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神をも恐れぬ暗器。聖書の中に仕込まれた暗殺用銃「バイブル・ガン」

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(著) (編集)

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credit:Museo Correr in Venice
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 敬虔な信者にとっては命と同様に大事な聖書の中身をくりぬき、中に銃を仕込んだ暗器が実際に存在した。

 これは17世紀後半、ヴェネツィア(ベネチア)共和国の総督だったフランチェスコ・モロジーニが作らせたものと言われている。

 シルクの栞(しおり)を引っ張ると、聖書を開かずに銃を発射することがきるという究極の暗殺用武器だ。現在、ヴェニスのコッレール博物館で展示されている。

閉じてしまえばまったくわからない、聖書に仕込まれた銃

 ロレンツォ・チットーニは著作『Venise, L’hiver Et L’ete, De Pres Et De Loin』の中で、この銃聖書について語っている。

イタリア・ヴェネツィアのコッレール博物館で、子どもの頃、大好きだったモロジーニの祈祷書を見つけた。

この素晴らしい本には、もちろん祈りの言葉がおさめられているが、それ以外に、台尻を切り取った銃が仕込まれているのだ。装丁もゴージャスで、本を閉じてしまえば、銃が隠されていることなどわからない

 この暗器、バイブル・ガンは暗殺用に、当時ヴェネツィア(ベネチア)共和国の総督だったフランチェスコ・モロジーニが作らせたものと伝えられている。

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credit:Museo Correr in Venice
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credit:Museo Correr in Venice

フランチェスコ・モロジーニという人物

 フランチェスコ・モロジーニ(1619年2月26日~1694年1月16日)は、多くの総督や将軍を輩出した有名なヴェネツィア貴族モロジーニ家の一員で、1688年から1694年までヴェネツィア総督を務めた。

 当時は、オスマントルコとの大戦争の真っただ中だった。彼は頭の先から爪先まで、常に全身真っ赤な衣装に身を包み、どこへ行くにも必ず猫を伴っていたという特異な人物だった。

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真っ赤な衣装に身を包み、猫をこよなく愛していたフランチェスコ・モロジーニ総督 image credit:public domain/wikimedia

 モロジーニの名が初めて注目されたのは、オスマントルコがクレタ島北岸のカンディアを包囲したときに、ここに駐留していたヴェネツィア軍の総司令官だったときだった。

 最終的に町を引き渡さなくてはならなくなり、ヴェネツィアに戻って来たときは臆病者と謗られて、反逆者扱いだったが、短い裁判の後、放免された。

 1685年、ヴェネツィアとオスマントルコとの間にモレアス戦争が勃発し、モロジーニは艦隊の指揮をとった。

 スウェーデンの野戦司令官オットー・ヴィルヘルム・ケーニッヒスマルクの助けをかり、その後数年間で、モレア地方、レフカダ島やギリシャ西部の一部を攻略した。

 一時的にはアテネも手に入れたが、保持することはできず、かつてヴェネツィア要塞だったネグロポンテの包囲にも失敗した。

 モロジーニの名声が最高潮となったのは、勝利の称号「ペロポネジアクス」を授与され、ヴィネチア市民として初めて、存命中にブロンズ胸像が作られたときだった。

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credit:WIKI commons

 このモレアス戦争でアテネを包囲していた1687年9月26日、モロジーニの大砲が当時、オスマントルコが武器庫として使っていたパルテノン神殿を直撃し、この大建造物が廃墟となった。

 オットー・ヴィルヘルム・ケーニッヒスマルクの随行員はのちにこう書いている。

 「3000年の歴史をもつ壮麗な神殿を破壊してしまうとは、閣下はどれほど絶望したことだろう!」一方、作戦の総指揮をとったモロジーニは、ヴェネツィア政府への報告書の中で、この攻撃を”幸先のいい攻撃”と表現している。

 1688年始め、アクロポリスを征服したとき、モロジーニはパルテノン神殿の西のペディメント(柱の上の三角形の切妻部分)から、アテナやポセイドンの馬や馬車の彫刻を略奪しようとしたが、それらは地面に落下して砕けてしまった。

 これが、ペディメントから彫刻を取り外そうとした最初の記録になった。翌年、オスマントルコがこの神殿の所有権を取り返し、その需要に目をつけて、西洋人に土産物を売り始めるようになった。

