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史上3番目となる恒星間天体が太陽系を爆走中

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(著) (編集)

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史上3番目となる恒星間天体 3I/Atlas / Image credit:Filipp Romanov
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 2025年7月現在、史上3つ目となる恒星間天体が太陽系を猛スピードで駆け抜けている。

 「3I/アトラス(3I/Atlas)」と名付けられた太陽系外からの訪問者は、これまで確認された中では最大・最速の氷の塊だ。

 この天体は彗星で、秒速60km以上の速度で太陽系を駆け抜けている。

 こうした恒星間天体は、太陽系の外にある物質を直接観察する絶好のチャンスとなる。宇宙の成り立ちや生命の起源に迫る大きな手がかりになるからだ。

この記事のポイント
・太陽系を通過中の「3I/アトラス」は確認された恒星間天体の中で最大級
・この天体は太陽の重力に縛られず、恒星間空間から飛来し再びそこへ戻る
・科学者たちはこの天体を通じ、宇宙の成り立ちや生命の起源を調べている

恒星間天体、3度目の訪問者「3I/アトラス」

 「恒星間天体」とは、太陽系の外からやってきた天体のことだ。普段は恒星系と恒星系の間に広がる宇宙を漂っているが、重力の影響などで太陽系内に入ってくることがある。

 発見は難しく、これまでに確認されたのは、2017年の「オウムアムア(ʻOumuamua)」、2019年の「2I/ボリソフ(2I/Borisov)」の2例だけ。「3I/アトラス(3I/Atlas)」は3度目の訪問者だ。

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2番目の恒星間天体「2I/ボリソフ」の画像(2019年撮影)

 その姿を捉えたのは、地球近傍天体の監視プロジェクト「ATLAS」に参加するチリの観測所だ。

 その後、世界中の天文学者たちが過去の観測データを調べ、2025年6月14日にはすでに軌道上にあったことが確認された。

 直径は10~20kmと推定され、これまでに確認された恒星間天体としては最大級の大きさだ。また氷と岩石・塵でできた”雪だるま”のようなもので、「彗星」に分類されている。

 なお反射率の高い氷でできているとすれば、実際のサイズはもう少し小さい可能性もあるという。

 国際天文学連合・小惑星センターの天文学者ピーター・ヴェレス氏は、「少しぼんやりとした見た目をしています」「ガスに包まれているようで、ごく短い尾も確認されたようです」と語る。

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2025年6月2日、アリゾナ大学のカタリナ・スカイサーベイのデビッド・ランキン氏によって撮影された恒星間天体、3I/アトラス(3I/Atlas)

史上最大で最速だが、地球への危険はなし

 3I/アトラスは最初「A11pl3Z」と呼ばれていたが、恒星間天体と確認されたことで、現在の名称が与えられた。

 2025年6月21日に撮影された画像によると、この天体の核は半径が約5.6km、直径で約11.2kmと推定されており、誤差の範囲はおよそ0.7kmとされている。

 さらにその核を取り囲む大量の塵と氷の存在も確認され、それらを合わせると直径が最大24kmになる。これまでに確認された恒星間天体としては最大である。

 さらに最速でもある。

 その速度は秒速約60km(時速約21万6000キロ)の猛スピードで、それゆえに太陽の重力に縛られていない。これが恒星間天体と判断された根拠だ。

 現在、地球から木星ほどの距離にあり、その正確な軌道は現在も解析が続けられている。それでも地球にとって危険なものだとは考えられていない。

 ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の惑星防衛責任者リチャード・モイスル氏によれば、「火星の軌道の内側を通過しますが、地球や火星に衝突することはありません」とのことだ。

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image credit:Pixabay

どこから来てどこへ向かうのか

 ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジョナサン・マクダウェル氏は、「こうした小さな氷の塊は恒星系が形成される際に作られます」と説明する。

