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海外のSNSや掲示板で口の中に目のあるカエルの画像が投稿され話題となっている。最初に出回ったのは、2016年の終わり頃だが、その後も毎年のように頻繁に投稿されている。果たしてこの画像は本物なのか?本当に口の中に目のあるカエルは存在するのか?ファクトチェックするサイト「snopes」がその真偽を検証した。本文に口の中に目玉のあるカエルの画像が出てくるのであらかじめ注意しておく。
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口の中に目のあるカエルの画像
これらの画像は、2016年末に、寄生虫による突然変異だという短い文章と共に最初に出回り、つい最近も海外掲示板redditに投稿された。だがその出所は不明である。

credit: This frog with eyes in its mouth
これだけなら大いに眉唾ものかもしれないが、この奇妙なカエルの画像はこれだけではなかった。写真家のスコット・ガードナーが、1992年頃にやはり口の中に目のあるカエルの写真を撮影した。ガードナーの写真は、上記の画像と並べて出回ることが多い。

credit:There's frogs with a genetic mutation that causes their eyes to grow on the inside of their mouth.
少なくとも白黒の画像のカエルは本物
2014年にBBCがガードナーの写真(右)について書いている。この奇妙な両生類は1990年始めにカナダのオンタリオ州でふたりの少女によって発見されたと説明している。カナダ、オンタリオ州のふたりの少女が、庭でこの奇妙なヒキカエルを発見した。生物学者が複合突然変異と呼ぶ遺伝子変異の影響を受けた、ほかに類のない例だと思われる。ガードナーは、「ヒキガエルと私」という記事の中で、初めてこのカエルに出くわしたときのことを詳しく述べている。
複合突然変異とは、生物に大きな影響を与える突然変異のことで、一連の構造遺伝子の発現を行う制御遺伝子が変異することで起こるものだ。
適応プロセスは、小さな遺伝子変異の積み重ねによって引き起こされると広く考えられているが、生物学者は複合突然変異が特定の適応の原因になりえる可能性を示唆している
おかしなカエルが見つかったと連絡をもらったときのことを、鮮明に覚えています。そのとき、わたしは女子の野球の試合を撮影するために、オンタリオ州のバーリントンにいました。ガードナーの写真はさまざまな出版物で取り上げられたが、もっとも有名なものは、進化生物学者リチャード・ドーキンスの1996年の著作『Climbing Mount Improbable』だろう。
双方向の無線機が鳴って、野球よりも遥かに重要な案件があるので、現場に急行するよう言われました。口の中に目がある珍しいカエルが見つかったというのです
なにかの間違いではないかと思いながら、信じられない思いで郊外にあるその家に向かいました。確かに言われたとおりのカエルで、口を開けるのを待って、目の写真を撮りました。なんとも奇妙でした
ということで、少なくとも白黒の写真の方は本物であるようだ。
なぜカエルの口に目が?
