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イノシシは愛情深い。罠にかかった仲間を救い出そうとする姿がカメラにとらえられる

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(著) (編集)

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 猪突猛進という成句が出来るほど突進力が強く、街に出没しては度々捕獲劇が報道されているが、彼らには仲間を思いやる心があるようだ。

 チェコの研究グループは、罠にとらえらえた若い仲間をイノシシたちがチームワークで「救助」する場面を撮影することに成功した。

 イノシシにも高度な共感力があることを示す事例として、『Scientific Reports』(21年8月10日付)で発表された。

若い仲間が罠に捕まる。その時イノシシたちはどうする?

 イノシシたちの救出劇は、チェコ生命科学大学プラハ校のグループが実験として行った状況で起きたものだ。

 同グループはまず「イノシシ(学名 Sus scrofa)」の群れの中に、進入すると扉が閉まって出られなくなってしまう檻を設置した。それにかかったのは幼いイノシシと成獣間近の若いイノシシだった。

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image credit:Masilkova et al (2021), Scientific Reports

 閉じ込められた2頭は壁に突進したり、走り回ったりしていたが、やがて状況を把握すると悲痛な様子を見せ始めた。

 それから数時間後、メスを含む8頭のイノシシが檻の周囲に集まった。メスは被毛を逆立てて、扉を抑えている丸太に突進。これによって丸太を動かし、取り外すことに成功した。

 中にいるイノシシ2頭が扉を押し開けられることに気づくまでには少々時間がかかったが、最後は無事脱出することができた。

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aのイノシシと比べると、b~fのメスは被毛が逆立っていることがわかる。これはメスが仲間の苦しみに共感していることを示している / image credit:Masilkova et al (2021), Scientific Reports

見返りを求めない自己犠牲

 なおここでいう「救助」は、ほかの社会的行動と区別するために、次の要素を満たすものと厳密に定義されていた。

1. 窮地に陥った被害者がいる
2. 救助者は、自らリスクを負ってでも被害者を助けようとする
3. 被害者を救出するために何らかの重要な行動がとられている(ただし必ずしも成功する必要はない)
4. 被害者を助けても、救助者に直接的なメリットはない(単純にエサや交尾のためにやっているわけではない)

 つまり、何の見返りも求めず、自己犠牲を覚悟の上で仲間を救うために行動を起こすということだ。

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photo by Pixabay

イノシシの高度な社会性と共感力

 研究グループによれば、この脱出劇からは、イノシシに深い社会的傾向や高度な問題解決能力があることがうかがえるという。論文では次のように説明されている。

救助行動は共感によって動機づけられていた可能性がある。というのも、メスの救助者の被毛が逆立っていたからだ。

これは苦悩しているサインで、被害者に気持ちをそわせたり、理解していたりするときの共感的感情状態を示している。

 このように仲間と同じ気持ちになることを「感情の伝染」という。今回のメスは、若いイノシシが苦しむ姿を目にして、どうにか助けてやりたいと思ったのかもしれない。

 イノシシを家畜化したのがブタだが、ブタは苦しむ仲間の姿を見て苦悩することが知られている。この脱出劇は、ブタ科の動物たちにはさまざまな形の共感力があることを示す新たな証拠になるだろうとのことだ。

References:Observation of rescue behaviour in wild boar (Sus scrofa) | Scientific Reports / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 41件

コメントを書く

  1. 「格闘技強い奴は頭が良い」の法則からすれば、イノシシは相当賢い可能性が高い。

    • +5
    1. >>1
      かなり賢いと思うよ。神戸に出てくる猪は人の様子見て覚えるのか信号きちんと守るよ。親戚筋の豚も、賢いしね。

      • 評価
  2. 発表よりずっと前からもののけ姫で勉強させてもらいました🙏

    • +3
  3. 乙事主とモロは恋人だったという裏設定を聞いて、乙事主の最後に泣いた。

    • +5
      1. ※19
        もののけ姫のドキュメンタリーで宮崎駿自身が言ってることだよ・・・
        あなた自身が岡田なにがしのゼミしか見てないんじゃない

