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イギリスに住む21歳の女性は、幸せを感じると気分が高揚し、全身に痙攣発作を起こり、記憶の一部を失ってしまうという疾患『機能性神経障がい(FND)』と日々闘っている。稀な疾患への認識を世間で高めることを目的として、女性は自身の日常をTikTokでシェアした。
一緒に暮らす恋人の存在さえも忘れてしまうという女性は、まるで、事故により前日の記憶を失ってしまうという設定のハリウッド映画『50回目のファースト・キス(50 First Dates)』で、ドリュー・バリモア演じた記憶障害の女性のようだ。
記憶を失う度、献身的な恋人のサポートで毎回恋に落ちているという。『Mirror』などが伝えている。
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17歳の時に「機能性疾患障がい(FND)」と診断された女性
イギリスのウエスト・ヨークシャー州リーズに住むメーガン・ジャクソンさん(21歳)は、今から5年前の17歳の時に、突然35回もの発作を連続的に起こし、歩行も会話も不可能になるという事態に陥った。運ばれた救急病院からの紹介で複数の専門医の診察を受けた結果、メーガンさんが稀な機能性神経障がい(以下FND)を患っていると診断されたのは、発作で倒れてから9か月後のことだった。
NHS(英国民保健サービス)や医療情報サイト『NORD』によると、FNDが発症する原因は不明だが、症状の引き金となるのは、感情的もしくは肉体的ストレスなどの高まりだという。
メーガンさんの場合、特に幸福感を味わうと発作が起こるそうだ。白目をむいて全身が痙攣し、その間歩行や会話ができなくなる。
また時には、何日も腰から下が麻痺状態となり脚を動かすことができないため、起床時にトイレにも行けなくなることがあるそうだ。
Trigger warnings⚠️⚠️ footage of seizures....... Can’t stop, won’t stop spreading awareness and sharing my story. #fnd #functionalneurologicaldisorder @FNDHope 🧡🧡 pic.twitter.com/oWJVdLaetu
— 𝔪𝔢𝔤 (@megjacks_) February 8, 2021
発作により記憶の一部も喪失
FNDによる発作がほぼ毎日出るというメーガンさんは、記憶の一部も喪失してしまうという辛い日々を送っている。FNDと診断されてから、一度ジムへ行こうとして外出したのですが、街の真ん中で発作を起こして記憶を失いました。このように語るメーガンさんを傍で支えているのは、恋人のタラ・ソーキンさん(22歳)だ。
発作が治まっても、自分がどこにいるのかわからず、母に電話して迎えに来てもらいました。周りの人たちは私の様子を見て手助けするのを怖がって、通り過ぎていくだけでした。
発作が起こると思うと外出もできず、仕事さえできません。去年もパートの仕事中に発作を起こして解雇されました。
面白かったり、嬉しかったりすると発作の引き金にもなるので、自宅にいてもコメディ番組は見られないし、ストレスを引き起こすニュース番組も避けています。
笑っただけで発作が起きて痙攣する症状が毎日起こるのは、精神的にとても辛く、抗うつ剤を飲んでいますが、1日1日はFNDとの深刻な闘いです。
私はまだ若いし、もっと人生を楽しみたい。だからできるだけ早い治療が必要なんです。
タラさんによると、メーガンさんは発作が起こると時に家族やタラさんのことも忘れてしまうという。
その度に、タラさんは痙攣を起こすメーガンさんの手をしっかりと握り、少しでもリラックスできるよう声掛けし、メーガンさんの好きな音楽を聞かせたり2人の写真を見せたりして、自分たちのことを思い出させようと努め、毎日メーガンさんの症状についての日記も綴っている。
一時的に恋人の存在を忘れてしまうメーガンさんだが、献身的なタラさんのサポートによって、再びタラさんに恋するようだ。
今まで、メーガンは4回ほど私のことを忘れました。幸福感に満たされると発作が起こってしまうので、プロポーズは躊躇しています。(タラさん)
クラウドファンディングサイトで寄付金呼びかけ
