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冬は暖かく、夏は涼しく。自己適応するスマートガラスが登場

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(著) (編集)

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NTU Singapore
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 シンガポールの研究者が開発した世界初のスマートガラスは、温度に応じて太陽熱と宇宙からの放射冷却を変動させ、部屋を涼しくしたり、反対に暖かくしたりと自動で調節してくれる。

 これを建物の窓に使えば、冷暖房に使われるエネルギー消費を大幅に削減できると期待できるそうだ。

窓ガラスがあることで冷暖房にコストがかかる

 窓は建築物にとっては欠かせない部分だが、冷暖房という視点で見てみると、エネルギー効率が悪い部分でもある。

 たとえばアメリカ、エネルギー省の試算によれば、年間の一次エネルギー使用量の4%は、窓ガラスの冷暖房効率で消費されているそうだ。

 こうした建物の弱点を克服するために、熱が伝わりにくい「低放射率コーティング」や、電気の力で色を変化させて太陽熱の進入を防ぐ「エレクトロクロミック・ガラス」などが開発されてきた。

 生憎なことに、これらは夏と冬の両シーズンに対応することができない。「可視光」や「近赤外線」による室温の上昇には有効だが、遠赤外線領域で起きる「放射冷却」が見逃されてきたからだ。

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photo by Pixabay

温度の変化に合わせて熱の量を自動調節

 今回開発されたスマートガラスは、特殊なナノコンポジット膜の構造と組成に工夫を加えることで、この欠点を克服。

 「二酸化バナジウム・ナノ粒子複合体」「アクリル樹脂」「低放射率コーティング」で作られた独自の構造のおかげで、冷暖房の効率を自動で調整することができる。

 夏の暑い盛りには、太陽熱(近赤外線)の進入を抑え、それ同時に宇宙からの放射冷却(遠赤外線)をうながす。おかげで部屋は涼しく保たれる。

 冬になれば、それと逆の働きをする。だから室内は暖かく保たれる。

 しかもこの適応機能に電気は一切使われない。

Glass that adapts to heating and cooling needs

60世帯1年分の省エネ効果

 赤外線カメラでスマートガラスの効果を可視化してみたところ、さまざまな条件(室温から70度以上まで)において、熱の放射量が自動で調整されることが確認された。

 すなわち天気の変化に応じて、ダイナミックに冷暖房効率を調整してくれるということだ。

 また中規模のオフィスビルを対象としたシミュレーションでは、市販の低放射性ガラスよりも最大9.5%省エネ効果が高かったという。これはシンガポールの60世帯が1年間に消費する電力に匹敵する。

 研究グループは、すでにスマートガラスの特許を出願済みで、今後はナノコンポジット膜を改善して、さらに省エネ効果を上げていくとのことだ。

 この研究は『Science』(21年12月16日付)に掲載された。

References:Energy-saving glass ‘self-adapts’ to heating and cooling demand | NTU Singapore / / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 19件

コメントを書く

  1. 色が透明でないならば用途はほとんどないから普及しないな

    • -11
    1. ※1
      真逆じゃね?
      「見ちゃいやーよ」
      の方が圧倒的に多い。

      • +6
    2. クーラーの発明で我が国は成立したってシンガポール建国者リー・クアンユーがゆーとったな。実にあそこらしい発明ではある。
      透明度の向上で実用性に目処がついたら、公共機関から導入して市場で通用するまでのコスト低減とか既に考えてるんじゃないか。

      ※1 『先行者』を笑ってた愚を忘れたんじゃなかろうな

      • +3
  2. 家に窓が多い日本からこういう技術が出てほしい

    • +6
  3. シンガポールの立地考えると、特に冷房コストの削減は重要だよね。

    • +3
  4. 工場なんかの採光窓くらいかね。メンテ・耐久度が気がかり

    • -3
  5. お家レベルならちょっとだけ機能性の高いガラス&カーテンの開け閉めで十分かな・・・
    記事にもあるように大きな建築物が導入すると良いんだろうけど、個人的にビルにどうにかしてほしいのは中の電力効率よりも外への反射のほうを抑えてほしい