なぜ、こんな変異が起こったのかはわからないが、BBCは寄生虫による感染症の結果ではないかとしている。このような変異の原因は、Ribeiroia ondatraeという吸虫寄生虫による感染のせいだと思われる。カエルの口の中に目があるというのは確かに異様なことだが、発見されたこのカエルの複合突然変異では、目が正常な位置からそれほどとんでもなく離れているわけではないことが注目すべき点だ。足の奇形を引き起こす寄生虫の感染症とは少し違うのではないだろうか。
この寄生虫は、両生類の足の数に変異を起こすと言われていて、足の数が少なかったり、奇形だったり、余計な後ろ足がついていたりといった現象を引き起こす
実際に、エサを食べるときに、目を引っ込めて飲みやすくするカエルがいる可能性はある。このユニークな眼球操作について、2004年の論文にはこうある。
カエルなど無尾類のほとんどは、ものを飲み込むときに目を引っ込めたり閉じたりを繰り返す。目を引っ込めることが、エサを飲み込んで食道へ送り込む助けになっている可能性はあるが、この仮説はまだ試験調査されたことがない。
ヒョウヒキガエル(Rana pipien)の嚥下するときの眼球後退を、行動観察、X線映画撮影法、筋電計、神経切断実験を用いて評価してみた。
カエルに1.5センチのコオロギを食べさせた行動観察では、目の引っ込め方や飲み込み方にかなりのばらつきがあることがわかった。自然史家のデヴィッド・アッテンボローは、BBCのドキュメンタリーの中で、カエルが獲物を飲み込むときに目が埋没する現象を動画で紹介している。
眼球の後退は両目でも片目でも起こり、嚥下運動と眼球の後退が別々に起こることもあれば、同時に起こることもあった。
飲み込むとき、眼球に付随する筋肉組織が中咽頭のほうへかなり後退し、飲み込んだ獲物とくっつきそうになるほどに見えることが、X線映画撮影画像で確認できた。
この接触状態が、獲物を食道へ押し出す助けになっていると思われ、舌を使って運ぶときに、獲物をしっかりつなぎ留める役目も果たしているのかもしれない。
筋電計の記録からは、目を引っ込めるときに、眼球まわりの筋肉の収縮が強く活動していることが確認できた。引っ込んだ眼球の両側神経を切断したところ、カエルの嚥下力は変わらなかったが、コオロギ一匹当たりに要する嚥下回数は74%も増加した。(通常は、コオロギ一匹当たり平均2.3回から4回)
これらの結果から、ヒョウヒキガエルが中型サイズのコオロギを食べるときに眼球が引っ込む現象は、従来の舌を使った嚥下作用を補助する付属的な嚥下メカニズムの一環であることがわかった
How do frogs swallow food? - Natural World: Attenborough's Fabulous Frogs - BBC Two
written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
うちの20歳になるヒキガエルも飲み込む時は目をつむってごっくんするよ。めだまを口の中に押しやって、食べ物を喉の奥に押しやってる感じ。このカエルは本来のめだまの位置に戻らなくなっちゃったのかな。ここまで大きくなるのに、この状態だと捕食できなかっただろうから、生まれてきたときからじゃないと思う。
2. 匿名処理班
きっっっっっっしょ!
3. 匿名処理班
飯食うたびに目がゴロゴロするのか、可哀想に・・・
4. 匿名処理班
思ってたより気持ち悪かった
5. 匿名処理班
唾液が目に沁みそう…
6. 匿名処理班
目を押し込む動作も含めた大きな力で、ポンプの要領で嚥下した時に、目玉が戻らなくなってしまった状態だとすると、目玉が透けるぐらい口の中の皮膚って薄いってことか。
関係ないが…以前、きゅうりを割ると蠍のような虫がワラワラ出てくる動画を見かけたから、これもファクトチェックして欲しい…きゅうりを安心して食べたい。
7. 匿名処理班
モルカーでこういうシーンあったよね
8. 匿名処理班
※1
自分もヒキガエルを飼っていたとき、やはりちょっと飲み込むのが大変なサイズの餌は目玉を引っ込めて押し込む感じなのを見ていた。
だからこの写真は割とうなずける。
人間でもごく稀に男の子でタマタマが体内に収納されてるケースがあったりするのと似たようなことじゃないかな。ただ驚愕に値するのはそのまま大人になるまで生き延びていられたことだね。
9. 匿名処理班
ガーゴルゴンとかの口の中に目があるタイプの怪獣もあながち嘘八百というわけでもないということか…?!
