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無限の寿命を持ち、500テラバイトの記憶容量を持つ5次元光学ディスクが誕生

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(著) (編集)

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 イギリスの研究グループによって、レーザーでガラス製ディスクに5次元データを高速で書き込む方法が開発された。

 CDサイズの5次元(5D)光学ディスクの記憶容量はじつに500テラバイト(TB)。ブルーレイディスクの1万倍以上の記憶容量で、人間のDNA情報の保存にも利用できるという。

 すでに2016年より研究が行われていたが、データを書き込む速度を改善する必要があった。そして今回、光をコントロールする光学現象を利用することで、十分な書き込み速度を達成したと報告された。

光学的2次元 + 空間的3次元 = 5次元ストレージ

 英サウサンプトン大学のレイ・ユーハオ博士は、「かつてなかったほど大きなデータが生成されるようになった今、大容量・省エネルギー・長寿命の効率的なデータ・ストレージが求められています」と語る。

クラウドベースのシステムは、どちらかと言えば、一次的な保存向けに設計されています。ガラス製5Dデータストレージなら、長期的なストレージとして、公文書館・博物館・図書館・企業などで利用できるでしょう

 『Optica』(21年10月28日付)で発表された新しいデータ書き込み方は、2つの光学的次元と3つの空間的次元で、合計5次元(5D)でデータを書き込むことができる。

 こうした5D光学ストレージは、過去にも研究されてきたが、実用化するには速度と密度が不足していた。

 この問題を克服するために、ユーハオ博士らは、高繰り返しパルスのフェムト秒レーザーを利用することにした。

 そしてレーザーで直接書き込むのではなく、光のコントロールで「近接場増強」という光学現象を起こして書き込むのだ。

Fabrication process for 5D optical storage

高い耐久性と無限の寿命

 この工夫によって、ほんの数回の弱い光パルスで、ナノレベルの薄層構造を作り出すことに成功。しかも、これまで高繰り返しパルスレーザーの欠点とされてきた、熱による損傷を最小限に抑えることもできた。

 5Dディスクは最大で1000度の熱安定性を持っており、190℃の環境でも138億年間データ保存できるという。地球が滅びるよりも長持ちするので、いわば無限の寿命を持つこととなる。

5-Dimensional Data Storage

書き込み速度は毎秒100万ボクセル

 こうして実現された書き込み速度は、毎秒100万ボクセル。これは毎秒230キロバイト(100ページ以上のテキスト)のデータ書き込み速度に相当する。

 十分実用レベルに達しており、数十ギガバイト(GB)のデータであっても、妥当な時間内に書き込むことができる。

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サウサンプトン大学の科学者は、最先端の5Dデータストレージ技術を使用して、約5ギガバイト(GB)の情報を1インチ(2.54センチ)のシリカガラスサンプルに保存した / image credit:Yuhao Lei and Peter G. Kazansky, University of Southampton

ディスク1枚で500TBの記憶容量、ほぼ無限の寿命を持つ

 またレーザーで作られるナノ構造は局所性が高いために、ボクセルの密度も高い。

 実験では、CDと同じ大きさのシリカガラス・ディスクに5GBのデータをほぼ100%の精度で書き込むことに成功。各ボクセルは4ビットの情報をもち、1文字は2ボクセルで表現される。

 このデータ密度であれば、ディスク1枚で500テラバイト(TB)を保存することが可能。また今後の改良により並行記録できるようすれば、この容量を60日で書き込めるようになるという。

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mage credit:Optica / University of Southampton

大容量ディスクの利用方法

 こうした大容量ディスクは、たとえば人間のDNA情報の保存にも利用できるとのこと。

 だが完全に実用化するには、書き込み速度だけでなく、読み込み速度も高めねばならない。さらに研究室以外の場所で利用できるようにすることも今後の課題であるという。

 なお透明な素材に素早くナノ構造をつくり出せる今回の方法は、データストレージとしてだけでなく、3D集積光学やマイクロ流体工学への応用も期待できるそうだ。

 これがあれば100TBの世界最大規模の模擬宇宙をダウンロードできるな。

References:High-speed laser writing method could pack 50 | EurekAlert! / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 62件

コメントを書く

    1. ※2
      ※2
      外付けHDDと仮定して
      Win10で通常フォーマットしたくても
      所要時間おおよそ4.7ヶ月かかってしまう勘定でしょうか?
      違ってたらごめんなさい

