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植物の遺伝子を取り込んで利用する、恐るべき能力を持つ昆虫の存在が明らかに(※昆虫出演中)

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(著) (編集)

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photo by iStock
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 相手の能力を吸収して利用するとか、チート級のスタンド使いのような昆虫の生態が確認されたようだ。

 動物ほどには体が動かない植物は、身を守るために毒を発達させてきた。ところが不思議なことに、せっかく編み出された毒を意に介さない昆虫たちもいる。

 一体昆虫はどうやって毒への耐性を身につけることができたのだろうか? 中国農業科学院をはじめとするグループによれば、その1つに、相手の能力を吸収して利用する能力にあるという。

 『Cell』(3月25日付)に掲載された研究では、「コナジラミ」が植物のDNAを手に入れて、毒から身を守っていることが確認された。植物と動物の間で遺伝子の水平伝播が観察されたのは史上初めてのことであるそうだ。

植物から動物へ、世にも稀な遺伝子の水平伝播

 一般に遺伝子は親から子へと”垂直”に伝えられる。しかし時に、種から別の種へと”水平”に伝えられることがある。これが「遺伝子の水平伝播」だ。細菌では時折起こるが、多細胞生物の間ではきわめて稀な現象である。

 ただでさえ稀な水平伝播が、動物と植物で起きたことが確認されたのは、害虫として知られる「コナジラミ」というカメムシ目の昆虫だ。

 成虫になると白いハエを連想させるコナジラミの腸組織から、「BtPMaT1」という植物由来の遺伝子が発見されたのである。

 これは植物が「フェノール配糖体」という自分の毒から身を守るための防御遺伝子だが、コナジラミは狡猾にもこれを利用して植物の毒から身を守っている。

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葉の上にいるコナジラミ credit:Jixing Xia and Zhaojiang Guo

植物の能力を吸収して毒に対抗

 BtPMaT1遺伝子は、グルコシドの化学基に付着する酵素を作り出し、コナジラミの体内で起こる有害な作用を防いでいる。

 実際、コナジラミがトマトを食べたとき、BtPMaT1がフェノール配糖体を中和して無害化されることが観察されたとのことだ。

 相手の防御メカニズムを自身のゲノムに取り込み、無効化するコナジラミの戦略を、研究グループは、中国の古典『韓非子』に記されている「矛盾」というエピソードに喩えている――最強の矛には最強の盾で対抗すればいいというわけだ。

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葉を食べるコナジラミ credit:Jixing Xia and Zhaojiang Guo

古代のウイルスに関係が?まったく新しい進化のルート

 だがコナジラミは一体どうやって植物の遺伝子を手に入れたのか?

  研究では、古代のウイルスが関係しているらしいことが示唆されている。ウイルスがその遺伝子をコナジラミの体内に運び込んだのだ。

 これについて、「まったく新しい遺伝的変化と進化の発生ルートを示しています」と、研究グループの1人、スイス、ヌーシャテル大学のテッド・チューリングズ氏は『INVERSE』で解説している。

コナジラミのライフサイクル:Life cycle of whitefly

新しい害虫駆除法の開発に役立つ可能性

 研究グループは、この知見をもとに新しい害虫駆除法の開発を目論んでいる。

 ベトベトした甘露を分泌し、ウイルス病を媒介することもあるコナジラミは、トマトやタバコといった農作物に大きな被害をもたらす害虫として知られている。

 しかし今回の研究では、RNAでトマトを遺伝的に改変することで、BtPMaT1を抑制することにすでに成功している。

 「コナジラミが遺伝子組み換え植物を食べると、RNAが取り込まれ、それが問題の遺伝子に干渉します。その結果、コナジラミはフェノール配糖体を中和できなくなり、死んでしまいます」と、チューリングズ氏は説明する。

 このように高い効果がある一方、アブラムシといったコナジラミ以外の昆虫には無害であることも確認されている。ただし、遺伝子組み換え作物は予期せぬ副作用が危惧されるために、まだまだ調査が必要とのことだ。

References:
Whitefly hijacks a plant detoxification gene that neutralizes plant toxins
PLANT DNA FOUND FOR THE FIRST TIME IN ANIMALS, BIZARRE STUDY REVEALS
Aphid-Like Insects Stole DNA From Plants – Gene Shields Them From Leaf Toxins
/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 15件

コメントを書く

    1. ※1
      いでんしドレイン:くさタイプのポケモンの遺伝子を取り込んで利用する。全てのポケモンの遺伝子を持つというミュウは全てのタイプの遺伝子を取り込めるらしい…。みたいな。

      • 評価
  1. 私も植物から光合成の能力を取り込みたい
    そしたら毎日たらふく水を飲んで、日がな一日
    屋上で日光浴を満喫してやるのだ

    • +7
    1. >>2 サンゲイジング試してみれば?
      俺は不食まではいかなかったけど、食はかなり減ったよ。

      • 評価
  2. これを応用すれば無敵のパーフェクトゴキブリが作れる

    • 評価
    1. >>3
      やめれ。これ以上、Gにスキルを高めて欲しくない。

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  3. ツツジ類には毒かあり、牛は食べない。
    そのツツジを食害するシャク蛾がいるけど、ツツジ由来の毒持って鳥の攻撃から身を守る。

    解明されてないだけで、色々いるでしょ。

    • -3
    1. ※11
      それは既にある毒を体内に蓄積してるだけで、
      本記事の件とは根本的に異なる話です。

      • +3
  4. 遺伝子組み換え作物は生態系によくない。

    • 評価

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