現在、メーガンさんは民間(プライベート)の治療を受けるために、クラウドファンディングサイト『GoFundMe』で寄付を呼び掛けている。メーガンさんを診断した医師は、FNDの治療法としてNHSでの「認知行動療法」を勧めたが、予約が詰まっていて順番待ちさえできない状態だそうだ。
民間での治療でもなら、今は5か月ほどの順番待ちだが「トンネルの先に光が見える」とメーガンさんは言う。
ただし、イギリスでは民間治療は高額な費用がかかるため、失業中ということもあってその治療費の目標額を1000ポンド(約15万円)の寄付を呼び掛けたところ、2285ポンド(約34万円)の寄付金が集められた。
この障がいによって、私は人生で多くのことを見逃し、フルタイムの仕事にも就くことができない状態です。メーガンさんのFNDとの闘いは、今日も続いている。
でも、隠さずにこの病への認識を高めたいと、TikTokでシェアすることにしました。それによって、同じ病を抱えている人もいるんだとわかったし、多くのユーザーからも大きな反響を呼びました。
私のような病気を抱えた人がもし路上で発作を起こした時にも、周りの人に助けの手を差し伸べてもらいたいと思っています。
written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
要約すると幸せになると倒れて記憶も失う可能性もあるということか
2. 匿名処理班
映画みたいな疾患だけど読むほどに過酷すぎる・・・
恋人と映画みたいな幸せな結末を迎えてほしい
3. 匿名処理班
「幸せすぎると」って言われると謎だが、
多幸感を得た時の脳内物質が引き金になるんだったらそういうのあるのかもな
脳の間違った自衛行為的なやつ……
4. 匿名処理班
スタンドマイヒーローズ
5. 匿名処理班
こういう反復する症状とは違って
極度の興奮状態での一回きりの普通の(?)健忘だけど、
幸せの絶頂で記憶の混濁が生じた人の事例を聞いたことがある。
長年付き合っていた彼氏と酷い別れ方をし、落ち込んでいたところ、運命的な出会いの男性と3ヶ月で電撃結婚することになった。けれど、早くに両親を亡くして 親代わりで育ててくれた唯一の肉親である年の離れた兄は、そんな結婚に反対。
式には来てくれないだろうと諦めていた当日、ドレスで会場に入る用意をしていたところ、控え室へ兄の姿が。感極まった花嫁は、そこから要領を得ない発言をしだし、「私なんでここに居るの?」花婿を見ても「…誰?」と、ここ3〜4ヶ月の記憶がはっきりせず、兄のことは判っても、まだ長期記憶として定着していない新郎に見覚えがない様子。
結局、花嫁の急病で式は中止することになったが、
幸い数日後には落ち着いて徐々に記憶が戻ってきたとのこと。
よく大災害や凄惨な犯罪など大きな精神的ショックを受けると
安全機能が働いて脳のブレーカーが落ち、
当該出来事の前後の記憶が抜け落ちることがあると云われるけど、
あれって、極度の狂喜で脳の処理キャパオーバーになったときも
同様なんだってね。
6. 匿名処理班
たいへんだね!!!!!!
7. 匿名処理班
笑っただけでって酷いな…保険適用外の治療しかないってのも酷い
8. 匿名処理班
>>1
記事のタイトルまんまの要約で草
9. 匿名処理班
調子が悪いと思ったらすぐに病院にかかれる日本がどれだけ恵まれてるかこの記事読むまで知らなかった……
10. 匿名処理班
昔、世にも奇妙な物語で似たような話があったはず。
夫がいつも妻にキツくあたってたけど、妻のためにあえてそうしてたって話。
11. 匿名処理班
同じ忘れるんだったらイヤなストレスがかかった時の方がいいよなぁ…いや良くはないけど。
12. 匿名処理班
フィクションじゃないのかよ! 騙された!
13.
14. 匿名処理班
>>9
まあ、コロナのあれこれで気づいた人も多いけど日本って世界で一番「マシ」な国だと思うよ
国民皆保険で誰でも病院にすぐかかれるし、海外で医療費無料って触れ込みのところは無料コースは1ヶ月以上待たなきゃならないなんてザラだしね
15. 匿名処理班
幸せを感じたり楽しかったりすると発作が起きるのに、抗うつ剤を処方するのは逆効果な気がするんだが?
強い恐怖や悲しみで一時的に記憶を亡くすよりも、これは辛い。幸せにならない事が唯一の治療法なのか?そんな人生、詩んだ方がマシだ。
なんとか完治して欲しい。
16. 匿名処理班
てんかん発作としては失禁したり泡はいたりはしてないから軽度ではあるのかな・・?
