この画像を大きなサイズで見る人間の目にはピタッと止まっているように見える物体であっても、じつは止まっていない。原子の動きを観察できるレンズがあったとすれば、静止していると思っていた物体が振動する粒子の集まりであることに気がつくだろう。
そうやって動き回る物体を超冷却すれば、原子は完全に動きを止める。この純粋な量子状態を「振動基底状態」という。
これまで重量ナノグラムレベルの数百万の原子の雲ならば、どうにか静止させることができていた。だが今回、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが実現したのは、原子どころか人間ほどの大きさのある物体をほぼ完全に静止させることだ。
振動基底状態とは?
物体が常に動いているのは、それを構成する原子がお互いや外部の影響と相互作用しているからだ。こうしたランダムな動きは、温度という形になって現れる。
したがって物体を絶対零度にまで冷却することができれば、動きは止まる(厳密には不確定性原理のために振動は続く)。これが振動基底状態だ。
誰かが投げたボールをキャッチしたときのことを想像してほしい。ボールが手の中でピタッと止まるのは、手によってボールが飛んできたときと同じ量の力が正反対から加えられたからだ。
原子もこれと同じで、等量かつ正反対の力で振動のエネルギーを相殺してやれば、動きを止めて温度を下げることができる。これをフィードバック冷却という。
それを実際に行うには、原子の速度や方向を精密に計測する必要があるが、ヴィヴィシェク・スディール氏らは、レーザー干渉重力波観測所(LIGO)ならできると考えた。
この画像を大きなサイズで見る陽子1万分の1個分の動きを計測するLIGO
LIGOの干渉計はL字につなげられた長いトンネルのような構造をしている。トンネルの各末端には40キロの鏡が計4枚ぶら下げられており、ここにレーザーが当たるとブランコのように揺れる。そして、そのときの揺れが陽子1万分の1個分の精密さで検出される。
スディール氏らのアイデアは、これを利用して人間くらいの大きさがある物体の小さな動きを計測し、そこから算出された反対方向のエネルギーを加えて動きを相殺しようというものだ。
なお、ここで人間サイズの物体と言っているのは、1つの物体ではなく、先ほど述べた40キロの鏡のことだ。それら4枚の動きを合わせると、数学的には10キロの単一の物体とみなせるのだという。
この画像を大きなサイズで見る鏡の動きを10-20メートル未満にまで抑制
レーザーで原子の動きを計測しようとすると、計測という行為自体が鏡をランダムに揺り動かす(量子的反作用)。そこで連続的に計測し続ければ、通過した光子によって生じた鏡のランダムな反動を、後続の光子によって知ることができる。
研究グループがこうした情報から鏡の動きを相殺する正反対の力を計算し、電磁石で発生させたところ、鏡全体をほぼ振動基底状態に近づけることに成功したとのこと。
鏡に残されたエネルギーは極小で、10-20メートル未満(陽子1000分の1個未満)しか動かなくなったという。ちなみに完全な振動基底状態の温度は10ナノケルビンと予測されているが、鏡の温度は77ナノケルビンにまで迫っていたそうだ。
この画像を大きなサイズで見る巨大な量子物体
なお振動基底状態は、励起状態などの不思議な量子状態つくり出す最初のステップであるそうだ。それを人間の目にも見えるスケールで実現できたなら、巨大な量子物体に重力が与える作用を観察することもできるかもしれないとのことだ。
この研究は『Science』(6月18日付)に掲載された。
Top image:photo by iStock /References:Physicists bring human-scale object to near standstill, reaching a quantum state/ written by hiroching / edited by parumo
追記:(2021/06/20)本文を一部訂正して再送します。
















「巨大な量子」という時点でもう頭が追い付かない。どういうこっちゃ。
鏡キレイだニャン
この技術の集大成がコンビニとか
100円ショップに並んでいるのを見かけるのは
まだまだ先だと思うけどまぁ頑張ってくれ
お代官さま、手前には何のことやらトンと??
これ、もし人間だった場合、生きてると仮定して時間の感じ方はどうなるんだろうか。
やはり、自分以外の時間がほとんど止まった状態に感じるのかな。
※5
逆に自分以外がものすごい早く動いてるように感じるのかと思った。けど、何の根拠もない。
※5
説明文にもあるように77ナノケルビンにまで対象の温度が下がってる
ケルビンだから分かりにくいが摂氏で言えば-273.15 ℃の絶対零度寸前
生きているにしても冷凍睡眠の仮死状態で時間は感じることはできない
※5
生きてると仮定した場合自分は停止状態にあるんだから何も知覚できず思考も出来ない無知覚無認識な状態になってんじゃね?
※5
人間に限らず、生物が「生きている」状態というのは代謝による動的均衡・つまり一見して静止しているように見えていても常にどこかしらが動いている状態にある。従って、振動基底状態にするとしたら、代謝を完全に停止させなければならないので「死んでいる」事になる。
うん、ちょっと何言ってるのか分からない・・・。
だれかガンダムで例えてプリーズ。
10-20メートル未満を10~20メートル未満に誤訳するのは笑える
ダルマさんが・・・・
10<sup>-20</sup>mね。10から20mと読んでしまった。
俺も取引先からの問い合わせを受けている時など、ほぼ完全な静止状態になるよ。しょっちゅうだよ。
>>13
だいぶお疲れのご様子で…(^_^;)
輻射もほぼ発生しないような状態なのかな
機体が量子化しただと!
つまり量子テレポートへ一歩進んだと言う事か。
ボタン一つで商品が目の前に来る時代がやって来るのか、胸熱。
つまりLIGOの観測精度がまた上がったということか
めちゃくちゃ段階踏んで研究進んだら重力制御につながるってこと?
オーロラエクスキューションか…
トランザム!
>>21
いいか、極力トランザムは使うなよ!
量子が絡むとチンプンカンプン
ライゴは重力波検出以外にやる事があるんだな
完全に動きを止めた漁師。
鏡は動いていると?
そうか。深夜に三面鏡で合わせ鏡をしてると、鏡の中の大勢の私の内の一体だけが、
実体の私とは違う表情や動きをするのは、そういう事か!
※26
アナタに今必要なのは、その三面鏡を処分する事です。それからお祓いに行って来て下さい。
カウンターパンチみたいなので個々の原子の動きを止めるんだよね?
原子が停止すれば絶対零度という発想もすい
えーと、ほぼ静止している状態だから重力が及ぼす小さな力も見やすいってことなのか?
後に「転送装置」「ポータル」と呼ばれるようになる発明である。
何人か指摘なさってますが、10の-20乗メートル(=10ゼプトメートル)だと思われます。
タイトルに「量子」とついて、なるほどと理解できたためしがない
「動きは止まる(厳密には不確定性原理のために振動は続く)。」
って止まってるの止まってないの?
全ての物体は基本的にある量子状態をもつので、「物体を量子状態にする」という言葉にはなんも意味がないな
「人間一人分に相当する物体を基底状態にすることに成功」くらいがちょうどいいと思うけど、振動基底状態って言葉を避けようとしてかえってとんちんかんなタイトルになってる気がする
「量子状態」の部分は「量子的にほぼ静止した状態」に変えたらいいと思う