        • 評価
  4. おそらく、多くの哺乳類や鳥類が、人間が勝手に考えているよりもずっと知能が高く、感情も豊かなのだと思う。
    それを客観的に検証する手段があまりないから、学者に認識できないだけなのだろう。
    (とはいえ、さまざまな動物に身近で接している人たちは、経験からわかっていることのはずだ)

    • +13
    1. ※4
      たまに鬼の首取ったように「科学で証明できないんだからそんな事象はない!」って決めつける論調があるけどそれって全然科学的じゃないのよね
      科学で言えるのは「証明できない以上現時点では無いと判断するのが一番妥当」ってだけ
      無いとされてたものがあとから有るって証明されたりってことは過去にも頻繁に起きてるし

      無知の知ってのは本当に大事だと思うわ

      • 評価
      1. ※18
        そうだね
        そのことと、科学的根拠もなく「人間が考えるより、ずっと感情豊かなんだ」と妄想を繰り広げることは、全く別次元の話だって理解できていれば何も問題ないよ

        • -3
    2. ※4
      その言い方は学者に対して失礼だ。
      学者は認識できないのではなく、そう感じていても証明していないことは放言しない責任があるだけだよ。

      • +4
  5. と言う訳で高度な知能が有るから殺すのは残酷
    なんて方向に向けないでね
    田舎では駆除しないと暮らしていけないんだから
    安易に共感生む表現しないで習性として理解した方が良い様な気がする

    • +6
    1. ※5
      一般論として無駄に大量に殺す必要ないでしょ
      なので思考停止せずに命を救う余地を常に心に持っているべき
      人間の方が勝手に彼らの居場所を奪ったのだし
      電気柵などの対策もせず自然と何の境界もない畑の作物を
      それと知らずただ食べただけで即死刑は理不尽

      • -6
      1. ※28
        イノシシは食害にとどまらず石垣なども破壊してしまう
        被害に遭ったことのある人間からは到底受け入れられないことだよ
        こちらが殺されてしまう可能性もある獣なのにあなたこそ思考停止しているのでは?

        • +1
  6. 感情や共感といったものはヒトの専売特許ではない。それを科学的に実証したってことか。

    • +6
  7. これはちょ津と複雑な気分
    じゃあ罠をかけるな、
    と言うわけにもいかないからなあ

    • +5
  8. 捕まったのは若いイノシシということだけどメスイノシシは母親ではないのか?
    捕まったのが大人のオスでも同じ反応をするんだろうか?

    • 評価
  9. 同種の断末魔とかパニックの叫び声はストレスになるんだろうね。
    今回は顔見知りだったから助けに奔走してくれたみたいけど、完全に見ず知らずの他人でも助けたのかな。雑食かつ強者側のイノシシの行動、結構興味深いかも。
    ウサギやネズミみたいな弱者の生き物は仲間の叫び声でも逃走意識にしか向かなそうだし。

    • -3
    1. >>11
      一発で綺麗に仕留めるのが難しいのがイノシシだよ

      • 評価
  10. 動物同士の裏表の無いコミュニケーションは本当に憧れる。人間は余計な事をあまりに考え過ぎる。

    • +1
  11. 畜生でも思いやりあるのに人間は戦争ばっかりしてんな。自分の事ばっかでダセー

    • -1
    1. >>13
      いやいや、この前チンパンジーだったか群れ同士が諍いを起して、殺し合いが発生していたという記事があったじゃん

      • +1
  12. 2は一番最後に来る項目では?

    まあ
    助けたいと頑張る姿には感心するし高い知能と共感力があるのが見える。
    でもウチのほうは猪とか食べるんだよね。

    • +2
    1. >>15
      ボタン鍋美味しいし体が暖まる。

      • 評価
  13. 豚が結構そういうとこあるらしいから不思議ではない
    豚よりは荒くれてそうだけど

    • +4
  14. イノシシは優しいね

    人間なら交通事故や火事の際に救助もせず、スマホで動画を撮影する人が大半なのに

    • -13
    1. ※17
      そういう現場に遭遇したことあります?

