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CIAがかつて行っていた、地上の人間を航空機によって回収する驚きのシステム「スカイフック」とは?

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(著) (編集)

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 アメリカの諜報機関CIA(中央情報局)および米空軍・海軍が、かつて使った驚きの人間回収システムが話題を呼んでいる。

 1950年代にアメリカの発明家が考案したスカイフック(フルトン回収システム)は、航空機が飛んでいる状態で地上(水上)の人間をノンストップで拾い上げるという前代未聞なものだった。

Skyhook

地上の人間を飛行機が止まらず回収。驚異のシステムスカイフック

 スカイフック(フルトン回収システム)は1950年頃にアメリカの発明家ロバート・フルトンがCIA向けに考案した回収システムだ。

 イギリスとアメリカが第二次世界大戦などで用いた装置を応用したその方法は、諜報員や兵士の救出にぴったりだった。これに興味を持ったCIAは空軍とともに研究開発を重ね、実用できる形に仕上げたという。

 その流れはざっと以下のようなものだ。

 回収される人間は、航空機からも投下可能な専用キットを開封し、手順に沿って装備をセット。その過程で同梱の気球につながるロープの先のハーネスを自身の体に取り付け、同梱のヘリウム入りボトルで気球を膨らませる。

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credit:public domain/wikimedia

 それを空に上げると、気球を目印に回収用アタッチメントをつけた航空機が低空飛行でやってきてロープを捉えて上昇。この時にロープを吊るす役目を終えた気球は放棄される。

 その間にロープにぶら下がってる人間を機内のクルーが回収する。

 とまあトムクルーズもびっくりなスタント並みの回収法だが、このロープには「スカイアンカー」と呼ばれるバネ式のトリガー機構が仕込まれていて、回収機のアタッチメントの間にロープが捉えられ気球が放棄されると同時に、人間とつながるロープが機体に固定されるようになっていたそうだ。

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credit:public domain/wikimedia

気球を上げて迎えを待つ。命綱1本で宙づりになる人間のリスク

 航空機の安全着陸が困難だったその時代、着陸なしで人や貨物を回収するスカイフックは空軍や海軍にも利用された。

 回収に使われた航空機はB-17など。「ホーン」と呼ばれる長さ約9メートルの2本組アタッチメントを機首に付け、低速かつ低空飛行で接近し目標のロープをとらえるのに最適な機種が選ばれた。

 一方、CIAが公開した指示カードによると、回収を待つ人間は、気球を上げたら風を背にして座り込み、迎えの機体にフラッシュライトでに合図をしたり、ロープのライトを点けるなどして位置を知らせた。

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image credit:cia

 そして間もなくノンストップな航空機に引き上げられる。なおロープ1本で宙づりになってから回収されるまでの時間はわずか数分だったという。

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image credit:cia

 だがそれまでは、ねじれの苦痛や回転を避けるため、腕と脚を広げたままの姿勢で後方に流されることになり、待機クルーがロープを引き寄せて機内設置のウインチに巻き付けるまで耐える必要があった。

 ちなみに命綱となるロープの長さは150メートルほど。高強度ナイロン製で簡単に切れるようなものではなかったが、現実にはけっこう過酷で生きた心地がしなかったのではなかろうか。

 以下の動画は1968年に一般公開されたスカイフックシステムの様子。南ベトナムで敵陣に知られずに空軍のクルーを救助するのに役立ったという

SKYHOOK

CIAの諜報作戦にも登場。1990年代まで使われたシステム

 このシステムはCIAの諜報作戦にも役立ち、1962年のコールドフィート計画で北極圏に放棄されたソビエトの研究基地を調査した工作員の回収にも使われた。その後もいくつかのバリエーションが開発され1990年代まで運用されたという。

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image credit:cia

 大胆なシステムはフィクション界にも多大なインスピレーションを与え、バットマンの映画「ダークナイト」やゲームなどにも類似のものが登場している。

 高い木が無い開けた場所など、実行にはそれなりの条件がいくつかあったが、滑走路や誘導員などもいらず、必要な人間だけを素早く回収できるシステムの用途は多岐にわたったと推測される。戦場以外にも要人の奪還などに使われたかもしれない。

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credit:public domain/wikimedia

 にしてもこれ高所恐怖症じゃなくてもスリル満点にすぎやしないか。

 タフな兵士なら平気かもだがリアルじゃかなりの反動がありそうだし、加速する飛行機にぶら下がるなんて怖すぎる。万が一ロープが絡まったらどうなるのかとかそのへんも気になっちゃうよ。

References:vintag / ciaなど /written by D/ edited by parumo

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この記事へのコメント 49件

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  1. スネークとか、気絶させたり眠らせた人を打ち上げてたけど、無事に回収できるようになってたんだろうか