 モロジーニは、ギリシャ、ピレウスの港から、有名なピレウスの獅子も略奪した。現在、これはヴェネツィア海軍工廠で見ることができる。

 1688年夏、ヴェネツィア総督になっていたモロジーニは、ネグロポントを攻撃したが、征服することはできずにヴェネツィアに帰還せざるをえなくなった。

 そのとき、部隊の中で疫病が発生した。1693年、最後の攻撃に乗り出したが、またしてもネグロポント攻略に失敗し、小さな港町を略奪しただけで帰還した。

 1694年、モロジーニの死後、彼を称えて大きな大理石のアーチが総督宮殿に建てられ、愛してやまなかった飼い猫は防腐処理されて、コッレール博物館に保管された。

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image by:Google Art & Culture

 銃が仕込まれた聖書については、モロジーニが実際に使用して誰かを暗殺したのかどうかについての記録は残っておらず、あくまでも伝説が今日まで伝わっているだけだ。

References:Here’s a Bible-Gun That Belonged to Francesco Morosini, Doge of Venice. It Could Be Fired Without Opening the Book! ~ Vintage Everyday/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 44件

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  1. 聖書に武器を潜ませるなんて・・・
    この不心得ものがあ!!!

    • 評価
    1. ※4
      モズグス様「武器など必要ないのです」

      • +2
    1. ※5
      「主の裁きは下る。いずれ間もなく」

      • +1
  2. > 敬虔な信者にとってはバイブルともいうべき聖書

    敬虔な信者以外にとっても聖書はバイブルなのでは…

    • +31
  3. 私は許そう だがこいつ(バイブル・ガン)が許すかな!

    • +14
  4. 「敬虔な信者にとってはバイブルともいうべき聖書」

    進次郎構文とかそういうやつ?

    • +18
  5. 敬虔な信者にとってはバイブルともいうべき聖書
    ?????????????????

    • +6
  6. なかなか見事なバイブル・ガンだが、日本じゃあ二番目だ

    • +2
  7. 祈るためにある物に殺すためにある物を忍ばせるってめちゃくちゃ背徳感あって心惹かれる

    • +10
  8. Far Cry5の味方神父さんこれ装備してなかった?

    • +1
  9. なんか暴発しそうで怖いんだけど。
    紙だから大丈夫なんだろうか。

    • +2
  10. 1600年代だから、日本では江戸時代
    世界的に銃は火縄銃、発砲するには火縄に火を付ける必要があり、今回の銃が実用的であるとは思えない。

    • -3
    1. ※17
      この時代はすでにフリントロックではないのか

      • +3
    2. ※17
      江戸時代の初めなら既にフリントロック式やホイールロック式の銃が開発されている。
      日本の火打ち石は西洋の火打ち石より発火量が少ないので普及させられず、日本だけが旧式の火縄銃を使い続けていた。
      火縄の方が着火時の衝撃が少なく、命中精度が高い、という点が日本では評価されていたという説もある。

      • +4
  11. これには全米ライフル協会もニッコリ

    • 評価
  12. このバイブルガンは単発銃なのかな?連射式が出来るのは、もっと後の時代の筈だから。

    どっちみち接近戦でしか使えなさそうだ。

    • 評価
  13. 平野耕太作品に登場する神父なら嬉々として使いそう。

    • +4
  14. 一瞬聖書の中に銃を仕込んだパイプオルガンに見えた

    • +1
  15. 猫、ネズミ捕ってるじゃん
    一緒に防腐処理されたのか?

    • +1
  16. クリントイーストウッドのほれ、神父がガンマンのやつ

    • 評価
  17. いざ使おうとした時に向き間違えて自分に発射されそう

    • 評価
    1. ※35
      最近の親は「バチ当たるで!」てな事を言わんように成ったと思うのはワシだけか?

      • +5
      1. >>37
        私の母親も言ってました。他には「ご飯粒粗末にすると目がつぶれるで!」とか、
        「ミミズにオシッコかけるとチ〇チ〇腫れるで!」とか言ってましたね。

        しばらく実家に帰ってないなぁ……

        母ちゃーん!! (T-T)

        • +3
  18. 聖書、銃、赤い服、猫、総督
    キャラが濃いすぎる

    • +7
  19. これで撃たれた人は昇天するのか、それとも地獄に落ちるのか……

    • 評価
  20. 神は留守だよ。休暇とってベガスに行ってる

    • +2

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