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世界的に見ると、4人に1人が一生のうちに1度はうつ状態、あるいはうつ病を発症しているという。これほど社会に蔓延する病気でありながら、今のところ客観的に気分障害を診断する方法はないそうだ。うつ病はその症状のあらわれ方で、大きく2つに分類されており、大うつ病性障害(うつ病)、双極性障害(躁うつ病)がある。
うつ病の種類やその発症リスクが事前に診断できれば、的確な治療につなげることができる。
『Molecular Psychiatry』(4月8日付)に掲載された研究では、うつ病の生物学的な基礎に注目し、血液検査でうつ病を診断できるバイオマーカーを使うことで、患者それぞれにぴったりな治療をほどこす方法を提案している。
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患者個人に合った最適な治療を
米インディアナ大学医学部のアレクサンダー・B・ニコレスク教授は、過去20年にわたって「プレシジョン・メディシン」を研究してきた人物だ。耳慣れない言葉だが、精密医療とも呼ばれるプレシジョン・メディシンは、細胞を遺伝子レベルで診断し、1人1人の患者にぴったりな治療を行う医療分野のことだ。
ニコレスク教授はこれまでも、血液に含まれるバイオマーカーを調べることで、自殺傾向・痛み・心的外傷ストレス障害(PTSD)・アルツハイマー病を診断する方法を考案してきた。
今回の研究はその最先端の成果で、「精神医学を19世紀の医療から21世紀の医療に引き上げる」と同教授は説明する。

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RNAバイオマーカーでうつや双極性障害のリスクを診断
ニコレスク教授らは、300人以上の患者の精神状態を追跡しつつ、そのときの血中バイオマーカーの変化を調べながら、うつや躁(そう)の状態を示す26のRNAバイオマーカー候補を特定。これに基づけば、うつの重さ、将来的に重症化するリスク、双極性障害(躁うつ)を発症するリスクを客観的に把握することができるという。それだけでなく、患者に最適な治療法を考案する手助けにもなるとのことだ。

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気分障害と体内時計
なおこの研究では、気分障害が体内時計の遺伝子と関係していることも明らかになったそうだ。季節・昼夜サイクルや睡眠サイクルを制御している遺伝子が、心の病気と関係しているとは少々意外かもしれない。
だが実際に、季節の変化によってうつの病状が悪化したり、うつになって睡眠リズムが変わったりすることはあるらしく、その理由は体内時計の遺伝子によって説明できるとのことだ。
References:A Blood Test For Depression and Bipolar Disorder - Neuroscience News / A Biomarker Blood Test For Depression And Bipolar Disorder Has Been Developed | IFLScience/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
なんちゃって鬱病がバレる時代になるのか
2. 匿名処理班
バイオカーマーに見えた
3. 匿名処理班
>季節・昼夜サイクルや睡眠サイクルを制御している遺伝子が、心の病気と関係しているとは少々意外かもしれない。
いや、鬱病の症状として
「夜間の不眠」や「朝起きられなくなる」
なんかがあるから、やっぱりかって感じではある。
高緯度地域の冬ほど発症しやすい「季節性うつ病」もあるし。
定期的に日光を浴びることで鬱病の症状が緩和される
という相関も、経験的に知られている。
4. 匿名処理班
※1
遺伝リスクを持たない奴が発症しない訳ではないぞ?
癌家系じゃない奴だって、
大量の放射線を浴びせれば癌になったりする。
5. 匿名処理班
「自分はリスク持ちなんで」っていう逃げの言い訳が流行りそう
6. 匿名処理班
うつになるのを防げる薬とか習慣みたいなのがあればこういう検査にも意味がありそうだけど…。
今のところストレスを溜めないとか規則正しい生活をしろとか、ハードルが高くて抽象的な予防策しかないからなぁ。
7. 匿名処理班
※3
栄養失調と鬱症状の関係を主張して、治す実績もある人がいるよ。
一番多いのは貯蔵鉄(フェリチン)の不足の様だけど、他の栄養素というのもある。
家族が鬱になった場合は栄養失調の検査ができる病院に一回行くと良いし、本人が治したいと考えられるようになったらサプリをうまく使って散歩に行くようにするだけでも1年程度でかなり良くなる、自分の経験だけどね。
8. 匿名処理班
偽病だのの証左になるって書いてる人がいるけど
結局は精神の病気って脳が正常に機能してない状態にある病で
見た目からは理解されない病だからからこそ
血液や脳の画像から病気を示すしかない
その模索をずっと医師も続けてるのは、理解されない悪循環を除く為でもある
まるで魔女狩りのような指差しを行うために
こういった物がある訳じゃないと思う
9. 匿名処理班
>>1鬱病になる事ににもなる計算をする脳の回路に関わる遺伝子の強さと、鬱病を罹患しているかの事実は全く異なる事なのにこんな事思う奴が居る時点で、性悪説的観念で上から相手に圧をかけ人のパフォーマンスを下げて自分を相対的に良く見せようとする職場キラーは減らん。
環境が良ければその遺伝子を持って居ても鬱病にならない人の方が遥かに多いし、持ってなくてもまともな人間ばかり責められる場所で無理してれば双極障害になる人も生まれる
10. 匿名処理班
>>5
こういうパワハラ大好き奴が治療されるべき