    • +4
  6. うちの安アパートは「夏、暖かく!冬、涼しい!!」だからなー、是非欲しい所だな。

    • +9
  7. 日本でもお洒落だからといって、壁面ガラス張りのオフィスって結構あるけど 夏は暑いし、冬は寒いしで快適さとは無縁のしろもので馬鹿みたいに思えるデザインでもある。
    身も蓋も無い話だけど、ガラスそのものの性質を変えるより、断熱効果の高いシェードカーテンをつけた方が手っ取り早いと思う

    • -3
  8. 室内側が冬にガンガンに暖房を効かせてても、夏にちょっと肌寒いくらい冷房入れてても
    正しい方向に効果を発揮するんだろうか。

    • 評価
  9. 値段的にいくらするのか分からないが、
    輻射熱は空調では無視できないファクターなので
    10%程度でもかなりの費用対効果はあると思う。

    • +3
  10. ナノコンポジットとかそんなめんどくさいこと言ってないで、航空機と同じような構造の窓ガラス作ればいいんじゃね?と思って調べたら既に作られてたわ

    • +1
  11. これを使った人の評判とコメント次第では導入してみたい

    • 評価
  12. >夏の暑い盛りには、太陽熱(近赤外線)の進入を抑え、それ同時に宇宙からの放射冷却(遠赤外線)をうながす。

    「宇宙からの放射冷却」・・・?

    今いち文章の趣旨がよく分からない。
    冷却効果のある窓ガラスの説明としては多分
    「外からの太陽熱を遮断し、中のこもった暑さは外へ発散する」
    って流れじゃないかと解釈したんだが…。

    ↓原文の universe って、この場合は、「宇宙」でなく
    「(家をとりまく)外界」ぐらいの意味ではないの…?
    「放射冷却(遠赤外線)―― すなわち、表面から
    涼しい外界へと熱を放出する自然現象」みたいな。

    radiative cooling (long-wave infrared) – a natural phenomenon where heat emits through surfaces towards the cold universe

    • 評価
    1. ※14
      原文すらおかしい件でして
      熱工学で使われる表現で無く
      どちらかというとトンデモ科学の方のような気がする

      • 評価
    2. ※14
      ※17
      というか記事書いた人もこの技術のことよく判ってないというか多分大元の説明を誤解してるんじゃないか?
      例えば一般的に雲が少ない夜は地表からの放射冷却で上空に逃げる熱が雲によりまた地上に跳ね返されることが起こらず、そのまま宇宙に放出されることにより気温が下がるものだけど
      それを踏まえるなら「室内の熱を外に出して、あとは放射冷却現象に任せる」と言いたいんじゃないかな元々は
      まるで窓ガラス素材に放射冷却を促す効果があるかのように書いてる文章になってしまってるから変なんだと思う

      ただ、ちょっと調べてたら日本の大阪ガスという会社が放射冷却現象を利用し、宇宙に熱が逃げて行きやすいように熱を反射する「SPACECOOL」という素材を開発しているのを見つけた
      これの原理は説明が無いのでよく判らなかったが、もしかしたらこの窓ガラス素材もSPACECOOLと同様に本当に放射冷却現象を発生しやすくする赤外線波長(雲に反射されず透過するとか)に変換か何かして熱を放出する効果があるのかもしれない

      • 評価
  13. 伝熱工学上ありえない事を・・・まぁ良いか
    商品になって結果が出てからでさ
    重箱の隅は突かないでおこう

    • -1
  14. 2重ガラスにしたら断熱層が出来て
    外気温の影響は受けなくなるから
    それでええんちゃう

    • 評価
  15. エアロゲルでよくないか?
    エアロゲルの記事かと思ったらそうでもないみたいだし

    • 評価

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