10. 匿名処理班
マンアフターマンでこんなシルエットの人類居たな
11. 匿名処理班
小学生の頃、図書室で白黒写真の口の中に目がある奇形アマガエルは見たことがある。発見したのち大学に持ち込まれたと書いてあったが、発見場所が自分の地元で驚き、「家の周りにもあんな怖いカエルがいるかもしれない」としばらくの間カエルを怖がってました。
12. 匿名処理班
目は口ほどに物を言い
13. 匿名処理班
日本国内での信頼できる報告を見つけた
1964年、岡山大学に持ち込まれたらしい
気になる人は「口の中に目のあるアマガエルについて」で検索かけてみそ
当時の岡山大学教授松本邦夫氏の発表のよう
14. 匿名処理班
デヴィッド・アッテンボローさんも、今年で95歳…
いつも動物や植物の魅力をありがとう
15. 匿名処理班
カエルは結構奇形多いよ。捕まえまくってると結構遭遇する。
大きなデキモノ、広範囲の皮膚病、脚の欠損や発達不全で
左右不ぞろいの個体、目ん玉潰れ、口がいびつなのもいる。
コイとかカメも意外と奇形多いね。ヒトにも自然界にも
いろいろあるという事。自然界への理解を深めるともに
人間界の理解も深めるヒントになったら良いですね。
16. 匿名処理班
ナショジオか何かで見たので学会的にはメジャーなものかと思ってた。蛙の目は上あごのすぐ上にあるし、飲み込む手助けもしてるみたいだから、何かの間違いで裏側に出てしまったのだろう。前に見た記事では、口を開けて獲物を見つけて食べることは出来るんだそうだ。そうじゃないと生存できないし。
17. 匿名処理班
カラー写真の方、動画として見た事ある気がするんだけど思い出せない…
18. 匿名処理班
※15
ワシも小学生の頃、家の裏の田んぼで足が三本あるカエルを見て、その頃は農薬怖えっ、とか思って、その田んぼの近くでは遊ばなくなったのだけど、カエルは奇形が出やすいんですね。
19. 匿名処理班
> 引っ込んだ眼球の両側神経を切断したところ
油断してるとさらっとエグいこと書かれててビビる
20. 匿名処理班
目玉も驚いたがデヴィッド・アッテンボロー氏が現役なのにも驚いた
21. 匿名処理班
youtubeの動物奇想天外の動画で見たわ。
カエルは食べ物を飲み込むとき、目玉を引っ込めて、得物を喉の奥に押し込む補助をするって。
これが、その食事シーンと捉えた決定的瞬間を切り取った写真なのかは知らないけど、カエルの身体の構造的に十分にありうる動き。
22. 匿名処理班
※21
>カエルは食べ物を飲み込むとき、目玉を引っ込めて
自分の母は認知症が進んでから食事をするときは目をぎゅっとつぶるようになった
嚥下の筋肉の使い方がうまくできなくなって
顔全体に力を入れてしまうのだとおもってみてた
自分も子どものころ(いい加減大きくなっても)食べ物によっては
嚥下がうまくできずに吐きだしていたことを記憶している、
嚥下はかなり高等技術なんだ
顔面神経は入り組んでるから壊れやすいし、下等な生物だとその分離も未熟なんろうと、と納得
23. 匿名処理班
※8
ほんとそれ凄い
盲目状態で生きられる野生動物ってとんでもない
もしかこの子は「口を開けていれば見える」ということをなんかのときに学習して
そうやって生き残ってきたのかもしれない
24. 匿名処理班
口の中に目がある利点が思いつかない
普段は、口を閉じていて真っ暗若しくは薄い皮を通しての薄暗い光の中に浮かぶ自身の舌を見てるだけだろうな
25. 匿名処理班
※15
外因性内分泌攪乱物質(いわゆる環境ホルモン)だけでなくオタマジャクシ時代に同類や捕食者に傷つけられても再生する過程で奇形化することがある
26. 匿名処理班
※24
多分利点はなにもないよ、
私らが知るよりもっともっといっぱい生まれてるんじゃないのかな?
そしてみんなほとんど全員死ぬ、
生き残れる確率は正常な個体の一万分の1とかではないだろうか?
27. 匿名処理班
キスする時は見つめあっちゃうのかな…