日常生活に支障が出るのはつらいね
17. 匿名処理班
>>15
情動の起伏が発作のトリガーであるなら抗うつ剤も効果があるんじゃないか?抗うつ剤って極端に言えば風邪薬のんでぼーっとするみたいなものだし、ダメな部分だけ抑えられる薬は無いから。テンションが上がった後は通常の気分を超え下がるから、テンションが上がらないように抑える。
情動を感じる脳は同じ経験に対して慣れていくものだし、老化する事でも症状の頻度は下がるのではないか。ただそれはけして幸せな事ではなくて、この症状が出続ける限り、この人の人生に幸せの思い出は生まれないのが悲しい。恋人との子供が生まれて幸せを感じたら子供の事を忘れてしまう、だなんて残酷な事は絶対に起こらないでほしいな。
18.
19.
20. 匿名処理班
※11
私それ(解離性健忘症)なんだけど、
都合のいい時だけ忘れるわけじゃないよ。
それ以外にもなんでもない時にごっそり無かったりする。
多くは離人症も患ってるし、周りの理解がないと中々辛いことが多い。
良いことも悪いことも、忘れない方がいいね。
21. 匿名処理班
日常生活で幸せを感じられる感性も高かったりするのかなこういう人は。
22. 匿名処理班
この手の奇病?のニュースってイギリス発が多いような?
イギリスの医師はそれだけ個別対応する技量があるのか
それとも逆に雑なのか
23. 匿名処理班
※14
コロナのワクチン接種後のアナフィラキシー報告が
海外と比べて日本の方が多いって言うけど
アメリカだと医療費バカ高だし、他の国でも医師に辿り着くまでが
日本と比べて遥かに面倒なんだから
そら海外は昏倒するまで把握されんわな…と思ったわ「@」:
24. 匿名処理班
(ふりだし)
「ぼかぁ、しあわせだなぁー」
「んっ?なにー!」
(ふりだしに戻る)
25. 匿名処理班
※10
1993年7月放送の「いじめられる女」(大鶴義丹/水野真紀)ですね。
とても感動的な名作でしたね・・。
26. 匿名処理班
※12
それを言うなら
ノンフィクション
記憶無くしたのかい?
27. 匿名処理班
村田基の小説にあったなぁ…。「愛の衝撃」だったかな。
28. 匿名処理班
今まで忘れた記憶を全部思い出して5倍幸せにな〜れ〜♪
29. 匿名処理班
※26
FNDで(フィクションじゃないのかよ!騙された!)
の略を表すスラングがあるので、それを連想したのかと。
30. 匿名処理班
※23
うわっ 最後に謎の記号が入ってもうた
多分投稿ボタンを押すときにネコが横切ったせいなんで
記号は気にしないでください
31. 匿名処理班
「幸せ過ぎて怖い」はホンマですた
32. 匿名処理班
リアル幸せは長続きしない人か、苦労する人生だな、頑張れ。
33. 匿名処理班
※11
「気持ちはわかるけど嫌な記憶ってのはそれなりに大事なんだぞ?
危機回避とかに役に立つしな…痛覚とかと同じだ…」
34. 匿名処理班
>>10
世にも奇妙な物語に愛情アレルギーの話があったなぁ…と思ったら既に書かれていた。
親は大金持ちなのに、自分の娘を可愛がってあげられなくて辛いばかり。
娘に一目惚れした書生(主人公)は「絶対発作を起こさせない」と誓って結婚し
「お前と結婚したのは出世のためだ」
と毎日グチグチと娘改め妻を詰る。
しかし、ある日耐えきれなくなって
「愛しています!貴女を愛しています!心の底から貴女を愛しています!」
と叫んで妻を危篤状態にしてしまう。
妻が奇跡的に回復以後は、その天寿を全うするまでDV夫として振る舞い事情を知らない孫世代から憎まれる。
資産家の当主夫人に相応しい豪華な葬儀が執り行われている最中、主人公は1人部屋にこもって妻の写真を手に添い遂げるまでの日々を悼む…。
35. 匿名処理班
恋することに思い出なんて関係ない。
何度でももう一度恋に落ちればいい。
そういう話か。
こういうリアルの話を聞いてしまうと、
「恋人が主人公の事を忘れてしまう」的な展開で登場人物が右往左往する物語が微妙に感動できなくなってしまうな。「モノが恋だけなら、忘れても意外となんとかなるみたいだよ」と。
36. 匿名処理班
※20
お大事になさってくださいね
寛解(?でよかったかな)なさいますように
37. 匿名処理班
※30
ねこかわいいw