      いずれにしても
      他人や家族に見せられないコレクションを保存してたら
      自分の遺品になる前に物理破壊するしかないですね…

      • -3
    2. >>2
      不可能な方がサイバー犯罪に強いから良い

      • 評価
  1. 論理上は半永久的にデータを保存できるわけですね
    文化財や新聞などの膨大なデータ保存に向きそう

    • +8
  2. う~~む。
    かつて「フロッピーディスク」(144KB!)を使っていた、この化石人としては、感慨深いものがありますなあ。

    ただ、「ガラス製ディスク」ということで、物理的耐久性にはやや疑問も。

    • +7
    1. >>4
      まぁHDDもガラスやしそう問題にはならんでしょ
      勿論寿命が伸びることにより事故に巻き込まれる回数は増えるわけだから寿命内においての物理的破損率はほぼ100%になりそうだが

      • 評価
  3. 容量は多いけど、書き換え不可&書き込み速度230KB/sでしょ?
    完全に書類とか資料の保管向けで個人が使う分には微妙だな

    • +6
  4. メンインブラックのディスク開発されたのか

    • 評価
  5. >このデータ密度であれば、ディスク1枚で500テラバイト(TB)を保存することが可能。また今後の改良により並行記録できるようすれば、この容量を60日で書き込めるようになるという。

    >これがあれば100TBの世界最大規模の模擬宇宙をダウンロードできるな。

    100TBを書き込むには並行記録しても12日かかる
    実用的ではないな

    • -8
    1. ※7
      そりゃまだ製品になってない研究段階だからな。

      • +5
    2. >>7
      毎日のように書き込むわけではなくて、いわばボイジャーのプレートのように、未来へのタイムカプセルとし送り出す目的なら、実用的、と言うことだろう

      • +3
    1. >>8
      有限だとデータを壊す原因となる弱点があるということだから、その弱点に強く晒される環境にあれば100年より早く壊れる恐れがあるから無限の方がいい

      • +1
  6. まだまだ課題は多いけど将来的に流通を目指せるといいね

    • 評価
    1. >>9
      課題多いの?課題は書き込み速度くらいでは?

      • 評価
  7. 記憶容量を増やすよりもハード自体の寿命を長くしたり
    次世代の人でも簡単に修理や再生できるような体制が必要
    現にCD-Rなんて最近開発されたのに、PC自体に搭載
    されてないものもあり、ひどいとデータ自体も消えてる
    たいして古く消え去ったようなカセットテープやLPは
    アナログな面簡単に消えないし、ハード自体も簡単故
    いまだ新品が売っている

    • +15
  8. まあほとんどがムフフなファイルの保存に使われるんですがね

    • -1
  9. わずか4年前のBD-R(10枚800円くらいで買った奴全部)が読めなくなったことがあるので
    別ロットのディスクコピーを作らんと不安すぎる

    • +4
  10. 問題は読み込める機械の寿命。

    石版には当時の記録が記されていた
    古文書は一部破損しているが、断片的だが当時の様子がわかる
    デジタルストレージは機械がないので何が書いてあるのか誰にもわからなかった

    ってなジョークが考古学者の間であるそうな

    • +6
    1. >>14
      未来の人間をもう少し信じてやろうよ

      • 評価
    1. >>15
      普段はケースに入れときゃいいだけやん

      • 評価
  11. いつか自分の脳の情報をアップロードできる時代が来るかもしれないぞ
    この話を10年前に上司にしたら「はぁ?馬鹿か?そんなんできるわけないやろ」と言われたけど、すぐ目の前まで来てるぞ

    • -4
  12. フラッシュメモリの発明以来
    宇宙人が地球人になりすまして
    発明しているね。

    • -6
  13. ダウンロード(郵送)がはかどりそう
    ナノレベルの薄層構造ということだけど、鉄粉は放るだけで酸化鉄になったりアルミホイルしかり薄膜は化学反応しやすいから、普通の紫外線で破壊されそう

    • -1
  14. ライトニングさんみたいなタイトル
    「光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女性騎士」

    • -1
  15. 草薙少佐「ふ~ん、義体を交換する時のバックアップに使えそうね。」

    • -1
  16. LDは永久に持つ、って聞いてたんだけどなあ、、

    • 評価
    1. ※22
      俺も同じこと思ったわ。「半永久」詐欺が毎回過ぎてなんか欠点あるやろという思考にしかならない

      • +3
  17. Voyagerのゴールデンレコードと交換するミッションはよ

    • -1
  18. 古代文明のクリスタルにも実は何か情報が書かれてたかもとか想像すると楽しい
    物の記憶を読み取れるサイコメトリーが人類側に組み込まれてた情報読み取りシステムが残ってる人とか
    なんにせよ科学の進歩ってすげー

    • +1
  19. テラバイト級のディスクは実験室レベルでの発表は昔かあるけど、結局製品化されないんだよなぁ

    • 評価
  20. ほぼ100%と言う怪しい精度で書き込めるw
    ホログラムディスクが登場しない時点で
    この手の記録媒体は期待しない事にしている

    • -1
  21. 問題はデバイスだなぁ。
    記録媒体がどれだけ長期保存できても、読み書きするデバイスの方は精密機器であることは変わらず、長期間の維持ができない。

    • -3
    1. >>29
      文明レベルが下がらない限りはどうとでもなるが

      • +2
  22. 138億年データを保存できる光学ディスクか
    だが私の記憶力なら一週間でそのディスクを紛失する事が出来る!

