメントを書く

  1. すげえいい技術だがこの技術が普通に使えるまで
    実証実験を含むと後20年から40年は無理
    俺の寿命まで使えそうもねえや

    • +6
    1. 骨髄移植のドナーをした経験で免疫システムのことをよく考えるのだけど、感染症から守ってくれる半面、臓器移植の邪魔になるっていうね、痛しかゆしで難しい。
      でも、こういう技術が進むことで救われる命が増えることは歓迎です。

      ※1 には悪いけど、間に合わないだろうね。 私も間に合わないと思いますw それでも希望を持とうよ。 あなたに幸多かれと願います。

      • +3
  2. 利用する酵素が人体由来というのも面白い

    • +2

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