    • +2
  2. メタルギアソリッドで有名なった感じがする。

    最初ブタ(神経系が人間に似ているらしい)で実験したら、
    機内に回収できたものの、完全に目を回してて方向感覚を
    失っていたなんていうね

    • +4
  3. つまり潜入用の道具にダンボールも使われていた可能性が

    • +2
  4. 割と有名な話だと思っていた
    フリーマンでもやってたくらいだし

    • +2
    1. >>7
      僕もクライングフリーマンで見た口です
      メタルギアのかた多いから嬉しい

      • 評価
  5. 小はUAVから大は戦闘機まで、どれも方式が違う空中回収システムに「スカイフック」って名づけるの多すぎ。
    まあ、どれも定着しないからだろうけれど。

    • 評価
  6. Mission:Impossibleで…
    つかトム・クルーズの名前が出てる時点でご存知か。

    • 評価
  7. 知ってはいたけどMSで見たときは放棄されたのも無理ないなと思った

    • +1
  8. メタルギアで見た
    元ネタあると思ってたけどまんまなのね

    • 評価
  9. あくまで脱出用であって、とっ捕まえた敵兵を基地に送るためのものではないよな

    • 評価
  10. クソッlメタルギアってコメントしようと思ったらすでにそれだらけだった

    • +3
  11. アクションものの作品が好きな人はどこかで出会うよね
    あなたのフルトン回収システムはどの作品から?
    あなたのブービートラップはどの作品から?
    あなたの粉塵爆発はどの作品から?
    あなたの「この戦いが終わったら故郷で結婚するんです」はどの作品から?
    質問に答えすぎると年齢がばれるかもだw

    • +2
    1. >>19
      ワイの経歴は

      フルトン回収はメタルギアソリッドピースウォーカー
      ブービートラップは南国少年パプワくん(パンジステーク?とスパイクボール)
      粉塵爆発は銀狼怪奇ファイル……やった気がする。
      この戦いが(略)は、わからん。洋画やった気がするが幼稚園とかその時代やったような。フラグとして定着したころに、そんなのあったなって感覚。

      さてワイの年齢はいかに?!(上記を書きたかっただけなのでスルーで)

      • -2
  12. 007のラストシーンであったよね。ショーンコネリーだったような

    • +4
    1. >>21
      007 サンダーボール作戦(映画は1965年公開)でB-17にフルトン回収されてたね

      • +4
  13. 一応ググっておいたぞ
    ダークナイト(2008)
    メタルギアピースウォーカー(2010)
    ピースウォーカーより前の作品でもフルトン回収してたらすまん
    ダークナイトでもフルトンの名前は出てくるけど日本語字幕にはされてなかったと思う。

    • +1
    1. ※23
      メタルギアに関してはMGS3の無線でフルトン回収には言及してた
      任務達成後の帰還用って話だったはずだから敵兵とか野生動物を吊り上げるよりは現実的な使い方だな

      • +2
    2. >>23
      メタルギア3のバーチャスミッションのフルトン回収って言ってたね

      • 評価
  14. 小林源文のオメガ7かオメガJで使ってたっけ。

    • +1
  15. 小林源文先生のOMEGA7で見た
    漫画では3人一気に回収されてたけど何人までOKだったんだろ

    • 評価
  16. 最初グレイトラグタイムショウの事かと思った

    • +1
  17. マジンガーZでもっとざっくりしたやつを見た!

    • 評価
    1. ※31
      やっぱこれだよねww
      ボンヴォヤージュ!(良い旅を)
      からのテーマ曲はBF4の名シーン!

      あと、マニアックなのだとPAYDAY2の囚人回収ミッションでこれが使われてたなぁ

      • 評価
  18. BF4で見た。こんなの本当にあるのかな、って調べた覚えが。実際は結構事故が多かったらしい。

    • 評価
  19. ジョン・ウェインの「グリーン・ベレー」は、見なくていいぞマジで。韓国映画の仁川上陸作戦にも出てた気がするが、やっぱり(ry

    • 評価
  20. まぁネタが多いぐらい有名ではあるが、どれぐらいの確率で失敗したんだろうな?

    • +1
  21. デッドライジングで見た
    なお回収できたのは半分だけの模様

    • 評価
  22. ルーデルさんがやってたっていう航空機で滑走しつつ人員回収ってのを常人にも出来るように道具付けたって感じ

    • 評価
  23. 時速400キロとかの乗り物に引っ掛けてもらうって
    よく考えると割と頭おかしいよね

    • 評価
  24. 強烈なGに耐えられる人間は、何割いるのだろう。漂流して弱った人間なら、死んじゃうな。

    • 評価
  25. グルグル回る、っていうのもあるし、プロペラと空気の摩擦で生じる静電気でのショックもありそう。

    • 評価
  26. フルトン回収

    バラララララ  ヒャアっ!?

    • 評価
  27. 突然眠くなったり、バンダナ巻いた眼帯オジサンに気絶させられ、目が冷めたら高速でお空に打ち上げられる悪魔のシステム…!!
    実際に使われた場合は、飛行機に釣り上げられたときの衝撃がけっこう大きくて腰とか骨盤怪我する場合もあったそうね

    ふぁぁああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁーーーーーーー~~~~~~~~っ!!!

    • 評価
  28. 1968年の映画『グリンベレー 』で使用された,監督・主演は「ジョン・ウェイン」他には「デビッド・ジャンセン」「ジョージ・タケイ」が出演していた。

    • 評価

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