    • +6
  23. リーダー&ライターがどれくらい存在し続けてくれるかだなぁ
    テープからフロッピー、CD-ROM、MOとかデータを写し移しして来たけれど
    結果年々大きくなるHDDに数年ごとにお引越しが
    今のとこ一番安全でそうしているが
    USBがかつてのSCSIみたいにならなきゃいいなあって思うところ

    • 評価
  24. 読み込み時間も同じくらい掛かるならまだまだ使えんな

    • +2
  25. 海外のドラマでデータが透明の板に保存されてる
    描写があったけど現実になったんだ

    • -1
  26. 20年くらい前かな?
    理化学研究所で「赤外線でキューブに書き込む研究」を見たよ。
    特殊な赤外線だと多量に書き込めるんだって、その応用かな。

    • +1
  27. ケースは耐衝性の高いケースとかないと使い物にならなさそうな予感
    耐衝性のないケースだとちょっとしたことで簡単に壊れそうだな

    • 評価
  28. 何十年か前にも似たような技術が話題になったけど
    情報が数億年保ったところで
    「数十年後に読み取る機器が普及したままで、誤作動なく動く」かが問題なのよ

    • -2
  29. >>これは毎秒230キロバイト(100ページ以上のテキスト)のデータ書き込み速度に相当する。
    >>十分実用レベルに達しており、数十ギガバイト(GB)のデータであっても、妥当な時間内に書き込むことができる。

    う~ん、この記事を書いた人は、あんまりデータ転送に詳しくないのかな
    230kB/secというと1分間で13800kBつまり約14MB、1時間で828000KB約828MB、10時間かけて約8.28GB、数十ギガバイトのデータを書き込むだけで数日間はかかるのだけど、本当に妥当なの?

    フロッピーディスク並に遅い転送速度では、現場では使えないという烙印を押されそうですが。

    • -3
  30. MOの安定性・耐久性を保持したままより大容量化は閉ざされたのだろうか
    128MBから2.3GBまで来たというのにこれで終わりというのは寂しい

    • 評価
  31. USB1.1規格のFullSpeedモードのデータ転送速度は理論値12Mbps、これをキロバイト/秒に変換すると、1500KB/Sec

    記事の記録媒体は、USB1.1の1/6.5の速度でしか転送ができない。
    たった1GBのデータを転送するのに1時間以上もかかる
    USB3.1規格のUSBメモリなら100MB/Sec出るものもあるので、わずか10秒足らずだが

    • -3
  32. 宇宙探査機に乗せて、宇宙人へのメッセージでも送るのに良さそうな技術だ。
    未来のボイジャーにはガラスの円盤が載ってるかも

    • 評価
  33. ホウ素かタングステンとか入れて3000度台の耐久に出来んかな。
    1000度じゃ心許ない

    • -1
  34. 大容量データは記録媒体を郵送で送ってもらう時代アゲイン!w

    • 評価
  35. メディアの寿命よりも規格の寿命のほうが先に来そうw

    • 評価
  36. ここのコメ欄日本人が作ったら肯定的な意見になってそう

    • -4
  37. ガラスってほっといても相当な長期間たつと変形するんじゃなかったっけ?

    • -1
  38. のちのドウターチップってことでいいのかな?
    ログナーの復活が待たれるな。

    • +1
  39. なんだって、5次元光学ディスク誕生!?

    >光学的2次元 + 空間的3次元 = 5次元ストレージ

    そこ足しちゃダメなやつーw

    • 評価
  40. 書き込み・読み出し機器が
    2年で生産中止3年で部品在庫が消える
    ディスクが無事でも数年の寿命やな

    • -1
  41. この手の「革新的な技術で超巨大なデータメディアが実現できる可能性!」みたいな話は何十年も前から度々聞くけど、
    実際に実用化されたって話はまったく聞かないな。
    実用化された技術は、ほぼ例外なく、なんの変哲もない既存技術を更に発展させたもの。

    唯一の例外は、エジソンがレコードを作った瞬間くらいか?
    現代のコンピュータの情報記録技術はすべてそこに端を発する。

    • -3
  42. ちょっと計算してみたが、230KB/秒で500テラバイト書き込むと、
    500*1000*1000*1000/(230*60*60*24*365)=68.9年
    かかるということになる。

    • 評価

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