 そうした恒星へまた別の恒星が近づくと、その重力の作用で氷の塊が押し出されることがある。

 こうして自由になった氷の塊は、銀河をさまよい、中には太陽系を通過するようなものもある。

 だが太陽を中心に周回しているわけではないので、いずれは星間空間へと戻っていく。

 3I/アトラスもそのような経緯で恒星間を移動し、たまたま太陽系を通過していると考えられる。

 なおこの天体は今後、太陽に接近するにつれてさらに明るくなり、重力により軌道がわずかに曲がるという。

 太陽に最も近づく(近日点)のは2025年10月29日。その後は数年かけて太陽系を離れていくと予想されている。

恒星間天体がもたらす科学的意義

 3I/アトラスはようやく3つ目となる恒星間天体だが、じつは私たちはその存在に気がついていないだけかもしれない。

 英国セントラル・ランカシャー大学の天文学者マーク・ノリス氏は、太陽系内には常に1万個程度の恒星間天体が漂っている可能性があると指摘する。

 もしこれが本当なら、先日ついに初観測画像が公開されたヴェラ・C・ルービン天文台のような最新の観測施設が、こうした訪問者を毎月のように発見してくれるかもしれない。

 それは太陽系の外にある物質を直接調べる貴重なチャンスとなる。

 もしもそこからアミノ酸のような生命の素材が検出されれば、それは生命の起源が宇宙であるという仮説を補強する証拠となる。

 またそれは太陽系以外にも生命が存在する可能性を伝えているかもしれない。「ほかの星系にも生命誕生の条件が整っている可能性があるということです」とノリス氏は語る。

References: Third-ever confirmed interstellar object blazing through solar system (Update)

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この記事へのコメント 20件

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  1. ボイジャー2号が木星を離脱する頃のスピードが確か秒速50kmぐらいだったハズ
    それよりも早いのか。
    NSFヴェラ・C・ルービン天文台とか高性能の撮像素子を装備した天文台が新たに見つけると思うけど・・。
    ググって見たらNSFヴェラ・C・ルービン天文台ってすばる望遠鏡の主鏡とほぼ同じサイズなんだな。

    • +1
    1. ボイジャーの速度はおよそ時速55,000km(秒速15~16km)程度で遠く及ばないですよ

      • +3
      1. それは平均的な速度で木星のスイングバイを利用した時は一時的に加速していますよ。
        とはいえ秒速50kmとまではいかなくて一時的に秒速20kmくらいになったという感じみたいですが。

        • -1
      2. ボイジャー1号が 17.0 km/s
        ボイジャー2号が 15.4 km/s
        だそうです
        これは速さ勝負ではないので比べるのは野暮ってもんです

        • +1
  2. 珍しいことは珍しいが、オウムアムア以来8年で3例目なら、宇宙の年齢的に見てよくあることなのかもな。観測技術や測定の発達のおかげで暗い星の発見&移動速度が正確に分かるようになったから分かっただけで、ガリレオやニュートンが望遠鏡を星空に向けて以来、このような天体は何度も訪れては去っていたのかも

    • +12
  3. 氷の塊ってことは太陽に近づいたら尾を引いて見えるのだろうか。

    • +2
  4. “地球近傍天体”。太陽系系内で地球に潜在的な脅威となる天体の本格的な探査は
    1994年の”シューメーカー・レヴィ第9彗星”の木星衝突以降にその重要性・必要性が叫ばれ
    近年になってその観測網がようやく結実してきている(”ATLAS”の稼働開始自体も2015年)

    それを踏まえて考えると”恒星間天体”の太陽系通過は、実は特段珍しい現象ではないのかもしれない
    銀河系内は思った以上に騒がしいのかもしれないですね

    • +7
  5. 地球最接近が12月20日か、ふたご座流星と楽しめるが、ちと厳しめか
    10月末に太陽に最接近、日本で11月中旬の明け方の空に12~13等・・・肉眼無理

    • +1
  6. よくよく見たらあぐらかいたオッサンが乗って…

    • +2
  7. 地球の感覚からしたら秒速60kmはスゴい速いけど、宇宙的には珍しくないかもと思うと、人類が発見する前にビューンとやってきてドカーンなんてことも全くゼロではないんだろうな。

    • +6
    1. ほとんどが氷=水分で地球直撃だとツングースカ大爆発みたいになるかも。

      • 評価
  8. 「3I/アトラス(3I/Atlas)」
    さん あい あとらす と読むそうだ
    さんは3番目、あいは恒星間天体(Interstellar object)を意味するそうだ
    ひねりがないのがつまらないなー

    • +2
    1. じゃあ君がもっとひねりのあって面白い名前を考えて発表してみてはどうかな

      • +1
    2. 管理上の連番なので、ひねっても管理が煩雑になるだけなので必要ないです

      • +1
  9. 案外あるってことは、探査機準備しておけば次は一番乗りの可能性が高いってことじゃね
    オウムアムアの時は探査は間に合わんかったけど行けそうじゃね?

    • 評価
    1. 難しいと思う、かなりの高速で移動してるわけで、遠くからの観測が限界では?
      身近にあるもの例に出すと、新幹線の細部を観測するために自転車で追いかけるようなもの、遠くからならば見ることはできるけど、近くに寄ると観測する前にあっという間に遠くに行ってしまう。

      この天体と同じ速度を出そうとすると太陽系から観測機が脱出しちゃう。

      • +1

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