      自分は火事や交通事故、過去何度か現場に出くわしたけど、必ず助けようとする人、通報する人がいましたよ。たいがい数人の協力者がいました。

      直前を走っていた車がいきなり壁に激突したことがあって「いくらなんでも、なにもせず素通りはできないだろ」とドライバーに声掛け、救急の通報と車の移動の手伝いはしました(幸いドライバーと同乗者は軽傷、車は前輪がオシャカだったので結局レッカーを待ちましたが)。この時も通りがかりの人やご近所さんが皆手伝ってくれました。

      邪魔だ早くどかせ!と怒鳴って通過していった運転手もいましたが、こやつは猪どころか脳細胞が一個しかない微生物なんだろうなと思えば、怒りも湧きませんな。

      • +3
      1. >>26
        運転手も時間通りに届けないとペナルティが発生して家族を養う事が困難になるという背景があったんじゃないかな

        • 評価
        1. ※36
          確かにかなり渋滞を引き起こしていたのでイライラは理解できるんですが、困っている人に投げつける言葉じゃないですね。

          自分も当事者でもないのに、なんで怒鳴られなきゃならんのだと一瞬思ったけど、パニックになりそうな事故のドライバーの前では不思議と冷静さを保てましたね。

          • +1
  15. 罠は複数用意しといたほうがいいってことやな

    • +4
    1. >>20
      そうなんです。特に幼獣が大量に箱罠で捕まったら、乳をやろうと母親が罠の周りをウロウロしますので、罠に通じる獣道に、今度はくくり罠という隠す罠を仕掛けて、親子ともども獲るのが理想ですね。というか、幼獣ばかり獲れても、子供のいなくなった母親はまた発情期を迎えて子供を作るので、その母親が獲れないことには駆除としては根本的成功とはいえません。
      ちなみに箱罠には餌を撒きますが、母親は幼獣を先に行かせて安全なら自分も食べにいきます。また銃猟でも猪のネヤ(巣のようなもの)に猟犬をいかせて、驚いて飛び出したところを撃つというのがありますが、幼獣がいた場合、幼獣が先に逃げるのでそれとは反対方向に親は逃げます。これが猪の基本行動です。
      罠に掛かった幼獣を助けにいこうとするということも稀に聞きますが、幼獣を連れている場合は、見捨てる、又は囮にする、ということがほとんどです。
      この記事は本当のことでしょうが、猪を代表する行動ではないと思います。

      • +2
  16. 罠にかかったイノシシを囮に罠を仕掛ける手が使えると言う事かな

    • +4
  17. 猪には高い共感能力があるんか…
    せや!囮に使ったろ!!!!

    やっぱり悪魔って人間のことだと思うぞ、シンイチ

    • +3
  18. 害獣駆除は致し方ないし、豚肉が大好きなのだけれど…食いづらくなるね

    • -1
  19. 罠に仕掛けたトレイルカメラに写っていた動画
    大きなメスが餌のヌカを食べ食べ、その鼻先に子供であろうやっとこさウリ模様が消えた小型のイノシシが近付く
    メスは鼻で邪魔だと言わんばかりにその子供の個体を大きく投げ飛ばし
    え~DVですわ

    • -3
  20. 猪好きだからYouTubeで検索すると、罠とか狩猟の残酷な動画ばかり
    見たいのはそっちじゃないんだけど

    • +1
  21. これはつまり、仲間を助けようとする行動を利用してより多くのイノシシを処理できる可能性があるってことか

    • -3
  22. イノシシ肉は、しっかり火を通さないと寄生虫感染が発生する、でも手間を掛けるだけの美味しさもある

    • 評価
  23. ってことは、イノシシのぬいぐるみを入れたダミーの檻を用意して、その手前に本命の罠を用意しておけば、簡単に捕まえられるのか?

    • 評価

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